完全不定期投稿の《キャスター 地獄の大王編》です。
この話は本編のパラレルワールドと捉えて下さい。
と、云うか虚空屍のお遊びワールドと捉えて下さった方が、良いかもしれません。
【ご注意】
世の中全ての理が崩壊する可能性のある話です。話の世界観が壊れるのを嫌う方はご注意下さい。
そう言うと、キャスターはその時の事を回想する────
第五次聖杯戦争も佳境に入り、敵対するマスターが言峰綺礼一人となる。
伊丹もキャスターも、言峰綺礼の身体的な強さも含め、ギルガメッシュとの戦いに向けシミュレートしてみるが、なかなか良い結果には結び付かない。
「強化魔術を懸けていたとは云え、物語の中でキャスターを拳一つで倒した凛の師匠だしな…………」
「あの展開には、流石の私も驚きましたわ」
何度シミュレートしても、ギルガメッシュを倒しても、こちらの被害が大き過ぎる結果しか出ない。
こんな二人の会話に桜が加わる。
「お父様、最近学校で噂になっている話をご存じですか?」
「ん~? 学園での生徒達の噂かい? もしかして地獄通信の事かい。あれは絶対に駄目!」
こちらの世界では存在しないが、伊丹は知っているマンガの中身の話が、起きているようなのである。
この伊丹の反応に気が付いたキャスターが彼に問う。
「耀司様はご存じなのですか?」
「ああ、元の世界では漫画やアニメにもなった話だからな」
「またその展開ですの…………」
伊丹は知っているが、こちらには存在しない物語と云う事に、キャスターも呆れる。
しかし、話に興味を示したキャスターは、伊丹から詳しい内容を聞く。
「要は、強い怨みを持つ相手を、地獄に送って貰う話なんだが…………」
「なら簡単ですわね。言峰綺礼を送ってしまえば宜しいのではなくって」
さも簡単に話すキャスターに、伊丹は話を続ける。
「それを願った方も、死んだら地獄に送られる契約なんだ。まあ、直ぐに死ぬ訳でも無いんだけどね」
願った方もゆくゆくは地獄に送られると言う伊丹の話に、桜は拒否反応を示し、キャスターは更に興味を持つ。
「耀司様、もっと詳しく聞かせて下さいませ」
「う~ん、パソコンで午前0時に、地獄通信のホームページに地獄に送りたい相手の名前を打ち込んで送信すると、少女が藁人形を持って現れるんだ」
キャスターも桜も、伊丹の話を食い入るように聞いている。
「すると、その少女が藁人形を差し出しながら云うんだ…………『この紐を解けば契約が成立して、相手は地獄に送られるわ。でもその代償に貴方の魂も地獄に行く。人を呪わば穴二つ』…………てね」
「きゃー! お父様、怖い話は止めて下さい!」
「あらっ、面白そうじゃないの」
怖さの余り叫ぶ桜と、ニヤリと笑うキャスター。
「まさかこっちでそんな話を聞くとは思わなかったよ」
参ったとばかりにポリポリ頭を掻く伊丹。
地獄通信の事実を知った桜は、伊丹とキャスターに、この手段で言峰綺礼を倒す事を止める様に言う。
「お父様、私は誰も地獄には行って欲しくはありません! ですからこの話は無かった事にして下さい」
しかしキャスターは試す価値有りと言い出す。
「あらまあ、いいお話を聞かせて貰いましたわよ。サーヴァントである私が契約をすれば宜しいのでは?」
「キャスター、ちょっと待って! 君がやるって!? ダメダメ! 絶対に駄目だから!!」
キャスターの地獄送りには絶対反対の伊丹。
「もしキャスターが地獄に送られたらどうするんだよ!」
伊丹の問い掛けに、しれっと答えるキャスター。
「なんとかなるさ、ですわ。それにサーヴァントが本当に地獄に行けるのか興味もありますし。私にお任せ下さいな」
「本当に後悔はしない?」
「致しませんわ。寧ろ地獄とやらを見てみたい物ですわ」
キャスターの意志が固いとみた伊丹と桜は、キャスターの意思を尊重する。
「別に無理にやろうとしなくてもいいんだからね。やりたくなくなったら直ぐに止めても恥ずかしい事じゃ無いからね」
しかし伊丹は暗に止めさせようとするが、益々キャスターの興味が強くなる。
「いいえ、止めません! 今晩の午前0時に地獄通信にアクセスいたしましわ!!」
23時55分に地獄通信のホームページにアクセスしてもNot Foundの画面しか表示されないが、そのまま暫し待機するキャスター。
「さてと、午前0時きっかりに画面が変わる様ですから、そうしたら名前を入力して送信をクリックすれば良い訳ね」
午前0時になり、画面が地獄通信のトップページに変わると、地獄に送る相手の名前を入力するスペースに、《言峰綺礼》と入力して送信をクリックするが、何も起こらない事に落胆するキャスター。
「ふんっ、結局只の子供の噂話って事ね」
ライダーが守護する山門に、閻魔あいが現れる。
直接キャスターに会おうとした閻魔あいだが、キャスターの張った結界に進入が阻まれ、山門からの訪れになってしまった。
「私は閻魔あい。この敷地の中に居る人に用があって来た」
突然姿を現した閻魔あいに、腰を落とし、重心を低くして杭を構えるライダー。
「いきなり姿を現せるとは、貴女何者ですか。まさか新手のサーヴァントですか!」
「私は閻魔あい。この敷地の中に居る人に用があって来た」
同じ事しか言わない閻魔あいに、ライダーは新手のサーヴァントの襲撃と判断する。
「この山門を通すなと言われていますので、お通しは出来ません」
ライダーは冷たく答えると、手にした杭を閻魔あいに投擲しようと構える。
すると閻魔あいを守るかの様に三体の怪異が現れる。
「危ないぞ、お嬢!」
「お嬢に手を出すんじゃないわよ!」
閻魔あいは冷静に、後から現れた怪異達に話す。
「みんな手を出さないで。そこの門番の人。私は閻魔あい。敷地の中に居る人に用があって来た」
山門の警護に当たっているライダーからキャスターに念話が届く。
(キャスター、貴女何かしたのですか? 貴女に会わせろと言う女の子が来ているのですが…………)
(良し来た! 今直ぐにそちらに向かうわ!)
キャスターが山門に向かうと、閻魔あいと三体の怪異が、ライダーと何やら揉めている。
キャスターは、やたらと《閻魔あい》を連呼する少女に目が止まり彼女の傍に行く。
「もしかして貴女が地獄少女かしら?」
「そう、貴女が喚んだ。私が閻魔あい」
キャスターは閻魔あいの答えを聞き、他の怪異達を見回す。
「何かしら、この三体の怪異は? もしかして、貴女の下僕って事なのかしら」
このキャスターの言い様に、一目連が不機嫌そうに言う。
「なあ、お嬢。この高慢ちきな女が今回の依頼者かよ!」
一目連の言葉を制して、閻魔あいは話し出す。
「そう、彼等は私の使い間。私は閻魔あい。貴女に喚ばれて来た」
傷付いたレコード盤の様に同じ事しか言わない少女をキャスターは、部屋に招き入れる。
「さあどうぞ、お嬢さん」
閻魔あいを部屋に上げ、話を切り出すキャスターであるが…………
「私は閻魔あい。貴女に喚ばれて来た」
流石に同じ事を何度も言われ、少々苛立ち始めるキャスター。
「いい加減聞き飽きたわ~、その台詞。貴女は他の事は話せないのかしら~。全くボキャブラリーの少ないお嬢ちゃんだ事」
キャスターが閻魔あいを小馬鹿にすると、閻魔あいはキャスターに、紐で結ばれた藁人形を手渡し話す。
「貴女がこの人形の紐を解けば私と契約をした事になる。解かなければ契約は成らない。よく考えて紐を解きなさい────」
するとキャスターは閻魔あいの言うべき台詞を根刮ぎ奪ってしまう。
「『その代償として貴女の魂が地獄に送られる。人を呪わば穴二つ』って言いたいのね。知ってるわよ、そんな事」
キャスターに決めの台詞を盗られ、むくれる閻魔あい。
「うぐぐ…………貴女嫌い」
藁人形を手に入れたキャスターは、もう用は無いとばかりに、閻魔あいを山門まで連れ出す。
「藁人形を有り難うね、お嬢ちゃん。気が向いたら紐を解くから、それまで相手の素行調査をきちんてしておきなさいね」
上から目線のキャスターに一目連と骨女が不満を募らせ閻魔あいに不平を溢す。
「あんな奴の依頼をなんで受けたんだよ、お嬢」
「全くだよ、お嬢。今回の依頼者には私も同情できないよ!」
しかし閻魔あいは、そんな彼等に言う。
「私は閻魔あい。依頼者に喚ばれたから」
そんなやり取りをしながら、山門からの消える閻魔あい達である。
自室に戻り藁人形を繁々と見て弄り出すキャスター。
「今回の藁人形は輪入道なのね。まあ、誰が藁人形に成っても構いませんのに。さあて、そろそろ休むと致しますか」
キャスターは藁人形を引出しに仕舞うと、霊体化して一日を締め括る。
最後まで読んで頂き有り難うございます。
虚空屍の気分転換の書き物でして、思い付いたままの話やネタを全て投入するつもりです。恐らく、設定も崩壊してしまうかも知れません。
あくまで、本編のとある部分から枝分かれした、違う時間軸での話です。
ではでは…………
虚空屍