ペルセウスの問題児に憑依したそうですよ? 作:問題児
アスタリアキャラを増やしました。
本日は母親に呼ばれて、庭園に来ている。この庭園は何処までも続く深淵のような深い闇に常に閉ざされている。本来なら、ペルセウスの誰一人として近づかない場所だ。ここは父親ですら、滅多に来る事はない。俺は時たま入っては母親と戯れている。
「ここに入るの?」
「物凄く嫌な予感がするんですが……」
「沖田さんも、これは不味いと思います」
「楽しそうね」
「怖い……」
「……」
エドナ、ジャンヌ、沖田、黒ジャンヌ、ジル、カノンノの順番で感想を告げて来る。確かにこれはやばい。普通ならば恐怖を感じるのだろうが、不思議と安心するのだ。
「行くぞ。手を繋ぐから、俺が歩いた通りに来てくれ」
「ええ」
「はい」
順番に手を繋いで歩いていく。俺は闇の中でも道が分かる。というか、闇の中の方が調子がいい。しばらくすると、天井から夜空が映し出され、星の光で黒や赤黒い花々に囲まれたテーブルが見えてくる。
「いらっしゃい」
そこには艶な雰囲気を持つ見た目小学生のゴスロリ少女が座っており、優雅に紅茶を飲んでいる。彼女こそが俺の母親であるアンリ。こんな姿だが、明らかに人間ではなく、どちらかというと魔王だろう。
「なんで急に呼び出したんだ?」
「そんなの、ルイオスが全然遊びに来ないからよ。後、おも……娘になる娘達を見極めないといけないじゃない」
「今、玩具っていいかけたわね」
「言ったわね」
「ええ、言ったわよ」
あっさりと認めたアンリは直に闇を操作して作り出した触手で、俺達を強制的に席を座らせてくる。
「外れないわわね……」
「ふふ、この空間で私に逆らう事など、例え善神でも不可能よ。貴女達のような矮小な存在では特にね」
「言ってくれるじゃない。やってやるわ!」
黒ジャンヌが力を籠めるが、一切発動しない。それどころか、椅子から落とされて地面に押さえつけられて、床にキスさせられる。
「ふふ、精々無駄に足掻いて私を楽しませなさい」
「あ~それで顔見せだけなのか?」
「まさか。外で効率の悪い訓練をしているみたいだから、優しいお母様が直接、鍛えてあげようと思っただけよ」
「ここで、訓練?」
「ええ、見るに堪えない無様な姿を晒す息子にはテコ入れが必要でしょう? たかだか、一つの世界を救う為に産みだされた存在を反転させ、滅ぼす存在にしただけの娘に助けがなかったら殺されたでしょう」
「いや、たかだかのレベルじゃないから」
世界一つがたかだかって、どんな規模だよ。
「し、質問です」
「何かしら、裏切られた聖女さん」
「貴方様は……」
「あら、天啓? でも、黙ってなさい。潰すわよ」
「わ、わかりました」
「そう、いい子ね。しっかり、その心と身体を使ってルイオスに使えるのよ」
「わ、わかりました……」
ジャンヌはアンリの正体を知ったようで、顔を真っ青にして身体を抱きしめている。
「おかーさんとおとーさんのおかーさんだから、私達のおばーちゃん?」
「ちょっ⁉」
「そうなるのかしら? そうよね。孫か……うん、こっちおいで」
「うん!」
ジルがアンリに抱き着く。そのまま、膝の上に乗せて撫でていく。
「この子は報われない殺された子供達の集合体なのね。いいわ。私と同じ属性ね。プレゼントをあげましょう」
「いいの!?」
「ええ。短剣がいいかしら?」
「いっぱい解体できる?」
「ええ、出来るわね。後は神格でもあげようかしら」
「ちょ、与えられるのか?」
「ええ、与えられるわよ。私、悪神の分体だから」
「衝撃の事実……」
「といっても、やっぱり訓練してからね」
「は~い」
「剣の修行も出来ますか?」
「出来るわ。というか、貴女はまずその病気から治そうかしら?」
「出来るのなら、お願いしたいですね~」
「……やっぱり、止めたわ」
「何故!?」
「その血を使えるようにしたら面白そうだからよ」
ジルと沖田も打ち解けたようだ。いや、よくはわからないが。エドナは我関せずと紅茶を飲んでいる。
「エドナだったかしら」
「なに?」
「貴女の兄、私なら元の姿と意識を持った状態にしてあげられるわよ」
「本当?」
「ええ。ルイオスと約束したようじゃない。してあげてもいいわよ?」
「代価は?」
「息子を愛する事ね」
「……わかった。いいわ」
「ルイオスもいいかしら?」
「いや、助ける方法もまだないから、確実な手段があるなら、頼みたい。ろくに調べずに助けられないとか嫌だしな。ましてや、殺しが救いとか、論外だ」
あのゲーム、アレは絶対に認められない。調べてすらいないし、クリア後にはカー○ランド島に行ったのにそこでも調べていない。本当にエドナが可哀想だ。典型的な詐欺に騙された感じじゃないか。
「本当に、お兄ちゃんを助けられる?」
「ええ、助けてあげるわ」
「なら、俺からも頼む。出来る事ならなんでもするから」
「なんでも?」
「嫁達に被害が及ばない内容なら」
「じゃあ、こうしましょう。私が課す訓練を達成したら、ご褒美をあげるわ。二人のご褒美はそれにしましょう」
「わかった。エドナ、頑張ってアイゼンを助けるぞ」
「ええ、頑張るわ」
「最小の方も有効よ?」
「わかっているわ」
「ならいいわ。じゃあ、問題はそっちの娘ね」
「……?」
アンリはカノンノを見る。彼女は不思議そうに小首を傾げている。
「貴女は私の弟子にしてあげましょう。徹底的に鍛えてあげるわ」
「……それが……主の希なら……」
「だって」
「頼む、カノンノ」
「……わかった……」
こんな話をしていると、アンリの身体から槍が生えた。見ると、蹲ったまま、黒ジャンヌが槍を突き刺していた。
「へえ、闇に押し潰されながら私に攻撃するなんて、贋作の癖にやるじゃない」
「なめんじゃ、ないわよっ! あっ、あああああああああぁぁぁっ!!」
全身に力を入れて、立ち上がる黒ジャンヌ。しかし、直ぐに大量の触手に拘束される。エロ同人みたいに。
「はっ、これは闇でしょ。だったらやる事は簡単よっ!」
何を思ったのか、黒ジャンヌは触手に噛みついて、噛み千切って食べてしまった。その直後、炎が噴き出して触手を焼き払う。それも食べていく。
「やはり、生より焼いた方が食べられますね」
ぺっと破片を吐き出して口を手で拭う黒ジャンヌ。
「はしたないですよ!」
「五月蠅いわよ、黙ってなさい、姉さん。こいつは、私が殺るんだからっ!」
「ふふ、はねっ返りは好きよ? でも、貴女に出来るかしら?」
「がはっ⁉」
アンリが軽く手を振るうだけで、黒ジャンヌの腹に風穴が空いて吹き飛ばされる。明らかに致命傷だ。
「ちょっ、何してんだよ!」
「安心しなさい。この程度じゃ、死なないわ。むしろ……」
「くすくす、いいわ、いいわよ。もっとよ、もっと私に寄越しなさい!」
軽やかに立ち上がったジャンヌ。彼女の周りの闇が吸い込まれていくように開けられたお腹へと入っていき、直ぐに完治してしまった。それどころか、髪の毛が長くなり、鎧が最終再臨に変わってしまった。
「な、何が起こっているのですか?」
「貴女の偽物ちゃんは私の闇を取り込んで、自らを強化したのよ」
強化……いや、むしろ改造じゃないか。
「そうか……自己改造EX」
「確か、持っていましたね」
「反則じゃない。なにそれ」
「でも、身体はともかく。心は持つのかしらね?」
「母さん?」
「確かに私の闇を使って身体は強化できるわ。ただの人が竜に勝てるくらい。でも、それって劇薬なのよ。私の闇は
「むしろ、大丈夫じゃないか?」
「……そうね。そうよね」
憎悪を糧に冥府より蘇ったアヴェンジャーだしな。むしろ、そういった物とは相性がよくて好物だろう。実際に立ち上がった黒ジャンヌのプラチナブロンドは綺麗な光沢を放ち、肌は瑞々しく感じる。作られている鎧も剣も槍も本人も禍々しいが芸術品のような美しさがある。美しさも含めて、何もかもが強化されている。
「自力で神格を得ているわね。いいわ、貴女も私の弟子にしてあげる」
「お断りよ!」
突っ込んできた黒ジャンヌが振るう槍を、アンリが人差し指で受け止める。背後から無数の幻影の槍が襲い掛かるが、触れる前に消滅する。
「駄目よ、その程度じゃ全然駄目。私と戦いたいなら、星を完全に滅ぼす一撃を撃てないと、話しにすらならないわ」
「くっ、これでも届かないなんて……」
「でも、合格よ。いいわ、貴女の相手は貴女自身よ」
「なんですって!?」
闇が黒ジャンヌとジャンヌそっくりに変化する。
「彼女達は貴女達よりも強いわ。だから、二人でしっかりと倒すのよ」
「なんでこいつとなのよ!」
「二人で一人だからだろ」
「ですね。わかりました。やりますよ、ジャンヌ」
「ちっ、仕方ないわね……足を引っ張るんじゃないわよ、姉さん」
「はい。防御は私がします。攻撃は任せますよ」
「ええ、適材適所ね」
ジャンヌ姉妹が自分自身の闇と戦いだす。
「私も混ぜて欲しいですね~」
「そうね。お兄ちゃんを助ける為に私もやるわ」
「私達もおとーさんとおかーさんの為に頑張るよ」
「じゃあ、訓練をしましょうか。取り敢えず、基礎体力を増やす為に重力を10倍にしてランニングね。でも、その前に着替えましょう」
「桁がおかしい……」
女性陣はシャツにブルマ。俺はシャツに半ズボン。そんな姿に着替えて庭園に戻ると、騎士達まで居た。彼等も一緒にひたすら庭園だった場所を走らされる。庭園は一瞬で姿を変え、地獄のような場所へと変化していたのだ。
「ほら、速く走らないと食べられちゃうわよ」
後ろから悪魔達に追いかけられながらである。普通ならエドナ達はきにしない。
「えどなちゃ~ん、じるちゃ~ん、おじさんと良い事しようよ~」
追って来るのが
「来るなっ、来るなっ!」
「いやぁぁっ!」
「これは……ごふっ」
「沖田!」
血を吐いた沖田を抱えつつ、逃げる。女オークまで居るのだから、逃げるしかない。騎士の中には女オークに掴まったり、男に掴まって抱きしめられてキスされたりしている者も居る。そんな姿をアンリは爆笑しながら、転げまわってこちらを見たりしている。その片手間でカノンノを鍛えている。彼女の場合は重力が600倍になっている。
母親による地獄のブートキャンプが始まった。それが数年も続くのだから、ペルセウスは地獄である。だが、力の使い方はしっかりと教えて貰えた。