城下町のダンデライオン〜長男は魔法使い〜   作:ソール

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第三十三話

 

 

 

 

 

香が葵たちを処刑すると宣言した瞬間、燈の体から赤黒いオーラを放つ。燈にとって、家族に手を出すことだけは何が何でも許さない

 

家族に手を出すことは、彼の最大の怒り、普段全然怒らない彼が唯一怒る方法、それは誰かが家族に手を出した時、侮辱はされても怒りはしないが、危害を加えたら物凄く怖い。家族の中で一番怖いのが彼である

 

その証に

 

 

 

己の中に潜む。悪魔の力を使ってしまう

 

 

「あんたを呪い殺してやるうううう!!!」

 

 

「っ!?悪魔の力!」

 

 

「っ!兄さんダメ!!」

 

「あ、兄貴!?」

 

「お兄ちゃん!?なに!?その鹿の角!?」

 

「燈!ダメよ!」

 

 

「消えろおおおおおおおおお!!」

 

 

「く!悪魔の魔法を燈は使えるのか!?ぐ!」

 

 

燈は母や葵たち兄妹の言葉も聞かず、頭に悪魔の角が生え、眼は獣の眼に変わっていた。悪魔の書で自身の力にしたはいいが、怒りが原因で完全に暴走し、制御するどころかもはや相手を殺し切るまで止まらないバーサーカー状態になった

 

燈は右手から黒い炎を出して、香の前に飛び出して襲い掛かる。体は曽和さんなのに、操られている人の体を考えずに攻撃を繰り出す

 

もちろん香は身を守るために、右手から魔法陣を展開して防御。まさか燈が悪魔の魔法まで使うとは思いもよらず、咄嗟の防御をして、少し体に擦りを付ける

 

 

「ぐ!人の体だと言うのに、もう燈は暴走をしているのね、なら捕縛するまでよ!兄さんには悪いけど、手荒に捕縛させて貰うわ!!」

 

 

「黙れ!!何が兄には悪だ!?お前がくだらないことをしなければこんなことにならずに済んでいるんだぞ!何もかもお前のせいだあああああああああ!!!」

 

 

「完全に我を忘れているわ、燈は、こんなにも櫻田家に想いがあるのね!」

 

「兄さんはいつもそうなんです!昔に茜に手を出そうとした犯罪者が居て、その犯罪者を危うく兄さんが殺してしまう時があったんです」

 

 

このまま暴走されては困ると、香は燈を捕縛する魔法を繰り出している。しかし、彼はその全てを壊して、何がなんでも燈は香を殺そうとしているようだ

 

家族に手を出す人間は、燈は何がなんでも殺しにかかると言う、狂気な一面があると葵が答えた。昔に茜が小学生頃に犯罪者に襲われそうになった時があり、それを燈が偶然見つけ、まだ燈もまだその時は中学生だったのに、大の大人を殴り殺すと言う、左腕もないのに、家族に手を出した人間は誰でも許さない。中学生なのに身体能力と腕力がおかしく、犯罪者の顔を凹む程殴り飛ばすと言う、危うく犯罪者を殺しかけると言う事件を起こしている

 

それ以来、国民は彼を怒らせてはならないと、この国の人々は誰も知っている

 

それを、叔母である香はわかっていなかった

 

 

「とにかく、燈を止めないと、みんな!力を貸して!」

 

「おう!みんなで兄貴をなんとか止めるぞ!!」

 

「うん!止めるための鎖を買っておかないと!」

 

「アイギスさんはお父さんとお母さんをお願いします!あの兄さんを止められるのは私たちだけなんです!」

 

「アイギス!ここはこの子たちに任せましょう!怒っている燈をなんとかできるのはこの子たちだけなの!」

 

「そうなのね。ならお願い。息子を止めて!」

 

「みんなで兄貴を止めるぞ!」

 

「「「「「「「「うん!」」」」」」」」

 

 

このままじゃあ兄が人殺しになってしまうし、曽和さんの体を壊してしまうと、兄の暴走を止めようと、兄妹全員で力を合わせる

 

怒り狂った兄を止められるのは兄妹たちだけ、あの怒りで暴れる兄は父でも母でもない。葵たち兄妹たちである

 

家族のために怒り暴れる兄を止める。家族が人殺しにならないように

 

 

燈はそれでも、香を殺すために、全魔力を使って叩き込む

 

 

「『ヘル・フレイム』!!燃え消えろ!!この家族殺し!!」

 

 

「ぐ!私もお前の家族だ!!」

 

 

「お前は俺の家族じゃない!俺の家族は櫻田家だ!その家族を殺そうとするお前など、家族でもなんでもない!!亡霊は地獄に帰れ!!」

 

 

「これが兄さんの子供なの!?兄さんの子とは思えない!?」

 

 

「口が悪いのは俺の家族に手を出したお前のせいだ!!勝手な物言いでこの国の人たちだけでなく、俺の家族に手を出した!!俺が魔女の息子だからなんだ!?ただ国民が認めなかっただけだ!父さんと同じように殺されそうになっているわけじゃない!それなのにお前は過ぎたことを掘り返して俺の家族にまで手を出した。お前が兄を殺したこの国が許せないなら、俺は俺の家族に手を出したお前が憎い!!!」

 

 

「なんだと・・・・私のすることが間違いだとでも言うのか、私は兄のために復讐するのが間違いだと言うのか!!」

 

 

「当たり前だこのクソ女が!!お前が何もしなければ良かったんだ!!ただ見届ければ良かったんだ!余計なことをしてこの国を破滅しようものなら、その前にお前から破滅させてやる!!うおおおおおおおおお!!」

 

 

「な!?なんて魔力だ!?この体の女ごと、滅ぼす気か!!」

 

 

もはや燈とは思えない程、暴言の口のみ、そしてただ叔母を憎む心しかない。

 

お互い憎しみ合う心しかない。香は魔女の力で憎しみの心を囚われ、燈は悪魔の力で憎しみの心しか剥き出せないことに

 

 

家族を殺された憎しみ、家族を殺されそうになる憎しみ、ある意味二人は家族であることが明確だった

 

 

どっちも家族は大事だった。家族のためならなんでもする朝比奈家の叔母と甥。ある意味二人は家族である、そこだけは二人の共通点だった。なんの因果なのか、二人が争うのは運命だったのかもしれない

 

この二人は家族を誰よりも大事にしていた。片方は失い、片方は奪われそうになる。その喪失感に囚われ、憎しみが魔法を強くし、二人の魔法がぶつかり爆発する寸前の激突を王城の中庭の中心で引き起こした

 

そして燈が全力を出したのか、体から魔力が放出し、この国を一気に燃やしそうな、巨大な一撃な魔法を繰り出そうとする

 

家族を想う気持ちが二人の憎しみを作った。こんな憎しみ合う二人の姿など、朝比奈・薫は見たくないだろう。家族なら仲良くすべきだと言うのに、その家族を奪われ奪われそうになる二人は、家族としての縁などもうなかった

 

 

だからそんな姿を見たくないと、燈を

 

 

 

「『兄さん!やめて!!』」

 

「ぐ!?っ!葵か!」

 

 

「っ!櫻田・葵か!」

 

 

「止めるな!葵!俺はあの女を!」

 

「ダメだ!兄貴!それ以上戦うな!」

 

「修!?お前まで!?・・・・・」

 

「兄さん!これ以上はダメ!!」

 

ジャララララララ!!!

 

「ぐ!鎖を生成したか!奏!お前まで止めるな!」

 

「兄さん!もうやめて!」

 

「止めるな!茜!そいつを殺さないと!お前までそいつに殺される!!今だって窒息死で死にそうになっている市民も居るんだぞ!」

 

 

葵たち兄妹たちが燈を止める

 

葵が言葉で燈の体を封じ、修は瞬間移動で燈の両腕を塞ぐ、更に奏が生成した鎖が燈の足に突然巻きつき、身動きを完全に封じる

 

そのおかげで燈は最大魔法を使わずに済んだ

 

だが燈はそれでも戦うことをやめない。香に殺されてしまうと、拘束を解けと兄妹たちに訴える。香は櫻田家を殺そうとしている。そんな奴を生かすべきではないと、家族を失う恐怖を抱いた燈が、止めてくるなと茜たちに訴える

 

 

「行くよ!みんな!」

 

「「「「「「うん!!」」」」」」

 

 

「っ!櫻田・岬の分身か!?・・・ぐ!・・・おのれ!」

 

 

「輝!!」

 

「はい!岬姉上!光姉上!使わせていただきます!えい!!」

 

「行けええ!!輝!!」

 

 

「ぐ!・・・な!?大岩だと!?ぐ!?ぐわあああああああああ!!!」

 

 

「曽和さんには悪いけど、ごめんなさい!」

 

 

香を止めようと、岬が能力で分身を使って、香を大勢で腕や足などを掴んで抑える

 

その間に光がそこら辺に転がっていた小さい石を能力で大岩に成長させ、輝が能力で持ち上げて香に投げる

 

香は大岩に下敷きにされ、しばらくは身動きは取れなくなった

 

その間に、燈をみんなで止める

 

 

「離せ!みんな!あいつを・・・・あいつを殺すんだ!!お前たちを殺そうとしたあの女を!殺すんだ!!!」

 

「お兄ちゃん!ダメだよ!体は曽和さんのなんでしょ?そんなことをしても曽和さんも死んじゃう!」

 

「切り離す魔法くらいはある!曽和さんの体から抜け出す魔法を使う!だから俺にやらせろ!!」

 

「兄さんもうやめてくれ!!そんな兄さん見たくない!」

 

「遥!それでお前らが殺されてもいいのか!」

 

 

栞と遥が必死に燈を説得する。しかし、香と同様に、兄が殺された復讐をするように、燈も叔母を殺すことしか頭になく、何一つ聞いてくれない

 

兄は怒りに囚われている

 

優しかった兄の姿が変貌した姿など、兄妹たちは誰も見たくはない。いつもは誰でも優しい人。そんな人が家族と言う大事な者を取られそうになるだけで、こんなにも凶暴になるなど、優しい彼に戻って欲しいと、彼を止める

 

でも、誰かを失う恐怖に囚われて、相手を殺すことしか考えていない。家族のために人殺しになるなど、葵たちからすれば溜まったものじゃない

 

だって

 

 

 

「兄さん!もうやめて!!」

 

「っ!?」

 

「もう兄さんが私たちのために何かを犠牲にしなくていいの!!」

 

「そんなんじゃない!俺はお前たちを守りたいだけで・・・・」

 

「兄貴!ここからは俺たちに任せてくれ。あとは俺たちでなんとかする」

 

「無理だ!あいつの魂を曽和さんの体が出さないと、あいつは終わらない!」

 

「それでもあとは私たちでやる。兄さんは少し頭を癒して!」

 

「俺がやらないとダメなんだ。俺が・・・・」

 

 

「兄さん!いい加減にして!!私たちでも戦える!」

 

「っ!?」

 

 

茜が強く言って、燈を静止させる

 

燈だけが戦う手段を持っているわけじゃない。それに家族が自分達のために人殺しになるなんて、家族として嫌だ、だからみんなで燈を止める

 

燈だって家族、血が繋がらなくても。大切な家族。そんな家族を家族のために人殺しにさせたくないと、今度は葵たちが香を止める

 

 

「兄さん。ここからは私たちでやらせて!私たちだって、兄さんの力になれる!」

 

「兄さん、僕たちは兄さんみたいに強くはないけど、僕たちだって兄さんのために戦いたいんだ」

 

「お兄ちゃん。今日までお兄ちゃんは私たち兄妹のためになんでもしてきた。今度は私たちがお兄ちゃんのために戦う!」

 

「兄上、以前に兄上に僕の能力は本当に大切なことのために使うべきだと言いました。今兄上のために使う時です。兄上を守るために使います」

 

「お兄ちゃん。私たちはお兄ちゃんの家族、家族が家族のためにそんな酷い事をしないで、私は心を読み取ることしかできないけど、それでも兄さんのために何かしたい」

 

 

「岬、遥、光、輝、栞・・・・・」

 

 

茜より歳下の岬たちでも、燈に一人で戦わせないと、自分達も戦うと言った、まだ戦いに不向きな栞でさえ、燈を人殺しにさせないために、立ち向かうと言った

 

今まで燈がみんなを支えてきた。今度はみんなが燈を助けると、兄妹全員が前に出る

 

 

「修ちゃん!兄さんをお父さんの所まで送って!」

 

「ああ、兄貴。悪いな」

 

「な!?しゅ・・・」

 

 

このまま燈を戦わせてはならない。総一郎と五月とアイギスが居る門前まで、修の瞬間移動で戻される。

 

 

「っ!修!」

 

「燈!」

 

「親父!母さん!アイギスさん!兄貴をお願いします!」

 

「修!やめろ!お前たちじゃああの女には・・・ぐ!?」

 

「兄貴。悪い。これ以上兄貴だけに任せるわけにはいかねえんだ。ここで待っていてくれ」

 

「待て!・・・ぐう!」

 

 

燈は修の能力でアイギスたちが居る王城の門前まで戻された。アイギスたちに燈を任せて、修は葵たちの所に戻って、今度は燈を抜きに香を止めに戦う

 

燈は葵たちだけでは無理だと、燈がまた香の所に行こうとするが、奏の生成した鎖で両足や両腕を拘束されていて、身動きが取れずにそのまま地面にへばり付く

 

 

「くそ、俺が行かなきゃ・・・みんなが!」

 

「燈、もうやめるんだ!こんなことをしても薫くんは喜ばないぞ!」

 

「だけど!このままじゃあ・・みんなが!」

 

「だからって・・・あなたが人を殺しても、あの子達は喜ばないわ!」

 

「でも、あの女は葵たちの優しさも知らないで、殺そうとするんだぞ、こんなことを許されるか!!」

 

 

総一郎と五月の説得でも、燈は言うことを聞く気はなかった。兄妹たちが立ち向かってしまい、自分だけ何もせずにここで大人しくなどできなかった

 

だけど、今の燈は正気ではない。相手を殺すことしか考えておらず、どうにか人殺しをして救われる者などないと、家族として二人は燈を言い聞かせるが

 

葵たちの命がかかっている今、そうは言ってられないと、燈は何も聞いてくれない。もう心までも悪魔になってしまったのだろうか

 

すると

 

 

『やめなさい!!燈!』

 

「っ!エクスセイバー!?」

 

 

突然、首元にネックレスとして小さくなっている。ウェールズ王国の聖剣エクスセイバーが燈の脳内にテレパシーで話を掛けられる

 

これ以上戦っても意味はないと、彼に頭を冷やせと促す

 

 

『これだけは言っておくわ燈。あなた一人でなんとかできるほど、あの魔女は強力よ。一人でなんとかしようとしないで!』

 

「だが、俺は葵たちを守らないと・・・」

 

『じゃあ貴方は誰が守ってくれるの?一人でなんでもできるとでも?』

 

「それは・・・・・」

 

『いい加減覚えなさいよ。あんたにもしものことがあったら泣くのはあの子達なのよ?あんたは血が繋がっても家族である自覚はないの?』

 

「俺は・・・・ただ・・・」

 

『わかっているわよ。家族を守りたいんでしょ?でもだからって家族のために、あんたの家族を殺すのは、あんたの父が悲しくなるのよ。家族の想いはわかるけど、人殺しを正当化しちゃいけないわ。そこまで心を悪魔にするな!』

 

「俺は・・・・家族を守るために・・・父さんの家族を殺すのが・・・・間違いなのか・・俺は・・・」

 

 

殺しは正義なんかじゃない。家族が殺されそうになっているからと言って、父の家族を殺すのは間違い

 

葵たちが大事なのはわかる。しかし、彼女も立派な燈の家族だ。父の妹で叔母だ。今は叔母も自分同様に、兄に殺された恨みで復讐に心を呑まれている

 

香と同じく魔女の心となっていたのだ

 

だからアイギスが

 

 

「燈、私の夫は私の国であるセイラム王国に共に言った。そして私の家族をも愛した男。私の家族をも危険な魔法を持っていた。でも、薫はそれでも家族として愛した。魔女の国民もな」

 

「っ!父さんが・・・・」

 

「憎しみで人は救えない。悪魔の力では家族を救えない。家族を殺しても葵たちは助けられない。大事なことを忘れてはダメ」

 

「俺は・・・・香を殺しては父さんのためにならない」

 

「そう、そして・・・・・貴方も葵ちゃんたちにとって、大事な家族。忘れてはダメ。例え血が繋がらなくてもね?」

 

「気の迷いでもあったのか、俺はなんでそんな簡単なことに気づかなかったんだ・・・・」

 

 

アイギスに大事なことを教わり、燈の悪魔の角が光になって消え、人間の姿に戻る。

 

香も父の家族だ。家族として愛すること、今は櫻田家のことを理解していないだけ、それでも父の家族だ。何が何でも恨まずに殺さずに家族として受け入れる。かつて父がセイラム王国の国民やアイギスの王族関係者を家族として愛したように

 

朝比奈・香も家族。家族なら受け入れるべきだと、母に教わる

 

 

「燈、あの子は私も義妹だ。まだ櫻田家のことをわかっていない子だ。だからお前は櫻田家の長男として、本当にこの一家なら燈を本当に愛しているってことを教えてあげるんだ。そうすれば、彼女もきっとわかってくれる」

 

「だから、父さんのように家族として迎え入れろと、あいつに家族の愛情を示せと、俺もみんなの所に行きたい」

 

「ええ、大事なことを忘れちゃダメよ?」

 

「ああ、俺はどうかしてたみたいだ」

 

「燈?大丈夫か?」

 

「良い?私たちだって燈の家族よ?」

 

「大丈夫。あの人だって俺の家族だ。あの人には俺たちのことを分かってもらう。絶対にな」

 

 

そうして、アイギスは燈に巻き付いた鎖を魔法で解き。燈は総一郎と五月に無理はせずに、燈も家族だから心配していた

 

でも、もう大丈夫

 

 

もう燈は憎しみに囚われない

 

 

家族を守るために家族を殺すのは間違い。香だって家族だ。家族を殺して得られるものはない。櫻田家の人たちは、決して父を殺した犯罪者の人たちは違うと、分かってもらうために

 

 

燈は再び、香の元へ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぬう!おのれ!!」

 

 

大岩に下敷きになった香は、もちろん潰れているわけもなく、大岩を退かして起き上がる

 

曽和の体を使っているといえ。ちゃんと魔法で体を強化していたようだ。だから体に汚れが付いただけで怪我はない

 

だが

 

 

「そこまでです。朝比奈・香!」

 

 

「っ!櫻田家兄妹!」

 

 

「姉貴?あれ兄貴の叔母さんで合っているか?」

 

「うん、燈のお父さんがこの国の人たちに殺されて、酷くこの国の人を憎んでいるの」

 

「なるほど、それで復讐なのね」

 

「でも、そんなことは絶対にさせない!」

 

「うん!兄さんにもそんなことさせない」

 

「兄さんが居なくても、僕たちやれる。例え勝てる確率が低くても」

 

「お兄ちゃんの代わりにあの人を止めよう!」

 

「僕たちだって戦えます!」

 

「うん、私たちだってお兄ちゃんのために戦える!」

 

 

「櫻田兄妹。燈はお前たちの家族ではなかった。お前たちは燈をさぞかし酷い扱いをしていたに違いない。所詮は櫻田王国の人間だ」

 

 

「私たちはいつだって、お兄ちゃんを家族だと思っている!勝手なことを言わないで!」

 

「僕たちは本気で兄上を兄だと思っています!血が繋がらなくても、僕たちの兄です!」

 

「貴方のお兄さんを殺されて、私たちをも信用しないのもわかるよ。きっと私もお兄ちゃんが誰かに殺されたら憎んでいたかも。それと同じくらい、私たちもお兄ちゃんが大好きだ!」

 

「家族を殺された憎しみはきっと貴方は消えないでしょう。でも、僕たちは本当に兄さんを家族だと思っている。それだけは嘘とは言わせない!」

 

「私達を理解できないなら、私達がどれだけ兄さんを家族として大事にしているのか、貴方にはわからない!」

 

「私たちは貴方の憎しみは凄くわかる。それだけお兄さんを大切にしていたってことが、それに負けないくらい、私たちだって兄さんが大切だよ!」

 

「逆に貴方はこんなことをして、死んだお兄さんが喜ぶと思うの?私たちの兄さんなら絶対に貴方と同じ事をしたら止めてくれる。なぜなら私達の家族だから!」

 

「あんたはこの国の人たちに家族を奪われた。その罪は俺たちの中の一人がいずれ王様になって、その罪を償うことをこれからする。その時は兄貴も一緒だ。兄貴も俺たちと共にこれからを生きてくれる。それが俺たちの兄貴だ!」

 

 

「朝比奈・香。これを聞いてもわからない?私たちは本当に兄さんを・・・・燈を家族だと思っているの。だから貴方を殺させないように、燈を人殺しをさせない。私達の家族だから、貴方が何度言われても、国民が否定しても、燈は私達櫻田家の家族で、私達の長男よ!何が合っても未来永劫変わらない!!」

 

 

「っ!?信じない・・・信じるものか!!私の兄を殺した国で・・・・その王族が・・・私の兄の子を家族として想うなど嘘だ!!信じられるか!!」

 

 

「何度言っても、貴方と同じく、私たちは燈を長男として愛している。それは変わらないわ!!」

 

 

兄妹たちは香を前にして、誰も怖気ずに香の前に立ち塞がる

 

燈が本当の兄妹じゃないと知って、尚且つ魔女の国の王子だと知って、燈に失望をしていると、香は侮辱する

 

しかし、葵たちは魔女の王子だろうと兄妹じゃなかろうと、それでも家族だと言い張る

 

今日に至るまで兄にどれだけ助けられたのか、その意味がこの家族として成り立っている。ずっと今まで家族として共に生きてきた。苦労もあるけど、それでも家族として想っていることは嘘じゃないし嘘とは言わせない。

 

例え国民が燈を否定しても、櫻田家にとってはいつまでもこれからも家族だと断言する

 

 

 

「もういい!!このまま私の魔法で消え去れ!」

 

 

「来るよ!」

 

「「「「「「「「っ!」」」」」」」」

 

 

 

もう葵たちの話を聞きたくないと、右手から炎を出して、葵たちを消そうとする

 

もちろんみんなは覚悟を決めている。その魔法に対抗できるように、協力しながら能力を使って香に立ち向かう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻

 

 

「父さん・・・・もしも生きていたら、俺にそんなことを言ってくれるかな?それとも家族である事を自覚するために喝を入れてくれるか?」

 

 

燈は、香の所へ向かおうと燈は歩いている。そして今になって父が居てくれたら、どんだけあの朝比奈・香と仲良くできたらと想像する

 

憎しみで家族を恨んではいけない。香だって兄想いの家族だ。今は兄を失って正気を無くしているだけ、その家族を守り助ける力が今必要だ

 

その父が居てくれたらと思う。けど、もう居ない。今はその血を受け継いだ男だ

 

 

「俺は香を助けるために、ここに残したのか父さんは・・・・・」

 

 

なんとなく思う。自分の父がこの国に置いてきたのは、叔母である彼女が憎しみに囚われると、自分が殺されたら叔母が復讐に入るかもしれないと

 

叔母を止めるために自分をここで置いていったのか元、そして

 

 

家族の良さがわかるように。この国の王族に託したのだと

 

 

 

「家族を守る力、それが俺の望んだこと。俺の魔法は家族を救う力、香も俺の家族、葵たちも俺の家族を・・・・・救える奇跡の魔法を!!」

 

 

 

今までたくさんの事を教えてくれた。家族の全てを。それを守れる力を。今ここで解き放つ。

 

燈が赤ん坊の頃から身につけていた。首のネックレスが光り出す。白い光が体にも流れる。彼の心に希望が満ちる。家族を救う力をと。家族を守れる力を。右手を葵たちが居る方向に伸ばす

 

そして彼の

 

 

 

 

 

 

『セイラム王子としての力』を解き放つ

 

 

 

 

「家族やみんなを守れる魔法を!!!」

 

 

 

これが彼の想い

 

憎しみを乗り越えて得た。セイラムの王家に宿す力をみんなのために使う、優しい心で戦う。悪にも憎しみにも負けない。家族を想う気持ちで戦うと。大きく彼の声が世界に響く

 

 

 

その時

 

 

 

 

ビュウウウウウウウウウウン!!!!

 

 

「なんだ!?」

 

「城が光り出した!?」

 

「この光・・・・燈の魔法の光!?」

 

 

突然櫻田城が中から白い光を発光する。

 

光の色をアイギスが見る限りでは燈の魔法の光だった。中から何かに反応をしているのか、王城の中全体が光り出している

 

そして

 

 

バタン!!!

 

 

「門が勝手に開いた!?」

 

「ん?あれは!?」

 

「小さい左腕!?」

 

 

突然アイギスと総一郎と五月が門前で避難しているところ、その後方にあった門が突然勝手に開いた。そして門が開き、中から宙に浮いているものを見つける

 

それは

 

 

『5歳くらいの小さい切れた左腕』

 

 

その左腕が白く発光し、宙に浮いてこっちにやってきた。その左腕は総一郎と五月は見覚えがあった

 

 

「あれは燈の!?」

 

「燈の切れた左腕!?」

 

「あれが!?」

 

 

燈の昔に切れた左腕

 

王城に燈の部屋がある。そこに切れた左腕が保管されていたが、どうやら燈の声に反応をしたのか、勝手に宙に浮いて出てきてのだ

 

そして燈の方まで飛んでいく

 

その左腕は、燈の切れた左肩に

 

 

 

魔法陣を浮かび左腕が燈の今の歳に合う大きさに大きくなり、切れた肩に装着される

 

 

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

 

 

失った左腕が左肩に装着され、傷もなく左腕が元に戻るようにくっついていた

 

更に

 

その左腕から虹色の光が発光し

 

 

その光が国全体に広がる

 

 

 

「はああああああああああああああああああああああああああ!!!!」

 

 

 

その虹色の光は、葵たちにも流れる

 

 

 

「っ!?なに!?」

 

「「「「「「「「「え!?」」」」」」」」

 

 

「っ!?なんだこれは!?」

 

 

突然の光で誰もが驚いた

 

突然葵たちの後方から虹色の光が流れた。その光を浴びた香は、右手に出した炎が消えた。それだけでなく

 

 

空に浮かんだ赤黒い空を作った魔法陣が。その虹色の光を浴びると。光のように消えていく

 

 

「何!?『サクリファイス・アポカリプス』が消えた!?」

 

 

国を覆っていた魔法陣が消えた。これで国の人たちが救われ酸素が戻る。更にそれだけでなく

 

 

「あれ?・・・なんだ?息がしやすい?」

「どうなってんだ?急に息ができるようになった?」

「あれ?体が軽い?」

「むしろここの来る前より元気になったと言うか・・・・」

 

 

観客席に居た国民や、海外の王族が香の魔法で苦しんでいたはずだが、今流れる虹色の光で一気に回復する

 

 

「国民の人たちが!」

 

「なんとか無事に!?」

 

 

「誰だ?誰がこの光を?一体誰が!?」

 

 

「これは・・・まさか!?」

 

 

なぜこの光が流れたのか、発生源が分からない。香は自分の魔法が全て打ち消されて混乱している。一体誰がやったのか

 

しかし、葵は知っている。これを起こす者を

 

それは

 

 

 

 

 

 

 

「悪いな叔母さん。あんたの魔法を打ち消させて貰った」

 

 

「っ!?燈!?」

 

 

 

「「「「兄さん!?」」」」

 

「兄上!?」

 

「「お兄ちゃん!?」」

 

「兄貴・・・・・」

 

「燈・・・・・・その・・・左腕!?」

 

 

「悪い待たせた。今度こそあんたを止めさせてもらう。叔母さん」

 

 

燈だ

 

虹色の光を体に纏う左腕がある燈が葵たちの後ろから現れる。もう悪魔の角も生えていない。彼は葵たちを守るために、香を助けるために。葵たちの隣にやってきた

 

 

「なぜ左腕がくっ付いている!?」

 

 

「ん?ああ・・・これか?さあな、やっと俺も大切なことに気づいて、魔法を大切なことに使おうとしたら、俺の魔法が奇跡を起こしたんじゃないのか?」

 

 

「そんなことがあるはずがない。あり得ない」

 

 

「あり得ないことが起こすのが魔法だ。あんたを憎しみから救うために。俺の左腕が戻ってきたそれだけだ」

 

 

全ては叔母を止めるため

 

家族を守るために失った左腕が戻ってきた。まさしく魔法でしか起こせない奇跡である。

 

 

 

 

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