「ぐーだだだだだだだだ! お前は私のカキタレになるのだぁ!!」
カルデア内部、レイシフト装置の前でぐだ子は笑っていた。
「や、やめ・・・・・・ヤメロー!!」
ボコボコに殴られ、今まさに苦しんでいるグランドキャスターことソロモンはぐだ子に対する恐怖に身をすくませなすがままであった。
「返してほしくばオルガマリーを雌奴隷にする権利を私に与えろー!」
「くぅ、死んだ人は蘇らないというのに、なんてことをいうんだ・・・・・・」
もはや半泣き。ぎょろぎょろとうごめく半魚類の目が心なしか怖い。というよりリヨ絵になっているぐだ子であった。
「畜生、レフはアルテラ厨になるわ、アンドロマリウスはハイスクールD×Dの世界に行ってしまうわ。魔柱をいくら呼び出してもそっちの救世主に倒され続けるは。もうどうしていいかわからないよぉ、ふぇぇ・・・・・・」
仕舞いには幼児退行。魔術王と呼ばれたカリスマはもうない。
こんな時に、不思議なことが起こったらなぁ・・・・・・。そんな風にただ助かりたい、すがりたいの一心だった。
「待てーい!!!!」
そんな思いがYHVHに届いたのか、どこか遠くで救いの声が上がる。あの姿、あの様子、間違いない。アレはヒーローだ!!
「何奴!!」
ぐだ子がそう叫ぶと、ヒーローたちは次々と現れる。
その姿、まさしく痴女。腹は出しているわ、尻尾には狸の尾を生やしている何かのプレイ中に見える淫乱系雌犬近親相姦至上主義者。
「源氏ライダー!!」
その姿、まさしくボイン。溢れ出る色香と母性。そして彼女もまた清純系オネショタ近親相姦至上主義者。
「源氏バーサーカー!!」
その姿、まさしく畜生。親が死んだ頃を見計らい、自分を高く売りつけ、そして自らの欲望のために自分の兄を嵌め、甥っ子たちを皆殺しにした源氏一族随一の黒歴史。卑劣な武士だ・・・・・・。
「源氏ライダー!!」
その姿・・・・・・まさしく見えない。え、何やったのこいつ。誰? っていうか誰?
「源氏ライダー!」
その姿、まさしく「傲れる者も久しからず」。九州で好き勝手やった結果、最終的に朝廷に殺された源氏の恥さらし。バーサーカー以外適正クラスがない大馬鹿者。
「■■■■――!!!!」
日本語? バーサーカーが喋れるわけないでしょ。
「「「「五人そろって、源氏レンジャイ!!!!」」」」
「■■■■―――!!!!」
一人だけ言えていないやつがいるがこの際どうでもいいのだろう。
「さあ、早く逃げるんだーー!!」
「ありがとー!!」
「早く逃げ・・・・・・あっ」
ソロモンを起き上がらせ、立たせたは良かったものの、そのまま喋れないバーサーカーに突撃した結果。憐れ爆発四散。ソロモンは一瞬で切り殺される。ナムサン!!
「おのれ、リヨぐだ子! ゆ゛る゛ざん゛!゛!゛!゛!゛」
「・・・・・・」
ソロモン・・・・・・いい奴だったのかな・・・・・・?
疾うに死体と化し、その遺骸を喋れないバーサーカーがつまんでいるのを横目に、ぐだ子に向き合う源氏レンジャイ。
「違う」
「えっ?」
だが、その言葉を両断するかのようにぐだ子は続ける。
「違うよ、何? 君ら何?」
「源氏レンジャイ・・・・・・」
渋々といった様子で牛若ライダーが呟く。一体何がおかしいのか。ちゃんと源氏一族で統一したというのに。何が問題なのか、彼女には理解不能だった。
「源氏レンジャイじゃないよ。君クラス何よ」
ぐだ子はそういうとまず頼光バーサーカーを指さす。
「源氏バーサーカーですよ?」
何を当たり前のことという返しであるが、そもそも喋るバーサーカーとは如何なものか。ぐだ子はそう思った。喋って狂化がほとんど機能していないんじゃそれバーサーカーとは言わないんじゃないか。そんなニーガタの不満を同様に述べた。
「君は?」
「■■■――」
「あ、源氏バーサーカーです」
喋れないバーサーカーに代わって範頼アサシン・・・・・・もとい範頼ライダーは応えた。
「五人そろって」「「「「―――源氏レンジャイ!!」」」」
「待て待て待てい。タイムタイム」
範頼ライダーが応えるとまるで様美式のように掛け声を決める源氏レンジャイ。
「源氏レンジャイじゃないよ、なんでクラスかぶってんねん」
どうやらクラス重複がお気に召さない様だった。別に聖杯戦争で全クラスすべてセイバーの聖杯戦争もあるかもしれないのにそれを認めないとは何と心の狭いことか。
「源氏ライダー」
ぐだ子の肩を叩き、アピールする淫乱狸の牛若ライダー。ちょっとかわいいと思いつつもぐだ子は平静を取り戻す。
「ま、まあ、君はいいよ。君は?」
「源氏ライダー」
爽やかに名乗りを上げる範頼ライダー。影が薄いなりに頑張っている所作であった。
「じゃあ、そこの畜生」
最後に残ったの髭面の男。なんだか一番信用できそうにない男であった。
「源氏ライダー! 五人そろって」「「「「―――源氏レンジャイ!!」」」」
「違ぁーう!!!!」
この人は何を怒っているのだろうか、カルシウム足りてないんじゃない?
畜生ライダーは不思議に思った。
「おかしいよ・・・・・・なんでバーサーカー二人でライダーが三人いるんだよ・・・・・・」
久々に突っ込み役に回るぐだ子。流石の彼女もこの事態は想定してなかった。そもそもこのF/GO短編集で同じクラスのオリジナルサーヴァントが出てくるなんてことは前例に無かった筈だ。
「いや、クラスとかじゃないから」
「は?(威圧)」
「そうですね、一人ひとりの個性を見てほしいです」
畜生ライダーがそう発言すると、牛若ライダーが繋ぐ。
「おま、お前らそんなこと言ったって。クラス以前にお前らの人格とかがもうアウトだから。個性見せちゃダメでしょ」
「はぁ・・・・・・」
「それに、ちびっこには見た目が大事だろ。お色気枠とか言って、その痴女のような恰好もいかなものかと」
「そこは、努力で何とかなって行くだろ」
「いや、努力って・・・・・・」
努力って何を努力すればそうなるんだよ。ぐだ子は一人ため息をつく。
「同じライダーに見えるけど、彼女とかすごいお兄さん想いだし。良いエピソードとかあるんだけど」
「いや、そいつ最終的に喧嘩別れして死んだやん。範頼も誅殺されたし」
「源氏的には当たり前のよくあることだゾ?」
「えっ?」
身内を謀殺するのが源氏的に当たり前? え、何それ怖い。
畜生ライダーは破顔してそういった。卑劣な一族だ・・・・・・。
「そ、そんなことはいいんだよ。兎も角クラスだよ。そういったタイプとかばらけさせないといけないっていう話をしてるんだよ。武器が皆して馬ってどうよ、仮面ライダーじゃないんだから」
レンジャイを名乗っているのにライダーはあまりに不自然。ぐだ子はそう言って源氏レンジャイを批判する。
「・・・・・・」
沈黙する源氏レンジャイ。そんな中、一人のライダーが口を開く。
「兄上と同じこと言ってる」
『いやいや九郎、なんでクラスを重複させるんだ。そうするんだったらいっそ全員ライダーにすればいいのに』そういった頼朝の声を牛若は思い出していた。
「そら君のお兄さん正しいよ」
「ですよね!!」
ぱあっと顔を上げる牛若。
「ならば、しょうがないですね、私がアサシンになりましょう」
「あ、いいの。範頼くん!」
そう言ってクラス変更に同意する範頼くん。やはりぐだ子にとっての癒しであった。
「あら、じゃあ私もアサシンに・・・・・・」
「いや、なんでだよ!!」
「いや、同じ一族ですし」
「みんな同じ一族だろうがよォォォォ!!!!」
なにこいつ怒ってるの? カルシウム足りてないんじゃね? 畜生ライダーは訝しんだ。
「ていうか区別つかない!! 範頼くんと痴女とママは知ってるけど君ら誰だよ!!」
「え、俺を知らない? 情弱かな」
「■■■■――?」
「源氏マニアでもあるまいし一目見てわかる訳無いだろ。義経と頼光ですら女体化してるんだぞ。無理に決まってるわ。ていうかお前はいつまでソロモン食ってるんだ!!」
人肉を食むキチガイサーヴァントに戦々恐々しつつ、ぐだ子は理性のないバーサーカーからソロモン(死体)を取り上げる。もう原型をとどめてないミンチよりひどい状態だった。
「ええー、そんなにぃ? 俺たち有名やよぉ、めちゃくちゃ有名やよぉ、義経より有名やよぉ、なんでわかんないんかなぁ?」
イラッ、ぐだ子か目の前の男に殺意を覚える。
流石にその状況に辟易したのか、牛若は恐る恐る切り出す。
「と、いうことは今日は戦わないのでしょうか」
「当たり前だろ、常識的に考えて」
おずおずと語り掛けるバーサーカーを尻目に、ぐだ子はそう返す。
「戦えるわけないだろ、こんなぐだぐだな状況で、もう一回話し合ったいいよ。そもそもそっちのバーサーカー言語野失ってるし、ソロモンの肉は食うてるわ、ヒーローちゃうがな」
「はあ・・・・・・」
はぁ、じゃねぇよ。むしろお前ら怪人側じゃないか。
天狗に育てられた奴と、妖怪混じりと、死んでも四回蘇る奴。まともな人間だけど性格が畜生が一人。本当にまともなのが範頼しかいない。
「一族なんでしょ、だったら話し合った方がいいよ」
そう告げるぐだ子だったが、源氏レンジャイは皆一様に顔を曇らす。
「ごめん、俺このバーサーカー知らないんやけど」
畜生ライダーは頼光ママを指さして言う。
今明かされる衝撃の真実、この言葉に流石のぐだ子も声を失う。
「いやいやいや・・・・・・、一族じゃないの?」
「今日が初めてですね」
「祖父ちゃんの姉ちゃんってことしかわからん。会ったことも無いわ」
畜生ライダーと頼光バーサーカーは二人して頷く。
「一族・・・・・・仲間じゃないのかよ・・・・・・!?」
「いや、生まれた時代が違いますし」
「私が摂津源氏で・・・・・・」
「俺ら河内源氏やから・・・・・・」
「あ・・・・・・、そっすか・・・・・・」
これには何とも言えない微妙な雰囲気が漂う。
「それは、もう駄目だよ。無理無理、もっと話し合って。クラスとかちゃんと決めてな、まだ戦うのは早いよ」
ぐだ子は頷きつつ源氏レンジャイにそう指導する。
「タイプムーンだってもう16年だぞ。このソシャゲで一本立ちしても15年からだからな。この作画で」
そう言ってぐだ子は自身のリヨっている状況を見せつける。
「はあ、じゃあわかりました」
渋々といった状態で源氏レンジャイたちは一応の納得を見せる。
こういうのもなんだが、こういった白けた状況で戦うのは非常にいけない、そう思うだけの常識はリヨぐだ子は保持していた。
「うん、そうだな・・・・・・、そう、来週ぐらいに会おう。それでその答えを私に見せてくれ」
そんな、儚げな笑顔を見せて、彼らは笑いながら別れた。
その言葉から一週間後の時が経ったレイシフト装置の前でぐだ子は立っていた。
「ぐーだだだだだ! お前はレフ・ライノールから野田洋二郎になるのだぁ!!」
「嫌だぁ、前前前世なんて歌いたくないよぉ!!」
ハットをかぶっていればみんな同じ人間かと思えば大間違い。しかし、ぐだ子はそれほどまでに強硬だった。
「お前は私の口噛み酒を飲むのだァ!!」
「いやだぁ、アルテラのが呑みたいよぉ!!」
涙を流しつつ。それでもいや待てよ、これはご褒美ではと思いつつ一応嫌がるそぶりを見せるレフ。
しかし、神・・・・・・YHVHは見捨てていなかった。
「待てーい!!」
部屋の中に響く声、その声に対しぐだ子は真っ先に反応する。
「何奴!」
約束を守ってくれた。そうぐだ子は信じていた。そう、この瞬間まで信じていた。
その姿、空から響く雷霆。勇壮たる背中は広く大きいその姿。その姿に、在りし日の頼朝は憧れた。彼こそまさに源氏を代表する英霊、まさしく武弁たる若武者の装いそのものであった。
「源氏セイバーッ!!」
その姿、まさしく畜生。戦国の世に生まれ、裏切りと策謀によって成り上がり、やがては江戸を代表する譜代の大名となった成り上がりの家、かつては賤ケ岳の七本槍の一角として名を挙げたその男は、畜生かつ有能な小物だった。
「源氏ライダーッ!!」
その姿、まさしく無能。ただ、皆の笑顔が守りたかった。それでも、彼には力がなかった。無能で、どこまでも弱者故に、彼は否定された。ただ、彼に間違いがあるとしたら、生まれた時代そのものを間違えた。それでも彼はその汚名を背負う。それが多くの人の救いになると信じて。
「源氏(に殺された)ライダーッ!!」
その姿、まさに朝家の守護。かの英雄源頼光の系譜にして宝具、雷上動を受け継ぎし弓の名手。老いて尚も壮んなりしもの、そして源氏で最も高位に登り詰めた努力の人。
「源氏アーチャーッ!!」
その姿、まさしく農家。歳は四十半ば、泥に汚れ、小脇に農作物と肩に鍬を背負った古墳時代の農家のおっさん。誰だお前はっ!
「わしじゃよッ!!」
いや、知らんがな。
「五人そろって」「「「「「―――源氏レンジャイ!!!!」」」」」
「誰だァァァァァァ!!!」
在りし日の面影はない。そこには全く知らない新しいゴレンジャイがそこにいた。
元ネタ
ダウンタウンのごっつええ感じ 世紀末戦隊ゴレンジャイ