東方幻想記   作:雪兎 銀杏

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*これは東方projectの二次創作です。原作と違う点、オリキャラなどが数多く含まれます。



青の瞳


 

1.僕

 

 

 

真っ先に頭に浮かんだ疑念を言葉に出すとしたら、

 

「ここはどこだ」

 

という安直な答えになるだろう。

 

実際、声に出していたし。

 

目には青い空が映っていた。

見たこともないような青く澄んだ空。

まだらに浮かぶ雲が、太陽を少し隠していて、風が涼しい。

 

芝生の上で、俺は仰向けに寝転がっていた。

 

「…ここが、あの世ってやつ?」

 

誰もいないのに声を出すのは、不安だからだ。

起き上がる。

 

「えっ⁉︎」

 

足が小さい。

顔や手も、小さくなっていた。

といっても今までの自分がどんな姿かも、どこにいたかも、自分が誰かもわからないのだけど。

 

「どうしようかな…」

まわりを見回すと、湖が見えた。

 

喉が乾いたし、なにより今の自分の姿を見たかった。

 

湖まではそこまで遠くなかったが、霧が立ち込めていて少し見渡しが悪い。

 

しかし、見たこともないような澄んだ水に、少し感動を覚える。

 

水を飲んでから、水面を覗き込み…自分の姿に、違和感を覚えた。

 

この目の色は…おかしい。

 

青い蒼い碧い…空みたいな海みたいな宝石みたいな色をした…色んな青に姿を変える、不気味な瞳だった。

 

髪は白く、ひとすじの黒もない。

 

顔は子供の顔だった。

 

「僕の名前…なんだっけ」

 

「なにしてるのよ」

「‼︎」

 

その声に驚いて、僕は水に落ちていた。

 

「なんだ、妖怪なの。人間かと思ったのに」

 

そう言って、金髪に赤いリボンをつけて、黒い服を着た謎の少女は、僕を水から引き上げた。

 

「あ、ありがとう」

「どういたしまして。珍しい妖怪ね」

 

少女はそう言って両手を広げた。

両手を、水平に。

 

「なにしてるの?」

「『聖者は十字架に磔られました』って言ってるように見える?」

「?見えるんじゃない?」

「あんた名前は?」

「僕は名前がないんだ。好きに呼びなよ」

「そうなのかー。私はルーミアよ」

「るーみあ。うん、覚えた」

 

ルーミアは俺のことをしばらくまじまじと眺めた。

 

「綺麗な瞳ね。人間だったら、最後に食べたわ」

「僕は美味しくないと思うけどね」

「食べてみないと、わからないじゃない。じゃあヒトミって呼ぶわ。よろしく」

「そう。じゃあこれから僕も、ヒトミって名乗るよ」

「そうなのか。よかったわね。名前が決まって」

「人がいるところはわかる?」

「人里はここから南」

 

ルーミアは一つの方向を指差した。

 

「ありがと。それじゃあねルーミア」

「また」

 

相変わらず、ルーミアは手を水平に広げていたが、霧が濃すぎていずれ見えなくなった。

 

*****

 

しばらく歩いていたが、いずれに夜になって、歩けなくなると悟った。

 

というか、もう日が西に傾いている。

 

「どこかで夜を明かさないとなぁ」

「そんなびょしょぬれで夜を明かしたら風邪を引いてしまうよ」

 

話しかけてきたのは、提灯をもった、背の高い男だった。

 

「!」

「こんなところに子供の妖怪がいるとは思わなかったよ。名前はなんていうんだい?」

「ヒトミ…です」

「いくつ?」

「わからない」

「…そうか。僕は森近霖之助。おいで。今日は冷えるから」

「泊めてくれるんですか?」

「嫌なら置いていくよ」

「いえ」

 

慌てて男の後を追いかける。

近くには、森があり、その森の外れに、その建物はあった。

 

玄関先にはタヌキの人形がたっていた。他にも、なにかよくわからない看板や、白い箱。ゴムでできた黒く丸いものや、ダルマなどが置いてあった。

 

そして大きく、

『香霖堂』

と書かれていた。

 

「こーりんどう?」

「うん。僕は、道具屋をやっていてね。よく人や妖怪がくるんだ。物集めが趣味だからかな?凄い集まるんだよ」

 

香霖堂の中は、見たこともない物で溢れかえっていた。

 

「転ばないように気をつけて」

「あ、はい」

 

転んだ。それもつまづいて。

 

「痛ぁ…」

「悪いね。本当に物が多いみたいだ」

 

どうやら僕は本当にドジらしい。

 

奥の居住スペースについてから、霖之助さんは僕の頭をタオルでわしゃわしゃ拭いた。

面倒見がいい人のようだ。

 

「古い物だけど、服を貸してあげるよ」

「あ、ありがとうございます」

 

服を着替えた頃には、もう外はすっかり暗くなっていた。

 

「星、綺麗」

 

それが、僕が幻想郷で初めて過ごした一夜だった。

 

 

2.朝

 

 

目を開くと、見覚えのない木の天井が見えた。

 

隣には、霖之助さんが寝ている。

 

そうだ…ここは、香霖堂。

 

壁にかかった時計を見ると、まだ5時くらいだった。

 

「んぅ…」

 

なにもすることがないし、特にやることもなかったから、外に出てみることにした。

 

 

ドアを開けると、光が差し込んできた。

 

 

 

 

 

 

「…わあ」

 

 

 

 

 

 

生まれて初めて見る、朝日。

それに、酷く感動した。

 

空の色が、変わる。

黒い空から星が消え、紫、赤、オレンジ、水色。

沢山の色…。

 

太陽が白く輝き、世界が輝いて見える。

これからはじまる世界が、とても愛おしい物に思えた。

 

 

「綺麗ですわね」

「…?あなたは、誰?」

 

金髪の頭に帽子をかぶり、日傘をつけ、紫色のドレスをきた、綺麗な女性が、そこには立っていた。

 

「私は八雲紫。ようこそ、幻想郷へ」

「やあ紫。来てたのか」

 

いつの間にか、霖之助さんが後ろに立っていた。

 

「おはよう、霖之助さん」

「おはようございます」

 

「幻想郷?」

「ここは幻想郷。全てを受け入れる、幻想の郷」

「よく、わからない…」

「ようは、歓迎するというということですわ。ヒトミ」

 

そう言って、紫は僕の頭を撫でた。

 

「あなたの能力は…夢と現を操る程度の能力。覚えておきなさい」

「どんな力なの?」

「そうねぇ、私風に言うならば…夢と現の境界をなくして、幻想を見せる能力…ってとこかしら。あなたの見た夢、他人の見た夢、それを現実と交じあわせる力よ。どう使うかは、あなた次第。

 

よろしく、幻想の妖怪さん」

 

「よろしく…」

「…霖之助さん、この子の面倒、見てやってくださらない?」

「ああ、構わないよ」

「えっ⁉︎悪いです」

「いいんだよ。それにちゃんと店番とか納品とかしてもらうから」

「は、はいっ!精一杯やります!」

 

こうして僕は香霖堂で働くことになったのだった。

 

 

 

To be continued…

 

 

 

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