仮想世界のソウル   作:のりすもさん

2 / 10
熱:2 /未開の地

冷たい。目を覚まして一番初めに感じた感覚だ。急に目に入った光のせいで視界が大きく遮られる。

次に感じたのは石畳のような硬く、ザラザラとした感触…

の筈がない。ここで感じるのはマデューラにある果ての篝火の骨粉ではないのか?

 

騎士はその違和感を感じた瞬間、跳ね起きた。

その最初の視界に入ったのは篝火ではなく、石碑のようなものであった。これにはさしもの騎士も驚愕を隠せずそのまま少し後退りしてしまう。視界が正常に戻ってくるとますますその驚きが深まる。しかし、冷静さだけは経験から失う事はなかった。

 

見渡す限りの金属的な黒、黒、黒…

まるで王城ドラングレイグにあった玉座の間のような作りをしていたが、唯一、二つの玉座が置いてあった場所には先程の石碑があると言った点が異なっていたが。

…石碑をよく観察すると何やら多くの名前のようなものが記述され、所々には横線のが名前を消し去るように引かれており、その直ぐ横には…落下死、モンスター等と死亡原因らしきものが書かれていた。しかし騎士にとってはどうでも良い事だった。今の騎士は今自らが何処にいるかすら分からず、篝火すらもない。ここは…ドラングレイグなのだろうか?

 

今はひとまずこの宮殿を出る事が先決だろう。そう判断した騎士はくるりと方向を変え、道を探す。

デュナシャンドラや玉座の監視者達との疲労からか、王の鎧が普段よりも重く感じる。そう思ったので、王の装備一式をソウルの内へと収納し、代わりに放浪の一式をソウルから取り出し、それを几帳面に着込んだ。

 

さて、道は何処だろうか…等と感じていた時だった。タッタとかなり急ぎ足で走ってくる何者かの足音がした。

敵か!?直感で直ぐに装備していた太陽の直剣とガーディアンシールドを構える。足音は確実にこちらへと向かって来ており、騎士の緊張と武器に込める力を比例させていく。と、途端にいやな汗が背を伝う。未開の地であるというプレッシャーからか何時もよりも幾分か体が強ばっているようだ。そして、暗闇からその足音の発生源がこちらに見える…

 

「…なんだ…先客がいたのか…っておい!何で武器何か構えてんだよ、お前!」

 

足音の原因は敵ではなかったようだ。目付きが悪く、足元しか見ていないような男がそこに立っていた。

それが分かると騎士は直ぐに武器を収める。相手の男はここに用があったようで武器は装備しておらず、簡素な鎧しか来ていなかった。どうやら騎士の警戒は杞憂に終わったようであった。その途端にふっ、と体の中の力が抜けて行った。そのまま石碑にもたれかかってしまう。やはりまだ疲労がしっかりと蓄積されているようだ。

 

「なぁ…あんたもパーティーの誰かが死んだのか?」

 

パーティー?何の事だろうか?

少なくとも死んだと発言している以上、楽しい事ではなさそうだ。訳が分からないのでジェスチャーで首を振る。

すると男は溜池をつくと、こちらを睨む。何か悪い事をしただろうか?私は余り人と接した事が無かったから多分その経験不足が故にそのマナーを心得てなかったのだろう。

 

しかきそこまで考えある事に気付く。目の前の男の上にある緑色の棒状のラインがある事に。今までの経験ではあんなラインは見た事がなく、ましてやあんな類の魔術や、奇跡、果てには呪術やソウルの本質を突いているともいえる闇術でさえも確認したことがなく、そんな敵もいなかった。では、目の前の男は何なんだろうか?まだ信用が薄いとはいえ、敵ではなさそうだ。ならば思いっきって問うてみるか。

 

「用がないんだったら帰った帰った。ここはあんたのようなもんが来るところじゃないぜ」

 

冷たい視線を投げかけて来たので、大人しくここは質問せずに出口だけ聞き、情報を手に入れようか…そう思っていた時だった。男が私が腰に下げていた太陽の直剣を見ると目を見開き、早足でこちらに詰め寄ってきた。

何か変だったろうか?

 

「なぁ、この武器どこで手に入れた。見た事がねぇ。さてはベータテスターか?」

 

ベータテスター?先程からこの男は何を言っているのだろうか?…話の内容から考察するにベータテスターという土地があり、その場所に何か良いものが落ちているという意味合いなのかもしれない。これでとにかく一つ目の情報は手に入った。まずはそこに行くとしよう。しかし、妙にこの男が突っかかってくるため、移動しようにも邪魔で進むことが出来ない。なのでジェスチャーで指差しをする。

 

「あんた…一言位何か喋ったらどうだ?ジェスチャーだけじゃあ伝わらない」

 

駄目か。やはりここを通るには質問に答えるしかないのだろうか?それはそれで何故だか嫌な気分になる。はて、どうしたものか。

 

そうゆっくりと考えていると、痺れを切らしたのか男が不機嫌な顔をして、騎士の胸倉を掴み怒鳴り散らす。

 

「さっさと答えろ!どうやって入手した!教えろよ!、ベータテスター!」

 

五月蝿いやつだ。放浪の一式が掴まれてはいるがこの男が掴んだだけでは大したダメージにもならない。大方、私が恐喝で喋る事を期待しているのだろうが、それはない。

騎士という素性な以上、口は人一倍固いと自負しているからだ。…と宣言したいが女性だったならば口を割っていたかもしれない。泣いて喚く女性程直視出来ぬものはない。

 

「…だんまりかよ…あぁそうかい!ベータテスター様は1人でぬくぬくと独占か!あぁそうかい!」

 

男は胸倉を掴んでいた手を乱暴に離すと、地面に唾を吐き捨てる。だが、その数瞬後、今度は騎士が目を見開いた。

唾を吐き捨てた事ではなく、その吐き捨てられた唾の方に、だ。唾は地面につくとポリゴンと化しバラバラと割れた鏡の破片のように宙に舞い消えていった。騎士はその光景にただただたじろいだ。

 

本当に私の身に何があったのだろうか?今再三考えるが、纏まった答えが出てこない。

ソウルは私が玉座に鎮座した時のあの儚き願いを実行しようと、この世界に転送したのだろうか?

またはそうではなく、ただのミスか…

…あぁ…私が居なくなった事でドラングレイグ一帯のソウルはどうなったのだろうか?もし、私がいないのであればソウルは失われ、闇に染まってしまってしまったのかもしれない。しかし…それは…私がすべきかどうか悩んでいた事ではなかっただろうか?私は…

 

「…い…おい!言う気がないんだったらさっさと出てけ!」

 

その怒声で意識が一気に浮上する。ずっと怒鳴られていたようだ。どうやら男はとっとと出ていって欲しいらしい。

その証拠に指を指して不機嫌な顔をしている。つまり向こうに出口があるという事だろうか?

相手もかなり機嫌が悪そうなので立ち退く事にした。

 

今の私は…一体何なのだろうか?

 

コツコツと金属質の床を叩く度にその音が自身への問いかけが心に浸透していくような不思議な感覚が着実に騎士の焦燥感を加速させていく。やがてその焦りは歩にも影響し、まるで歯車が繋がって加速していくかのようにそれは徐々に急ぎ足になり、出口が見えた時には既に全力失踪になっていた。私が焦ったのはいつ以来だろうか?多分私の記憶では公のフレイディアに初見で攻撃が全く通らず、弾かれた時以来だったろうか?

いいや、そんな事はないか。私が忘れ――

 

私が忘れている…?まさか…な…はは…

 

一瞬よぎった考えを否定し、首を降って脳裏に浮かんだ妄想を振り払う。そんな考えからか全力失踪を超え、人間の限界を超えた筋力で黒鉄宮を走り去った事を騎士を含めて誰も知らなかった。

 

…出口だ…

 

再び明るい光が騎士を照らす。しかし、騎士を包むのはそんな太陽のような明るさではなく、月の暗がりのような深く、暖かい闇であった。しかし、そんなのは比喩にしか過ぎず実際は闇から光に出たことによる目が慣れるまでの時間であり、その光で騎士の影がより一層強くなっていただけである。目は見えなくともその耳は辺りの喧騒をしっかりと聞いていた。

 

――ここは…?

 

騎士は元通りとなった辺りを見回す。まず目に入ったのは死んだ目をした人々。次に目に入ったのは高い塔のようなもの…ではなく人が操作していたものだった。

これまた騎士の知らないもので、宙に浮いた紙程度の薄さの発行する板が動き、何やら操作をしていた。

全く分からない。だが、そろそろここが異世界だということを自分が認め始めているのか、先程よりも驚きの感情は少なかった。…ん?あそこで若い男が何かを人々に手渡している…何かの冊子のようにも見えるが…

すると後ろからトントンと肩を叩かれる。騎士は素早く、隙のない動きで振り返る。するとそこにいたのは先程怒鳴って私を追い返した男だった。

何の用だろうか?また私を問い詰めるのか?

そう思っていたが、男はさっきのが嘘のように爽やかに笑って話しかけてきた。

 

「いや、さっきはすまなかった。つい仲間が死んでしまって気が高ぶっていてな…許してくれ」

 

騎士はジェスチャーで気にするなと否定をする。

すると男はフッと笑い、詫びとして色々と教えてくれた。今、攻略組はどうとか、おすすめの店がどうとか…しかし騎士には何一つ理解出来ていなかった。そう何故なら騎士はこの世界の住人ではないのだから。その事実がどうしてもどうしても大きくのしかかり、追い詰めていく。

それに何かを察した男は先程から人々がやっていた発行板をどこからか取り出すと、何かを選択してそれを押した。

すると光で何が生成され、やがて輝きを失うと冊子の形となり、落ちた。しかしそれは男の手にのり、そのまま騎士に差し出された。

 

「多分あんた、ルーキーだな。ベータにしてはあまりにも知らなさすぎる。その剣もたまたま何処かで手に入ったんだろう?まぁその冊子にはこの世界でどう動けば良いか書いてあるからよ。しっかりと読んどきな」

 

ありがたい。こんなところでこの世界を知る手立てが手に入るとは。これでは五月蝿いと思っていた私が愚かに見えてしまう。何かお礼をと、騎士は身に着けていた二つの指輪を目の前の男に差し出した。その一つ目は刃の指輪と呼ばれる指輪である。アーケンの狂騎士の物と伝えられており、アドガルズの得物を模した力の指輪とされている。その効力は装備者の物理攻撃力を高めるというもので、その点では極めて汎用性が高い。騎士も深く愛用しているものだ。二つの目は赤目の指輪。デーモンの瞳を模したもので、効力は…敵から狙われやすくなる。…この男を見ていると何故だか分からないがこの危険な指輪を渡したくなったのだ。

 

「…これくれんのか?けっこーレアアイテムっぽいんだが…いや、何でこんなの持ってるんだ?...取り合えず恩に切るぜ」

 

気にするなと再びジェスチャーする。

呪われた周回を重ねた騎士からすればただただ数が増えていくだけであり、本来ならばお詫びにもならないような品なのだが、目の前の男はそれを受け取ると、それを光に変えた。

なんともまぁ…私が言えたことじゃないが、不思議な世界だ。

 

「ありがとな。おっと…長居し過ぎたようだ。じゃあな。あぁそれと…俺の名前はザザって言うんだ。また会ったらよろしくな」

 

成程ザザと言うのか、覚えておこう。

ザザが走って行くその姿を見届けると…疾風の如く冊子を開ける。そこにはこの世界、世界のルール、操作方、テクニック等が事細やかに書かれており、騎士にとってはありがたかった。中でも目を引いたのが先程も展開されていた発行板のページであった。右手の人さし指と中指を真っ直ぐにし、真下へと振り下ろすと出現するらしいあれは、メニュー画面というらしく、そこを操作することによって自らの名前、ステータス、アイテム等の確認を行えるだけでなく、金銭の取引からクエストを受けたりと、それがなければならない程需要が高いものであるという事が冊子を見るとよく伝わってきた。さて、ここで疑問だ。私はあのメニューを開く事が出来るのだろうか?

騎士はその疑問を解消するべく、冊子に書かれていた通り、ダメ元で右手の人差し指と中指をピンと真っ直ぐに立て、真下へとスライドする。すると驚く事にその画面が出現する。

 

おぉ…これはすごい…

出来るとは思ってもいなかったが、まさか出来るとは…

これが…だがしかし幾つか項目が足りないような…

 

そう、出せたは良いが項目が少ないのだ。今の騎士のメニューにはステータスとメッセージウィンドウ、そして設定以外は出現していなかった。まぁ当然かもしれない。きっと私が異世界からきた者であるから、きっと世界が拒絶したんだろう。まぁ、しかしそれでも充分だ。

 

冊子を見ながらメニューを少しずつ確認していく。

まずはステータスの欄を開く…すると画面が右横に広がり、現在の自分のステータスを出現させる。まず表示されたのは己のレベル、表示によると832と表示されている。

…えっ?いやいや…待て待て…ん?冊子によればまだ10lvが適正値辺りなのだが…832?…これはきっとあの緑衣の巡礼にソウルを渡して上げていた自身強化がこの世界にも引き継がれているのか…?ともかく、この世界ではほぼ死ぬ事はなさそうだ。理性無き亡者になるのはもう懲り懲りだ。人の像もそんなにないのだから…

と、オドオドしているとその下のこの世界での通貨、コルの数値が目に入る。その数約3000万コル。思わず目を見開く。辛かった旅路の反動からか、一気に金品、休息への欲が湧き、自分の活力を襲った。もう、旅をやめてしまってもいいのではと。そう感じる程、休息への希求が騎士を襲う。しかし、その金品も使えていたのはいつの時代だったかなと考えると、なんとか金品からの欲望から我に変えると意識を再びメニュー画面を確認する。すると次は…時計のような数字がメニュー左上に表示されおり、この世界の時間なのか17:32と表示されていた。…だが余りにも一気に入った情報が多すぎる。一度何処かで色々と整理がしたい。そうだ泊まったこともない宿に泊まろうか。

 

そう考えた騎士は冊子を片手に近場の宿を求めて、フラリと歩き出す。夕焼けのような色はあるのに太陽がない、か…不可思議な事が私の常識を麻痺させたのか、もう驚きなんてしなかった…が、先程の広場の塔の下にへたりこんだ者達がどうしてもソダンに見えてしまい、マデューラへの懐かしさと寂しさが込み合った感情で、寂しい感じてしまったのはしょうがない事なのか、少し私自身でも分からず、その感情に入り浸っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、宿に着いた訳だが、あまりに人気がない宿なのか、店内は暗く、装飾は一切なかった。本当に寝て、起きてだけの施設のようだ。それも街の外れの方で。

 

「いらっしゃいませー!お泊まりですか?一泊15コルです!」

 

騎士は表示されたYES、NOと表示された画面を操作し、YESを押す。ふむ宙に浮かしているはずなのに触るという感触は慣れないものだな。筆記も面倒で嫌ではあるが。

 

 

と、ブツクサ考えながらも指定された部屋に移動しようとすると、店員がさらに騎士に勧めをして来る。

 

「お泊まりの方は120コル追加で地下の書庫をご利用になれますが如何がでしょうか?」

 

!これは好機!体の疲労を抜くと同時にこの世界をさらに詳しく知る事が出来るとは!

 

騎士は又とないと思い、先程と同じ画面のYESを躊躇なく押す。すると真鍮色の鍵がポトリとオブジェクト化され、騎士の掌に置かれる。金に余裕がある分、もしここが有能なのであれば長期の滞在を考えても良いかもしれない。いいや、そうしよう。騎士は早速小踊りしながら部屋へと向かった。

 

その途中で装備を整えた集団とすれ違ったが、こんな夜分遅くにどこへ行くというのだろうか?私が心配すべきことでは無いが、夜というのは視界が悪くなり、崖に気付かず落下なんていう死因も有り得てしまう時間なのだが…まぁきっと彼らにも考えがあるのだろう。そう結論付けた。

後に彼らの名が黒鉄宮の石碑に横線が刻まれるのはそう遠くないことであるが、騎士はそんな事知る由もない。

 

ギシギシと床が凹むがすっぽ抜けたりしないだろうか?

宿で死ぬのは勘弁だ。…そう言えば自室って何処にあるんだろう…

 

店員から貰った鍵を見る。その番号には037と書かれており、きっとこれが部屋の鍵兼書庫の鍵なのだろうが…

あっ!?私の右の扉は096ではないか…しまった、行き過ぎたようだ。クルリと踵を返し037号室へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何とこさで037号室へと着いたが、自室は殺風景中の殺風景であった。窓もなく、ロッカーすらない。そして、大して柔らかくないベッド。極めつけは油を使うランタン…それも油で持ち手がギトギトな…だが幸いな事に埃だけは落ちておらず、掃除はしっかりと行き届いてはいるようだ。

 

と、まぁそんな事はどうでも良いのだ。問題は地下の書庫だけである。アンディールの館には薬品や本が置いてある部屋があったが、あの部屋は本の数が多く、ついつい手に取ってしまったものだ。あぁ…ドラングレイグが懐かしい。

 

少しばかりの感傷に浸ると、腰に下げていた太陽の直剣をソウルの内部へのしまい込む。そして、放浪の一式を外し、下着一枚になる。地下の書庫へ行こうかと思っていたが、疲労の色がどうしても強かったので、睡眠をとることにする。部屋のランタンを消し、一度大きく伸びをしてからベッドの中へと潜り込む。暗くなった室内は己の心を透かしみるようで、僅かな恐怖感を抱いたが目を瞑るとその恐怖感は闇に沈んでいった。

 

 

 

朝か…。騎士はベッドから這いずるように起きる。

窓もないので、外の様子が確認する事が出来ないが、何となく感覚で朝だという事を感じた。

 

さて、異世界に来て初めての睡眠をしたが、目を覚ましたらドラングレイグに戻っている…なんて事はなかった。

これで本当に戻る方法を考えねばならぬ。まず、手始めに地下の書庫へと行ってみるか。

 

もぞもぞと身支度を済ませ、部屋の外へと出る。外は特に様子の変化もなく、ギシギシと変わらぬ音を響かせるだけであった。ふーむ…やはりこの宿は安価なのだろうか?

 

そんな疑問を抱くが、どちらにせよ書庫があるのは変わりがない事実なので、この程度の事は気にしないでおこう。

騎士は昨日自身が登ってきた廊下を戻り、階段を下り店員の横を通り、そのすぐ横にあった扉の取手に手をかける。

しかし取手がガチャガチャと音を立てるだけで、開くことはなかった。鍵がしまっているようだ。そうか、鍵を使えば良いのか。騎士は取手の下辺りにあった鍵穴に真鍮色の鍵を差し込むと右に捻った。すると、ガチャリと音がし、鍵が空いた事を教えてくれる。そのまま騎士は扉を開けると、地下に続いているであろう階段を降りていく。しかしかなり窮屈で、騎士の体では少ししゃがまなければ進む事が出来なかった。うむ、実に面倒だ。そう思いながらも地下へと進んで行く。すると、窮屈な階段の先に扉が見える。きっとここだ。迷わずに騎士はその扉の前に行き、扉を開ける。そこに広がっていたのは明るくランタンで灯された部屋であり、七つ程の大きめの本棚と小さな机が置かれていた。

 

おぉ、想像以上に揃っているではないか。

 

騎士は書庫に入ると本棚を物色しだす。

タイトルからしか分からないが、この世界についての事や基礎的なアイテムの事などが書いてあるようだ。

早速目に付いた一つの本を手に取る。割と厚い本のタイトル目は《SAO:アインクラッド①》と書かれており、きっと何かの手がかりを見つけられる筈だ。騎士は何故だかそう確信した。

 

近くにあった机に本を置くと冊子を覗きながらメニューを開く。そしてメモ欄のようなものを開き、本を読みながら展開される文字盤で打ち込んでいく。どうやら言語は私のいたドラングレイグと同じのようで、読めないという事態はなかった。そして本を開ける。さて、手掛かりはあるのだろうか?

 

これはゲームであって遊びではない。

 

…なんだこれは?ページを開いたは良いが、これは警告なのだろうか?ゲームとはなんだ。遊戯のことだろうか?

しかし本が遊戯であるはずまい。しかし、遊戯でない以上遊びではないのは当たり前ではないだろうか?訳が分からぬまま次のページへと行く。ただし、騎士はこの後後悔したが。

 

この世界は仮想世界でー

 

初めの文字を見た瞬間流石に目を疑った。仮想世界…だと?だとするならばこの世界は誰かが作り出したものなのだろうか?いいや、だとするならばあの人々の感情は作り物となる。しかし、騎士にはどうしても創り出されたものとは思えぬのだ。…調べるか…

 

騎士はこれから一週間、不眠不休で地下の書庫に閉じ込もり、この世界についてや、キーボードと呼ばれる文字板の使い方等を真剣に調べ上げたという。

 

 




設定が無茶苦茶ですが、オーバーロードの逆と思って下さい。よろしくお願い致します。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。