あの決闘から数日経った訳だが、周囲はそれなり変わった。
生徒たちは馴れ馴れしく話しかけてくる様になったし、ルイズは俺をお仕置きするのに魔法を使うことに躊躇が亡くなった。
…耐久が高いサーヴァントセットした方が良いのかなあ。ルイズの爆発が全く効いてない中、不敵に笑う俺…決め台詞は「お前、弱いだろ。ドンッ☆(セルフ効果音付き)」で決まりだな。
…前に吹っ飛ばされたのを根に持ってなんかいないからな!
閉話休題。
特に待遇が変わったのが、学園で働いている平民達からの評価である。
前は「同じ平民で貴族様にこき使われて可哀想」と言う同情的な対応が主だったが、今やコック長のマルトーさんを中心に俺のことを平民なのに貴族に立ち向かう勇敢な「我らが剣」等と称して持ち上げまくってくる。素手で戦ったから『我らが拳』でないのかと思ったが、世紀末の臭いがするのでそちらでなくてよかったと考え直した。
まあ悪い気がしないが毎回会う度に何かにつけてご馳走を振る舞われて俺の胃がマッハである。
ギーシュとも軽口を叩き合う程度に仲良くなれたし、あれはあれで話してみると真っ直ぐなやつだった。女好きなのは年頃の男だし仕方あるまいと言う事にしておこう。
女と言えば、他の生徒たちがいない時を見計らってはメイドたちがキャーキャー寄ってくる様になり、「力こそモテ期」等という戯けた脳内名言が一瞬頭を過る程だった。
「あら、ケン。会いたいと思った時に会えるなんて運命を感じるわね?」
そんなことを考えていたからだろうか。最近あまり会いたくないと感じる人物に出会ってしまった。
廊下を歩いていて出会ったのは燃えるような赤い髪と瞳、艶やかな褐色の肌、そして何より制服をわざと開いた露出の激しい少女…と言うより女性と感じる人物がそこに立っていた。
「や、やあキュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストーさん」
フルネームで彼女の名を言ったのは会話の主導権を握られないためである。なんたって彼女は…
「あら、もうフルネームを覚えてくれたんだぁ?やっぱり私の事気にしてくれてるのかしら?」
素早い動作で距離を詰めてくるキュルケ。馬鹿な。あれから変更してないサーヴァント、李書文の敏捷はAランクだぞ!?
これが魔性の女、『微熱』の二つ名を持つキュルケのハンターとしての実力なのか!?
そう、決闘の後、やたらと彼女にも絡まれる日々である。
ちなみに先ほど、彼女と出会いたくないと言ったが、別に嫌っているわけではない。別に彼女に彼氏がダース単位でいようが当人達が納得してるのならいいと思うし、個人の自由である。官能的な彼女に近づかれるとついドギマギしてしまうが、男としては仕方のない事ではある。いい匂いがするとか思ってないぞ。
しかし、そんな彼女と距離が縮まると決まって現れるのが…
「あ、あ、アンタ達何やってるのよ!」
我らがマスター様である。このパターンこの数日でもう5度目なんだけど君たち打ち合わせしてないよね?
「このバカ犬ゥゥゥゥゥゥゥゥ!」
ふん、甘いぞルイズ。何度も同じパターンを経験した俺に死角はない!
「チェンジアーチャー!アーラシュ!」
これで俺は圧倒的な耐久力Aランク、更に頑強EXランクのスキルも合わさり最強の防御力を誇る!
さよなら爆発四散の日々!ようこそクールな俺!そして既に射程外にいるキュルケ!女って怖い。
ドゴォォォン!
と、強烈な爆発音。
「ノァァァ!?」
木の葉のように吹っ飛ばされる俺。
見える走馬灯。バナナの皮。
なんとか意識を戻して体制を整える。
「いやまてルイズ!マジで?痛いんですがソレ!?」
マスターとかなんとか取り繕わなくなる程痛いです。
必死に伝えるが、それを聞くと目を細めて本当に嬉しそうに微笑むルイズさん。あの、貴方目覚めちゃいけないものとか覚醒してないですか?
「それは良い事を聞いたわ。くらいなさい!」
「防御無視とか未実装だからッ!ノォォォォォォ!」
間違いなく騒がしく、良好(?)な学園生活になったと言えるが爆発オチだけはいつか必ず克服してみせると胸に誓う俺なのだった。
…根に持ってなんかいないからな!