城下町のダンデライオン〜長男は魔法使い〜   作:ソール

35 / 41
第二十九話

 

月日は二月を迎えていた

 

 

最終演説までもう残り一ヶ月

 

 

真以外の兄妹達は王様選挙の最終演説に向けての打ち合わせを完了させる。葵から栞全員のスピーチ内容は大体まとまり、最終演説で言うことはもう決まっているらしく、皆、演説までの準備をほとんど終えていた

 

もう残り一ヶ月しか無い、王様になれるのはたった一人のみ。誰がふさわしいかは現国王と女王でもない。国民だ

 

国民の誰が選ばれるのか、葵から栞までの誰か一人が投票で選ばれる。この櫻田王国の未来の王にふさわしいのは誰なのか

 

 

国民の信頼

王としての器

王が決める国税など

 

 

この国の全てを決める王に誰がなるのか、王になって何を望むか、その運命がこの選挙で決められる

 

 

 

 

 

 

そんな中

 

 

茜だけはその最終演説の準備が全然整っていなかった。

 

ランキングは今でも上位であるのに

 

 

「はあ・・・・・・もう残り一ヶ月か」

 

「その様子だと、準備は進んでいないのか?」

 

「うん、私は目立つのが嫌なだけで、王様になりたいわけでは・・・・あの監視カメラを無くしたいだけで・・・・」

 

「それだけのために王様になるためのスピーチが全然考えられなかったと、そういうことだな?」

 

「うん・・・・・・」

 

「まあ、普通に考えて、それだけの王様になるのは間違いなんだがな、そういうのは自分で父さんに言ってやめさせればいい」

 

「それができたら苦労はしないよ、でも安全のためにって、街から外すことはダメって言われた」

 

「それはそうだな、もう選挙は残り一ヶ月。事故や犯罪に関わることが最近で起きては困る。父さんもお前の安全のためであることは理解しておけよ?」

 

「うん・・・・だけど・・・・・」

 

 

茜は真にリビングで少し相談になって貰っていた

 

茜が王様になる理由は街にある監視カメラを外して貰うこと

 

しかし今はダメだ。今は大事な時期、もう時期王様選挙が始まる時期に事件や事故など起きては困るため、茜たちもまだ学校で街を歩く事はある。安全のためにも街の監視を外すだけにはいかなかった

 

それに目立ちたく無いからと言って、そんな理由で王様になるのは間違いだ。もっと別のことでなるべきだと言うが

 

 

人に見られる恐怖を抱いている茜は難しいことだった

 

 

「あんたもう残り一ヶ月なのに、まだそんなことで王様になろうとしているの?」

 

「うう・・・奏ちゃんだって王様になる理由があるでしょ?」

 

「ええ、あるわ。でも私は家族のために王様になるのよ。あんたみたいに個人的な事はもうやめた。私は家族のために王様になるの。修ちゃんだって、花ちゃんのために、王様になるんでしょ?」

 

「ああ、俺にも大切な者ができた。以前は王様なんて他に任せればいいって思ってた、でもあいつが応援してくれるから諦める事はできなくなった。俺にも王様になる理由ができた。だから国のためにも全力で取り組む」

 

「そうなんだ・・・・岬と遥は?」

 

「私達は王様になるのは諦める。でもちゃんと理由あってならないって、最終演説で国民に伝える」

 

「僕と岬は王様以外でやりたいことを見つけた。そのために僕も岬も王様になるのをやめる。最終演説は二人でしっかり伝える」

 

「光は?」

 

「私も王様にならない!さっちゃんとアイドルを続けたいもん!でも正体を言わないとダメだから、ライトの正体を公表しようとさっちゃんと一緒に演説する。少し謝罪報道になるけどね」

 

「輝と栞は?」

 

「姉上!僕も王様になるのをやめて、国のためになることをしたいんです。栞と一緒に」

 

「うん。二人で決めたの」

 

「え?王様になるのを諦めるの?」

 

「あれだけなりたいって言っていたのに、あんたが?」

 

「はい。僕はまだ幼い。まだ小さい僕では王様になるにはふさわしくない。それよりも国民のために魔法を使う真兄上を見て。真兄上のように国のためになるようなことをしたいんです」

 

「うん、私もお兄ちゃんも、真お兄ちゃんと相談して、誰かを助けるようなことをしたらいいんじゃないのかと、王様になるよりも自分ができることを専念したらいいんじゃないかと、相談をして」

 

「僕と栞も諦めます。王様になるのを。今できることをしたいので」

 

「そうなんだ。しっかりしているんだ。輝も栞も・・・・・葵姉さんは?」

 

「もちろん。私も王様にはならない。なりたい理由もないしね。私は兄さんと一緒に居られればそれでいい」

 

「そうなんだ。皆もう決めているんだね」

 

「あんたはそんな事で王様になるのが間違いよ。真兄さんの言う通りよ」

 

 

残り一ヶ月で茜以外の兄妹はもう決めている

 

王様になる理由、王様にならない理由、それぞれの目標に向けてやりたいことのために国民に伝える準備は完了している。もう自分でやりたいことやできることを選んでいる

 

茜みたいに個人的なことで王様になるのはやめた

 

ちゃんと何かのためになることのために王になりたい、王にならないと、もう茜以外はもう目標を見つけている

 

 

そして

 

 

「真兄さんも最終演説をやるんだよね?」

 

 

 

「ああ、俺もやる。もちろんわかっていると思うが、俺も王様にはならない。俺はそもそもこの一家の人間ではない。拾われた別の子だ。だから公表する。俺が櫻田家の王族ではないことを、国民に謝罪しないとならない」

 

 

 

「「「「「「「!?」」」」」」」

 

「・・・・・・・」

 

「真兄さん!?本気!?」

 

「みんなを騙して来たんだ。当然だろう。俺は王族じゃない。櫻田王家じゃない。俺は別の子なんだ。いつまでも国民を騙したくない。流石に心苦しい。俺は最終演説で全ての真実を話す。俺はこの国が好きだ。国民も好きだ。お前達も好きだ。だからこそ、全てを明かさねばならない」

 

「兄さん・・・・」

 

「それに俺が別の子であることを知っても俺の家族でお前達は居てくれた。今でも兄と呼んでくれる。公表しても俺の家族で居てくれるのだろう?」

 

「そんなの当然だよ!」

 

「兄貴はいつまでも俺たちの兄貴だよ」

 

「真兄さんは私たちの家族よ」

 

「別の子でも僕達の家族」

 

「私たちのお兄ちゃん」

 

「真お兄ちゃんは私たちのお兄ちゃん!!」

 

「兄上は僕達の真兄上です!」

 

「私たちの大好きなお兄ちゃん」

 

「うん、みんなも兄さんを愛している」

 

「ふふ、だったら公表しても問題ない。こんな左腕のない俺を家族として扱ってくれてありがとう」

 

 

真も王様にはならない、と言うよりなれない。王族ではないことを話さなければならない。別の子であると、セイラムの子であることを国民に明かすのは、今までの信頼が無くなる形になる恐れもあってかなりの危険だが

 

 

それでも家族で居てくれる者たちがが居るから問題ないと、例え国民の信頼が消えても家族が居るから恐れる事はないと、最終演説は全てを話すことに

 

 

セイラム王国は能力ではなく魔法や魔術を扱う魔女の国、世界においてもかなり恐れらている。この世界では王族だけが能力と言う異能な力を持っていることに対し、セイラム王国は国民である魔女達も魔法も魔術を扱える。下手をしたら武力国家にもなる。そんな各国の脅威にもなるセイラムの子孫が真であるなど、脅威な国の王族だったなんて、櫻田王国の国民はどう思うのか

 

どう思うにしても、真においてはこの家族が居るなら、なんでも構わないと、国民の信頼が消えようとも全部が消えるわけではにため、真は恐れなかった

 

 

しかし

 

 

 

 

「そういえば、真兄さんって、なんで『左腕が無い』の?」

 

 

「っ!?」

 

「・・・・・・・・」

 

 

光の何気のない質問に、葵が反応し、真は黙る

 

まだ幼い光や輝や栞は知らない。なぜ真に左腕が無いのか、その理由はまだ誰にも話していない

 

だから

 

 

「兄貴、いい加減話してくれないか?俺も知らないんだ。なんで兄貴は左腕が無いんだ?」

 

「え!?修ちゃんでも知らないの!?」

 

「僕も岬も知らない。なぜか話してくれないんだ。兄さんは、ただ事故で切断されたって聞いただけで、それ以上は・・・」

 

「いつ左腕が無いの?私と遥が物心が付いた時から無いよね?」

 

「そうだよ、私と奏ちゃんと修ちゃんが幼稚園児になった時は兄さんはまだ左腕はあったよ。でも・・・・」

 

「兄さんと葵姉さんが5歳の時かな?確かどこかに行ってそこで突然兄さんが事故で左腕が切断したって聞いたけど、葵姉さんも何があったのか話してくれないのよ。父さんも母さんもなぜか『どうしても話せない』って言われるし」

 

「兄上?」

 

「兄さん?どうしてなの?」

 

 

「・・・・・・・・」

 

 

真の左腕が無い理由

 

それは葵と総一郎と五月以外は誰も知らない

 

 

5歳になるまでは確かにあったと言う、しかし、それでからどうして左腕が切断したのかは知らない。ただ事故で切断した。これのみ。誰も話してくれない。切断したとは聞いても、何があったのか誰一人話してくれない

 

今でも話すことができないのか、真は何も話してくれない

 

どうして話さないのか

 

話せないとなると、事故では無いのかもしれない。何かの原因で真が切断したのがわかる。だがなぜそれが話せないのか

 

それは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私のせいで、兄さんは左腕を切断したのよ」

 

 

「「「「「「「「っ!?」」」」」」」」

 

「っ!」

 

 

葵が原因

 

本人自らが明かす、まさかあの葵が、家族を一番に想う葵が原因で真の左腕が無いなど思いもしないだろう。しかし、本人が言うのならそうなのだろう。なぜなら葵もその時、真本人と共に居たのだから

 

だがその言葉に真は

 

 

「やめろ葵!あれは別にお前のせいじゃあ・・・・」

 

「兄さんこそやめて!これくらい!私に背負わせて!これは私の罪なんだから!」

 

「っ!・・・・・・・・わかった。お前が話したいなら・・・・」

 

「みんな、教えるね、あれは私と兄さんが5歳の時の事・・・・・・・」

 

 

真がその過去を話すなと、一度は葵も止めるが、葵はもうこれ以上兄の左腕に関して隠したく無いようで、今ここで明かしたいと、真に強く言って、真はもう何も言えずに葵の言う通りにする

 

 

葵と真がなぜ誰にも真の左腕が無いのか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それは今から十三年前のこと

 

 

真と葵が5歳の時、その時はまだ真はまだ左腕はあった。その当時に葵と真は海外で友好のある王族とお茶会のイベントが開催された。5歳になった二人を各国の王族が見たいと、櫻田王国の子供を見たいと、二人は両親に連れられて初の海外へ二人は行った。その時にウェールズ王国で同い年のエヴァなど、二人にとって海外の王族の子供と友好を交わし始めたきっかけでもある

 

 

だが

 

 

 

このお茶会が真に悲劇を呼ぶ

 

 

 

お茶会は徐々に楽しむにつれ、とある場所へ遊びに行こうと、海外の王族の子供に誘われて二人は行った。親には何も言わずに、とある場所と言うのは

 

 

 

崖の上に大きな桜が咲く大樹だった

 

 

 

海外にももちろん桜は咲くが、その桜の大樹は櫻田王国に咲く桜の木よりも大きく、ずっと咲き続けると言われる、それは世界三大景色の一つでもあった。そんな桜に葵は初めて見て見惚れた。葵も桜は好きでもあり、その世界三大景色の一つと呼ばれるだけのある、美しい桜に見惚れて、足元をよく見ずに桜の大樹の周囲をウロウロしながら喜んで葵は近づく。だが真が崖の近くだから落ちたら危ないと近づくべきではないと葵に注意するが、少しだけなら大丈夫なはずだと、葵は崖の近くだと言うのに軽はずみに近づいた。葵にもこのような軽い感じは当時にあった。大樹もかなり崖付近に咲いており、近づくには崖の下に落ちてしまうかもしれない程あまりにも危険だった。危険だと感じた真は心配で葵に近づくが

 

 

その時に、真の注意が実現となる

 

 

なんと、少し地面が崩れそうな位置に葵は足を踏み、その葵の重みで地面は崩れて

 

 

 

葵は崖の下へと落ちた

 

 

 

真はいち早く気づき、真も幼いながらでも崖の下へ葵を助けに行く、なぜなら真はその崖の下はとても危ない場所だとわかっていたからだ。崖の下は

 

 

 

 

 

列車が通る、線路があった

 

葵はその線路の内側に落ちて転がってしまう。しかも葵は崖に頭を打ったのか気絶してしまい、人の呼び声も聞かずにその線路内で倒れたまま起きない

 

 

しかも運が悪いことに

 

 

 

 

 

列車がもうすぐそこまで来ていた

 

 

 

 

真は急いで葵を助け出そうと、崖を無理に飛び降りて、葵を助けようと線路内に入る。しかし、もう列車はほぼ目の前まで来ていたため、止むを得ず真は葵を先に線路外に放り出し、真は線路内で体を伏せて列車の下に潜る通るのみだった

 

列車は通り去り、子供のサイズなら列車の下はかなり潜れる程間があったため。真は轢かれることなく無事だった。

 

 

 

 

真は本当に間一髪のところで、列車の目の前でその直前で轢かれる前に体を伏せたことで列車の下で通り去るのを待っていたのだが

 

 

 

 

 

 

 

その時に、左腕は線路の上で列車の車輪に轢かれて、左腕は切断した

 

 

 

 

 

 

 

左腕は間に合わなかった。早く伏せるので頭がいっぱいで。体全体まで避け切れているなど、当時は彼でも考えていなかった。それで彼の左腕は切断してしまい。大出血が流れ、その後はその場所に誘った海外の友人が親を呼び、真が列車に轢かれて左腕を切断したと、急いで救急車を呼び、彼は命は無事だったものの。左腕は残念ながら治すことも出来ないほど、綺麗に斬れてしまい。真は左腕のない生活を余儀なくされた

 

 

その後、葵は兄が轢かれた後ですぐに目覚め、兄が切断した姿を見て、大泣きした。兄は両親が呼んだ救急車で病院に搬送される所まで着いて行った、兄が左腕を切断した姿を見守ることになり

 

 

この事故の出来事を原因を、全て葵だったと、自身で自白した

 

 

葵が自白したことで、真が左腕を切断した事故の内容は把握し、この事は大宅になるのだが、真があの現場に居たのは、そもそもその海外の王子の誘いで招いた結果、当然その王子のしでかしたことは国の責任も繋がってしまう。暗殺に近い形でもある。とある場所へ国王の許可も取らずに移動して軽率な事で危うく真が殺されかけたなど、完全に国際問題になる。別の国の王子が殺されかけるなどましてや

 

 

だからその事故の後で、真がその誘いをした海外の友人は。本当に真にとって良き友人だと思っている。原因だとしても、そうなったのは事故だと、友人の国の責任になる前に隠蔽してくれと、その友人を守るために総一郎と五月、そして各国の国王達に隠蔽してくれと頼み。自分が軽はずみな行動で事故を起こしてしまったと、偽装報道することになった

 

だから誰も知らない。真が事故で切断しただけであって、詳細は何一つ、報道される事なく、友人とその国を守るため、葵のせいにもしないため

 

 

 

全て、真が両親に頼み込んだ。彼の左腕の切断した秘密として、隠蔽されることになった

 

 

 

 

 

 

これが彼が左腕を無くした理由である

 

 

「そんなことが・・・十三年前に・・」

 

「葵姉さんがそんなことを・・・・」

 

「信じられない・・・・ましてや葵姉さんがそんなことを・・・」

 

「今言った場所。調べて見た。確かに崖がかなり急だね。落ちたら危ない。しかも下は線路だ」

 

「こんな危ない場所に、これで世界三大景色なの?確かに桜は綺麗だけど当時葵姉さんと真兄さんは行ったんだ・・・・」

 

「真兄さんがこんな綺麗な場所で、左腕を・・・」

 

「真兄上・・・葵姉上・・・」

 

「左腕はどうなったの?・・・お兄ちゃん?」

 

 

「左腕はお城の俺の部屋に今も隠してある。当時のままな。言っておくが葵を責めるなよ?事故だ。誰のせいでもない。俺は葵を助けるために無茶をした。それで左腕だけ撥ねられた。それだけだ」

 

「・・・・・・・・・」

 

 

誰のせいでもない。自身の無茶でこうなった結果だ

 

 

真は葵とその海外の友人を守るために体の一部を取られたのに、それでも他人を優先した

 

 

彼の唯一の優しさ、妹と友人を守るためならどんなことでもする。まさかそんなことで秘密にしていたなど、思いもしなかった。特に家族想いの葵が、そんな軽率なことで兄の腕を切る出来事に発展するなど、思いもしないだろう。それでも葵を人殺しにしないために隠した

 

彼にとって葵は最愛だ。何がなんでも隠して守る。本当に双子の兄のように、真は葵を守り続けた。自分を蔑ろにしてでも

 

 

「葵、気にする必要はない。俺は左腕を無くしたが得られるものはあった、だからもう左腕は要らない」

 

「それは何?」

 

「わからないのか?」

 

「うん・・・・・」

 

「簡単だ・・・・」

 

 

真はもう左腕なんて無くても、良いものを手にしている。

 

体を張って得られたもの。それは誰であろうと手に入ることはできない。それを真は手にしている。だから左腕など要らない

 

だが葵はわからない。それなんなのか

 

総一郎と五月ならわかるだろう。彼が左腕を犠牲にしたことで得られたものを

 

それは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それ以来、今も、お前が常に俺の側に居てくれたことだ。これが俺の得たものだ」

 

「っ!?」

 

 

 

左腕が消えてからは、どんな時でも葵は常に居てくれた

 

 

だからどんな時も妹が居てくれて寂しくなかった

 

 

彼女の罪悪感もあるかもしれない。義兄の左腕を奪った罰でもあるかもしれない。だけど彼が寂しいと思える思い出は、今生きても過去に一つもない。常に葵が側に居てくれた

 

学校も、家でも、どこかへ出掛けても、常に彼女が居てくれた。だから左腕を失っても後悔はしていない。今だって彼女が隣か背の後ろに居る。

 

 

葵がいつまでも居てくれるなら、左腕が無くなっても構わない

 

 

「俺は高校卒業したら、この家を出て、師匠の家に行く。その時はお前も来てくれるんだろう?わざわざお前が通える大学にも合わせたんだ。これからも俺の側に居てくれるなら、俺の左腕は・・・・・要らない」

 

「兄さん・・・・・・燈・・・・・」

 

「俺の左腕はお前だ。だからもうその過去は忘れろ。お前が俺の左腕になっているんだ。俺は後悔してないぞ。左腕が失ったことなど」

 

「うう・・・・うん!私はずっと貴方と居る!!」

 

 

葵は優しく真の無くなった左腕に手を添えて支えるように触れる。真も葵のその手に触れる

 

これからも葵が居てくれる。王様選挙が終わった後で、真は当然この家の家族ではあるが、この家を出ていく、その後はアイギスの家に引っ越す。もちろん葵も共に引っ越す。大学も葵と同じ、これからも葵と過ごせるような環境を作った。今ここで真は葵の過去を断ち切る、いや、葵をまたも救った

 

 

真も恋がわからない割には葵を大事にしている

 

 

だから本当に花嫁を、葵として選ぶような未来が来るかもしれない。葵を自身の左腕として呼ぶなど、もはや告白も近い程だ

 

それほど彼女との絆が強い訳だ

 

だから

 

 

「やっぱり葵姉さん。ずるい」

 

「ずるいよね。奏ちゃん」

 

「しょうがねえだろ。あの二人は常に一緒だったんだから」

 

「相変わらず、真兄さんと葵姉さんの仲の良さは強いよね、遥も少しは見習ってほしい」

 

「なんでさ!?」

 

「やっぱり真お兄ちゃんには、葵お姉ちゃんが付いているね!」

 

「二人は常に一緒です!」

 

「うん、真お兄ちゃんと葵姉ちゃんは常に側に居る」

 

 

「仲が良いのは良い事だろう?なあ葵?」

 

「そうね、でも私たちはそれ以上だよ。これからも・・・」

 

「ふ、そうだな・・・・」

 

 

あまりに仲の良さが強い?いや、あまりに親密過ぎて、夫婦のように見えて、脩達の眼には二人が兄妹には見えなかった

 

 

まあそれほど、絆が強い訳だ

 

 

本当にこれからも真は葵と常に居るだろう。まあ葵を自身の左手と呼ぶなら、もう嫁にすると言っているような、告白と変わりないのだが、その自覚が真にあるかどうかは、謎である

 

 

葵の過去を断ち切ったこのタイミングで

 

 

 

 

 

 

一通の電話が

 

 

プルプルプルプルプルプルプルプルプル!!

 

 

「ん?電話か?」

 

「誰から?」

 

「母さんからだ。今日は父さんと国王の仕事で家に帰らないはずがだが、何かあったのか?」

 

 

突然真の携帯から、一本の電話が入る

 

電話先は『母親』から

 

何かあったのではないのかと、真はその電話に出る。母からの電話なんて大した用じゃない限りは電話してこない為、珍しいためかなり驚いている

 

 

「もしもし、母さん。真だ。どうかしたのか?・・・・・・・は!?父さんが事故にあった!?」

 

「「「「「「「「「っ!?」」」」」」」」」

 

 

それは父が、事故に巻き込まれた知らせだった

 

総一郎の命は無事であるようだが、車と衝突した衝撃で、車のガラスの破片が飛び散り、五月を庇おうと身代わりになり、腰にガラスの破片が刺さり、大出血を流したと聞く、詳細を聞いて、いち早く父の所へ向かう為、五月に今どこに居るかを聞き、修のテレポートで瞬間移動した

 

そして行き先は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

櫻田王国城の国王の寝室

 

総一郎は今は国王の寝室のベットで安静に横になっている。腰だけに怪我を負い、今は動かずに医者の治療を施している

 

寝室で皆集まり、事故の詳細を聞く

 

 

「車が突っ込んできた?それも無人の?」

 

 

「ああ、城に戻ろうとした矢先に、突然前方から誰も乗ってない車が突然突っ込んできたんだ。幸い私だけの怪我で済んだがな」

 

「総ちゃんが庇ってくれたおかげで私も無事で、運転手は軽い怪我で済んだわ、最初から聡ちゃんと私狙いで起こした交通事故かも、楠さん。調べは?」

 

「はい、ハンドルに指紋もありません、陛下達が乗っていた車のドライブレコーダーも確認しましたが、突っ込んできた車にはやはり誰も乗っておらず、信じられないことですが、勝手に動いたとしか言いようがありません」

 

「だそうだ、無人の車が突っ込んでくる。そんなことはありえないのだがねえ、真。『これから気を付けた』方がいい」

 

「真・・・・あの子の・・・」

 

「兄さん・・・・」

 

「ああ、・・・・『奴の仕業』で間違いない」

 

 

信じられない話だが

 

 

無人の車が突っ込んできて衝突をしてきた。そんなありえないことが起きるとなれば、考えることは一つ

 

 

 

 

 

真の叔母である、朝比奈・香が父を暗殺しに来たと言うことだ

 

 

 

 

魔法を使って車を勝手に動かすなど簡単なこと、総一郎を消そうと交通事故に見せかけた暗殺。遂に叔母が大切な家族に危害を加えてきた

 

その話をされて、総一郎も五月も葵も一発で犯人がわかり、もう選挙が近いと言うのに、復讐を諦めていないのか、こんなタチの悪いことをしてくるなど、相当この国を恨んでいるのだと、身に染みる

 

 

「兄貴!連れてきたぜ!」

 

「真!陛下!」

 

「師匠!父を診てください!」

 

「アイギスさん、すいません。咄嗟で『やられました』」

 

「そのようですね、失礼します・・・・・・ふむ・・・・うむ・・・・これくらいなら私の魔法でなんとか治せます」

 

「良かった・・・・・」

 

 

真は修に頼んで、実母を呼んで、ここまでアイギスをテレポートをしてきた。総一郎を見て貰うよう為に。アイギスは魔女の女王、回復魔法だって当然持っている

 

幸いなことに、そこまで重症ではない為、魔法で治せると聞いて、皆だけでなく五月も安心した。すぐにアイギスは総一郎の治療に入る

 

 

「無人の車が突っ込んでくるなんて・・・」

 

「そんな能力でもあるまいし」

 

「それになんでお父さんが乗っている車に突っ込むなんて・・・」

 

「楠さん。突っ込んできた車はまだ城の駐車場にありますか?」

 

「はい、まだ残しています」

 

「事故にあった車を、後で俺と栞で調べさせてください。栞。頼めるな?」

 

「うん、任せて」

 

 

無人の車が勝手に動いて突っ込んでくるなど、叔母の仕業であると思うが、明確な証拠を掴む為に、真が栞と共に突っ込んできた車を魔法と能力で調べることに

 

怪我はアイギスがなんとかなると言うことで、命が無事なだけ、今は良しとするしかできなかった

 

 

 

「なんにしても、無事で良かった。じゃあこのまま安静に・・・・」

 

「いや、そうもいかん。アイギスさん。私の腰はすぐ治せそうですか?」

 

「治せますが、一応このまま安静にした方が・・・・」

 

 

「そうもいかないのです。公務が立て込んでいる。私の仕事を今やらないといけないんです」

 

 

「父さん。ただでさえ腰にガラスの破片が数カ所刺さったんだ。師匠の魔法で治るとは言え、無茶をするべきじゃあ・・・・」

 

「そうもいかないんだ・・・・」

 

「ふう・・・・・仕方ない」

 

 

総一郎はまだ国王としての仕事があるらしく、アイギスの回復が終わり次第すぐに公務をしようと、交通事故に有ったのにまだ働こうとする

 

その公務とやら余程大事らしく、詳細を真が聞く

 

 

「その公務とは?」

 

「明日は海外のお客様を招いた食事会、他に年度末の予算調整の書類の整理、報道人のインタビュー、最後に明日にお見舞いの訪問が入っているんだ」

 

「お見舞い?どこの?」

 

「先日、大雨が起きただろう。それが原因で土砂崩れが起きた地域があり、一部の村が道が塞がれたことで孤立してしまっているんだ」

 

「土砂崩れした道、孤立した村、今日の朝ニュースで見たな。なるほど、確かに国王が出なくてはならない、国民の信頼に掛けた仕事だな」

 

 

公務を聞く限りではどれも休むべきではない。仕事ばかり

 

確かに国王が不在してはならない。内容ばかりだと真は判断する

 

これからの王様選挙にも響くだろうからと、確かにこの公務を実行しないとならない

 

 

ならばだ

 

 

「公務の内容は確認した。では父さん。良い夢を、『スリープ・ドリーム』」

 

「真!?なに・・・・・を・・・・・」

 

「真?」

 

「兄さん?」

 

「眠らせたの?」

 

「はい、これ以上父を無理させるわけにはいきませんので、魔法で眠らせました」

 

「確かに強引だけど、眠らせた方がいいかもだけど・・・・・・」

 

 

真は総一郎の公務を聞いて、それを父にやらせるわけにはいかないと、父には魔法で眠ってもらった。これからの選挙もあるわけだ。ここで無理ても困る

 

だが公務は絶対にやらないとならない内容ばかりだ

 

 

だから

 

 

 

 

「みんな、俺たち櫻田家の家族として、父さんの仕事は俺たちでやろう!!」

 

 

 

「「「「「「「「っ!?」」」」」」」」

 

「兄さん・・・・・・」

 

 

「どうせあと一ヶ月にはこの内の一人が王様にはなる、いつか王様になるなら、今からでもその王様の仕事をしたって別にいいはずだ。それに父さんのこの感じでは休ませるほか無い。俺たちだってこれくらいできるってことを、父さんに知って貰おう!」

 

「兄さん。そうだね。やろうみんな!」

 

「そうだな!」

 

「ええ!」

 

「う、うん!」

 

「分かった!」

 

「うん。やろう!」

 

「OK!!!」

 

「はい!」

 

「うん!!」

 

 

「真、貴方たち・・・・・」

 

「ふふ、真はやっぱりこの一家の長男ね」

 

 

真の提案により、総一郎の公務は

 

総一郎の子供たちである自分たちで果たそうと、まだ王様にはなってないが、これくらいできるってことを、子供だからって甘えない姿を、真が率先して皆をまとめた

 

それを見て、五月もアイギスも、血が繋がってなくても、やはり真が櫻田家の長男であることが二人は思い知らされた

 

 

「それでどうする?兄貴?」

 

「海外のお客様の接待は俺と葵と栞でやる。二人共頼むぞ」

 

「うん!」

 

「兄さん、私にもできる?」

 

「もちろんだ。お前にしかできないこともある。力を貸してくれ、栞」

 

「う、うん!!」

 

「書類関係は、計算が得意である奏と遥で頼む」

 

「うん、任せて」

 

「手伝うよ」

 

「インタビューは岬一人で頼む、分身を出してもいい、できるな?」

 

「うん!やってみせるよ!」

 

「念のため、楠さん。曽和さん。付き添いお願いします」

 

「わかりました」

 

「任せてください」

 

「残りはお見舞いに行ってくれ、修、お前が村の村長と話して被害状況を聞いて、助けられるような所を助けてやってくれ」

 

「分かった」

 

「輝。お前は土砂崩れした道に行って、崩れた道を元通りにするんだ。お前の能力を使って土砂を退かせ」

 

「いいんですか?」

 

「お前の能力は少し危険なところもあるが、必要な時だけは別だ。人助けなら存分に使え」

 

「は、はい!」

 

「光、お前はライトに変身して、少し村の人たちを安心させてやってくれ」

 

「OK!!それならさっちゃんも呼んでいい?」

 

「ああ、プロデューサーの松岡さんに一応連絡はしておけ、茜も村に行け。村に食料や水など、必要な物を能力で運ぶんだ」

 

「え!?私も!?」

 

「スカーレッドブルームで変身してもいいから、行け、他の仕事はかなり目立つからできないだろう?」

 

「うう!?・・・はい」

 

 

「よし、明日は父さんの代わりをみんなでやるぞ!!!」

 

 

「「「「「「「「「うん!」」」」」」」」」

 

 

「真・・・・・」

 

「うふふふ、これは楽しみだ」

 

 

明日、総一郎の仕事を、兄妹だけで請け負うことになった

 

こういう時こそ、家族全員で助け合わなないとならないと、真が家族全員をまとめた。父がダメになっている時は子供がなんとかすればいいと考えたのだろう。父だけに仕事を任せるわけにもいかず、いつかこの兄妹の内の一人が王様になるのだから、王様になってなくても、いつかするものでもある為、今は父を無理させない為にも、子供だけで公務をこなす事をみんなで選んだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、各自、別々の仕事へと入った

 

 

真と葵と栞は海外のお客の接待をした。中には大使館も居る。確かにこれでは父がこの公務を外したく無い理由を理解した。三人で接待をして、今後の王様選挙も参加での話もあり、今後櫻田王国とは友好関係でありたいと、これからも他国との友好であられるように握手を交わすなどをして、接待は問題なく終えた

 

 

奏と遥の方も、書類等はなんとか済んだ。中々に多かったようだが、なんとか年末の予算、国税、などなど、書類関係はなんとか二人で片付いた

 

 

次に岬、報道人達のインタビュー、こちらの方は主に王様選挙についてだ。王様選挙後の新しい王が変わって法律も変わるのかなど、今後の方針についていくつか聞かれた。それに一つ一つ対応して応じ、的確な回答を出して、無事にインタビューも完了した

 

 

最後に、修と光と輝と茜、村でのお見舞い。

 

修がまとめ役で、村長に話を聞いて必要なものがあるか確認して、修のテレポートで瞬時に用意する。そして光はライトに変身して、紗千子一緒に来てもらい、小さなライブをして村の人を安心させる。輝は土砂崩れした道に行き、土砂を能力で全て退かす、茜の方は、相変わらず人前に出れないのか、スカーレットブルームに変身して茜ではないと誤魔化す。能力で荷物の荷下ろしなどを手伝いをしている。かなり正体はバレていた。特に村の子供の方は、子供からすれば茜の事情なんて知らないだろうからな、茜は完全に子供に名前で呼ばれて、もう自分は隠せてないと同時に

 

 

茜はもう人見知りを、いつの間にか克服していたのだと、気づく

 

 

村で能力を使っていくつか助けた。その度にかなり目立っている。スカーレッドブルームに変身してようが、本当はもう茜は昔みたいにもう人見知りだろうとなんだろうと人のためなら人の眼など気にしたない程、もう人前に出れるだけの自信はもう持っていた

 

 

これが彼女の人見知りの克服である

 

 

 

 

 

とにかくだ

 

 

兄妹全員、父の仕事を全て熟した。ミスもなく、その報告を、楠は五月とアイギス、眠りから目覚めた総一郎に通達した

 

 

「以上で、全ての仕事を終えました。全て真さまのおかげです」

 

「そうか、真が皆をまとめてやってくれたんだな」

 

「見ない内に、みんな成長したのね」

 

「燈、櫻田家の長男として、よく葵ちゃんたちをまとめたわ、そう考えるなら、燈が総一郎陛下に拾われて良かったと思います」

 

「私も真を長男として迎えて良かったと思います。葵たちも本当の長男ではないのに、よく彼の元に付いてくれた」

 

「それだけ信頼しているのよ。総ちゃん。これからもね」

 

「やはり・・・燈は私の息子になって欲しいな」

 

「それは燈次第ですよ。総一郎陛下」

 

 

見事子供だけで、国王の公務をやり遂げたことに、喜びを見せる総一郎

 

上手くやってくれたようで嬉しく思っている。どんな時でも兄妹を支えたのは長男である燈だった。その燈を本当に娘の誰かと結婚して本当の長男になって欲しいと思っている

 

だがそれは燈が誰と結婚するかによる話だ

 

 

これでしばらくは公務の方は片付き、総一郎もこれからの選挙の準備に気を回せる

 

 

だが、その前に

 

 

「それと陛下、もう一つ真様と栞様からで・・・」

 

 

 

「私たちの車に突っ込んできた無人の車についてか?」

 

 

 

「はい、それについてなんですが・・・今調べているとのこと」

 

「そうか・・・・・まさかあの子が」

 

「一体なんのつもりかしらね?あんなに薫君に敬愛してた子が」

 

「まだ諦めていないのでしょう。この国に復讐するまでは、あの子は完全に悪の魔女へと変わった」

 

 

今回事故で起きた。無人の車について、真と栞が調べている。

 

総一郎の公務が終わり次第、二人でやるつもりだったようで、今真と栞で調べている。栞を連れていく目的は彼女の能力で、車の魂に確認を取る為、栞を連れている

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

櫻田城の地下駐車場

 

車の前面がかなり凹んだ、車を真と栞はドアを開けて確認している。能力と魔法を使って

 

 

「あの車さん。大丈夫?」

 

『いや、物凄く痛い。なぜかハンドル握られてないのに、勝手に動き出したんだ。それであのリムジンの車に突っ込んで、何がどうなっているんだか・・・・』

 

「俺の魔法で治しておこう」

 

『助かる。坊や』

 

 

車の魂に聞いて、当時どんな感じなのか詳細を聞く。聞く限りではやはり車本人でも勝手にハンドルが動いたようで、勝手にエンジンを動かされ衝突したと説明する

 

その証拠に

 

 

「そうみたいだな、車のあいこちに『魔法陣』が掛けられている。やはり叔母の仕業か」

 

「お兄ちゃんの叔母さん?」

 

「ああ、間違いないだろうな、こんなことしてまで、あの人はそんなことがしたいのか」

 

 

栞に真はある程度、茜たちが知らない燈の家族を一応教えている為、燈の叔母も魔法使い、そして燈の父である兄がこの櫻田王国にやられてこの国に復讐するのが目的だと、ある程度は話してある為、栞も朝比奈・香については知っている

 

そして車の操縦にほとんど魔法陣が掛けられている、間違いなく総一郎の暗殺のためにこの車を動かした

 

 

叔母の考えることはもはや、手段無し、慈悲も無い、兄を殺したこの国に復讐するつもりだようだ。父の暗殺をしてでも

 

 

そんなことを思っていると

 

 

 

 

 

『その通りだ、私は総一郎先輩を殺そうとした』

 

 

「っ!?」

 

「霊体化して出てきたか、あれ以来どこで何をしていたか知らないが、久しぶりに出てきたな」

 

 

 

久しく朝比奈・香が霊体化して、地面から現れる、

 

今までなぜ出てこなかったのか知らないが、少なくとも総一郎を殺そうとしたことを自らの口で明かした

 

なぜそんなことをしたのかを、真は問う

 

 

「久しぶりに会って、ちゃんと叔母さんとして話そうと思ったけど、こんなことをしたから、俺は本当にあんたを家族として迎えていいか、迷う感じがしてきた」

 


『私は叔母として、貴方を守ろうとしただけよ。すぐにでも、私は貴方をこの国から逃したいのよ』

 

 

「逃す?父さんがこの国の自衛隊に裏切られて殺されたように、俺もいつか総一父さんたちや葵たちに裏切られて、殺されると思っているのか?どこまであんたは誰彼構わず疑えば気が済む?第一父さんがこんなことを望むと思うのか?」

 

 

『貴方にはわからない。人間の悪意が』

 

 

「私たちはお兄ちゃんにそんなことはしない!絶対に!!私や葵お姉ちゃんたちはお兄ちゃんを本当の家族だと想っている!!」

 

「栞・・・・・」

 

 

『第六王女が何をわかったようなことを、まだそんな幼いお前には、何もわかるまい。人の裏切りを・・・』

 

 

「あんたもわかってない。俺はこの家族でずっと生きてきた。拾われてから今日に至るまで、その今までにおいても、俺はこの家族に大事にされてきた。俺はそのためなら左腕も捨てた。だから俺は栞たちを信じ続ける。あんただってずっと父さんと生きているなら、そんなことを望まないってわかるだろう!父さんの気持ちは考えられないんだ!そこまで心まで魔女になったのか!!」

 

 

『この国に対しては魔女にでもなるわ。あと一ヶ月後に、王様の最終選挙で貴方は自身の正体を明かすわよね?それこそ貴方を殺す裏切りが始まるわ。セイラム王国の王子だったことがバレたらこの国の人たちは貴方を危険視するわ。だからこそ貴方は私と共にセイラム王国に亡命するべきよ。それをなんであのアイギスもそうしないのよ!』

 

 

「母さんも総一父さん達を信用しているんだ。だからここまで仲良くやってこれた。そんなに人の裏切りが怖いか!あんたは!俺はここの国民に信用されなくても、俺の家族はそんなことはしない。それを信じ続けるまで、でなければ危険な国と呼ばれたセイラム王国の、それも女王となる母さんを、父さんが愛さないはずがない!!信じているが故に!!!」

 

 

『っ!?!?』

 

 

叔母である香は

 

 

この国の自衛隊に裏切られた兄の復讐も今も忘れず

 

 

そしてその間に生まれた燈を、なんとしてもセイラム王国で亡命するつもりで、そのついでに総一郎を殺してこの国を混乱に落とそうとしたらしい

 

そこまでこの国やその住む王族や民まで何もかも信用しておらず、本当に心まで魔女になって何も疑うことばかりで、敵意しかなかった

 

 

燈が今日まで櫻田家で長男として育てられ、そのために左腕を消してまで守ろうとするなど、たくさんの信頼を持って、本当の家族同然だと思っているのに

 

 

 

それを朝比奈・香は何があろうと信じず認めない

 

 

 

王様最終選挙で燈が自身の正体を告げることを知っているらしく、その時に国民に真実を聞いたら、この国の人たちが、燈を危険視して排除されると、櫻田家王族の生まれではないと知った国民の考えを勝手に決めつけて、この国に燈を置いておくのは危険だと、この国の全てを否定する

 

 

 

 

だが、この国に裏切られることになっても、燈はそれでもこの家族だけは信じている

 

 

 

今まで生きて、どれだけ家族としての絆が絆されたか、本当に長男として愛された。その意味が今燈にはあるため、確かに王様選挙で自身の正体の真実を告げたら、多少の信頼はこの国で消える

 

 

でも

 

 

本当に信頼できる家族が居るから恐れない

 

 

 

『いいわ、そこまで言うなら、やってみなさい。絶対に後悔するわ』

 

 

「後悔なんてしない。俺はそれでも家族やこの国の人たちを信じる。それで信頼が無くなっても、それでも俺はこの家族の長男だ」

 

 

『・・・・・・・せいぜい、人の悪意に呑まれないようにしなさい。そこまでするなら、私はどこでも見ているわ。貴方を』

 

 

ブウン!!!

 

 

そうして香は燈の前に光になって消えた。

 

何があろうと、あと一ヶ月で叔母と衝突するのが眼に見えた。決定的な会話だった

 

もう叔母は兄の復讐に呑まれ魔女になった。もうこの国の敵であることが確実、真のためなら、燈のためなら信じるものを信じてあげればいいのだが、兄が過去で悲惨な最後をした彼女には、もう信じるものはここにはなかった

 

それでも

 

 

「お兄ちゃん・・・・」

 

「大丈夫だ。俺がなんとかする。必ず叔母を止める、王様最終選挙でまた現れるはずだ。その時が決着だ!!!」

 

 

叔母との決着はもうすぐ

 

王様最終選挙で必ず現れると燈は予想している。燈が自身の正体を告げた後、国民の不安が出てくるタイミングで出てくるはずだと、叔母との戦いはもう避けれない

 

 

それでも真はこの国や櫻田家を守るために

 

 

長男として。あと一ヶ月と言う中で、叔母を止める覚悟を決めておく

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。