群青月歩   作:綿苗

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27、キツネの牙は、穿くための形をしている

 

「アッ… ヅ…」

 

なんだ…なにかがおかしい。

ナニモミエナイ(・・・・・・・)

 

 

 

突然の暗闇がダリオを覆った。そして、目はジクジクと熱を発している。

 

確かに虚圏から訪れた現世は夜だった。だが現世の夜がこんなに暗いはずがない。街灯に、家から漏れる明かり、それらの光源が路地でも多少明く照らすのをダリオは見ていた。

 

こんな闇に包まれるはずがなかった。あの女の斬魄刀の能力かッ!?解号にも気づけないはずはないのに、

 

違和感のある目元に触れると、生暖かい液体が指先を湿らせた。

 

そこで、ダリオはついに気づいた。

 

女がいなくなったのではない。

暗闇に包まれたのではない。

 

 

自分の目が、切られた(潰された)のだと。

 

 

「アッアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」

 

 

◆◆◆◆◆

「突キっ、ぃガァっ…!」

 

 

「----破道の四 白雷」

 

放った光に遅れて、破道の名を説いた。

解号を唱えようと開いた口にぶち込んたので、破面の顎は爛れて歯茎が見えている。溜めることの出来なくなった唾液が血と混じってぼだぼだと流れ始めた。

 

突然目が見えなくなれば、帰刃を行うであろうと予測はしていた。住宅地と商店街が密接したこんな場所で、みすみす解放させる訳がない。

 

コレをさせたのは、向こうだ。私は、怯えていたというのに。

私は、少しばかり個人的な不快感を解放して、破道に込めただけ。

 

人型の破面に、刃を立てるのがまだ怖かった。1歩踏み出す程の、勇気が足りなかった。

 

人に刃を向けるのは恐ろしい。

人型とは程遠い、虚に刃を立てるのには慣れたのだ。私たちの斬魄刀は、彼らを飢えたケダモノの姿から解放するために突き立てているのだと納得ができたから。

 

肉の感触が不愉快だった、

人と同じ声であげる悲鳴は耳に残った。

 

竹刀や木刀とは違うのだ。

 

慣れたとしても、嫌なものは嫌だった。

化け物の姿をした虚にすら、そんな気持ちを抱いているのに

 

恐れを超えるナニカかが足りず、向かってくる剣を全て弾いて1歩踏み出す理由がどこからか湧いてやしないかと破面の刃を弾きながら考えていた。

 

ソレ超える燃料は、件の破面から焚べられた。

 

怒りである。

憤怒である。

瞋恚である。

 

それは、今までの恐れを抱いていた自分を押し付けるように恐怖を覆った。思考に邪魔になる雑念は手で潰すように、かき消した。オセロのコマがひっくり返されたように、醜いあたしが顔を出す。

 

杏を踏み留めてたものは、無くなった。

踏み込んだその先で、瞋恚に少しだけ身体をゆだねよう。

 

 

瞬歩で踏み出し、

始解されていない浅打で、鋼皮を切り裂くのは難しいだろうと振るった先の眼は想像に反して柔らかく汁を少し飛ばして潰れた。

 

ゆるりと手首を返して、斬魄刀の持ち方を変え切っ先を破面に向ける。

『やまの、人を押しつぶすがごとく、怒りは愚かなる者を押しつぶす

……私の怒りは貴方を蹂躙する。』

 

 

杏の内で、裂けたような声が笑って言ったそれを習うように、復唱する。

おまじないのようなその行為に少し愉快な気持ちになった。

 

内の中のソレと同じように、杏も口を引き上げた。

 

《これはお前の業なのだ》

 

 

◆◆◆◆◆

 

「孔を埋める」ために同族の虚を喰らった。

気づけば小さな狐の姿をしていた。俺は弱かった。同族に襲われて瀕死の仲間を探しては、喰らった。喰らえば喰らうほど惨めな気持ちを味わった。弱さは罪だ。

歯を突き立てて突き立てて、満たされなくって、砂の平原を歩いた。孤独はつらい。弱さは、孤独を掻き立てた。

 

シャウロンと出会い、シャウロンに負けてついに俺の順番が来たと思った。俺が食べられる番が来たのだと、只では喰われてやらないと牙をむき出していたがシャウロンは俺を食べなかった。

 

おれは、シャウロンの後をついて回るようになった。

喰われなかったから、なんで食わなかったのか知りたかった。そのうち、シャウロンがすごく頭の良い奴なんだと知った。俺にはない考え方。人生観とでも言うのか、俺とは違う世界が見えてるのだと。シャウロンといると俺は孤独ではなかった。

 

段々とシャウロンの周りには、俺みたいなやつが集まった。

 

少しずつ強くなった。

シャウロンは、いつも眉間に皺を寄せていた。俺はシャウロンのようになりたかった。

 

そのうち、二本足で立てるようになった。

シャウロンとは違うけど、立てるようになってディ・ロイやナキームより強くなった。

 

シャウロン、俺がもっと強くなってもシャウロンだけは食べないでやる。あの日のお前みたいに。

 

なのに、シャウロンは負けた。

ディ・ロイは仮面を喰われ、

エドラドもナキームもイールフォルトも誰も彼もあいつに自らを差し出した。俺もそれに従った。

 

シャウロンがそうしたから

 

俺はもう強くなれなくなった。

 

俺たちの王は、グリムジョーになった。

 

なのに、あいつより強い数字には女がいた。

俺らの王なのに女より下なんて、あっていいはずが無い。でもシャウロンは気にしてなかった。なぜ死神の下に俺らがいる。

 

№5と№2の従属官達の話は、俺の気持ちとよく似ていて俺はまた孤独を噛んでいた。

 

崩玉というナニカで

俺がシャウロンに近い形になるとシャウロンは俺の頭を、獣の姿のときと変わらずに人差し指で撫でた。

 

「従かえやすくなりましたね、あの姿では随分と不便だったでしょう」

 

俺に突き刺さったのは、何だったんだろうか

 

シャウロンシャウロンシャウロン

何故なんだ

何故あいつを王とする

 

俺はお前がいたら良かったのに

 

寂しい。

 

女が嫌いだった。

____シャウロンと番えるかも知れない存在なんて要らなかった。

 

男が嫌いだった。

__シャウロンが傅く、グリムジョーが要らなかった。

 

みんな俺にないものを持っていたから、

 

 

シャウロン

俺は、あの砂の平原でお前の後をついて行くのが好きだった。

 

 

 

痛い。

 

誰も彼もが嫌いだ。

 

 

 

 

孔は埋まらなかった。




BLEACHのゲームがあるじゃないですかあ…
ディロイ贔屓すぎですよ…シャウロンだって…ううん…うん

グリムジョーと反対の男を書きたかった、んです…すいません。
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