城下町のダンデライオン〜長男は魔法使い〜   作:ソール

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第二十七話

十二月の中旬頃

 

期末テストと言う、学生が冬休みに入る前の試験が待ち構えていた

 

もちろんその期末テストは高校生や中学生である遥から真まである。それは王族関係なく、もちろん赤点を取れば補習もある。それをどうにか回避して、ちゃんと冬休みを送るために、期末テストの勉強で猛特訓である

 

 

「うわああ!!わかんねえ!」

 

「うるさい。静かにしろ菜々緒」

 

「菜々ちゃん頑張って!」

 

「菜々緒さんファイトです!」

 

 

「やれやれ、流石に期末テストの範囲にしては、今年は広すぎる」

 

 

勉強ができる真達も、少し期末テスト勉強で必死に頭で覚えようと追い込んでいる。今年の期末テストはあまりに範囲が広く。勉強する部分が多くて、覚えるのがかなりきつく。もう高校3年生さいごの試験であるからなのか、冬の期末テストは今までよりもかなり苦しい難問となっていた

 

幸いなことに、一応教師達からテスト範囲は発表をしてあるため、その部分だけを勉強すれば確実に赤点は回避できる

 

 

あまりにも範囲が広く。それを全て覚えるのにはかなりの苦戦や焦りを見せる。普段勉強を怠らない真や葵、生徒会長である卯月ですらも必死に勉強をしている。静流はとりあえず忘れないように私語は謹んで集中している。静流は成績はそこまで高くはないが、集中力は強く、成績も本気で頑張れば、成績の高い卯月と葵に並ぶことができる

 

そして菜々緒なんだが、彼女は結構頑張って努力しないと、もしかしたら赤点になる可能性が高いと、わかんないとは言いつつも、死に物狂いで教科書の内容を頭に入れている。彼女は運動は物凄く得意なのだが、勉学はあまり得意ではない

 

 

と言ったように、今回の期末テストはかなり難問で、真すらも手を抜いていない。普段手を抜いているわけではないが

 

 

「真!魔法でなんとかならない?」

 

「ダメだ。母さんにも言われているが、こればかりは自力だ」

 

「おい菜々緒!魔法に頼るのは卑怯だぞ!」

 

「菜々緒さん!頑張って!」

 

「わからないところは教えるから!」

 

 

当然魔法の使用は禁止

 

魔法で教科書の内容を頭で無理矢理覚える魔法はあるかもしれないけど、こればかりは不正をせずに、自分の実力で覚えるようにと、母であるアイギスにも言われているため、真は魔法の使用は禁止と伝えた

 

流石に学問は学生の本分であり、不正はせずに赤点になろうとも頑張ってやるのみであり

 

 

そんな感じで、全力を出して期末テストの勉強をここ最近していた

 

 

 

 

「ああ!終わった!」

 

「今日はこのくらいにしよう。続けても苦しくなるだけだ」

 

「そうだね」

 

「こうでもしないと、菜々緒が死んじまうからな・・」

 

「あははははは・・・・・」

 

 

 

数時間程度でテスト勉強は終了した

 

図書館の勉強室でテスト勉強をしていて、夜まで利用できるのだが、菜々緒がもう限界に近かったため、もうここまでした方がいいと、早めにお開きにした

 

だから、意外に早く終わったことで、まだお昼前で夜にもなっていない。今日一日テスト勉強をする予定だった

 

 

しかし

 

 

「じゃあ私はもう帰るね!」

 

「私もな」

 

「私も失礼します」

 

「ああ、わかった」

 

「え?もう帰るの?」

 

「ごめん!早く終わったから今寄りたいところあって!」

 

「いろいろ私も買い物しなきゃいけない物があってな」

 

「すいません。私もちょっと・・・」

 

 

まだ帰るには早いため、どこかみんなでお昼を過ごそうと思うが、何か買い物があるようで、まだお昼前だと言うのに、ここで真と葵より先に帰るようだ

 

 

「それは今しないとダメなの?」

 

「あ、ああ。そうなんだ。ごめんな」

 

「葵。どうやら菜々緒たちにも予定があるようだ。今日はここで別れよう。菜々緒、卯月、静流、『またな』」

 

「ああ、またな」

 

「それじゃあな」

 

「ではまた」

 

「あ、またね」

 

 

予定があるのなら仕方ないと、真が了承して、葵も渋々了承した。久しぶりの休日だからもう少し遊びたかったのだが、それでも違う予定があるのならと、菜々緒達は別の用事でここで別れて行った

 

しかし、このまま帰るのも確かに時間は余り過ぎている

 

のため、真が

 

 

「葵、俺たちは別のカフェで軽いお昼にしようか」

 

「うん、そうだね」

 

 

お昼前の時間でもあるため、真が久しぶりに妹と一緒に食事しようと、葵と一緒にどこかのカフェで軽い食事をしようと誘って、葵もそれに承諾して、どこか近くのカフェへと向かう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真と葵は近くのカフェで、ドリンクと主食になるの物を単品で頼んで、あまり腹を満たさない状態にして、昼食を過ごすようにしている

 

そして今の時間は

 

 

葵にとっては、菜々緒たちに申し訳ないが、彼女にとっては最高の時間

 

 

「久しぶりに兄さんと一緒に居られれて嬉しいな」

 

「確かにな、ここ最近は家くらいしかお前と一緒になれないから、外で二人での時は久しぶりだな」

 

「しかも、わざわざ二人になれる個室用の席を予約してくれたなんて・・・」

 

「当然だろ。なぜなら今日は・・・・」

 

 

今利用しているカフェは、言うほどこの城下町では一番の店、VIPルームもある。二人になれる個室用があるカフェである。

 

真が前々からこの店の個室席を予約していた。それも一番上の階を、街を少し見渡せる景色が見える部屋で、ムードとしても良い。もちろん料金はかなり高い。しかし、それでも二人の時間を真はここで使った

 

なぜなら今日はめでたい日

 

 

それは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前の誕生日だ。これくらいは祝わないと」

 

「ありがとう兄さん。いいえ・・・・燈」

 

 

今日は葵の誕生日

 

彼女は十二月生まれ、結構クリスマスに近い誕生日で、今日は彼女のために真が二人の時間を作ってくれた。今日は早めに勉強会を終わらせたのはこういう意味でもある

 

葵のために、誰も邪魔されない時間を過ごそうと、燈がここを予約して、彼女とゆっくり過ごす

 

 

「まあ、あまり食事はできないけどな」

 

「そうだね。茜たちが作る夕飯の分もあるしな」

 

「ああ、昼はこれくらいでいいだろう。それと、これ。誕生日おめでとう葵」

 

「え?これ!プレゼント!?」

 

「ああ、お前にな」

 

「もしかして・・・・・・指輪?」

 

「そんなわけないだろ。ブレスレットだ。指輪だなんて気が早いぞ」

 

「だって、やっと兄さんが私の想いに答えてくれたんだもん。それなら気が早くなるもん」

 

「誕生日に指輪は流石に重いだろうに、ブレスレットの方がこの年齢なら良いものになる」

 

「買ったの?」

 

「いや、作った。宝石まで作れる魔法を覚えてな。宝石系もなんとかな」

 

「あんまり危険な魔法を覚えて、体の負担増やさないでね」

 

「わかっている。開けてみてくれ」

 

「うん」

 

 

燈は宝石を作れる魔法を覚えたため、彼女のためにブレスレットを作った

 

自分のために用意してくれるのは嬉しいが、葵にとってはあまり変な魔法を使って、体の魔力を尽きないように心配している。燈の魔法も便利ではあるが、限界があると言う事を彼女もアイギスの弟子として心配していた

 

 

「綺麗!この中心のサファイア!?」

 

「ああ、葵に合わして青い宝石が良いと思ってな。気に入ったか?」

 

「うん!ありがとう!燈!」

 

 

ブレスレットは白色のチェーンで、その中心にサファイアの宝石が埋め込まれている

 

葵のイメージを合わせた腕輪。彼女の腕にしっかり合うサイズで、彼女の腕にピッタリと付けられた

 

 

ここからは楽しく今までのことを話したりとして、会話を楽しんでいる

 

もちろん、これからのことも、当然気になる。燈が最終演説を済ました後どうするのか、それは大学の話と、移住先について

 

 

「大学は・・・・私と同じ?」

 

「ああ、そこは菜々緒達とも一緒だ。まだ試験は一ヶ月後だけど、葵達と同じ大学に行くと決めている」

 

「そうなんだ。でも・・・・家は」

 

「ああ、出ていく。ここはもう母さん達に伝えてある。もちろん了承済みだ。高校卒業したら出ていく。そして・・・・・本当の母さんとあの家で暮らせる」

 

「そ、そうだよね・・・・・」

 

 

燈はもう高校卒業したら、本当の母の家に帰ると決まっていた

 

もちろん総一郎と五月も前に言っており、当然ながら拒否もなく了承している。本当の母の元へ帰る。仕方がない。本当の家族の家に帰りたいのは子供にとっては当然、本当の家族と過ごしていなかった燈からすれば当然のこと。流石の葵も本当の家族と過ごせるのだから仕方ないと文句は言えなかった

 

 

しかし

 

 

「だから・・・・どうする?」

 

「え?」

 

「母さんの家はたくさんの部屋がある。あと五人くらいな、母さんも葵達がよかったら・・・・俺の家に来ないかと、母さんが葵達を誘ってみてはと、それに俺の家なら大学から少し近いしな。どうする?」

 

 

まさかの、アイギスの実家に葵達もどうだと聞かれた。もちろん菜々緒達もである。彼女達も燈のせいで魔法を覚えてしまった。魔法を覚えた者同士で、みんなで暮らさないかと、燈が代表として彼女に伝える。後から菜々緒達にも伝えるようだが

 

その答えに葵は

 

 

「うん!燈の実家に住みたい!一緒に!」

 

「わかった。じゃあ今度母さんに言っておくよ。じゃあ親父や五月母さんにも言っておかないとな」

 

「うん!」

 

 

もちろん、これからも燈と居られるのならと、その提案に了承を出すのだった

 

葵は少しは安心した、やっと想いに気づいてくれた彼が、この先大学では別の家で住むのかと思いきや、同じ実家で暮らそうと、まだ彼と一緒に居られることに、葵は大喜びだった

 

 

すると

 

 

プルプル!

 

 

「すまん、電話だ。もしもし・・・・・ああ。そうか、今行く」

 

「燈?誰から?」

 

「静流だ。もう出よう。行きたい場所がある」

 

「どこへ?」

 

 

「静流の家だ」

 

 

誰かの電話かと思えば、お昼前で別れた静流からだった

 

今から彼女に家に来て欲しいと、もうそろそろこのカフェを出て、その場所へ向かう

 

確か何か用事があるとかで別れたと言うのに、そのあとで呼ばれるとは、何かあったのかと彼女の家に向かう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして彼女の家に着く。彼女の家はマンションらしく、今は親は居ないらしい。用事があると言うのに、普通に家に居ることに驚く葵。燈はそうでもなく、まるで彼女が呼ばれるまで待っていたかのようなタイミングを測っていたような、彼はこれから彼女に言われて何をするのか、知っているようだ

 

それで知らない葵は、燈に言われた通りに、一緒に静流の家の前に来た

 

 

「いらっしゃい。葵。真」

 

「お邪魔しましす。しーちゃん」

 

「お邪魔する。静流」

 

「しーちゃん。用事があったんじゃないの?」

 

「それが早く済んだんだ。それでお前らを呼んだんだ」

 

「どうして?」

 

「まあ。奥の部屋にあるリビングに入ればわかるだろう」

 

「リビング?」

 

「ああ、葵。お前が先に入れ」

 

「あ、うん。お邪魔します」

 

 

用事が早く済んで、家に呼ばれたのであれば、これから三人で遊ぶのだろうかと思う葵。それならここに居ない菜々緒と卯月を呼ぶはずなのに、なぜ自分達だけ呼ばれたのか、どうしてなのかはわからないが

 

静流の言われた通りに、リビングのドアノブに手を掛け、扉を開ける

 

 

 

その先では

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「葵!!お誕生日おめでとう!!」」

 

 

「え?」

 

 

「誕生日おめでとう葵。私と菜々緒と卯月で、お前の誕生日を祝うために、午前の勉強会の後で三人だけで準備していたんだ」

 

 

「え!?・・・・燈?」

 

 

「用事があるって言うのは嘘だ。今目の前にあるケーキを作るために、午前別れてからケーキ作りをして、このお前の誕生会の準備をしていたんだ」

 

 

菜々緒達が午前で別れたのは、葵の誕生日を祝うために。誕生会を静流の家でやろうと準備をしていた

 

菜々緒達も友人である葵の誕生日を忘れることなどなく、それを準備するために、驚かせるために用事だと適当な言い訳をして、このパーティを秘密裏にやっていた

 

ケーキを作るのには手間がかかる上に、時間がかかる。それをやるにはお昼の時間を作らないと間に合わないと、燈と葵がカフェで食事して時間を稼いでいる間に用意していた

 

ちなみに燈は、その計画を知って、ケーキを作る時間を稼ぐために、高いカフェで予約をしてそこで時間を稼ぐと、予め彼女達に伝えて、葵に秘密にしていた

 

 

「みんな、私の誕生日覚えていたんだ!」

 

「当たり前だろう。事前に何をするか、お前抜きで携帯で連絡していたんだぞ」

 

「ケーキも何をするか、考えてましたから」

 

「しかも、作れるかもわからないから、燈に聞いて、作れるように前から三人だけで練習したりとか、いろいろしていたからな」

 

 

「みんな!!ありがとう!!!」

 

 

「忘れたりなんてしねえよ!友達の誕生日!」

 

「皆さんで、何をしようか二ヶ月前から考えてましたよ!」

 

「ケーキ上手く作れたかわかんないけど、食べてくれよ。あと・・・・誕生日プレゼントもあるからな!」

 

 

「うん!本当にありがとう!」

 

 

「やっぱり・・・・菜々緒達は良い友達だ。でも・・・・それが『いつまでも』続けばいいな・・・」

 

 

葵の誕生日はまだ終わることなく静流の家で続かれた。

 

友人から祝えて貰うのはこれで三度目。能力が原因であまり友人が作れなかった彼女の。唯一の友人から祝って貰う最高の祝会。彼女達が必死に作ってくれたケーキを美味しそうに食べる。これを食べれるように、カフェで軽くしか食べられないように燈に言われたのはこのためだろう

 

なんにしても、この時の彼女の笑顔とこの思い出は

 

 

人生の中で一番の最高なものだと、燈は思った

 

 

 

 

 

もちろん、彼女の祝いはまだ終わらない

 

家に帰って、家族のみんなにも祝って貰った。下の子から両親までも、プレゼントを貰ったり、下の子たちが頑張って作った美味しい料理を美味しく食べり、みんなで久しぶりにゲームをしたりと

 

もう今日は葵にとって忘れらない。最高な日だった

 

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