Fate/元自衛官 冬木にて、斯く戦えり   作:虚空屍

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本編を作るに当たり、ある展開の構想を考えましたがボツになり、この話はそのボツになった話の後日譚になります。

本文の途中から分岐したパラレルワールドと見て頂けたら幸いです。


キャスター 地獄の大王編
01 この怨み、地獄へ流します


「この怨み、地獄へ流します」

 

 一人の男が閻魔あいにより、三途の川を渡り地獄に送られた。

 

 

 

 

 

 男が地獄送りにされてからどれ位が経ったのであろうか。

 

 ここは流し灯篭で埋まる三途の川。キャスターは閻魔あいの漕ぐ小舟で大きな鳥居をくぐる。

 

「お嬢さんはいつもこんな事をしているのかしら」

 

 呑気に閻魔あいに聞くキャスター。

 

「そう、これが私に課せられた罰」

 

 キャスターは閻魔あいの言う《罰》と云う言葉に引っ掛かりを覚える。

 

「処で貴女はどんな罪を犯したのかしら? 良かったら話してくださる?」

 

 このキャスターの問い掛けにやや眉をひそめ答える。

 

「昔の話。ただ、地獄では償い切れないからこの役目を担っている」

 

 思い出したくもない過去の罪を話させる様な愚かな事を避けるキャスターではあるが、彼女はこの少女の身の上に興味を持つ。

 

 小舟が三途の川を渡り切り、岸に着いた閻魔あいは言う。

 

「着いたわ。私の役目はここまで」

 

 長い様で短い様な、そして短い様で長い様な時間を小舟で過ごしたキャスターは閻魔あいに別れを言い小舟を降りる。

 

「有り難うね、お嬢さん」

 

「さようなら、おばさん」

 

 この閻魔あいの不用意な一言で、キャスターは小舟を蹴り揺らし、閻魔あいはバランスを崩して舟から落ちてしまう。

 

「ふん、この小娘は躾がなっていない様ね」

 

 キャスターはずぶ濡れの閻魔あいに言い放つと宛も無く歩き出すが、何処へ行けば良いのか判らずに佇んでいると、一体の鬼がキャスターに叫んで来る。

 

「おいっ、貴様! こっちに来て列に並べ!」

 

 辺りを見回すが自分しか居ない事で、貴様呼ばわりされたのが自分自身で有ることに少々の苛立ちを表す。

 

(ふんっ、バーサーカー(もど)きが私を貴様呼ばわりとは)

 

 キャスターは大人しく列の最後尾に並ぶが、ここからでは並んだ列の先頭が見えない。先頭が見えない程、長いのである。

 

(はぁ~、本当に長い列だ事。退屈してしまいますわ)

 

「そこのバーサ……鬼さん、いつまで並んでいれば宜しくって?」

 

 キャスターに聞かれた鬼は面倒臭そうに答える。

 

「はぁ~? 順番が来る迄に決まってんだろ!」

 

 流石に鬼の無礼な答えに額に青筋を立て不貞腐れた言い方をする。

 

「あっそ!」

 

 何処まで続くのか判らない列に並び辺りを見回すキャスターは、列に居る皆が生気の無い顔をして俯いているのに気が付く。

 

(ここに来ると皆がこんなになるのかしら? あ~嫌だわ! 辛気臭いったらありませんわね)

 

 どれ程の間、立ち並んでいたか判らないが、いつの間にかキャスターの後ろにも最後尾が見えない程の亡者が並んでいる。

 

(私の後ろにも最後尾が見えない程並んでいるのに、相変わらず列の先頭が見えませんわね、あらっ? そう云えば私の身体が────)

 

 地獄の霊力が自分の身体に集まり溜まっている事にキャスターは気が付く。そしてそれは柳洞寺に集まる霊脈の比ではない程に多い。

 

(うふふっ、面白い事になりそうだわ)

 

 キャスターは数匹の使い魔を天高く放ち、この地が如何様な物か探らせる。それは当に地獄絵図その物の光景を彼女に伝えてくる。地獄の亡者達は生前に犯した罪により、鬼達に責められているのである。

 

(あらあら、まあまあ。随分と生温い仕置きだ事。あらっ、あちらはかなりエグいわねぇ~)

 

 使い魔により地獄見物をしていたキャスターが並んでいる列に目を戻すと、かなり先に在る建物に列の先頭が入っているのが見える。

 

(まだまだ先だけれど列の先頭が見えたわ。しかしあの建物は何かしら?)

 

 建物に興味を持ったキャスターは使い魔を建物に飛ばし、使い魔からの映像を見る。

 

(これが日本の地獄の門と云う訳ね。中に何が居るのか楽しみだわ)

 

 

 

 

 

 どれくらい時が経ったのであろうか、いよいよキャスターが列の先頭に立ち地獄の門を間近に見る。

 

 程無くして門が開かれ、キャスターに入る様に鬼が促す。

 

 促されるままに門をくぐり建物に入ったキャスターは驚きを露にする。

 

「バッ、バーサーカー!?」

 

 通された室内正面の上段にいる閻魔大王を見たキャスターは思わず声を上げてしまったが、それを衛士である鬼に咎められる。

 

「黙れ! 大王の御前でありここは詮議の場! 許可なく話す事はまかりならん!!」

 

 キャスターがバーサーカーと間違えたのは誰であろう、閻魔大王であった。

 

 そんな声を上げた彼女を物凄い眼光で睨むように見る閻魔大王。

 

「貴様、人ではないな。何故ここに来た!?」

 

 受肉したとは云えサーヴァントであるキャスター。

 

「さぁて、何故かしらねぇ~。閻魔あいって云うお嬢さんが連れて来てくれたのですけど」

 

 キャスターの答えに舌打ちをし、憎々し気に言い放つ閻魔大王。

 

「ちっ、あの小娘! 人()らざる者をここに連れて来るとは!!」

 

 それはおかしいとばかりにキャスターは言い返す。

 

「あらっ? その様に使役しているのは貴方ではなくって? お嬢さんは自分に課せられた勤めを果たしているだけで、それで彼女を責めるのはお門違いも甚だしいですわね、ふんっ!」

 

 痛い処をキャスターに突かれた閻魔大王は、キャスターを更に睨んだ後、彼女の詮議を始める。

 

「貴様は殺める為に閻魔あいと契約をした訳だな。しかし何故にあれを使った?」

 

「そう云う事よ。あの時はそれが一番手早くて簡単だったからかしら。手段なんて選んでは居られないわ!」

 

 そう言うとキャスターはその時の事を回想する────

 

 

 




如何でしたでしょうか?

果たして地獄に送られた一人の男とは?



気分転換も兼ねて書き上げましたが、定期投稿を考えての作品ではなく、気が向いたらキャスターの回想を含めて続きを書くかも知れません。

ではでは…………。

虚空屍
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