モテ期と修羅場は同時にやって来るものである   作:藤龍

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スノー・ファミリー②

 

 

 

 

 

 

 

 

 我が家の前から冬花さんの運転するリムジンに乗り、移動する事約一時間。車は白場市から遠く離れた地にある町、青城(あおしろ)市の町外れを走行していた。

 車で一時間ほどと言っていたから、目的地の朝倉家がこの青城市にあるのはほぼ間違えないだろう。だが辺りは一面木々に囲まれ、人っ子一人居ない上、家なんて物も全然見当たらない。

 本当にこんな場所に家なんてあるのだろうか? 若干の不安を覚えた俺は、運転席に座る冬花さんへ問い掛けた。

 

「あのー、あとどれぐらいで着くんですかね?」

「そうですね……あと一、二分もすれば到着致します。もう私有地に入っていますから」

「あ、そうですか…………え?」

 

 今、さらっと衝撃的な単語が出た事に数秒遅れて気付き、正面に戻しかけた首を再度冬花さんの方へ戻す。

 

「私有地……? ここ、道路ですよね?」

「はい。間違えなく道路でございます」

「……でも私有地なんですか?」

「はい。数分ほど前から、既にこの車は朝倉グループの私有地に突入しております。ここら一帯は全て朝倉グループ……というより、旦那様の私有地になります」

「んなっ……!?」

 

 あまりのスケールの大きさに、思わず顎が外れそうになる。

 

「な、なんでそんな広い範囲を……」

「旦那様はドライブを趣味の一つとしていて、『他の車に邪魔されずかっ飛ばしたい』との事らしく、ここら辺の土地を買い占めたらしいです」

「な、なんですかそれ……」

 

 金持ちの感覚やべぇ……俺が今まで経験してきた知識じゃとても受け止めきれん。

 恐らく、今後も俺の想像なんぞ軽々と超えるスケールの話が出てくるはずだ。いちいち驚いてちゃ身が保たんぞ……今までの常識を捨てるぐらいの意気込みでいないと。

 もう何が来ても驚かんぞ――そう気を引き締めた直後。曲がり角を曲がった瞬間に正面に見えた光景を目の当たりにして、俺に目玉が飛び出そうになるほどの驚愕が襲い掛かった。

 視界に映ったのは、巨大な家……いや、それは最早家とは言えない物だった。そう、言い表すなら――城。かつて夏休みの時に黒南島で見た朝倉家の別荘。それを遙かに上回る大きさを誇るそれを、俺は目を皿にして見上げた。

 

「もしかして……あれが?」

「はい。朝倉家、お嬢様の実家でございます」

「…………デッカ!」

 

 もうそれ以外口に出せる言葉が無かった。西洋のファンタジーに出てきそうなお城を、俺はただただ呆然と見上げるしかなかった。

 

「あら? 壁の色が変わっているわね?」

「ええ。先日使用人総出で軽く外壁リフォームを致しましたので」

「なるほど……相変わらずコロコロ色が変わる家ね。前に来た時は黒だったかしら?」

「ええ。ただ奥様のお気に召さなかったようで、すぐに塗り替えましたけど。旦那様は気に入っていたようですが」

「ふぅん……そういえば、先月お父様が言っていたあれは結局作ったの?」

「ああ、あの等身大スケールの戦艦の模造品を庭園に飾るというあれですね? 奥様が必要性を感じない、邪魔と一蹴致しました」

「そう……まあ、仕方無いわね。お父様のアイデアは無茶苦茶だもの。前は敷地内に線路を引いてSLを走らせるとか言ってたかしら?」

「それもうるさいとか言われて、奥様に一蹴されてましたね。私は少し興味があったのですがね。SLは運転した事無いもので」

 

 という朝倉先輩と冬花さんによる身内の会話について行けず、俺は完全に蚊帳の外状態になる。

 外壁の色ってそんな頻繁に変えるもんだっけ……等身大スケールの戦艦ってなんだよ……SLってなんだよ……ツッコミどころが多すぎて、もうどこを驚けばいいのか分からん。

 俺の中の常識がおかしいのかと疑い始めた頃、車が軽く数十メートルはありそうな巨大な鉄格子の門を抜けて、これまた巨大な庭(庭と表現していいのか分からないレベルの広さだが)を数分ほど走り、ようやく巨大な城の前に停車する。

 門を抜けても数分車で走らないと着かない家って……もう、ツッコミしてもキリが無いな。

 

「では、私は車を停めてくるので、お二人はお先に中へ。旦那様達がお待ちですよ」

「は、はい……」

「ありがとう冬花。さあ友希君、行きましょうか」

 

 先に車を降りた先輩が、車内に居る俺に向かって手を伸ばす。俺はその手を取り下車。恐らく駐車場へ向かったリムジンを見送ってから、長い階段を上がり、巨大な玄関を潜って朝倉家の内部へ足を踏み込んだ。

 恐らく別荘の時みたいにメイドさんが出迎えてくるのだろうなと、あらかじめ心構えをしながら進むと、俺の予想とは違う人物が出迎えに来た。

 

「お、来たね。やあやあ友希君。それに雪美も、久し振りだね」

 

 と、どこか軽い言葉を口にしながら現れたのは、ビシッとスーツで着飾った朝倉先輩の兄、雹真さんだった。

 

「お兄様……? どうしてここに?」

「いや何、ついさっき雪美が友希君とここに来るって聞いたから、出迎えに来た訳さ。あんまり大勢のメイドに出迎えられちゃあ、友希君も恐縮しちゃうかと思ってさ」

「そ、それはお気遣いどうも……」

「それは分かりましたけど、私はどうしてこの家に居るかという意味で聞いたのですが? 最近はお仕事が忙しいと聞いていたのですが」

「ああ、今日は休みを取ったよ。愛しい妹の誕生日ぐらい、兄として祝ってやらないとね。まあ、今年は友希君が居るから、必要無かったみたいだけどね」

「……で、本当の目的は?」

「聖夜に一人寂しい思いをしているお嬢様方に、癒しの時間というプレゼントを届けようと思ってね。しばらくしたら街に繰り出すつもりさ」

 

 と言いながら、雹真さんは口元に爽やかスマイルを浮かべた。

 

「とんだサンタクロースですね……まあ、お好きになさって下さい。一応、黒塗りのトナカイに見つからないように注意して下さいね」

「黒塗り……? よく分からないが、その忠告は受け取っておこう」

 

 黒塗り……ああ、メイド服を着た地獄のサンタクロースさんか。見つかったら、プレゼントあげるどころじゃ無いよな。

 

「とまあ、それは追々として……まずはやる事をやるさ。友希君、ついて来てくれるかい?」

「どこへ?」

「客間に着替えを用意させてある。まずは着替えるといい。雪美も、部屋で使用人が着替えを用意している」

「着替え……? またどうして」

「一応、君はこれから朝倉グループ総帥である僕達の父に会うんだ。それなりの格好をしていた方がいいだろう。それに――お義父さんにご挨拶するなら、ビシッと決めるのが男というものだぞ?」

 

 と言って、雹真さんは俺達に背を向けて歩き出す。

 ご挨拶って……別に今日はそういうのじゃ……でもまあ、相手が相手だし、確かに正装ぐらいはしておいた方がいいな。

 

「じゃあ……先輩、またあとで」

「ええ。友希君の格好いい姿が見れるの、楽しみにしてるわね?」

「ハハッ……過度な期待はしないで下さいね」

 

 そんな会話を交わし、俺は先輩と一旦別れ、雹真さんの後を追い掛けた。

 

 

 ◆◆◆

 

 

「……やっぱり、こういう服は似合わないな、俺」

 

 と、俺は目の前にある姿見に映る自身の格好を見据えながら呟いた。

 雹真さんの手により朝倉家内の一室に案内された俺は、すぐにその部屋に用意されていた正装に着替えた。

 用意されていたのは、正装の代表格たる衣装である上下黒ずくめのタキシード。もちろん着る人が着ればとても様になるのだろうが、どうも自分にはこういった服装は似合わない。

 文化祭の時もコスプレ感が拭えなかったからな……俺はこういうしっかりした服装は向いてないんだろうな、きっと。

 

「そうかな? 僕は似合っていると思うがね」

 

 俺の呟きを聞き取ったのか、傍らで待機していた雹真さんがフォローの言葉を掛けてくる。

 

「そうですかね? 雹真さんと比べると、どうにも垢抜けないというか、なんというか……」

「もっと自信を持ちたまえ。まあ、タキシードを完璧に着こなす高校生の方が珍しいだろう。少なくとも雪美は満足するだろうし、いいんじゃないかな?」

「はぁ……」

「さて、そろそろ行こうか。書斎にて父と母がお待ちだ」

 

 扉を開き外へ出た雹真さんに続き、俺も部屋の外へ出て彼の後を追い掛ける。

 いよいよ朝倉先輩のご両親と対面か……話は今まで何回か軽く聞いた事あるけど、実際にどんな人なのかは詳しく知らない。悪い人では無いんだろうけど、不安が大きいな……立場が立場だし、下手な事言ったらどうなるか分かったもんじゃないな。

 色々と考え過ぎているせいか、緊張、不安が収まる事無く心に渦巻き、自然と気持ちがナーバスになる。

 

「――少しは肩の力を抜きたまえ」

 

 すると突然、前を歩く雹真さんが首を後ろに向けながら声を掛けてくる。

 

「緊張するのは分かるが、そんなガチガチでは却って悪印象を抱かれかねんぞ? 父はどちらかと言えば堂々とした人の方が好みだからね」

「は、はい……分かってはいるんですけど、どうにも……」

「心配ないさ。父も母も、君と会いたがっていたしね。いきなり『娘はやらんぞど畜生!』とかは言われないさ。……まあ、別の方向で驚かされるかもね」

「最後に不安な一言付け足さないで下さいよ……」

 

 でも、雹真さんの言う通りだな。不安に思ってるのが相手に伝わったら、相手だって不快な思いを抱くはず。ならばあまり緊張し過ぎるのも良くない。別に今は娘さんを下さい的な事を言いに来た訳じゃ無いんだし、気楽に行こう、うん。

 軽く深呼吸をして、頬を叩き気合いを注入する。

 それから歩く事数分、正面に扉らしき物が見える。その扉の前には、冬花さんが俺達を待っていたかように立っていた。

 

「お待ちしておりました。さあ、旦那様と奥様がお待ちです」

「おや? 雪美は来ないのか?」

「お嬢様はあとでゆっくりとお話しするそうです。まずは世名様だけで、お二方とお会いになってほしいと。その方が旦那様達も私を気遣う事も無いだろうから――だそうです」

「なるほど……じゃあ、僕も外で待っていようかね」

 

 と、雹真さんは雪美さんが立つ方とは逆、扉の右側に移動する。

 

「えぇ……!? ここから俺一人ですか!?」

「みたいだね。まあ、頑張りたまえ」

「ファイトでございます」

「ま、マジですか……」

 

 少なくとも先輩は一緒だろうと考えてたから、一人で会う事は全然想像してなかった……でも、ここで怖じ気づいていても仕方無い。

 覚悟を決め、俺は正面の扉に手を掛けて、ゆっくりと開き中へ足を踏み入れた。

 扉の先に広がっていた光景は、左右、そして正面の壁が大量の本で埋め尽くされた大きな部屋。書斎なのだから本はあって当然なのだが、想定していたよりもずっと数が多く、部屋の広さも学校の教室が丸々二部屋入りそうな程度はある。

 何もかも想像を超えていた事に面を食らってしばらく立ち尽くしていたが、正面に二つの人影を見つけ、ハッと我に返る。

 

「……君が、世名友希君かね?」

 

 と、その人影の一人――部屋の奥にある、校長室とかに置かれていそうな横長の机に肘を突き、口元で手を組むというよく見る威厳のある姿勢を取る茶髪の男性が口を開く。

 恐らく、あの人が朝倉先輩の父親だろう。黒いスーツ越しでも分かる(たくま)しいガッシリとした体格に、アゴ髭を生やし、目はまるで獅子のように鋭い。声も渋く迫力のあるもので、今の一声だけで息が詰まりそうだ。

 

「……どうかしたかね?」

 

 再度声を掛けられ、俺は慌てて返事をした。

 

「い、いえ……その通りです。初めまして……」

「ああ、初めまして。私が雪美の父、朝倉葉霰(ようせん)だ。そしてそこに居るのが私の妻の立華(りっか)だ」

 

 先輩の父、葉霰さんは隣に立つ、白地に水色の雪の柄が描かれた着物を着た女性へ目線を送る。女性は言葉を発さずに、凍り付いたような無表情のまま静かに頭を下げる。

 その女性の見た目は、まさに大人の朝倉先輩だった。元々朝倉先輩は大人びているところがあるが、それを遙かに上回る大人の色香という物が溢れ出ていて、先輩と同じ銀髪青眼。違うところと言えば、ショートカットであるところぐらいだろう。それにかなり若々しい。先輩の姉と言われても疑わない。

 

「さてと……君の事は色々と聞いてはいる。何やら娘とは、複雑な関係性らしいね?」

「あ、えっと……まあ、なんというか……」

「別に責めている訳では無い。恋愛とは様々な形があるものだ。ただ、やはり親としては色々と考える事もある。出来る事ならば、君と雪美の現状などは色々と聞きたいものだ」

「それは……た、例えば……?」

「そうだな……あまり長々しく話をするのもまどろっこしい。単刀直入に聞こう」

 

 一体何を質問されるのだろうか――さらに高まる緊張と不安を抑え込むように唾を飲み込み、俺は葉霰さんが口にする質問に備える。

 そして数秒の間を開けて――彼は最初の質問を、声に出してぶつけた。

 

「君と雪美――ぶっちゃけ、どこまで行ったのかね?」

「…………はい? なんて……?」

 

 質問の意味が理解出来ず、思わず聞き返してしまう。

 

「いや、だって高校生といえばお盛んな時期だろう? いくら交際していないとはいえ、雪美は君に好意を向けているのだから、なんだ……色々あるだろう?」

「は、はぁ……?」

「どうなんだい? ぶっちゃけもうAぐらいまでは済ませているのかい? それともBぐらいまでは進行済みかい? それともまさか、Cに突にゅ――イッタイ!」

 

 突然、スパンッ! という気持ちの良い音と共に葉霰さんの会話が途切れる。

 音の正体は、葉霰さんの頭が閉じた扇子に勢いよく叩かれた事により発生したもの。そしてその扇子で葉霰さんを叩いたのは、横に立つ彼の妻――ゴミを見るような冷ややかな目で己が夫を見下ろす、立華さんだった。

 

「何を話しているんですかアナタ? そんなくだらない事を聞いて、如何なさるおつもり?」

「いや、くだらなくなんて無いだろう! これは家族の将来に関わる大事な問題だろう! もし彼と雪美がやる事やっちゃってたら、私達は五十になる前にお爺ちゃんとお婆ちゃんなんだぞ?」

「……はぁ……第一に娘の性事情を気にするなんて、相変わらずの下ネタ魔神ですね、アナタは」

「いやいや、これはだね――」

「お黙りなさい。それ以上口を開くのなら、その股にぶら下がる汚い睾丸を引っ剥がしますよ? もう二人も子孫を残したのだから、不要でしょう?」

「子孫残したからって取って良いものじゃ無いよこれは!? それに無くなったら君だって困――イタイッ!」

 

 再び立華さんが葉霰さんの頭に扇子を叩き込む。そしてさらに扇子による往復ビンタを数回繰り返し、葉霰さんを完全に黙らせてから、彼女はこちらへ目を向ける。

 

「……お見苦しいところをお見せしましたね」

「……あ、いえ、全然! あの……なんか机に突っ伏してますけど……平気ですか?」

「いつもの事なのでお気になさらず。さて……来てもらっておいて申し訳無いですけど、話は後でいいかしら? この変態腐れ下ネタクソ野郎に灸を据える時間を頂きたいので」

「あ、はい……分かりました……じゃあ……失礼します」

 

 理解が追い付かないが、とりあえずぺこりと頭を下げて、俺は逃げるように部屋を出た。

 直後、再び部屋の中から軽快な音が響いたので中を確認したい衝動に駆られたが、第六感が止めといた方が良いと告げたので、そっと部屋の前を離れた。

 

「やあお帰り友希君。どうだったかな? 我が父と母は」

「なんというか……想像の斜め上でした」

「まあ、そうだろうね。でも、君が想像していたよりかは、親しみ易い人だったんじゃないか?」

「うーん……どうなんでしょう?」

 

 堅物な人よりかは、確かにああいった感じの方が緊張しなくていいとは思うが……あれはあれで、どうなんだろう? 会話時間が短いから、判断材料が少ない……

 

「ひとまず、考えるのは後にしたらいいさ。今度はしっかり話せるだろうしね」

「そうですね。一旦あんな旦那様の事はお忘れになって、本来の目的であるお嬢様とのデートを堪能しては如何でしょうか? お嬢様もそれを望んでいられるでしょう」

「……そうですね」

 

 まだどんな人達かは詳しく分からないんだ。それじゃあ考えは纏まらないし、また後で会った時にゆっくり考えよう。……つーか今、雪美さん()()()とか言ってたな。仮にも仕える立場でしょうに。

 

「さあ世名様、この先にあるベランダにてお嬢様がお待ちです。まずはゆっくり、お二人だけでお夕飯をお召し上がり下さい」

「あ、分かりました」

「楽しみたまえよ、少年。さて……それじゃあ私はお邪魔だろうし、そろそろ帰ろうかな」

「ああ、雹真様はこのままお部屋まで。新しい仕事をいくつか調達してきましたので」

「……え? 僕、今日は休みを取ったつもりなんだけどなぁ……それに予定があってだね……」

「予定? 聖夜に一人寂しい思いをしている女性へ癒しの時間というプレゼントを送る……という不確定要素モリモリなものが果たして予定と言えるのでしょうか?」

「……どうして知ってるのかな?」

「さあ? ああ、それからこれ、お返し致しますね」

 

 と、冬花さんは何かを雹真さんへ渡す。

 

「それは……僕のスマホ? 何故君がこれを……って!? 電話帳が真っ白!?」

「不要なデータがいくつかございましたので、綺麗サッパリクリーニングしておきました。ああ、仕事に関係のあるデータは私が把握しておりますので、ご心配無く」

「ご心配無くじゃ無いよ! ここには昨日のナンパで手に入れた女性達の番号が……あっ」

「やはり……あれは昨日手にしたものなのですね? 全く……年末の忙しい時期にわざわざ休みを取ってナンパとは……それでも社会人ですか?」

「い、いや……アハハハハー……」

「昨日休んだ分、お仕事はたんまりございます。お夜食はしっかりお作り致しますので……頑張りましょうね?」

「……はい」

 

 最早反論する元気すら無いのか、雹真さんは冬花さんに連れられ、トボトボとこの場を立ち去った。

 相変わらずだな……って、そうか。今分かった。立華さんのあの様子、誰かに似てるなと思ったけど……冬花さんに似てるんだ。怒ってる時の雰囲気が。

 

「……朝倉家の女、怖いなぁ……」

 

 将来先輩もああなるんだろうか……そんな若干の不安を覚えながら、俺は先輩が待つベランダを目指して歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 




 とりあえず雪美パパとママが登場。
 雪美の誕生日回なのに彼女の出番が少ない……次回はちゃんとある……はず。






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