最愛なる彼女により
その際、僕にとっては
☆
『なー忍、寝ているところ悪いが女性物の服を作ってくれないかー』
僕は自室に入ると自らの影に向かって話し掛ける。
『………』
無視された…。
『なー聞こえてんだろー、のぶエモンってばさー』
搾りかすとはいえ、元々が夜行性である吸血鬼の忍は昼間はほとんど寝ているのだが、ペアリングである僕の声が聞こえない筈は無い、たぬき寝入りである。
『おーい忍ちゃーん、ゴールデンチョコレートが君を待っているぞー』
僕は右手に持っていた「ミスド」の箱を、自身の影の上で左右に
『ぱっないのー!!』
『グエっ』
意味不明な口癖は、僕の影の中からウルトラマンよろしく、右手を突き上げた(シュワッチ)姿で登場した金髪幼女の第一声であり、そして蛙がつぶされたかのえずきは、自身の影に聞き耳を立てるべく
『ゴールデンチョコレートは
元怪異の王様はゴールデンチョコレートひとつで地球を壊す気でいるらしい…、
『まて忍、ゴールデンチョコレートなら
『んをーー、さすがは我が主様じゃー、何個入っておるのじゃ、ポンデリングは外しておらんじゃろなー、はようその宝箱をこっちにー』
よだれを垂らしながら、満面の笑みで両手を突き出してくる金髪幼女はそれはそれは可愛らしいのだが、その中身は600歳の伝説の吸血鬼である油断する訳にはいかない。
『いいだろう、僕の頼みを聞いてくれたらこの箱は忍に渡す』
僕は「ミスド」の箱を忍に見せつけた後に箱をテーブルの上へと置き、テーブルと忍との間で両手を広げた。
『頼み事じゃと…、さっさと
言葉こそ返しているが忍の視線はテーブルに置かれた箱から一切離れない、前傾姿勢を取りつつ僕の
『僕の体型にあった女性物の服を作ってくれ!!』
『な…ん…じゃとー…』
忍にとって僕の頼みがあまりにも意外だったのだろう、目覚めてから一度も僕に向けられなかった視線が、ようやく
『僕は女物の服にあまり
『ゆうてることの意味が分からんぞ、なーお前様・服を作ることはよい・じゃがその服を着るのは誰じゃあ、まさかとは思うが…』
『その・まさかだ、ひたぎを怒らせちゃってさ、これから女装をしてひたぎの部屋に行くことになった』
『か・かかか…かーかっかっかー、それはなんというかのー、お前様のことじゃからさぞかし似合うと思うぞー』
金髪幼女は
『余計な同情はしなくていい、かえって
『かかか・よし分かった、お前様にぴったりの服を作ってやろうではないか、その代わり
『なんだかとっても楽しそうだな、忍さんよーお前のセンスにすべて掛かってるんだからな、ちゃんとした物を頼むぜー』
先ほどとは違い、目尻を
『分かっておる・みなまで言うでないわ、ほれ・そのセンスの欠片もない服をさっさと脱いで目を
僕の服装とはそんなにもセンスの無い物なのだろうか、まージーンズにポロシャツって似たり寄ったりだから、特別にセンスがあるファッションでは無いけど…、僕は忍に言われた通りに服を脱ぎながら、改めて自分のセンスについて考えてみたが、はっきり言って個性なんてものは
『なんじゃあお前様、へこんでおるのかえ、そう気に病むことでもなかろう、確かにお前様は物語の主人公としては、背が低く・顔もパッとせんし・服装に
『そんなの取り柄じゃねー、単なるロリコンじゃねーか、服装にセンスがないのは
『そうでもないぞ、人間なんぞは20代も
『忍にしては
『まーそういう事じゃが、今は儂に任せて居ればよい、お前様によく似合う服をコーディネートしてやるから安心して目を瞑っておれ』
『悪いな、
僕は忍の言うとおりに、パンツ一枚の姿で鏡の前に立ち、静かに目を瞑った。
『うーむ・まずこのすね毛はよくないのー、それにお前様の場合は線は細いが無駄に筋肉質じゃからなー、あまり体のラインが分かる服はダメじゃな、顔の
目を瞑ったままパンツ一枚で立っている僕を、金髪幼女がいろいろな角度からつぶさに
『よし出来た! もう目を開けても良いぞ・お前様』
おっ、もう出来たのか、流石に忍の能力はチートだな、本当に一瞬だぜ。
『あ…あー…あーあーあー…、誰だコレ…』
『どうじゃー、気に入ったであろう』
『
目の前にある鏡に映ったのは間違い無く僕である、因みに僕はナルシストという訳ではない、では
『そうじゃろ・そうじゃろ、お前様のゴツゴツした体と・その根暗そうな顔では、儂の
『
『何を慌てておるのじゃ、儂がそんな半端なことをする訳がなかろう、
『いや忍、お前のセンスの良さはよくわかった、正直自分でもビックリするぐらいの可愛さだよ、だがな・僕はこれからひたぎの部屋に行かなくてはならないんだ、女装をして行くとは言ったが
『嫌じゃ!』
『な…、おいおい忍さん、嫌ってどういう意味ですかー』
『お前様を男に戻すのが、嫌じゃと言うておる』
『ふ…っふっふっふっふっふぅー、なるほどー僕を男に戻すのが嫌だとねー、取り
『そんなの決まっておる、ブサイクじゃからじゃ、儂のデザインしたゴスロリが
『お前さっき人の個性に対して
『ふん! 儂は儂の
『ふざけんな~、いいから早く元に戻しやがれ~』
『嫌じゃ、嫌じゃ・嫌じゃ・嫌じゃー』
やはり後日譚というか今回のオチ、忍と僕はその後
ちょっとしたフリから、そこに至るまでの経緯を簡単に書こうと思っていたんですが…。
書き始めたらなかなか終わりません、申し訳ありませんがあと少しのお付合いを、よろしくお願いします。