緋弾のアリア Irregular Joker 作:大空の守護者
下手な鉄砲数撃てば当たる。
百発も二百発も放てばそれは当たるさ。
普通ならな?
「こらー!!何で避けるのよ!というか何でこんなに当たらないのよ!!」
生憎と『今の俺』は普通じゃない、悲しいことにな。
「あんたの撃つ場所、とっくにお見通しだからだな」
なにも不可能な話じゃない、銃弾は原則として真っ直ぐに重力方向へと飛ぶ。
銃口の位置さえ把握しておけば後は引き金を引く前に当たらない位置まで動けばいい。
勿論そんなの出来っこないけどな。そんなの出来たら天才か普通じゃない特殊な何かを用いてる以外に考えようがない。
「このっ、このっ、このっ!!」
(右が左肩中央)
あまりにも精密すぎる射撃で有るが故に──
「はぁぁぁ!」
──避けるのは容易い。
「っ…このぉぉ!」
裏拳のように左の手の甲で殴る、と見せかけて同時にスネを蹴る、ように見せかけた右手のストレート。
神崎はそれら全てをキッチリ対処して防いで見せた。
はっきり言ってしまえば──
(どこをどう狙っても全部防がれる…銃撃はよけられ体術は防がれバタフライナイフは既に弾き飛ばされ、どうしたもんだかな…)
どれだけ避けようとも此方の攻撃は防がれる以上は意味がない。
時間を掛ければかけるほど俺は不利になっていく。
(とすれば…)
互いに距離をとると神崎はガバメントの二丁を構え、俺は徒手空拳にて格闘の構え。
(次の一手で、終わらせる…!!)
HSS、ヒステリアモードではない俺に扱える力…その力を、今の都合の良い部分だけ扱う!
「行くぜ…神崎」
「来なさい、キンジ。それと私のことはアリアで良いって言ったわよ?」
神崎は引き金を引こうと力を込めて、俺は宣言をしようと手を前に出した───
「るる、悪い子は居ませんか?」
───猛烈に嫌な予感を本能で──恐らく神崎も同様に──感じ取った。
(今の声…この感じは…っ!?)
不意に自分の中で燃えさかるように唸っていたとも感じる力が強引に静まるのを理解すると同時にしゃがまなければという衝動に駆られた。
その直後俺の頭の上に剣のようなものが通り過ぎるのが分かった。
「きゃぁ!?」
神崎もまた同様の衝動に駆られたのだろうか、身をしゃがませていた。
パンツが見えそうなくらいに。
(青と白のシマシマ──っ!?)
一瞬だけヒステリアモードの血流を感じた、が目の前に剣が突き刺さればそんなこと言ってられない。
その剣を眺めれば以前にも見たことがある、片刃の剣にピンク色の塚。
ブレードと呼ぶに相応しい形をしたそれはまさしく見たことがある、俺の知り合いの、男子寮の俺の部屋に住み着いたあの少女が持っていた、『それ』と同一の形をしたブレードであった。
ふっとアリアの方を見ればまさしく唖然とした顔で俺の後ろの何かを見ている。
その何かが何なのかは見なくても予想がついている、見たくない。
(でも、見なきゃいけないんだよな…)
恐る恐る後ろを振り返った。
(あぁ、やっぱりか…)
何故か今日寮に帰ってなかった奇抜的ヘアカラーをした少女、ルゥが微笑んだ様子でみていた。
というかめっちゃ目が合った。