群青月歩   作:綿苗

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10、世界があつい

鳥、鳥、回帰する燕。空高くを旋回する鷲。気高く佇む鶴。水辺で獲物を見つめる鷺。

 

「(…そういうものに、わたしはなりたい)」

ギシッ、自分と手に持った荷物の重みで床が鳴く。

ミーン、ミンミーン。遠くの方でセミが鳴いているのが、暑さを助長する。

暦ではもう夏は終わりを告げたのに、暑さが取り残されていた。

記録的な残暑にくらりと眩暈でも起こしそうだ

しかも困ったことに風がない。コンクリートジャングルの現世よりはマシだが、微々たる風で涼を感じるほどもない。鳥になってどこか涼しい場所に飛んでいってしまいたかった。

 

あまりにも暑いので自主的な小休憩中だ。じっと日陰で立ち尽くしている。そうすると自然と耳が音を拾うセミの声に、人の荒い呼吸の音。空気の匂いも他の隊と違うような気がしてすんすんっと癖になりつつある鼻を動かす。四六時中隊舎のいたるところで鍛錬が行われているせいか、どこか酸っぱいような湿ったような臭いがそこら中からする。十一番隊は、やはり想像通りの男臭いというかなんというかそういう隊だった。

 

もう行こうかと書類の束を両手に縁側を進む、すぐにむんっとした熱気が肌にかかった。嫌悪を顔に出さないように努力したがやはり眉間に深い溝ができ汗が一滑りする。

すぐに着いた隊舎の目的の場所である自分の机に書類を載せると、屋外よりは涼しかったので一息、それからいくつか山になり崩れそうになったものをまた分けて分類の付箋を貼り付けた。

 

異動になって一か月弱、京楽さんのいった丁度いいんじゃない?の理由はまだわからずにいる。なんせ普段の業務は誰も手をつけない古い書類の整理に、日報の添削、文房具等の消耗品の確認。体を使う虚の討伐や現世に向かうような任務は先輩方が率先して向かうので自分の出る幕はない。

 

さて、気持ちを切り替えて書類の山を切り崩しにかかる。

隊全体の日報やら報告書がここに一堂に揃っているので、添削にかかろうと一つ取り出す。

 

一つ一つが内容も厚みも薄い報告書に聞き込んでメモしたことを清書して書き出していく。ここだけの仕事だと九番隊のようで笑えた。しかし、ここで仕事をしているのは私一人だけだが。

 

ああ、八番隊に戻りたい。

「それにしても、九番隊…九番隊、何か忘れているような。」

 

----

 

十二番隊手製の機械音が響く、九番隊隊舎。

ここは、死神達に人気の機関紙「瀞霊廷通信」の編集・発行を担当しているため、隊舎のあちらこちらに大きなプリンターが鎮座している。

 

そこで、副隊長 檜佐木修兵はいくつかの書類を並べて添削を行っていた。

自身の汗で原稿をダメにしてしまっては元も子もないのでということで、取り付けられた冷房の真下で眉間にシワを寄せている。

 

手元にあるのは、昨日上がってきた十一番隊の原稿。

期日前、否、そもそも出してくることすら珍しく。形だけの依頼の原稿が完成されて手元に来ている。しかも、1行2行の副隊長のやちるの感想文やどこのお菓子が美味しかった、剣ちゃんが怒ってたなんて日記みたいなものでなくしっかりと記事の程をなしている。

 

これはあきらかに、一月前ほどに入隊したあの子供の仕業ではなかろうか。

一向に挨拶にもこないあの子供を思い出す。

 

目つきの悪いが整った顔立ちに、くるくると毛先に癖のある黒髪。

随分と日が空いてしまって、覚えてる姿はあのときの幼い姿。しかし、死神は早々に成長しない、だからあのときの姿できっと現れるはずだ。

 

あの子供、黒崎杏はどうも目立つようで話だけは耳に入ってくる。

しかし、自分が送り出したというのにあのガキは挨拶にすら来ない。これはもう、自分から顔を見にいくしかないのだろうか。

 

みしっと背もたれにかけた重みで、椅子が鳴く。

そろそろ潮時だった。




お久しぶりです、しばらくぶりのBLEACH。
ジャンプ見ました…最の高、あと日常編です。
書きたいところから書いてきます、あと資格の試験近いので短めの上げてきます。原作に辿り着けるんだろうか…すいませんよろしくお願いします。

勢いで書きましたので推敲あんまりしてません…ニュアンスで読んで…sorry
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