F/GO 短編集   作:ニーガタの英霊

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 前回のあらすじだオラァ!!
 悪の怪人リヨぐだ子の前に現われた源氏レンジャイ。しかしクラスがあまりにも重複し、うち一人の言語中枢がお粗末なこと、そしてヒーローに似つかわしくない性格を考慮され、ヒーロー失格の烙印を推された彼らは新たな姿を以ってリヨぐだ子の前に降り立ったのである!!


源氏たちのF/GO ごっつええ源氏?

「おい誰だ、このあらすじ書いた奴?」

 

「なにも間違ってはいないですね」

 

 あながち間違いではないことが何よりの間違いではないか? ぐだ子は訝しんだ。

 

「・・・・・・」

 

 ぐだ子はちらりと新源氏レンジャイを見る。そして不意にそっと目を逸らした。

 

「もうやだよ、突っ込みたくないわぁ・・・・・・」

 

 こんなカルデアいやや、こんな鯖いやや。来世は黒髪のイケメン男子にしてくださーい! そんな風にぐだ子は叫びたかった。

 もうギャグ短編としてどうかしている? そもそもぐだ子は本来はボケ側の人間である。そんな人間が今ツッコミの立場にいる。これがどれ程のストレスかと言えば当の本人しかわからないであろう。

 

「さあ来い、リヨぐだ子!」

 

「この我々が貴公を討ち取って進ぜよう!!」

 

「おとなしく金目の物を出せ!!」

 

「和平結ぼう、な!」

 

「おーほれ、ウチの畑ばとれた野菜や、みんなで食べね?」

 

混沌(カオス)ッ!! くっそ混沌(カオス)だぞッ!!!!」

 

 誰一人として協調性がない。いや、上二人は一応真面目っぽいが、それ以外の面子がどうにも頼りないというか、ガチ勢過ぎるというか、もう・・・・・・なんていうんだろう・・・・・・。こう・・・・・・なんというか、帰りたい・・・・・・。

 

「ちょっと、なんていうんだろう。もうアレだ! 話し合おう、そうしよう! ちょっと情報が欲しい。想定したのと違いすぎる!」

 

 とりあえず、円を描くようにそれぞれが座り、ぐだ子は少しずつ情報を整理していく。

 

「とりあえずさ、まず。前回の面子と全員入れ替わっているんだけど。これはどういうこと?」

 

 そう、先の源氏レンジャイの面子はバーサーカー源頼光にライダー牛若丸、ライダー源範頼、そして謎のライダーと喋れないバーサーカーという面子であった。

 一応源氏で統一されていたものの、話は聞かないわ、ヒーローとしての人格が怪しいわ、影が薄いわ、そもそも喋れないわ、怪人っぽい奴が多いわ、クラスは重複しているわひどいものだった。

 

「とりあえず、自己紹介からしていこう。まずはそこの安牌そうなお兄さんから」

 

 そう言ってぐだ子がまず指名したのは鎧を身に纏ったいかにもといった若武者であり、若武者は荒々しい笑みを浮かべるとゆっくりと口を開いた。

 

「―――俺か、いいだろう。俺は源氏棟梁播磨守義朝が嫡子、鎌倉源太義平だ」

 

「クラスは?」

 

「セイバーだ、ちなみに享年は20歳。生きの良い敵と戦えると聞いたんでなぁ、可愛い妹の代わりに来てやったという訳だ」

 

「うーん、やや戦闘狂の気があるがまともだ。クラスもセイバーとなんかリーダーっぽい」

 

 あれ、問題はあるにはあるが結構まともなのでは? いや、あの源氏推薦の面子である、油断はしてはいけない。

 

「え、えっと、では次はそちらの男性で」

 

「某か・・・・・・」

 

 やや精強な面持ちでありながら、直垂を身に着けた品のある男性。それが目の前の男の第一印象であった。

 

「某は、源三位入道頼政。或いは馬場頼政と申す。此度の一件、我が高祖母より命を受け、参じた。クラスはアーチャー、若輩ながら弓の腕には少々自身がありまする」

 

「おいおい、70いった爺が若輩ならみんな赤子になっちまうわな」

 

「「「ハハハハハ―――!!」」」

 

 少々冗談を飛ばすお茶目な面を見せつつも、その姿には気品というものが身についている。これが武と文化を極めた上流武士というのだろう。

 正直いってすごいまともである。なんだあいつらちゃんと仕事してんじゃないか。ぐだ子の機嫌がよくなり、次第に期待も大きくなる。

 

 これは、いけるんじゃないか?

 

「じゃあ、次はそこの武士」

 

 月代を剃り、額に弾痕が残る歴戦の武士を思わせる男。明らかに装備とかが鎌倉武士っぽくないが、ワンチャンあるかもしれない。そう思った。思いたかった。

 

「私か、私は脇坂甚内安治。クラスはライダー」

 

「ダウト! お前源氏じゃない!!」

 

 お前藤原氏じゃねーか!! 源氏ちゃうやろォーーー!!

 

 そんな怒りが、ぐだ子の胸に強く到来した。

 

「それは、家の亨ちゃんが勝手に言ったことだからノーカンだ」

 

「誰だよ亨ちゃんって」

 

「倅」

 

 脇坂安元、龍野藩脇坂家二代当主であり、幼名は亨であった。

 

「安元の藤原氏宣言ってかなりガバガバだったじゃねーか! ありなのかよそれは!!」

 

「ええんやで」

 

「よかないわい!」

 

 よろしくニキーwwwと安治は笑っているが、ぐだ子にとっては頭痛の種である。

 

「ていうか、なんでお前が来ちゃったの? 誰だよ呼んだ奴」

 

「えっ? マブダチのサブちゃん」

 

「誰だよ! 前回いたかそんな奴」

 

 英霊サブちゃんってなんだよ、北島三郎かよ。

 

「んん? 居なかったか? 顎鬚伸ばして、飄々とした感じのクソ爺のライダー」

 

「あいつかァァァァ!!!!」

 

 思い出すだけで腹が立つ。妙に煽りを入れてくる人間の情というものを解そうとしていない畜生ライダーのことであった。

 

「確か本名が新羅三郎義光だったか」

 

「え゛え゛ッ! クソ大物じゃねーか!!」

 

 新羅三郎頼光。あの八幡太郎義家の弟にして文武両道の貴人。源義忠暗殺事件を起こし、源氏を弱体化させた戦犯でありながらその血族は常陸佐竹家、弓馬の名門小笠原家、甲斐武田家へと伝わった武家の名門中の名門の祖とされる男だった。

 個人的武勇の腕も高く、流鏑馬と言えばまずこの男の名が挙がるといっても過言でなく。音楽を愛し笙の達人であった。

 

「げ、幻想が・・・・・・! 私の幻想が崩れていく・・・・・・こんなこと、源頼光が女だったことぐらいにショックだ」

 

「いい夢見れたかよ」

 

 奪還してくれ(ゲットバッカーズ)、私の幻想を。しかし、脇坂の「無理やで」の一言で現実の重さを思い知る。

 

「ほかの二次創作作者に頼むんだな。きっと清廉潔白な新羅三郎義光を描いてくれるさ」

 

「外道じゃない新羅三郎もそれはそれで違和感があるな」

 

 なんだろう、この複雑な気持ちは? 恋かな?

 

 そんな風にボーっとしていると不意にレイシフト装置が起動してとある男が現れる。

 

「鯉と聞いてやってきました!」

 

「山古志は錦鯉専門だろォ!! 良いから放置していたレフを連れて新潟に帰れ!!」

 

「了解、頼んだよ後藤田君!」

 

 不意に現れた角栄はレフを連れ去り、昭和三色を一尾だけおいて警察庁長官であった後藤田正晴と共に帰って行った。

 

「後藤田さん英霊になってたんだ」

 

 不意にそんな言葉を漏らすと、源氏レンジャイ? は各々好きなように口走る。

 

「川路利良が英霊になれるんだ、警察庁長官がなれないはずがないだろ」

 

「中曽根さんいるんだから、あって行けば良かったのに」

 

「官房長官か、羨ましい。ああいう立場が、一番楽だろうになぁ」

 

「ほー、誰かと思うたが、ありゃ忌部氏の末裔か」

 

「この鯉食っていい?」

 

 ぐだ子は目頭を抑える。発言一つ一つに時代を感じるというか、現代に馴染みすぎとちゃうか? そもそも最近の子供は後藤田正晴を知っているのだろうか。

 

「ああ、そういえば後藤田正晴は英霊じゃなくて礼装枠らしいぞ。『内閣官房長官』というな」

 

「身も蓋もないなその礼装」

 

「あとは『たかし』っていう礼装が・・・・・・」

 

「聖杯コロッセオ・・・・・・うっ、頭が・・・・・・!」

 

「あと畠山庄司次郎重忠の絵が描かれた『まともな庄司』という礼装に源実朝の『金槐和歌集』だな」

 

「あと年老いた大江広元が泣いている『広元やある』という礼装もありましたな」

 

「『金槐和歌集』の絵がちょうど甥っ子・・・・・・実朝が切り殺されている絵だからな、シンパシーを感じるよな」

 

「やめろよ泣くわ!!」

 

 ここの作者鎌倉幕府厨かよ! 広元と実朝の別れのシーンは崇高? 知ったことかッ!!

 

「架空の英霊作れよ! なんで架空の礼装まで考えているんだ!!」

 

「英霊を一体作ったら礼装を五個から六個ほど作らなければなかろう?」

 

「そうそう、ガチャの確率的にな」

 

「ガチャの話はするなァァァァ!!!!」

 

 ガチャに嵌り、お金が解けていく恐怖をぐだ子は誰より知っている。けどやめられない止まらない。なぁに回す方のノッブがいるからへーきへーき。

 

「おめぇでぇじょぶかね、ほれ、うちでとれた胡瓜食べんね。うんめぇぞ」

 

「農家のやさしさが身に染みる―――!」

 

 あ、みずみずしくておいしい。味噌とかつけるとさらにベネ!

 

「あ、私の所でとれた魚もあるからやるわ、大洲の魚とミカン」

 

「ほう、フグであるか」

 

「ヒレ炙ろうぜ」

 

「わしの秘蔵の酒を出そう。こういうのは皆で飲んだ方がいい」

 

「ほお、こんげごっつぉ久しぶりやね」

 

「自由か! お前らッ!!」

 

 そんなぐだ子の心も知らず、男どもは和気藹々と名産に心躍らせ、次々と準備に取り掛かる。

 

「漬けとったもんあるけ、それつまみにすっぞ」

 

「せっかくなら何か狩って来よう。源太、着いてくるか?」

 

「いいな、あの源三位と肩を並べて狩りか。生前じゃ想像もしてなかったな」

 

「身は食うなよ、てっぽうにあたる訳にやぁ、いかんからな」

 

「ふむ、彼らをもてなすとして、肴は味が濃いものか、癖の強いものがいいじゃろうな。酒も辛口がヒレに合おう」

 

 そして各々行動し、頼政と義平はレイシフト装置で狩りに赴き、農家のおっちゃんも漬物を取りに戻り、安治は七輪に火を灯し、少々小太りの男は酒を取りに自室へと戻って行った。

 義平と頼政は猟から帰り、立派な鹿を狩って帰ると、農家のおっちゃんや小太りの男、そして脇坂安治と共に宴会を開始、わはらわはらと笑い、踊り、盛大に楽しむ。

 そんな中、宴会の空気に惑わされぐだ子はただひたすら、胡瓜をかじっていたのであった。

 

「忘れてた、こんなことしてる場合じゃないじゃん」

 

 宴会もそろそろ終わりに近づき、程よく酔いが回ってきたところでぐだ子はそう言った。

 

「え、なんでだ?」

 

「何!? 今宵はそれぞれの遺恨を流しともに酒を組み交わす機会ではなかったのか!?」

 

「せっかく、戦わなくてもよい時代になったのであろう? ならば、この平和を甘受せねば勿体なかろう」

 

「っくはー! うんめぇな!!」

 

 え? 宴会が目的じゃなかったの? と驚く男性陣三名とすでに出来上がっている農家のおっちゃんに頭を抱えつつ、一人沈黙を保つ安治に目を向ける。

 

「チッ、これだから勘のいい女は嫌いだ。酔いつぶれたところで絞めようと思ってたのにな・・・・・・」

 

「ヒェッこわい、マジにしか聞こえない」

 

 一瞬で酔いがさめた。流石小早川秀秋に隠れているとはいえ、関が原で裏切りを敢行し、その後ものうのうと生き延びた男がいう言葉だ。表面でうまく隠しているが、言葉の裏側に妙に殺意を隠している。

 

「なーに、ジョーク、ジョーク。戦国ジョークだ。マブダチの三郎が好色だったせいで武田信玄がバイになるぐらいのジョークだ」

 

「それはジョークというより遺伝では?」

 

 信玄もあれはあれで信義? なにそれ美味しいの。で条約破り大好きの外道武将の一角だ。明らかに遺伝であろう。小笠原は文化、佐竹は武を受け継いでいると考えると妙にしっくりくる気がする。

 

「ていうか、二人ほど聞いてないんだけど。えっと、何だっけ・・・・・・」

 

「もう忘れてきてんじゃねーかお前!」

 

 雰囲気に流され続けた結果、最早何が問題であったのかすら忘却の彼方に飛んでいったぐだ子。男たちのガハハハ―――!と笑う声を聞きながら、必死に頭を動かす。

 

「そうだ、源氏レンジャイだ。源氏レンジャイがおかしいんだった。よし、脇坂はほおっておこう」

 

「えー、無視ィ? 甚内寂しい」

 

「黙れ黙れ! お前は隣の男と乳繰り合ってろ!!」

 

「ごめん、俺一穴主義だから。男となんて無理っすわ」

 

「ファッ!!?」

 

 何!? 戦国武将=衆道ではないのか!? おいどういうことだ、説明しろノッブ!! 『わしにそんなこと言われても?』利家の初体験はお前じゃないのかよーッ!!!!

 

「そもそも女複数とか無理っすわ。ハーレムとかありゃろくなもんじゃない」

 

「確かにな、嫁は一人で十分だ。わしも立場が無ければ、新たに室を迎えることも無かったろうな」

 

「嫁と言われてもなぁ。俺、嫁とそんな詳しく話したこと無かったからなんとも言えないな」

 

 不思議、武将と言えば奥さん作って美女囲い込んでいるという風潮は彼らにとっては効きはしない。

 

「立場があれば、それ相応の室を抱え込まねばなるまい。だが、某が真に愛した女性は菖蒲だけだ」

 

「嫁はなぁー、繋がりっちゅうもんを深めるためにゃ、不可欠だわな。地方ば、地方で固まらんや、とってもでねぇが、たべてけんのや」

 

 あれ? 農家ってただの農家と思っていたが、もしかして地方の有力豪族だったりするの?

 でもなんていうんだろう。みんな英雄と言っても結構ストイックなのね。

 

「子供も、可愛くてのう。目に入れても、痛くない・・・・・・」

 

「うちの亨ちゃんも、真っ当に育ってくれてよかった。あれは、私の誇りだ」

 

「置いて行っちまったんだァ、そうしなければあかん。分かっとったはずなんになぁ」

 

「某に付き添って死んだバカ息子も、生き残って血脈を残した息子も、娘も、幸福な生涯と言えればそれでよい」

 

 そんな、頼政の言葉に対して面を上げたのは、源氏レンジャイの一人である小太りの中年だった。

 

「三位・・・・・・」

 

「今更でありましょう、内府殿。朝廷に踊らされた、馬鹿な男と思ってください」

 

「父は、其方を信用していた。きっと、源平問わず、貴方を友として信用していたのです」

 

「・・・・・・」

 

「無知なわしは、無能なわしは・・・・・・、貴公の心中を察すことは出来ない、それだけに、あの一連の件は驚きました。まさか・・・・・・そんな思いが強かった」

 

「某は貴公が嫌いだ。おそらく、植え付けられた想いなのでしょう。捻じ曲げられた記憶が、まるでまことしやかに某に囁く。貴方に好感など持てない。それでも其方に言うのなら」

 

 緊張が、部屋に孕む。義平はじっとして待ち、安治は何処から取り出したであろう十文字槍を片手に持ち、農家のおっちゃんは静かに動向を見守っていた。

 

「済まなかった。再び戦乱を起こしたことを、お前はただ、平和を望んでいたというのに・・・・・・」

 

「弱きは、ただそれだけで罪。そんな時代に生まれた、わしが愚かだったのでしょう」

 

 ・・・・・・しんみりと、空気が重くなる。

 なんだこのシリアスは、ギャグだったよね。この作品。時々重くなったり感動的になったりするのはなぜだ。

 なまじたかし死亡からのウラド覚醒がある分前例を作ってしまったことは失敗だったのでは?

 

「改めて、申し上げましょう。わしは内大臣、平家棟梁平宗盛と申す、戦に負けたどうしようもない愚か者よ・・・・・・」

 

「あ、はい・・・・・・」

 

 ・・・・・・なんだろう、突っ込める雰囲気じゃないぞ?

 ていうか、空気がそういう空気じゃない、何だろうこれ、しんみり? 郷愁?

 

「あのぉ・・・・・・、そのぉ・・・・・・平氏なので、源氏レンジャイではないですね。はい」

 

 ぐだ子が何とか声を出して言えたのはそのぐらいだ。だってこのオッサン、地味に重い。

 

「わしが平家の棟梁のおかげで鎌倉幕府が立ったと思えば、最も源氏に利益を与えてると言っても過言ではないでしょうな・・・・・・まったく、愚かなことではありますが、ははは・・・・・・」

 

「―――」

 

 だれか、だれか助けて。これはあんまりズケズケいっちゃダメな奴だ。私だって空気は読める、常識はあるんだッ!

 

 そんなぐだ子の願いが生じたのか、レイシフト装置が起動すると。一人の少女が現れる。

 

「やーいクソザコナメクジこれでもくらえッ!!」

 

 宗盛を死の淵に追いやったものだけが、宗盛に石を投げなさい。

 そんなキリストの言葉を免罪符として牛若は宗盛にパイを投げつけた。

 

「家族守れなくてどんな気持ち? 家族全員死の淵に追いやってどんな気持ち? ねぇ今どんな気持ち?」

 

「ニーガタの英霊ってやつ牛若アンチだろ絶対!!」

 

 だって、天才とかむかつくし。そんな作者の願いがこの作品に詰まっている。

 この世界の(作者)はいとも残酷である。

 

「これ以上の牛若は見るに堪えない、しまっちゃおうねぇ」

 

 ありがとう、しまっちゃうおじさん。CVは全然Fateとは関係ない人だけど。

 

「型月作品で見るとCV中田譲治は皆勤賞だっけ」

 

「信長もいっぱいいるしな回す方(島崎信長)回さない方(釘宮理恵)野望の方(神奈延年)

 

「最後コーエーテクモじゃねーか!」

 

「探せばもっといそうだな」

 

 ふむふむと頷き合う新しき源氏レンジャイ。そこで脇坂がいいことを思いついたとばかりに提案してくる

 

「いいことを思いついたぞ、CV〇〇って入れれば読者も良い感じに脳内補完してくれるんじゃなかろうか」脇坂安治CV大川透

 

「てめぇ如きが大川透とか片腹痛いぞ」

 

「おめぇ、頭いいな」源義平CV清川元夢

 

「クソ似合わねぇぞ」

 

「なるほど、では某も」源頼政CVさかなクン

 

「声優ですらねぇ―――!!!!」

 

「人気声優を使えば、わしにも人気が・・・・・・」平宗盛CV釘宮理恵

 

「ネタキャラじゃねーか!!!!」

 

「わしじゃよ」農家のオッサンCV青山ゆかり

 

「のじゃロリでもきつい!! しかもエロゲ声優じゃねーかッ!!!!」

 

 ちゃぶ台をひっくり返すぐだ子、気分は雷親父だ。

 しかし疲れる、こいつらといるとすごい疲れる。すさまじいほどのボケの応酬だ。

 

「リヨさんは誰であろうか」CVさかなクン

 

「ここは、あらゆる英霊を統べるマスターとしての実力を買って、あの人しかいないだろう」CV大川透

 

「いいのではないか? わしは反対しない」CV釘宮理恵

 

「俺も賛成だ」CV清川元夢

 

「ほうか、ならばええな」CV青山ゆかり

 

「「「「「リヨぐだ子のCVは若本規夫で」」」」」

 

「私は今までそんな低い声でしゃべってたというのかよッ!!」リヨぐだ子CV若本規夫

 

「よかったな、BASARAの信長だぞ」CV大川透

 

 また信長が増えるのか、壊れるなぁ。

 

「銀英伝のロイエンタールでもあるな」CVさかなクン

 

 ロイエンタールは設定を並べていくとなろうの主人公とかでよくある人になったりする人だったりする。

 

「ジャイアントロボの戴宗だな!」CV清川元夢

 

 むしろお前が雷属性なんですがそれは・・・・・・。

 

「コード・ギアスのシャルル皇帝という大身分であったものであるのう」CV釘宮理恵

 

 ルルゥーシュ(低音)。

 

「マスオさんじゃ!!」CV青山ゆかり

 

「穴 子 さ ん だよッ!! マスオさんはジャムおじさんの中の人だわ!!!!」CV若本規夫

 

 なぜか、息が荒くなる。こんなにもゼーハーゼーハーいうのは小学校の頃のマラソン大会以来の久しぶりなのではないか。

 幸いにも重苦しい空気からの脱却には成功したのでまずは良しとしよう。

 

「そもそも私がお前らを気に入らないのはただの農家のオッサンを仲間に入れていることなんだよォ!! CVもういらねぇ!!」CV若本規夫

 

「短気な娘だ、これがキレる若者って奴だな」

 

「二十歳の俺がいうのもなんだが嘆かわしいな」

 

「黙れこの裏切り者と脳筋武者!!」

 

 これだから世評を顧みない鬼畜畜生小物戦国武将は嫌いなんだ。最終的に堀田氏から養子をもらって譜代と化し、子爵になって明治維新も生き抜いている勝ち組だ。貴族だ! 平民とは違う上級民だ! 妬みだとか僻みとか言われるがとにかくすごく嫌いだ!」

 

「ぐだ子殿、心の声が漏れておるぞ」

 

 頼政に窘められた。やや恥ずかしい。

 しかしぐだ子はめげない、こいつらを認めてたまるか。ヒーローってのはもっとこう救われてないといけないんだ。

 

「あれは彗星かな・・・・・・? いや・・・違うな。彗星はもっとこう、バァーって動くもんな」

 

「いえ、アレはティアマト彗星でしょうな」

 

「おっ、前前前世ながれちゃう系?」

 

「話聞けよお前らッ!!!! 自由か、フリーダムか!! もう11月だぞ! いつまで『君の名は。』引きずってるんだよ!!」

 

 ああそうだよ、近年まれにみる良作だったよ!! だからってFate二次創作に持ち込むことじゃないからな!!

 なんか突如として農家のおっちゃんがしまっちゃうおじさんの中の人の名言言ったことに驚きつつもぐだ子は身をすり減らしてツッコミを続ける。

 

「致し方なかろう、ニーガタの英霊は『君の名は。』を視聴して長いこと筆が進まなくなってしまったからな」

 

「あと自動車学校で忙しかったってさ」

 

「ニーガタの英霊のことなんざ誰も聞きたないわ!!」

 

 作者のリアル、それはただの言い訳、はっきりわかんだね。

 

「気に入らねぇんだよ、小説の最初に処女作とか豆腐メンタルとかで予防線張る奴なんて!! 読者の批評あってこその小説だろう!!」

 

 ぐだ子は叫ぶ、その思いの丈を。目いっぱい、思いっきり。しかし反対に叩き付けられるのは冷たい現実の波だった。

 

「いや、なろうならともかく、ハーメルンの二次創作でそこまで本気で書く奴いないだろう。二次創作なんか所詮作者の自己満だぜ。書籍化の芽もないし、精々遊び半分だ。趣味の範囲だ」

 

「書物など、所詮は売れるか売れないか。そんな厳しい世界じゃ。印税でクラスなど所詮は夢のまた夢、わしのような無能のように身の丈に合わない行為をすると必ずや後悔することになろう」

 

「某も聞いたことがある、その昔、なろうやにじファンにはまって、留年した高校生の話や受験に失敗する中学生」

 

「おいおい、そんな奴いるのかよ、所詮は遊びの範疇だろ? きちんと割り切って、学生なら将来の為に勉強しろよ・・・・・・」

 

「ヤメロー聞きたくなーい!! そんな現実聞きたくなーい」

 

 空想の中でぐらい、自由に生きたっていいじゃないか。涙を流し、前を向く、だって、だってそれでも彼らは二次創作を描くんだ。

 

「それでも、それでも私たちは書き続けるんだ。駄作だとしても、未熟だとしても、見るに堪えない痛い黒歴史だとしても! 面白いと思ったから書きたいんじゃないかッ!!」

 

 それが、何よりの叫び。ぐだ子のそしてハーメルンの二次創作作家たちの想いと信じて―――!

 

「―――こんなSSの場面で、何マジになっちゃってるの。活動報告で言っとけよ」

 

「ムキーッ!!!!」

 

 脇坂安治、ぐだ子がヒートアップしたところで梯子を外す。

 

「ころちゅ」

 

「おいおい、人を簡単に殺すなんて言っちゃダメでちゅよー」

 

 わかった、コイツ天性の煽りストだな。発言の一つ一つがヘイトを稼ぐ一助と化している。いやらしい奴だ。

 だが落ち着け、落ち着け私。今の私はリヨぐだ子。戦闘力ならソロモンすら締め上げることが出来る実力の持ち主だ。高々サーヴァント程度へし折れる。

 そう思った矢先に、脇坂は私に向かってこう言った。

 

「いいのか、暴力を振るって、いざとなれば、マブダチのサブちゃん呼んでお前を72時間犯し続けることになるぞ。その間、俺は隣でお前を煽り続ける」

 

「ふん、私に欲情する奴がいるとでも?」

 

 何せこのビジュアル。このギョロ目、二頭身、高い肉体スペック。勝てる奴などそうはいない。

 

「三郎は言っていた、オナホ妖精ってロマンだよなって」

 

「すいません、勘弁してください」

 

 アカン、この小説R-18に行っちゃう。それだけはアカン。管理人さんに注意されちゃうことになる。

 

「ツッコミポジは駄目だな、戦闘力が100分の1にまで劣化してしまう」

 

 そう言ったぐだ子の表情はどこか晴れ晴れとしていた。

 

「戦わずして勝つ、これが戦の常道よ」

 

「―――脇坂お前・・・・・・」

 

「これが、私のヒーローとしての道だ」

 

 そう言った脇坂の笑顔はどこか安らいでいて、何の憂いもなかった。

 

「大丈夫だよぐだ子。オレも、これから頑張っていくからさ」

 

「―――」

 

 そして彼はその儚い笑顔を見せたまま、光り輝くレイシフト装置に導かれ―――

 

「いや、行かせねぇよ! どこに行こうとしてるんだおめぇは!!」

 

「チッ、バレたか」

 

「会って数分だけどな、お前の心は大体わかってるんだよ。名言レイプしやがってよ」

 

 なんかうまい具合に終わらせようとしていた脇坂を捕縛し、そのまま押さえつける。

 

「私思うんですけどね、そろそろエミヤさん休ませましょうよ。いつもどこかの世界に行って戦ってるじゃないですか」

 

「しょうがないだろエミヤ人気なんだから」

 

 恋姫の世界からハイスクールD×D、或いは同じFateの世界。ハーメルンでエミヤさんを見ない日はない。

 

「あと八幡くん、比企谷八幡くんも。このままじゃ彼ら過労死するぞ。代わりに私が主人公するからさ!」

 

「ただ単に出番欲しいだけだろ!!」

 

 艦これ世界とか、私溶け込める気がするんですよ。淡路水軍知りません? あれ率いてたの私ですよ。

 

 そういって脇坂はこれでもかと自分をプッシュする。その積極性だけは評価に値するが、いかんせん性格が鬼畜畜生小物外道なので主人公には向かない。かませキャラするにしても落第騎士の桐原静矢君のようなカルト的な人気を博しそうである。

 

「失敬な、私はただ次回作の大河主人公になりたいだけだ!」

 

「地味に野望デカいなお前!!」

 

 井伊直虎より私の人生の方が面白いですって絶対! 黒田官兵衛がなれて自分がなれないなんてことはあり得ない。などと言った主張を続ける脇坂安治。ナチュラルに人を見下すその精神性だけは感嘆に値する。

 

「落ち着くんだぐだ子殿、そしてしっかりと記憶し、受け止めるのだ。馬鹿は死んでも治らない」

 

「・・・・・・悲しいこと言うなよ、源三位頼政」

 

 脇坂安治はどう足掻いてもこういう人間なのだ。戦国時代という闇が彼という巨悪を作り出してしまった。悲しい、寒い時代だった。

 

「時代が悪いんだ! 私は悪くない!」

 

「やっぱお前が悪いわ」

 

 キャラが濃い、ひたすら脇坂のキャラが濃すぎる。

 

「あわよくば、この短編の準レギュラーに成りたい」

 

「オリキャラは準レギュラーになれるわけねぇだろ! 自重しろっ!」

 

 脇坂とぐだ子は互いに取っ組み合いを続け一歩も引こうとはしない。

 仲が悪いようでコンビとしてみればそれほど悪くない、トムとジェリーのような関係であった。

 故にその様子を残りの源氏レンジャイたちは生暖かい目で見つめていた。

 

「なんだお前は、もしかして自分がこの戦隊のリーダーだったりするのか? リーダーだから好き勝手に振る舞っていいと?」

 

「リーダー? 馬鹿いってんじゃねぇ。私がリーダーな訳ないだろ。お前は自分がマスターだからといって一番偉いと勘違いしてんじゃねぇか?」

 

 堪忍袋の緒が切れる。そんな風な音がした。

 

「面出ろや、おらぁ!!!!」

 

「喧嘩売ってきたのはぐだ子、お前だ。吐いた唾飲みこむなよォ!!」

 

 二人は決裂、今にも殺し合いが始まらんとする。

 

「新羅三郎義光呼んでこい! エロシーンの始まりだ」

 

「やってみろや! フタレターのごとくギャグにしてやんよ!!」

 

 ぐだ子、今すぐち〇こを生やしてふたなりになるんだ!

 

「了解、みさくらなんこつ!!」

 

 どこかでどこぞの先生の声が聞こえた。その言葉に導かれるようにぐだ子が服を脱ごうとした、その時のことである。

 

「勅命である―――双方、矛を収めよ」

 

 瞬間、肉体にとてつもない負荷がかかる。息すら止まるごときその重圧に、流石のぐだ子も立つのがやっとであった。

 

「お前は、いや、貴方は一体・・・・・・」

 

 辺りを見れば、彼女の周囲、脇坂安治ですら一人の男にひれ伏し、皆一様に頭を垂れる。

 

「安治が無茶をした。赦してくれ、奴はこれといって特徴のない地味な奴でな、悪いやつではないのだ」

 

「脇坂が地味な奴なら、世の中の人全員無個性になるわ・・・・・・」

 

 ぐだ子が金縛りのように動きを止め、緊張を孕んだ声に変わる。

 尊大にして荘厳。高貴にして清貧。そんな言葉では足りない男がそこにいた。気づくべきだった、福井の訛りで農耕を行っていたあの人物の存在を。あれこそ、あの人こそ、今の日本そのものであることを。

 

「そういえば・・・・・・、まだ名を、いっていなかったな―――余は男大迹王。継体天皇をといった方が分かりやすかろう。源氏レンジャイの首魁よ」

 

 現代天皇家の皇祖様がなんばしょっとね!?

 

「馬鹿野郎! お前ら本当に馬鹿野郎!! どうして天皇なんて持ってきたんだ!!」

 

「陛下を無礼るな、日本出身鯖の中でも上位に来る弓の名手だぞ」

 

「余のクラスはアーチャーだ」

 

「頼政とかぶってるんですけどぉ!!」

 

「仕方ないのぉ、ルーラーでもいい」

 

 すごいぞ天皇、ヤバいぞ天皇。継体天皇は竜の上位種である龍を追い払った実力を持つガチ英雄だ。同クラスで明確に上位者と言えるのは桃太郎の元ネタの吉備津彦とか神武帝ぐらいじゃないか?

 

「こんなギャグ短編に出てくるお方じゃないよ、もっとシリアスな聖杯戦争に出れる人だよ。ていうかもう、源氏レンジャイじゃない。大和戦隊とかでいいんじゃないかな?」

 

「「「!!?」」」

 

「ぐだ子お前、頭いいな」

 

「やはり天才か・・・・・・」

 

 その発想はなかった。まさか源氏にこだわらなくていいという逆転の発想、男大迹王以下の面々は驚嘆する。

 

「クラスは如何にすべきか、陛下がルーラーであれば、ライダーが被ろう」

 

 頼政が音頭を取ると、次々に意見を述べる

 

「アドミラルというクラスにしよう、艦これ二次創作作家に目を付けられたいし」

 

 新しいエクストラクラスであるアドミラルを脇坂が錬成すると、次々にほかの鯖も自分に合ったクラスを述べる。

 

「わしはスイマーにしよう、こう見えても泳ぎだけは得意じゃった」

 

 平宗盛は唯一の特技である泳ぎを元にスイマーに。

 

「では某はポエマーにしよう、こう見えてそれなりに詩は嗜んでいた」

 

 頼政は詩歌を好んでた故にポエマーに。

 

「俺、怨霊になれるからスピリットにするか」

 

 義平は持ち前の雷伝説からスピリットに。

 

「「「「「完璧だ!!」」」」」

 

「ああそうだな、完璧だな。誰一人として基本クラスでないのを除けばな!!」

 

 コアすぎるわ、こんな戦隊。

 

「大和戦隊源氏レンジャイ、完璧だな」

 

「違う違う、大和戦隊は兎も角、源氏レンジャイいつまで引きずってるんだよ」

 

「では大和レンジャイか」

 

「全員エクストラクラスだからエクストラレンジャイはどうだ?」

 

「いや、ここは我らが友であるぐだ子の名前をとってぐだ子レンジャイにしよう」

 

「わたしゃ、敵だよ。なんで敵の名前取ってくるんだよ」

 

 馬鹿かね脇坂。

 しょうがねぇだろ、人殺ししかやってこなかったんだから。

 

 そんな殺伐とした会話を、ぐだ子と脇坂は微笑みながらやっていた。

 

「さて、そろそろお開きにしようか」

 

「え、ちょ・・・・・・どこ行くの」

 

 突如として帰り支度を始めた源氏レンジャイもとい大和戦隊の男たち。

 

 戦わないんすか? そんなリヨぐだ子の疑問をガン無視して赤ら顔で奴らは一人ひとりレイシフト装置から遠ざかっていく。

 

「所詮某たちは代役、偏に高祖母様に頼まれただけである」

 

「そうそう、俺も弟妹たっての願いだったからな。本命が来るまでのつなぎでしかねぇ」

 

「敗者に意見を言う権利はない。なに、わしはただお呼ばれしただけの無力な男じゃ、戦っても肉壁にしかなれん」

 

 そう言って、急にドライな反応を示す、比較的まともな三人の対応にぐだ子は急に心が覚める思いがした。

 

 なんだろうこの気持ち、凄い寂しい。

 

「次、救世戦隊メシアンズが来るとだけ報告しておこう」

 

「は?」

 

 救世とメシアという言葉に真顔になるぐだ子。完全に例のあいつらじゃないですかヤダー。

 戦う? メシアだ、誰も勝てんぞ・・・・・・。塵一つ残さず死ぬ。

 

 圧倒的恐怖と、約束された絶対なる敗北を宣言される中、ぐだ子の肩を一人の男が優しく叩いた。

 

「私は、お前のことが大好きだったぞ」

 

「脇坂・・・・・・」

 

「大谷吉継ぐらい好ましい人間だ、一週間ぐらいは忘れない」

 

「救世主たちが来たら、お前を盾にするわ」

 

 脇坂は令呪で出荷する。そんな思いを決めた、リヨぐだ子であった。

 後ろでらん豚になってそんなーと言っている脇坂を尻目に、来週はどうやって生き残ろうと、遠い目をぐだ子はしていたのであった。




義光・安治「みんな、僕らが活躍する二次創作小説を是非とも書いてくれ!」
リヨぐだ子「出来れば惨めに死ぬ奴を頼んだ!」
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