東方空闘犬 〜 元エースパイロット、幻想郷の旅 作:メビウスノカケラ
今回は挿絵をMMDを使って制作してみました。
ドーラ「こちらスワロー1。スワロー隊、作戦空域に到着」
さんさんと照る太陽の下、私たちは荒野の上を飛ぶ。
AWACS《こちらAWACS、了解。・・・作戦の実行にあたってくれ》
AWACS(早期警戒管制機)は少し深刻そうな声で無線越しに私たちに支持をする。それもそのはず。私達スワロー隊の今回の任務のことがある。破壊を試みた兵士はもれなく葬り去ってきた巨大レールガンの破壊任務である。
ドーラ「ウィルコ。・・・皆、戻るなら今しかないわよ。ここから先、は多くの兵士が葬り去られた忌まわしいあのレールガンとその防衛隊の苛烈な攻撃が待っている。生き残れるか・・・」
私が率いる部隊、スワロー隊の仲間に私は戻ることを促す。死ぬのは私だけでも良い。そう思っていた。だが、
ジャーン《戻るなんて、弱気なことを吐くんじゃない。士気に乱れが出るぞ、スワロー1。》
ロスコー《そうだよ、ドーラ!ここまで一緒に任務をこなしてきた仲間だろ?ガールフレンドたちよりも長い付き合いなんだ、死ぬときゃ一緒だっての!》
トマス《・・・同じ気持ちだ。息子には妻がいるから問題ない》
ヘインズ《それに、このレールガン破壊任務さえこなすことができたら、我々の勝利はほぼ確実です。スワロー1だけお手柄一人占なんていうのは悔しいですからね!》
ジャーン、ロスコー、トマス、ヘインズ・・・私の仲間は戻ることはしなかった。
ドーラ「皆・・・ごめんなさい、ブリーフィングでも確認したことだった」
ジャーン《そうだ、スワロー1。我々は軍人だ。一度やると決めた任務はやる前から逃げることはしない》
ドーラ「ええ、そうよね・・・ここで怖気づいてちゃいけない」
私は自分に気合を入れなおす。そうだ。いままで一緒にやってきた仲間だ。今更退けなんて情けないわ。
ジャーン《その意気だ・・・来たぞ。レーダーに補足した。方位350。AAガンにSAMに高射砲がわんさか・・・まだ飛び立っていないが戦闘機も有る。そして・・・レールガンだ》
ジャーンは私に運命の瞬間が迫っていることを促す・・・いよいよか。
ドーラ《皆!絶対にアレを壊すわよ!》
ジャーン《了解だ!》
ロスコー《了解!》
トマス《ああ》
ヘインズ《了解です!》
スワロー隊全機、覚悟を決めていた。死んででもあのレールガンを破壊する。それだけを考えていた。
ドーラ「レールガンを視認!これよりスワロー隊はレールガンの破壊に移る!スワロー1、エンゲージ!」
ジャーン《全機、高度を下げろ!》
そして、スワロー隊はレールガンとともに消えていった。・・・私を除いて。
第10話「混乱」
ドーラ「・・・はっ!」
視界に映るHUD表示と天井。・・・夢を見ていたのか。
ドーラ「・・・・・・」
私は上体を起こす。しかし、気を失う前に見たHUD表示は幻覚ではなかったのか・・・
??「あら、目が覚めましたか」
ベッドの横の椅子に人が座っている。もみあげを三つ編みにした銀髪にメイドの服・・・
ドーラ「・・・あなたはサクヤ?」
【SAKUYA?】
HUDがサクヤ?に四角いマークを重ねている。その右上に名前が表示されている。
咲夜「あら、ご存知のようで。私はこの紅魔館のメイド長を務めている十六夜咲夜でございますわ」
【SAKUYA】
HUD表示のサクヤの名から「?」マークが消える。私の認識で表示は変わるようだ。
咲夜「あら、どうなさいました?そんな難しそうな顔をなさって」
ドーラ「いや・・・それよりも、私は今どういう状況なのかしら?」
私はサクヤに今の状況を聞く。
咲夜「さあ?」
サクヤは笑みを浮かべながら手を広げる。
ドーラ「さあ?って・・・」
咲夜「私はあなた達の看病をパチュリー様に頼まれただけですわ。あと、魔理沙にも。詳しいことは知りません」
ドーラ「そうなのね・・・ん?あなた達?」
あなた『達』と私のことを呼ぶときにサクヤは言った。どういうことだ?
咲夜「だって、あなた達、双子なのでしょう?」
サクヤは隣のベッドを手で指す。
ドーラ「私は双子じゃ・・・!!」
【DORA SLEEP】
ドーラ?「スー・・・スー・・・」
隣のベッドを見ると、私がもう一人寝ている。
ドーラ「あ、あれも幻覚じゃなかったのね・・・」
咲夜「さて、私の仕事はここまで。普段の仕事に戻らせてもらいますわ。」
そういうと、サクヤは立ち上がる。
ドーラ「え?ちょ、ちょっと」
咲夜「? ああ、そうでしたわね。あなたは私に用があるのですってね。今日はあなたは忙しいでしょうから、また明日来ると良いでしょう」
ドーラ「用は明日でも大丈夫だけど、状況が・・・忙しい?ってあっ!」
サクヤは音もなくその場から消える。
ドーラ「消えた・・・?ああ、そうか。そういうことね」
私は一瞬驚いたが、マリサにサクヤが時間を操ることを聞いていたので、時間を止めてその場を立ち去ったと理解した。
ドーラ「しかし・・・」
ドーラ?「・・・んぅ・・・スー・・・」
私はもう一人の私を見て思う。
ドーラ「・・・服ぐらい着せてくれてもいいのにね。」
とりあえず、ベッドの隅にたたまれた私の服から手を付けることにした。
ドーラ「ふぅ・・・」
服を着た私は咲夜が座っていた椅子に座り、どうしようか悩む。
ドーラ?「スー・・・」
ドーラ「・・・・・・」
もう一人の私。この存在の説明がつかない。パチュリーの実験でもう一人の私が作られたってこと?それに・・・
【DORA SLEEP】
【VITALITY 085%】
【ENERGY 099%】
私の視界に映るこの『HUD表示』は何・・・?まさか、私はターミネーターだとかそんなものになってしまったとでも言うの?
ドーラ「・・・ふんぬっ!!!」
私はベッドを持ち上げてみようとする。だが重い。ターミネーターとかになったわけじゃあないようだ。
ドーラ「・・・はあ、どうしようか」
私は考えこむ。
ドーラ?「・・・んぅ」
ドーラ「・・・ん?」
もう一人の私がもぞもぞと動き出す。
(ガバァッ)
ドーラ「!!」
突然、彼女は激しく起き上がる。
ドーラ?「・・・・・・」
彼女は私をジーっと見つめてくる。
ドーラ「お、おはよう」
ドーラ?「・・・貴様は!」
ドーラ「え?」
【DORA ANGRY】
HUD表示が赤く変わる。
【WARNING】
ドーラ「警告!?」
ドーラ?「だりゃあっ!!」
(ガバァッ)
ドーラ「きゃあっ!?」
もう一人の私は急に私に跳びかかり、マウントポジションを取る。
ドーラ?「ぬぅん!!」
そして、拳を固めて右腕を振り上げる。
【EVADE】
HUDには回避しろという表示が現れる。
ドーラ「くっ・・・」
私はとっさに首を動かして回避する。
(バゴォッ)
ドーラ「!?!?」
ドーラ?「うぉおっ!?」
木製のベッドがまっぷたつに折れる。私たちはバランスを崩し、ベッドから転がり落ちる。
ドーラ「べ、ベッドが・・・!」
変わり果てたベッドを見て戦慄が走る。何だこのパワーは。人間のものとは思えない。
ドーラ?「くぅうっ・・・」
だが、相手も無事ではなかった。右腕がボロボロになり、血が滴り落ちている。
ドーラ「な、何なの、いったい!!いきなり襲ってくるなんて!!」
私はもう一人の私に問う。
ドーラ?「ぐっ、貴様が我々にしてきたこと、忘れはせんぞ!!」
ドーラ「我々・・・?何を言って・・・!!」
【WARINIG】
【EVADE】
再び、HUD画面が赤くなり、警告が表示される。相手は左腕を私の方に構えている。
(シュィィィイン)
もう一人の私の左腕が光り輝く。
ドーラ「何・・・これは・・・!?」
(バチッ・・バチバチィッ・・・)
そして、左腕から稲妻が走り、相手の髪が逆立つ。
ドーラ?「吹き飛べぇ!!」
ドーラ「!!!!」
(バァァアンッ)
爆発が起こり、その閃光で私は目をつむる。
パチェ「ふぅ、物騒ね」
ドーラ「・・・!」
【PATCHOULI】
目を開けると、紫色の魔女、パチュリー・ノーレッジが前に立ち、何やら光の模様を目の前に広げている。あれでもう一人の私の何かを防いだのだろうか。
ドーラ?「うぐあああああああっ!!!」
もう一人の私は左腕の半分を失い、痛みで崩れ落ちる。
パチェ「電磁砲とはまた大層な技を使うものね。自分の左腕を弾丸にするなんて」
ドーラ「電磁砲・・・レールガン・・・?」
その単語で、何かが引っかかる。レールガンといえば・・・
パチェ「さて、あなたを生け捕りにさせてもらうわ。§∌∠∇・・・」
パチュリーが何かつぶやくと、もう一人の私の下に光の床が現れる。
ドーラ?「ぐああああっ!!貴様、貴様ああああ!!」
パチェ「やかましい」
(シュンッ)
もう一人の私は光とともに消え、HUDの表示は元の緑色に戻る。
【VITALITY 080%】
【ENERGY 096%】
先程よりも数値が減っている。私の状態を表している数値ということか。
パチェ「部屋をこんなにめちゃくちゃにして。あなた、なかなかに凶暴ね」
ドーラ「・・・あなたが言えること、それ?それに、私じゃない。」
私はパチュリーが私にしたことを思い出す。
パチェ「最初から殺すつもりはなかったわ。しかし・・・」
パチュリーの口角が上がる。
パチェ「私の仮説は正しかったみたいね。フフフ・・・」
ドーラ「・・・・・・」
全く悪びれる様子がない。それどころか、また何かしでかしそうで怖い。
パチェ「・・・何後ずさってんのよ。もう満足したからあなたにはなにもしないわよ。悪かったわね、あの時は」
ドーラ「・・・信用はできないわね。なにか企んでるんじゃない?」
パチュリーの目は明らかに私に好奇の目を向けている。これで何もしないというのは信じられるはずがない。
パチェ「まあ、そうなんだけどね」
パチュリーはあっさり口を割る。
パチェ「だけど、あなたは従わざるをえない」
ドーラ「・・・なぜ?」
パチェ「あなたのお仲間が待っているからよ」
ドーラ「え?」
パチュリーはそう言うと、私に手を振りかざす。
パチェ「§∌∠∇・・・」
また何かをつぶやくと、私の足元に先ほどの光の床が現れる。
ドーラ「!!」
パチェ「行けばわかるわ。じゃあ、あとで」
ドーラ「ちょ、ちょっと・・・うわっ!」
私は光に包まれた。
ドーラ「・・・?」
視界が晴れると、そこには見慣れた顔がたくさん並んでいた。
魔理沙「お、ほんとに出てきたぜ」
アリス「大丈夫、ドーラ?パチュリーに何かされなかった?」
【ALICE】【MARISA】
マリサにアリス、
霊夢「あいつが何もしてないわけないじゃない。なんだか今日の昼にあった時と気質が全く違うし」
慧音「確かに・・・人間のそれではなくなっている」
文「あやや、雰囲気がこの前に会った時とは大分違いますね~」
【REIMU】【KEINE】【AYA】
レイム、ケーネや、新聞記者も居る。
咲夜「後はパチュリー様を待つだけですね、レミリアお嬢様」
レミィ「たく、パチェめ。こんな訳の分からないやつを連れて来やがって」
【SAKUYA】【REMILIA】
サクヤとレミリアと呼ばれた小さい羽の生えた少女も見物している。
ドーラ「み、皆、どうして集まっているの?」
魔理沙「ああ、私が呼んだんだ。ドーラが二人に分裂してるのを見て、こりゃまずい、何か起こったぞ、と思ってな。ブン屋は勝手についてきたが」
アリス「魔理沙がまた嘘を言っているのかと最初は思ったけど、あなたは不可解な部分が多いからね。心配で来てみたら、あなたを纏っている気配が人間のそれじゃなくなってるし・・・あなたは一体何者なの?」
マリサとアリスはどこか心配そうな顔で簡単に経緯を説明する。
霊夢「だけど、これであんたが普通の外来人じゃないってことはわかったわね」
文「もしかして、今まで隠していたとか・・・その辺どうなんです、ウェッジショットさん?」
レイムとアヤは私の素性について怪しむ。
ドーラ「わ、私だって何がなんだか・・・」
慧音「そういや、二人に分裂したんだろう?もう一人の方はどうしたんだ?」
咲夜「あら、ホント。私が看ていた時には二人いたのに。そういえば、姉か妹どちらなのでしょうか?」
ドーラ「だから、双子じゃない」
ケーネとサクヤはもう一人の私の所在を聞いてくる。そういや、パチュリーはあの後どうしたんだ?
魔理沙「とにかくパチュリーを待とうぜ。話はそれからだ」
アリス「それもそうね。この騒ぎの大元を待ちましょう」
私たちはパチュリーを待つ。
それから15分後。
レミィ「・・・・・・」
サクヤの隣りにいるレミリアが苛々している。パチュリーはまだこないのか。
(ガチャリ)
パチェ「待たせたわね」
【PATCHOULI】【DEVIL】
レミィ「遅い!」
パチュリーが頭にコウモリのような羽の生えた女性(悪魔?)にドアを開けてもらって入ってくる。待ちくたびれたレミリアはパチュリーに怒号を浴びせるが、相手にしない。
レミィ「無視するな!」
咲夜「面白そうだからと来たのはお嬢様ですよ」
怒るレミリアをたしなめようとするサクヤ。メイドなのにそんな主の否を口にしていいものなのか。
レミィ「う~・・・咲夜め」
ドーラ「パチュリー」
そのサクヤとレミリアのやり取りのかたわらで、私はパチュリーに警戒の目を向ける。
パチェ「そんなに敵意をむき出しにしなくてもいいじゃない。もう私は満足しているのだから」
ドーラ「・・・アレだけやっておいて。おまけに待たせている人達がいるというのによくそんな態度が取れるわね、あなた」
全く悪びれる様子がないパチュリー。
パチェ「そんなことより、あなたについて色々わかったことがあるわ」
ドーラ「・・・はあ、もういいわよ」
何を言っても反省することがなさそうなので諦めた。妖怪に人間のことを別れって言っても無駄なのかしら。
魔理沙「それで、何がわかったんだ?こいつは一体何者なんだぜ?」
霊夢「そうよ、日も落ちて結構経ってるのに!晩ごはんを食べそこねてまで来たんだから、それ相応の何かがなかったらあんたらこてんぱんにするわよ!」
魔理沙「お前、ちょっと前にここで食べたろ・・・」
レイムとマリサはパチュリーを急かす。
パチェ「これを見なさい。小悪魔?」
小悪魔「どうぞ」
【COREKUMA】
パチュリーは秘書のような出で立ちの扉を開けた女性を小悪魔と呼び、本を私に渡させる。
ドーラ「これは・・・レポート?」
パチェ「そうよ。別室で暴れてるもう一人のあなたを簡単に調べてみたわ」
もう一人の私のレポート。15分で調べた内容ではあるが量がかなりある・・・
レミィ「なんだ、そのもう一人を連れてきたわけじゃなかったのか。同じ顔が並んで見れると思ったのに、面白くない」
パチェ「なかなかに凶暴でね」
レミィ「パチェ、そいつに会ってみたいんだけど、どこに居るの?」
パチェ「いらないことはしないでよ、レミィ。小悪魔、連れてってあげて」
小悪魔「わかりました~さ、お嬢様。ついてきてください」
レミリアと小悪魔は部屋を出て行く。
霊夢「私も行くわ。なんかこっちにいても難しい話しかしなさそうだし」
魔理沙「それが良さそうだな。レミリアがいらんことをしないはずもないし、なんかあったらあのお子様を力づくで止めてやればいいぜ」
霊夢「後で話を私に教えなさいよね、魔理沙。咲夜はいいの?」
咲夜「お嬢様はいい子なので!」
霊夢「・・・じゃ、行くわ」
レイムもレミリアたちの後を追って出て行く。
ドーラ「・・・さて、『~この分裂体の本質について~』からね」
慧音「なになに・・・なんだこれは、読めないぞ。外国語じゃないか。ドーラはこれが読めるのか?」
レポートを覗き込んだケーネ先生はお手上げだという素振りをしながら私に聞く。
ドーラ「ええ、読めるわ。これは母国語だから・・・」
だが、不思議なのは、ちらほらわからない単語も見当たるのにすんなりと読めてしまうことだ。
慧音「それで、何と書かれているんだ?」
ケーネ先生に読み進めるように言われて私はレポートを読み上げていく。
ドーラ「ええと、『・この分裂体の肉体構造はほぼ分裂前の被験体と同じ人間である。しかし、自我は異なり、もう一方の分裂体に強い憎しみを抱いている。』・・・」
咲夜「双子じゃなかったのですね・・・」
サクヤは落ち込む。最初から言っているだろうて。
アリス「でもなぜかしら。分裂したということは、その人の記憶や過去などが元になってもう一つの人格が作られるはず・・・ドーラは自分が憎くて憎くて仕方なかったような記憶を持っていたということ?」
アリスはブツブツと私に対する考察をつぶやき始める。
ドーラ「わからないけど、そうなのかしら?とにかく、続きを読んでいくわね」
魔理沙「おう、頼むぜ。どんどんメモを取っていくからよ」
マリサはメモを見せながら言う。
ドーラ「ええと・・・なんだって?『・魔力を与えるとボロボロになった右腕ともげた左腕がみるみるうちに元に戻っていった。』・・・」
魔理沙「ふむふむ・・・え?なんだって?」
マリサはメモをする手を止める。
魔理沙「ボロボロ?もげた?一体何したんだ?それに治ったって、人間なのにか?魔力だけで治るはずが・・・」
パチェ「まだ続きがある。読んで」
パチュリーは続きを読むように指示する。
ドーラ「え、ええ・・・『これはこの分裂体が魔法生物であることを意味すると思われる。もう一方の分裂体の方もその可能性が高い。』・・・!」
魔理沙「つ、つまり、ドーラは魔法生物・・・なのか、パチュリー?」
パチェ「その可能性が高い、と書いてあるでしょう?確実ではない。けれども、私が立てた仮説とほぼ一致しているわ」
魔理沙「パチュリー、お前がドーラを魔法で複製したとかじゃあないのか?」
パチェ「何でわざわざそんなことしなきゃいけないのよ。人手は足りているし、身体的にはほぼ普通の人間のこいつにそうする理由がない」
魔理沙「・・・それもそうだな」
パチュリーは少し誇らしげだ。
アリス「ということは・・・プリズムリバー三姉妹みたいな存在ということかしらね?彼女らは魔力だけで生きているポルターガイストだから」
パチェ「そういうこと。かなり性質は近いと思われるわ。ポルターガイストの方はちゃんと見たことはないけど、多分おんなじようなものだと思うわ」
アリスは自分の考えを言う。
慧音「むぅ・・・ドーラ、他にはなにか書いていないのか?」
小難しそうな顔でケーネ先生は私に問う。
ドーラ「ええと・・・というか、パチュリーが話せばいいじゃない」
パチェ「嫌。しんどいし、私は喘息持ちなの。それに、あなた自身が声に出して読んだほうが覚えやすいだろうし」
パチュリーは面倒くさそうに屁理屈を言う。
パチェ「ほら、さっさと読みなさい」
ドーラ「わかったわよ・・・『・分裂前は人間と同じ、もしくはかなり近似した魔力の波を感じた。』」
慧音「確かに、私が寺子屋で一緒に過ごしている最中でも人間だとしか思わなかったからな」
アリス「初めて拾ってあげた時もそうだったわ。今は何か人間のそれじゃない別の力を感じるけど・・・」
アリスとケーネは私と過ごした時のことを思い出している。
ドーラ「・・・『陰と陽の双極の力が互いに打ち消し合ってそう見えていたのだろう。陰の気はこの分裂体の原動力である魔力とする。』ということは、私はプラスの何かで作られてるってこと・・・?」
パチェ「そういうこと。見てる感じでは、あなたは霊力で形作られた存在、と言った感じかしらね」
ドーラ「霊力・・・って、私、死んじゃったの!?」
パチュリーの霊力という言葉で驚く。
パチェ「それは違うわね。あなたは元々そういう存在だった、と考えられる」
ドーラ「ど、どういうこと・・・?」
恐る恐るパチュリーに聞く。
パチェ「さっき、アリスは過去や記憶からもう一人の人格が生まれたとつぶやいていたけど、私は異を唱えさせてもらうわ」
アリス「元々多重人格だったってこと?」
アリスは多重人格説なのかと聞くが、パチュリーはそれも否定する。
パチェ「それも違うわ、アリス。私は、『元々は双子で、それぞれ生き別れて違う人生を歩んだ二人が死んで幻想入りを果たした結果、二人で1つの存在になってしまった』という説を考えているわ」
咲夜「あら、やっぱり双子なんじゃないですか」
ドーラ「だから、双子じゃない!」
双子説を推してくるサクヤとパチュリーに私は怒鳴る。
パチェ「けれど、そうしないとつじつまが合わない。アレほどまで見事に魔力と霊力が重なって打ち消されるなんて過去に事例がない。双子説が正しいとしか思えないわ」
ドーラ「む、むぅ・・・」
私は言い返せない。確実とはいえないからだ。物心つく頃には私はもう孤児だった。姉や兄と呼び親しんでいた仲間は居たが、血のつながった兄弟姉妹が居るかどうかはわからないからである。
パチェ「まあ、向こうの凶暴なのに確認を取らないとわからないけどね。あんなに闘争心むき出しの状態じゃ話せる状況ではないし」
パチュリーはお手上げといった感じでもう一人の私の状態を呆れる。
文「ふむふむ・・・それで、もう終わりですか?他に何もなかったら霊夢さんたちが向かったもう一人のあなたと二人が並んだ写真を撮りたいのですが・・・」
黙ってメモを取り続けていた新聞記者のアヤは私に聞いてくる。
ドーラ「このあとはなんだかわからない表やグラフや模様がいっぱいだから、理解が出来ないし終わりっちゃ終わりだけど・・・」
パチェ「ま、そこから下は素人じゃ読めない内容ね。あなたが読めなくてもしかたがないわ」
ドーラ「わざわざ言わなくてもいいんじゃ・・・」
魔理沙「ホントお前はいやみったらしい奴だなぁ」
マリサはパチュリーの一言多い発言に苦言を漏らす。普段からこのような性格なのだろう、パチュリーは。
ドーラ「・・・まあ、後は読める人間に任せようかな。行きましょう」
アリス「新聞にされて、有る事無い事広められるからやめておいたほうが良いわよ」
アリスはアヤについていかないように忠告する。
文「心外ですね~私はいつも事実だけを記事にしていますよ。なんたって、清く正しい『文々。新聞』ですからね!あ、ウェッジショットさんもどうです?購読します?」
自身のアピールと販促を忘れないアヤ。
ドーラ「お金が無いし、今は遠慮しておくわ・・・それより写真を撮りたいのでしょ?どうせ私ももう一人の方と話をしなきゃと思っていたし、構わないわ」
アリス「ドーラ」
アリスは大丈夫なの?という顔で私の名を呼ぶ。
ドーラ「大丈夫よ。取材には慣れてる」
アリス「そういう問題じゃ・・・」
文「はいはいはい、本人から確認も取れましたので他人は口出し無用!」
アリス「む・・・」
アヤは強引にアリスの阻害を制止する。
文「さ、ウェッジショットさん!早く行きま・・・」
アヤが私の手を掴んで部屋を出ようとする。その時だった。
(ゴォォォン)
ドーラ「うわっ!?」
部屋が揺れる。なかなかに大きい。私はなんとか体制を持たせる。
魔理沙「な、何なんだぜ!」
パチェ「・・・まさか」
パチュリーはまずいという顔をする。
(ゴゴォォン)
また揺れる。さっきよりも大きい。
ドーラ「な、何が起こっているの!?」
思わず私は叫んでしまう。どうなっているのだ。
パチェ「レミィが何かやらかしたんだと思うわ!あなた達、私を中心に・・・」
パチュリーは皆を一点に集めようとする。
(ドグォオオオーン)
魔理沙「うわぁっ!?」
アリス「な、何なの!?」
爆音が鳴り響き、皆驚く。大量の火薬が爆発するような音。私は寒気を感じる。
【WARNING】
HUDの表示に危険というサインが表示される。私の心が危険だと感じているからだろうか。
パチェ「早く!私に寄って!部屋にワープするわ!」
パチュリーは皆を集める指示をし、私達はそれに従う。
ドーラ「集まったわよ!」
パチェ「§∌∠∇・・・!」
そしてパチュリーが何かをつぶやくと、周囲は光に飲み込まれた。
霊夢「ちょっと、何してんのよ・・・!この馬鹿力め・・・!!」
レミィ「このクソッタレ!!私に傷を負わせたな下郎風情が!!!」
【REIMU】【REMILIA】
視界が晴れると、レイムがレミリアを羽交い締めにしているのを見つける。レミリアの服はおそらくもう一人の私の血で真っ赤に染まっている。
霊夢「先に・・・仕掛けたのはあんたでしょうが・・・!無視されたくらいで・・・突っかかるから・・・!!」
レミィ「う、うるさいっ!!こいつが悪いのよ!!!」
霊夢「この・・・500歳児め・・・おとなしくなさいよ・・・!!」
ドーラ「ど、どういう状況・・・?」
壁には大穴。夜で暗い外の景色が見える。
魔理沙「おい、大丈夫かよ!?」
小悪魔「う、うーん・・・パチュリー様~・・・」
【COREKUMA】
小悪魔は黒焦げになって伸びている。マリサはその頬をペチペチ叩いて意識があるかを確認する。
ドーラ?「・・・クッ」
【DORA WEAKENED】
そして、もう一人の私を視界に入れる。右脇腹に風穴が開いている。さらに、私に向けてやったようにあの電磁砲を放ったのか、今度は右腕が綺麗サッパリなくなっている。
パチェ「レミィ!落ち着きなさい!」
霊夢「いいところに来て、くれたわね・・・!!早いことこいつを・・・御札にも限界がある・・・腕が持たないわ!!」
レイムは辛そうにパチュリーに頼む。
レミィ「パチェ!!邪魔するんじゃあ無いわよ!!」
パチェ「あなたが私に邪魔をしなかったらね。∃∽∇¶・・・」
怒るレミィの威圧を全く受け付けずにパチュリーはまた何かをつぶやく。するとどうだろうか。
(ポツポツ・・・)
レイムとレミリアの周りにだけ水滴が落ち始め、
(ザーッ)
土砂降りの雨となったのだ。
霊夢「ナイスよ、パチュリー!!」
パチェ「霊夢、出てきなさい。レミィには少し反省してもらう」
レミィ「パチェ!!!」
パチュリーが雨のカーテンを作り、霊夢はそこから出てくる。だが、レミリアは動けない。
パチェ「吸血鬼のあなたは流水に触れられない。大事な実験体を壊されちゃ困るのよ。咲夜?」
パチュリーはサクヤを呼ぶ。
レミィ「お、おい、まさか!やめて、パチェ!!咲夜!!!」
咲夜「なんでございますか、パチュリー様?」
パチェ「百叩き」
咲夜「かしこまりました!」
パチュリーが指示を出すと、サクヤは音もなくレミリアの尻を丸出しにして構えている。
レミィ「!!!!」
咲夜「さ、お仕置きの時間ですよ~」
レミィ「や、やめて!やめてよ咲夜!!主に恥をかかせるのか!!!」
咲夜「ふふふ、ご安心を。嫌がるお嬢様も素敵ですわ!」
そして、サクヤは手を振り上げ、レミリアの尻に振りかざす。
(パチィン)
咲夜「い~ち」
レミィ「きゃうん!!」
おしりペンペンである。可哀想に。
(パチンパチンパチン・・・)
咲夜「に~、さ~ん、よ~ん・・・」
レミィ「ひゃう!この、くそっ・・・パチェ、きゃう!覚えて、ひゃん!!」
パチェ「大丈夫よ。皆その姿は忘れられないでしょうし。写真も撮ってもらうといいわ」
文「あやや、なんか使命を感じます!撮らせてもらいますよ!!」
(パシャリ、パァン、パシャ、パチィン・・・)
ドーラ「・・・うわぁ」
目も当てられない状況である。
パチェ「これでよし。それより・・・」
パチュリーはもう一人の衰弱した私の方に目を向ける。
ドーラ?「うぐぅ・・・くぁっ・・・ゴボゴボッ・・・」
血反吐を吐き、へたり込み、その場から動かない。虫の息である。
霊夢「大丈夫!?あいつはほんとに手加減しないんだから・・・」
慧音「こ、これは本当に大丈夫なのか・・・?助かる、のか・・・?」
レイム、アリス、ケーネ先生がもう一人の私の周りに寄っている。
アリス「ええと、確かパチュリーのレポートには魔力を与えれば傷が塞がるって書いてあったはず・・・えい!!」
アリスは両手をもう一人の私にかざす。アリスの手はほんの少し光を放つ。
ドーラ?「・・・・・・」
ドーラ「・・・う、嘘でしょ?ほんとに・・・?」
もう一人の私の体はみるみるうちに元に戻っていく。十数秒でもう脇腹の風穴がふさがっている。
パチェ「ほんとに手がかかる。レミィが逆上してあなたの片割れを傷つけた時のために簡易魔力供給装置を置いておいたのに、それごと部屋をぐちゃぐちゃにしてしまうんだから」
パチュリーは私に向かって独り言のようにつぶやく。レミリアという少女は一体何者なんだ・・・
パチェ「あなたは近づいちゃダメよ。あなたを見て興奮して、また騒ぎを起こされちゃかなわない」
ドーラ「そ、そうね。そうしとこうかしら」
そうこうしているうちにもう一人の私は右腕も完全に治ってしまった。
アリス「・・・ふぅ、これでよし。もう一人のドーラ、大丈夫?」
ドーラ?「余計な、事を・・・ウッ」
霊夢「おっと」
【DORA SLEEP】
緊張がほぐれたはずみか、もう一人の私は気を失う。霊夢はそれを受け止める。
ドーラ?「スー・・・スー・・・」
アリス「・・・寝ちゃった」
慧音「とりあえず、一件落着だな・・・しかし、本当にドーラそのままだな、こいつは」
ケーネ先生は私と見比べている。
ドーラ「・・・・・・」
私も少し離れた場所からもう一人の私を見る。・・・目が覚めた時にも見たが、気味が悪いほどおんなじ顔だ。
パチェ「さて、あとは咲夜の百叩きが終わるのを待つだけね」
(パチィンパチィン)
咲夜「よんじゅうきゅ~う、ごじゅ~う!ほら、まだ半分ですよ~お嬢様!」
レミィ「うー、うー、もう嫌だ・・・クスン」
咲夜「ああ・・・かわいい・・・」
雨のカーテン越しで顔は分からないがサクヤの幸せそうな声が聞こえる。レミリアの悲痛な声も。
文「ふぅ、撮った撮った!これで次のネタには困らない!」
アヤはやりきった笑顔で出てくる。雨でびしょびしょである。
パチェ「・・・まだもう少しかかるわね。ドーラだっけ?」
今度はパチュリーはちゃんと私に話しかけてくる。
ドーラ「え、ええ。そうよ」
パチェ「あっちの寝てしまった方は私が預かっておく。色々と調べさせてもらうわ」
パチュリーはもう一人の私を預かるという。
ドーラ「・・・私は構わない。知らないことを調べてくれるならね。けど、乱暴はし過ぎちゃダメだからね。私にも影響が出たら怖いし」
パチェ「善処はするわ。それと、週に1回は紅魔館に来てちょうだい。霊夢と一緒にね」
ドーラ「な、何でよ」
パチェ「片方だけじゃわからないことだって有ると思うから。あと、あなたには霊力が関わってくると思われる。片割れの方は魔力だから全然問題はないが、霊力は管轄外。だから霊夢も連れてくるようにね」
一方的に話を押し付けられているが、私自身を知るためだ。仕方がない。それに、コウマカンではサクヤに料理を教えてもらわねばならない。
ドーラ「・・・紅魔館、サクヤにはまだ用があるから来るのは来るわ。レイムは連れてこれるかわからないけど」
パチェ「そう」
パチュリーはあまり表情を変えずにふぅとため息を付いた。
文「ウェッジショットさーん!こっち!こっちですよ!」
アヤが私を呼ぶ。
文「ほら、今のうちにツーショット撮っちゃいますから、ここに座ってください!」
どうやら、新聞に使うネタの写真が撮りたいようだ。
ドーラ「・・・わかったわ」
色々と思うことはあるが、まだ頭がこんがらがっている。とりあえず、今日は写真をとったら帰って寝よう。頭を整理するのはそれからでも遅くない。そんなことを思いながら私はカメラに向かってポーズを取った。
(パシャリ)
第10話・完
(パチィン)
咲夜「ななじゅうきゅ~う、ふふふ」
レミィ「きゃうんっ・・・私はほったらかしかよぉー!!!」
(パチィン)
レミィ「ひゃうぅん!!!」
続く・・・
紅魔館は破壊される運命に有る。
それはそうと、第11話はしばらく間が開くと思います。第1話からすこしリメイクをしようと思っているからです。
文章の体系も台本形式から普通の文章に直していこうと思うので、ご了承ください。