影のサーヴァントがハルケギニアを行く(凍結)   作:鹿島鹿

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実践訓練!:特異点B-3

 結論から言うならば、それを決闘だと本心から思うものはいなかっただろう。

 まるで紙細工のようにルイズの使い魔によって倒され…いや、破壊されていく僕こと、ギーシュ・ド・グラモンの青銅のゴーレム、『ワルキューレ』達。

 彼が拳を振るうだけで瞬く間に分解されていくワルキューレ。これなら立ちながら夢を見ている方がまだ現実的ではないのか?

 僕はドットのメイジとは言え、そして、錬金されたゴーレムが金属でも比較的固くないとはいえ、生身の拳でへこませるならともかく、粉砕するのはどう考えてもおかしい。

 今まで感じたことない恐怖と不条理に混乱しながらも出せる限りのゴーレムを増産していくのだった。

 

 

 

~~~~~

 

 原作的にも今回の出来事はチャンスだった。二股をかけているらしいギーシュ・ド・グラモンと言うらしい生徒と若干トラブルになりそうだったため、あえて煽ってみた。

 実は言うと、日常へとシフトし始めていた日々に退屈を感じ始めていたことと、シャドウサーヴァントの能力の実戦テストが行いたいと言う気持ちがあったのだ。

 案の定、メイジはプライドが高いらしく、ちょっと煽ったら「いいだろう!決闘だ!」等と見事に釣れた。

 おぼろげな原作知識でも、こいつが最初の当て馬だった気もするし、一石三鳥だろう。

 

「これはまた…お祭り騒ぎだなオイ」

 

 時間指定された頃の広場に到着するとかなりの数の生徒たちが野次馬として賑わっていた。

 

 「コレで負けたら赤っ恥じゃすまないかもな…」

 

 「なら今から降参するかい?泣いて謝るなら許してやらないこともないが?」

 

 気障ったらしい声がする方の人混みから今回の決闘の相手、ギーシュが現れて皮肉げにそう言った。

 

 「勘違いしてるようだが、君が赤っ恥で済まない、と言う意味だよ」

 

 「ッな!?」

 

 怒りで一瞬表情を変えるギーシュだが、もちろん先程の言は最初は自分に対してだ。アドリブの挑発でも結構すぐ怒るから、結構楽しい奴だな。

 

 「そんなにひどい目にあいたいようだね?良いだろう。すぐに始めよう。いでよ!ワルキューレ達!」

 

 ギーシュが叫び杖を振るうと地面から騎士風の鎧のようなものが4体現れた。

 こちらも行くとしよう。

 日々の研究の結果、シャドウサーヴァントはセット制であり、一つのサーヴァントを模したら5分間は他のサーヴァント変えられない。そして、セットされたサーヴァントは変更がない限りずっとその状態を維持できる。

 と言うよりは外し方が解らない現状である。もうこの先の人生超人固定なのはどうかなあ。とは思うが、ちゃんとサーヴァントを選べば、特に問題はないようだ。

 閉話休題。

 今現在セットしてるのはセイバー、アルトリアだが…鎧に続いて武器までどこからともなく取り出したらメイジと思われそうで面倒だ。

 素手のサーヴァントにしよ。

 

 「チェンジアサシン!李書文!」

 

 自らの見た目は、今回は変わらなかった。

 何度か訓練を行い。武装の表現を行うかどうかを任意で決められるようになったのだ。騎士王の鎧など、多少戦闘能力が落ちる場合があるが女性サーヴァントの際どい服に俺が着てたらまさに地獄絵図である。

 もちろん、この詠唱により身体の内側、戦闘能力はまさに、かの魔拳士へと変貌を遂げたのだ。目の前の玩具(ゴーレム)では正直お話しにならないだろう。

 

 「あの平民終わったな」

 「生身でゴーレムに挑むとか、ただのいじめだよな~。それを見に来たんだけどさ」

 

 モブっぽい奴らのやや不愉快な言葉が聞こえる。よしあいつらにもわかりやすく倒してやろう。今決めた。

 

 「…………セイッ!」

 

 ドン!

 

 ~~~~~

 

 「大変です!ケンさん…使い魔さんが!」

 私の部屋を訪ねてきた確かシエスタとか言うメイドが部屋に慌てて訪ねてきて事情をようやく理解した。

 よくわからない自信に溢れているけどアイツは平民だ。メイジの相手なんて出来るわけがない。そして何より…

 

 「私の使い魔が、死んじゃうなんて…許さないんだから!」

 

 急いで行かないと…!

 メイドと一緒に広場へと駆ける。はしたないと言う当然の疑問はなぜかその時は浮かんでこなかった。

 広場にたどり着いて、人混みを退かして進むようやく視界が開いた!

 

 「ケン!?アンタ大丈…」

 

 ドン!

 

 アイツ…ケンが地面を蹴って小気味良い音がなると皆の視線がアイツへと更に引き込まれる。

 地面を蹴り、前へと跳んだのだ。だが、酷く不自然だ。そんな跳躍なのに時間がスローになったかのようにアイツの動作はゆっくりで目で追える。そして、ギーシュのゴーレムへと掌を振るった。あ、拳を振るうんじゃないんだ。なんてちょっと抜けた疑問がその時ふとよぎった。問題はそこだけじゃないだろうに。

 ケンの掌がゴーレムの胴に吸い込まれる様に向かう瞬間が私にも見えた。けれど、ゴーレムもそれを操っているギーシュですら反応どころか、身動き一つ取れなかった。

 

 「……あ」

 

 バン!

 

 今度は重い、打楽器からなる重低音のような振動と音が、ケンが突き出した掌とゴーレムの胴が触れ合った瞬間に響いた。ゴーレムはバラバラに解体された。

 

 「…意外に脆いな。でもまあこんなものか。」

 

 掌を開いたり閉じたりと、自分の性能を確かめるように呟くケン。その姿勢や佇まいは言葉では表現できないけれど、とても洗練されていた。まるで訓練された軍隊の動きの様に。

 

 「………綺麗」

 

 思わず口から漏れ出た言葉だった。まるで劇の題目を見せられたかのような感じだった。

 私も含めて生徒たちの何より驚愕だったのが、魔法の気配を全くさせていなかったということ。つまりあれは、武術か何かであって、きっと純粋な技術なのだ。

 魔法の使えない私でも、努力すればあれと同じこと、いやその10分の1でも出来るだろうか。

 そんな衝撃は、私の心を掴んで離さないのだった。

 

~~~~~

 

 「まずは一体撃破と」

 

 自分の身体の調子は良好だ。確かめるように手を開閉する。

 

 「な、なんだ…平民じゃなくてメイジなのか?」

 

 「でも魔法の発動は全く感じなかったし…」

 

 「なら単純な武術だけっていうのか!?」

 

 「そんなバカな…」

 

 周りの奴らもようやく状況を飲み込めたようで口々に騒ぎ出す。まあ、解りやすい動きをしたしな。それに隠蔽系のスキルである圏境も使っていないし、ある程度見せる感じに動いたんだから多少は理解してもらわなくては。

 今後ちょっかい出されても困るしな。

 

 「わ、わ、ワルキューレ!」

 

 ギーシュのやつが同じ鎧の騎士ワルキューレ?を再び一体作り出し、4体がまとめて襲い掛かってくる。

 少し、感心した。今の一撃で普通なら勝てないと戦意が無くなると思ったのだが、存外に根性がある。

 

 「よし、せっかく用意してもらったんだから全部壊させてもらう」

 

 「なっ!?」

 

 最初の一撃で硬度は大体把握した。一撃で破壊しないように手加減しつつ格ゲーのコンボを決めるかのようにワルキューレを粉砕していく。

 无二打(にのうちいらず)と呼ばれたこのサーヴァントの能力を借りているのだから、一撃で仕留めないのはやや心苦しいが、あまり力を示しすぎるのも不安があるし仕方ない。

 

 「そんな馬鹿な…メイジの魔法が、平民の武術なんかに、負けるはずが…」

 

 顔面を蒼白にしながら、尚もワルキューレを作り出すギーシュ。やっぱり根性あるやつだなと再び感心する。

 ギーシュのところに行こうと思えばすぐに行けたが、ワルキューレが出来るまで待って襲いかかってきたら粉砕する。

 しかしそのうち魔力が尽きたのか、膝を付くギーシュ。

 目の前までゆっくり歩いて移動し、ゆっくり拳を向ける。

 

 「…降参だ。僕の負けだよ…」

 「悪かったな」

 「え…」

 「正直お前を、わざと煽った。身体を動かしたかったのもあってな。無意味な挑発をしたのは謝罪する」

 「……………どちらにせよ、僕は敗者だ。君の挑発も二股するなという一理あるものだった。僕からはそれ以上ないよ」

 

 降参したがさわやかな顔でそう言うギーシュ。魔力を使い切って疲労してるせいか口論した時よりも落ち着いていて素直な感じがした。気障なしゃべり方も薄れてるし、案外こちらが素なのだろうか?

 ギーシュに肩を貸して校舎に向けて歩いて行く。周りからもポツポツと歓声が起こる。

 

 「ギーシュ!負けたけど根性見せたな?それでこそトリステイン貴族だ!」

 「使い魔の方も結構やるじゃないか」

 

 ギーシュと俺。お互いに苦笑を浮かべながら校舎に足を向ける。

 俺もこいつも単純なやつである。こういうので仲良くなったりするのは、男の特権だよな。

 

 「めでたしめでたし」

 

 「な~にがめでたいのかしら?」

 

 「!?」

 

 何やら負のオーラを撒き散らしながら人混みから現れるピンク髪の我がマスター。

 黒いオーラが俺には見える。ルイズオルタか何かかな?

 

 「アンタは!私に!どれだけ迷惑かけたと!思ってんのー!!!」

 

 「う…今回はたしかに俺が悪い。だが無事解決したというか男の友情の成立というか…勘弁してくれないだろうか?」

 

 気が付くと肩を貸していたギーシュは既にいなかった。男の友情(笑)自己保存のスキルとか持ってそうだなアイツ。

 

 「許すわけ無いでしょー!このバカ犬ゥゥゥゥゥゥゥゥ!」

 

 「まて、ルイズ!爆発の魔術は非常に周りを巻き…」

 

 「うるさあああい!」

 

 俺めがけて爆発の呪文を連打するルイズ。人混みに逃げるわけにも行かず、建築物を巻き込んだら後で請求されて怖そうと言う理由から逃げる場所は限られているのでいずれ喰らうだろう。

 ならば…!

 

 「チェンジセイバー!アルトリア!」

 

 今の俺は対魔力Aランク!俺はテンプレは好きだが酷い目に遭うテンプレはノーサンキューだ。

 爆発が迫る。さあ掻き消えろ。

 …ん?なんか効果ない?炎が迫ってくるんだが…あ、ちょ。

 

 「虚無には効果なしかなのか…?この世界の魔法もやるじゃな…アッー!」

 

 爆発して上空にふっとばされギャグ漫画なら星になってるであろう状態の俺が意識を落とす前最後に見たのは…

 グッ!っと擬音が鳴りそうな程のガッツポーズを取るルイズ。

 今まで手加減してたのか物理的なお仕置きだったしそれはすべて躱してたもんな。初クリーンヒットである。

 彼女の満足そうな表情がやけに輝いて見えた。

 

 悔しくなんてないからな…

 

 




イリヤ「爆発オチなんてサイテー!」
作者「こ、これはゼロ使リスペクトやから(震え声)」
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