ペルセウスの問題児に憑依したそうですよ?   作:問題児

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もう一人のジャンヌ・ダルク 2016/11/12 修正

 

 ジャンヌ・ダルク

 オルレアンの聖処女と呼ばれる百年戦争で有名なフランスの英雄であり、世界でも最も有名な聖女。十七歳で故郷を発ち、十九歳で火刑に処されるわずか二年間で歴史に名を刻んだ。フランスを救った聖女であり、奇跡とも呼べる快進撃を成し遂げた後、貶められて悲劇的な結末を迎えた。

 彼女の逸話として、捕縛されてからも奇跡を起こし続けた事があげられる。聖書とわずかな祈りの言葉以外、何一つ知らないはずの村娘が一流の神学者を相手に一歩も引かず当意即妙に議論し、異端として処罰することが難しくなった程だったと伝えられている事からその凄さが伺える。

 

「ルイオス、彼女は大丈夫なのか?」

「問題ないです」

「? どうなさいましたか?」

 

 周りの兵士達はジャンヌを警戒している。そんな彼らを不思議そうに小首を傾げながら見るジャンヌ。俺の身内だという事は分かっているので警戒はしていないのだ。

 

「父上達はジャンヌが俺に危害を加えないかが心配なのだろう」

「そうですか。それならば既に制約を受けていますので問題はありません。それにもしもの場合は絶体絶命権を使えばよろしいのですから」

「そうだな」

 

 この絶体絶命権はフェイトの令呪と同じようにされている。令呪とはフェイトで聖杯からマスターに与えられるサーヴァントに対する絶対命令権だ。令呪はサーヴァントに対する絶対命令権ではあるが、逆に言えばサーヴァントには令呪以外の命令に従う義務はない。だが、その反面、令呪で自害を命じて実行させる事すら可能だ。令呪によって命令された事は逆らう事はほぼ不可能であるが、例外が存在する。令呪は基本的には召喚時に三つだけ貰えるのだが、複数個、所持したり、魔力を与えて復活せる事も可能だ。もちろん、膨大な魔力を消費するので使いまくる事はできない。今回、俺の腕に令呪と同じ物が大量に刻まれている。

 

「父上、制約を受けていますが念のためにこれかからジャンヌを絶体絶命権……令呪を使って、更に縛ります」

「うむ。ギフトゲームで縛っているが、何があるかわらからないからな」

「ええ。では……ジャンヌ・ダルクよ、マスターたるルイオス・ペルセウスが令呪を持って命ずる。我の為に生きる女となれ」

「なっ!? マスターっ!!」

「再度、令呪を持って命ずる」

 

 驚くジャンヌに沢山使って増幅しておく。これで対魔力EXを突破して彼女は俺の女になる。令呪は明確な命令をする程強力となるので、これでいい。というか、対魔力が他のジャンヌと合わさってさらに強化されているので二〇画も必要となった。どんだけ硬いんだ。

 

「ジャンヌ・ダルクはこれより、マスターのお、女となります……」

 

 真っ赤になりながら宣言するジャンヌ。可愛いな。もっと成長していたら今すぐにでも食べてしまいたい。残念ながらまだ来ていないので、抱きついて胸に顔を埋める程度だ。

 

「ますた~~!」

「よいではないか、よいではないか」

「えっちなのはダメです!」

「ちっ」

 

 無理矢理ジャンヌに引き離される。その時、目にしたのは唖然とする部下達と頭に手をやって頭痛を堪えている親父の姿だった。ただ、ジャンヌに対する警戒心はなくなっていた。元のルイオスの性格が出ている。きっとそのせいだ。もとの俺はこんなエロくは……ごめんなさい、エロいです。えろえろです。

 

「うむ、計画通り」

「絶対違います……ひゃぁっ!?」

「おぉ、柔らかい」

 

 ジャンヌの胸をもみもみしていると、真っ赤になったジャンヌが旗を振り下ろして来た。それは俺の頭に直撃してそのまま倒れてしまう。

 

「ふふふ、マスターは仕方ありませんね。これは私が正しく導かねばなりません。ええ、スパルタ教育です」

 

 やばい、遊び過ぎたかも知れない。でも、倒れた俺を抱き上げてくれる。

 

「とりあえず、大丈夫なのか?」

「痛たた……大丈夫、大丈夫です。っと、その前に俺に危害を加える事は禁止する。他の者達にも自身や俺に危害などが出る場合は許可する」

「畏まりました」

「それと、ジャンヌの身体は俺の物だから他人には使わせるなよ」

「あっ、当たり前です!」

 

 真っ赤になって言ってくるジャンヌから離れる。それからジャンヌの手を引いて魔法陣から移動していく。

 

「あらあら、もう行ってしまうの?」

 

 魔法陣の方からジャンヌと同じ声が聞こえてきた。

 

「っ!?」

 

 その声にジャンヌが振り返り、旗の着いた槍を高速で振るう。すると相手が黒い旗の着いた槍が同じように高速で振るわれており、激突する。両者の旗は衝撃波を作り出して両者や俺に襲いかかる。魔法陣から互いに飛び去り、距離を取る。ジャンヌは俺を抱えて飛んでくれた。

 

「ルイオスを守れ」

「「「はっ」」」

 

 直ぐに親父が命令して部下達が動く。その間に俺は襲いかかってきた相手を見る。彼女は黒い服装を身にまとったジャンヌそのものだ。なぜ彼女が召喚されたかは不明……といいたいが、彼女もまたジャンヌの可能性の一つといえる。それが例え、聖杯によって歪められた存在だとしてもだ。もしかしたら、俺がオルタもと願ったからかも知れない。

 

「下がってください。彼女の相手は私がします」

「ジャンヌ……」

 

 ジャンヌは直ぐに彼女の下へと向かう。そこで白と黒の二人のジャンヌが激しく激突し合う。

 

「楽しいわね、私!」

「貴女は私ではありません」

「そんな事はないわ。例え生まれがどうあれ私はジャンヌ、それに変わりはないわ。例えジルによって聖杯の力で生まれた私だとしても! そうよね、オリジナルさん」

「それは……」

 

 互いに攻撃しあうジャンヌ達。黒い方はジャンヌ・オルタといい、自分を裏切ったフランスに憎悪を抱き、己の救済全てが過ちだったとしてフランスを滅ぼさんとする黒いジャンヌだ。ただ、その正体はジル・ド・レェが聖杯によってそうあらんと創り出した存在だった。つまり、彼女は……

 

「ジャンヌの妹、それでいいだろう。戦いを止めろ」

「「え?」」

 

 二人が戦いを止めて俺の声を聞く。それと同時に二人が急停止して戦いをやめる。二人に対して絶対命令権は有効のようだ。

 

「か、身体が……」

「くっ、動かない」

 

 二人共が、ジャンヌ・ダルクであるなら令呪や制約は有効のようだ。ジャンヌ・オルタはジャンヌと別であるが、あくまでも同じ存在という扱いのようだな。双子の姉妹みたいなものだな。その属性は正反対だが。創作ゲームとかでよく闇落ちしたジャンヌとかも居るので、そちらがジャンヌ・オルタに集約したのだろう。

 

「二人共、姉妹として仲良くするように。訓練の時以外で互いの戦闘行為を禁止する」

「そうですね。妹というのも欲しかったですし、構いません」

 

 あっさりと納得したジャンヌは下がる。

 

「嫌よ。なんで私がこんな偽善者の妹なのよ!」

「後から生まれたからだろう」

「ぐっ。愚かな事を言ってんじゃ――」

「よしよし」

「――撫でるなっ!!」

「あっ、ごめんなさい。つい」

「こらっ、抱きつくんじゃない!!」

 

 ジャンヌに抱きつかれ、撫で回される黒ジャンヌ。さすがは白ジャンヌという所か。とりあえず、あっちは放置だ。

 

「父上、問題ありません。あっちの黒い方の正体もジャンヌ・ダルクです」

「そうなのか?」

「はい。黒いジャンヌ・ダルクは闇に落ちした聖女の状態が集約しただけです。二人合わせて、ジャンヌ・ダルクという事ですね」

 

 父上にギフトカードを見せる。ギフトカードに変更があった。そこにはギフトネームとしてジャンヌ・ダルク(聖・闇)の名前が刻まれていた。彼女達もギフト扱いのようだ。だが、受肉はされているようで召喚され隷属していることを示しているようだ。

 

「まあ、これならば問題ないだろう」

「では、私の修行は彼女達に付けてもらうという事で構いませんか?」

「ああ、もちろんだ。だが、剣や槍以外は大丈夫なのか?」

「黒ジャンヌの方はそちらも得意のはずです。とくに召喚系は」

 

 黒ジャンヌは自ら召喚の術式を変えたり、本当に様々な事が出来る。ジルから教えて貰ったのか、聖杯から知識を引き出しているのかはわからないが、魔術師としてはかなり高位の部類に入るだろう。

 

「ならば召喚のギフトを持っているお前にはちょうどいいか」

「ええ」

「ならこの場は解散とするか。それと彼女達の部屋はどうする?」

「私の部屋で問題ありません」

「わかった」

 

 親父が部下達に指示を出して帰っていく。俺はジャンヌ達を連れて部屋に戻る。

 

「ここが俺達の部屋だ」

「広いですね」

 

 ペルセウスの跡取りだけあってかなり広い部屋を与えられている。それこそ数人で生活しても余裕がある。流石は金持ちといえる。

 

「まあ、野宿よりましね」

「いえ、野宿は野宿でいいですよ。干し草の山で眠るの気持ちよいですから」

「むっ、それは否定できないわね。って、そうじゃないわ。なんで私達が一緒に生活しなきゃいけないのよ」

「無理を言ってはいけませんよ」

「ふん。それよりこれからどうするのよ。箱庭の知識は手に入ってるから別にいいけど」

 

 箱庭とは強大な力を持つギフト保持者が面白可笑しく生活できる為に造られたステージであり、今でこそ神々の遊び場と化しているが、本来は外界を正しく発展させるために造られた神造世界、即ち第三観測宇宙である。

 

「そうですね。マスター、予定はどうなっておりますか?」

「しばらくは俺の強化だな。二人に戦い方を教えて貰う。それから魔力が溜まったら召喚しやすく、強力な者達を呼び出す」

 

 今だけは簡単に召喚できるのだ。出来る限り、強い者を召喚するべきだろう。

 

「畏まりました。しっかりとマスターを教え導きましょう」

「そうね。この愚か者だけなら偽善者になるでしょうけど、私もいるのだし悪役としてしっかりと仕込んであげないとね」

「悪役なんて駄目ですよ。それに私の事は姉さんと呼ぶのです」

「嫌よ」

「ルーラーの権限を使用し、令呪を持って命じます」

 

 ルーラーではないが、ジャンヌはルーラーのスキルも所持しているようだ。

 

「ちょっと待ちなさい! なんでできるのよ!?」

「やろうと思えばできます。それと嫌なので待ちません」

「マスター!」

 

 助けを求めるようにこちらを見つめてくる黒ジャンヌ。そんな彼女に俺は一言。

 

「令呪を使う必要はない。これから姉さんと呼ぶように」

「そんなっ!?」

「ふふふ、妹です」

「ええい、べたべたくっつくなっ!!」

「とう」

 

 抱きついている二人の間に入って柔らかい胸の感触を楽しむ。

 

「くそっ、覚えていなさいっ!! マスター、ねっ、姉さん……っ」

 

 照れながら叫ぶ黒ジャンヌもまた可愛かった。しかし、その後に行なわれた修行は苛烈を極めたとだけ言っておく。それと実験して調べたのだが、受肉していても霊体になれた。私生活も含めて俺の護衛としては最適だな。

 

 

 

 

 

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