「聖杯コロッセオですか?」
「せやせや」
カルデア内部にあるぐだ子の私室にて、マシュは疑問を浮かべた。
「実はローマに新しい聖杯が出現してね、その権利を巡ってコロッセオにて天下一武闘会が繰り広げられるらしい」
「いろいろと突っ込みどころ満載ですけど、まぁネロさんのやることなので何も問題はありませんねローマ」
「ローマローマ」
突っ込みどころとか言っているのに突っ込み不在とは何とやら。それは兎も角、早々に聖杯コロッセオに出場することを決めたぐだ子は出場メンバーの選定をするのだった。
「イカれたメンバーを紹介するぜ! デミサーヴァントのマシュ」
「安定の盾ですね、わかります」
安定の相棒枠としてマシュ、なんだかんだ言っても盾役として重宝し、スキルも有用なものが多い。加えてマスターであるぐだ子とも相性が良かった。
「以上だ!」
無理無理無理、腕を横に振るマシュは、無表情で否定の意を表した。
「なに冗談だ。メンバーはほかにも用意している。まずはすまないさん!」
「すまない、情けない竜殺しですまない・・・・・・」
アルトリアもアルテラも兄との交流で水を注すわけにはいかないのでピンチヒッターとして登場したすまないさん、数合わせ的な感覚が強い。だらしないセイバーですまない。
「AU王」
「我はソフトバンク派だ」
「私はドコモです」
「なん・・・・・・だと・・・・・・!?」
完全な不一致。どうやらAUはぐだ子だけだったらしい。
「ちなみにDr.浪漫は林檎です、F/GOの初期は盛大に爆死しました」
「Oh・・・・・・」
可哀想に、だが私は謝らない。By庄司。完全にかみ合わないチームカルデア。ちなみにオルガマリーは黒電話しか使いこなせないらしい、あざとい。
「最後、鳥海」
「え?」
驚くように反芻したのはアステリオス。反英雄である怪物である
「人肉と女と聞いてやってきました!」
けたたましい扉の音を鳴らしながらやってきたゴールデン。
「あったよ! 串焼肉が!」
「でかした!」
こんがりと焼かれたイェニチェリを持ってきた領王も備わって最強に見える。
「この串焼肉はできそこないだ、食べられないよ。明日来てください、もっとうまい串焼き人肉を見せてやりますよ」
そしてその背後から現れた白衣の男。
「ハンニバル先生はdestructionに帰ってください」
「待ってください! 人肉と言えば私の国が」
「荊軻、それ以上いけない」
「くそ! こんなところにいられるか、私はローマに戻るぞ!」
なんだこれはカニバリズムに侵食されてきている、このままでは変態短編になってしまうと感じたぐだ子は追いかけてくる数人の気配を感じながらカルデアスの下へと急ぐのだった。
「ちょ、ぐだ子ちゃん何してるの?! え、なにこいつら!? カオス」
最後にDr.浪漫の声が聞こえた気がしたが、気にせずにぐだ子は駆け抜けたのだった。
「お、おう。なんだかカオスな連中であるな」
「えっ、ネロ・カオス?」
違う、そうじゃない。ネロは腕を振って否認するが、ぐだ子がぐだってるためにいまいち意味はないのだろう。私は丹下ボイスです、決して中田譲治ではありません。
「譲治と言えば余だな、そうと思わないかイェニチェリのたかし君。『そうだね、アーカードおじさん』」
狂気の空間、黒焦げたイェニチェリ兵と腹話術を繰り広げる領王、こいつ狂ってやがる。えっ、バーサーカーだから何も問題はない?
せ、せやな。
ちなみにたかしくんの声は中田譲治だった。
「人肉なら食べましたよ、こことは比べ物にならない大江山で美姫の肉をね。おえぇ・・・・・・」
その傍らでは金時がトラウマ発症していた、駄目だこのバーサーカー早く何とかしないと。
「とりあえず、マシュ、鳥海、英雄王で行こう。バーサーク・ランサーとゴールデンは後衛で」
「マシュはいない。どうやらはぐれたようだ。すまない・・・・・・」
「ちなみに私もいるが?」
「じゃあ、すまないさん前衛ね。ハンニバル先生は帰って。いこう、この戦い。我々の勝利だ」
どうしてぐだ子はそうそうにフラグをたててしまうのか、そうしてコロッセオに入った矢先のことだった。
「―――『
「ぐわぁぁぁ!!?? 『ぐわぁぁぁ!!??』」
「ぐふっ!?」
突如として鳴り響く轟音、光る雷撃がアステリオスの下へと飛んでいくが、纏っている雷部分は領王の杭に避雷針の如く吸収される。こんな時でも腹話術を忘れない領王は大したものである。
「あーん! たかし様が死んだ!」
「た、たかしダイーン!!」
黒焦げになるイェニチェリのたかし君、人肉の焦げ付いたにおいがコロッセオに充満し、唇が油でべたつく。
「ふむ、これでは死なんか。なら今度は連射で行こうか。『
ふと振り向くと、そこには一人の男が立っていた。鋭き眼光を持つ堂々とした風格を持つ男。その周りには雷を纏った槍が並べられていた。
「ここであったが幾千年、死ぬがいい。余の恥部よ」
「『くっ! させるか!!』な、なにをするたかし!!」
襲い掛かる雷槍、それに対し盾となるかのように一人前に立つ(というよりウラドに放り投げられた)たかし。槍はたかしをすり抜けるが、その槍の持つ雷はたかしが避雷針となりすべてを吸収していく。
「『ぐ、ぐああぁぁぁぁぁあああ!!』た、たかし! やめろ! そんなことして何になる!!」
「ぐあああああ! い、いたい!! ささってる、ささってる!!」
すぐ後方ではアステリオスがなんやらわめいているが気にしない。むしろ邪魔であった。
「『へへっ、ドジ踏んじまった』たかし、お前何を・・・・・・」
「そんな、なんでたかしがこんなことに」
「たかし! 約束してくれただろ! 俺たちと一緒に聖杯コロッセオに優勝するって・・・・・・」
「また我を置いて先に逝くか、たかし! 許さんぞ!!」
「『ごめんね、みんな。どうやら僕はここまでみたいだ』」
「たかしぃ・・・・・・」
ぐだ子は涙を堪えきれなかった。あのたかしが、みんなを励ましてくれたような気がするたかしが、今こうして最期の時を迎えているのだ。後ろのアステリオスがうるさかったが、みんな気にしなかった、眼中にもなかった。
「『領王、最初。君と僕は敵同士だった。今でも覚えている。僕が串刺し刑にされて、君はそんな僕の前で食事をとっていたね』」
徐々に体が透けていくたかし。それはまさに彼が座に帰ってしまうことを意味していた。
『最初はなんて無神経な男だろうと思っていた。トゥルゴヴィシュテで死にきれず、君の串刺し刑に処せられた時は辛かったよ』
あれ、これたかししゃべってね? もはや腹話術でもなんでもなかった。たかし普通にしゃべれるやん。まぁそれはそれで感動するな。ぐだ子はそう思った。
『でも、君の判断は正しかった。王とは、そうあるべきだ。どれ程の苦難であろうと乗り越えようとする。僕は君に殺されたことを誇りに思う。君という英雄と戦えたことを誇りとしよう』
「たかし、なぜお前は余の配下ではなかったのだ」
『決まっているさ。僕はオスマンの兵だ。君がワラキアを愛したように、僕もオスマンを愛していた。ただ、それだけじゃないか・・・・・・』
沈痛なる面持ち、皆たかしとヴラドの話を聞き入っているのだ。
『平行線だよ、僕らは決して交わることはない。僕は兵士、君は王じゃないか。そうだ、王様なんだ』
「たかし・・・・・・」
『ありがとう、ヴラド。君と共に戦ったカルデアの日々は、とても楽しかった。ああ、楽しかったんだ・・・・・・。僕はオスマンの人間だけど、僕にとって、王様は君だった』
黒焦げで表情もわからないたかし。けれど、ぐだ子は何故かたかしが笑っているような気がした。
『ありがとうヴラド。極刑王、ヴラディスラウス・ドラクリヤは僕の王様なんだ・・・・・・』
「たかしぃぃぃ・・・・・・!!」
『君は吸血鬼なんかじゃない。誇り高きワラキア公だ。前を向いて、もう君は「血塗れ王鬼」なんかじゃない』
「・・・・・・!!」
ボロボロに涙を流すヴラド、それは長年の友人であるたかしだからこそ表に出せる彼の表情であった。そう、何をするにも一緒だった。たかしを杭にさし、或いは大車輪と言いながらたかしを振り回し、そして今回はきれいな串焼肉と化したたかし。楽しかったあの日々は刻々と流れる。
『ありがとう。さようなら、僕の、友達・・・・・・!!』
たかしは最期にそういって消えていった。後に残ったのは一本の杭だけだった。
「うあぁぁぁぁぁあぁああああ!!」
堅く、強く握りしめた杭は手が焼けるほど熱く、たかしが先ほどまでいたことを明確に示すのであった。
見据えるは、雷槍を持つ男。ヴラドは、いや極刑王は力強く投擲すると、叫んだ。思いの丈を以て、強く、強く。天まで届くように・・・・・・!
「『
彼の誇りは決して汚せない、それは王である矜持。そして友との約束故だった。
・・・・・・なんだこれ、ヴラド覚醒してるやん。こんなんただのタイトル詐欺やないか。
あれか、キミガタメを聞きながら書いてたからか。どちらにしろたかしってすごい。改めてそう思った。
たかしってなんだよ? 概念礼装だよ、効果はサーヴァントを覚醒させる、そんな感じ