この話の後は檜佐木さんの主人公初見感想と杏ちゃん真央院篇に行きたいと思っております。
杏ちゃんの外見情報入ります。
一護がボーッと過ごすこと数分程、丁度通りかかった
一護に少しばかり申し訳ないと思いながらも今日も、気付かれなかったことに緊張して強ばった体から力を抜いた。
一護には悪い悪いと思いつつ、コレも彼の為なのだと私は考えに考え苦虫を噛む想いで彼の背を見送った。
しかし寂しそうに目を伏せて顔を上げて歩かない姿にとんでもなく罪悪感を感じぜざるを得なかった。いつか出会った時この話をしたら弟は私を怒るだろうか、一目でもあの場所で霊になったアンタを見たらさっさと諦めもついたのにとでも言われるだろうか、それとも赦されるんだろうか。
少し開いてしまった孔に手をかざし私は陰鬱な息を吐いた。
「...さっきから気になってたんだが霊圧の操作、どの程度できるんだお前。」
いままで黙っていた死神が、口を開いたと思えば真面目な顔をして話しかけて来た。真剣な物言いに私はきょとりとしてこの場にそぐわない間抜けな声で答えてしまう
「あなたでも、真面目な顔するンですね」
「お前...あのなァいい加減怒るぞ!こっちは真面目に聞いてんだ、真面目に答える!」
「あーはいはい急かさないで下さいよ!
これだからノースリーブノン脇毛男子は…と、ですね。基準が分からないのでどの程度の事ができるかは説明し辛いですね…この前は襲ってきた化け物にものすっごい圧縮したヤツを飛ばして追い返したり、あとは、そうですね一護が、弟が近くに居ると分かります」
隠す事でもないし、いくつかの例を上げた。そのたびに怪訝そうに顔を歪めて、無視していると今度はん”ーん”ーと唸って悩み始め正直うざい
「お前、前から...、生きてた頃から霊見てたか、その化け物とか」
「見えてましたし、殴れました」
「殴ったのかッ!!」
「殴りました」
小さな頃から一護や両親と離れるたび仮面をつけた大型の霊が現れた。
小さいながらにその虚が異様なことには気づいていた、勿論関わる事などせずさっさと逃げていた。
しかし、巨大なそれに脅えて逃げ惑っていたのは6歳までの事だった。たびたび回想に混じっていた"夢"これは多分私の前世で生きた18歳までの出来事で...つまり18しか生きていない私は、未練たらしくも私の魂のどこぞに存在するであろう昔の私が、延々と7時間の睡眠の中で人生の復習のように現在に見せていた。
自分でも理解できない程ろくでもない人生であった。ソレが悔いになっていたのだろうか。
"夢"を見れば毎度のこと寝る間も惜しんで漫画漫画、特に青年・少年漫画に夢中で保育所の頃から兄姉に影響されてジャンプを愛読していたと言う早熟っぷり。中学生の頃には月一のお小遣いの使い道はもっぱら青年漫画に少年漫画。
友達と集まれば、アニメの誰某の声が◯◯ちゃんには合ってないだとか、ネット用語を日常会話バカスカ使う頭の悪い高校生時代を過ごし、少しばかり絵が描けたからと言ってソレを強みにして何かしら失敗すると、「馬鹿みたいにラクガキに時間を掛けたのがダメだったのか...!!」と、言い訳まがいな事をほざく...黒歴史。
18の死亡原因は、バク転の失敗で入院からの入院先の火災による死亡。馬鹿みたいに不運の続く人生…黒歴史。
ああ、まだ生きて数年なのに出来てしまった黒歴史。毎朝起きると必ず沈んだ心、あんな自分が自身だったのだと未だ魂の本元に存在していると考えると更に重く沈んだ。
小学校に入学してから虚やどんどん成長していく弟を見て、この世界が前と何となく違っていて私がイレギュラーな存在でもあると理解していた。ゆえに、"夢"の為か精神年齢の急成長。不気味な仮面の巨体に脅威を感じることを忘れ、黒崎
虚の仮面は砕け、普段の内気な少女を狙った虚は突然の変貌に混乱しコレはたまらんと一目散に逃げて行く。
小学生の頃はこのやり取りを繰り返し行っていた。
死んでからもその夢は続き、今に至るのだが…
私が遠い目で過去を振り返っている間に、死神はぐぅうと悩み始めていた。
何だろうこの漫才じみた対応の謎の親近感。そして、唸っていたはずの死神が突然立ち直りナニかを書き留めると紙を渡された。
「これから…魂葬。あー、お前には説明あんまいらねぇだろうけどさーまあなんだ、死んだ奴を現世からあの世に送る方法のことなんだが。送られたらこの紙を
「…はい」
畳まれた紙は和紙で、質はあまり良くないのか手触りがざらざらしている。
墨は当たり前だが生乾きで竜脳の匂いがする、それを滲まないように軽く振ってからしっかりと無くさないようにポケットに入れた。
「死神にはな現世と同じように学校があんだよ、死神になる為のな」
「へえ、」
「へえじゃねえよ。もっと興味を持て、興味を」
馬鹿面でぺしぺしと頭を軽く叩くので腹が立ったので今度は足ではなく頭の上に置かれた手に爪を立てる。微妙に痛がる死神は流石残念なイケメン!といったところ…
「まあ、要するにこの紙を係の人に渡せば死神の学校に通えるんですね」
「その通り。まあ見たところ霊威も上等、動きも良いし頭も柔軟で機転も利くなにより観察眼と理解力は目を引くし、とっくに入学式ちゅーもんは終わってんだけどお前だったら大丈夫だろうよ」
立ち上がった死神は既に帯から鞘付きのまま刀を抜いており、魂葬のために柄尻を向けている。
「(もうか、)」
この場を離れてしまうことに少なからず寂しいと思ってしまっている自分が居た。
何もないところだが寂しさを紛らわせてくれた子猫達が居たし、一護の顔を見ることもできた。やっとこの忌々しい鎖から解放されてしかも資質を認められ副隊長に学校への入学を推薦されている。前世では考えられないほどの待遇、イレギュラーな存在な私が認められているなんて杏はここから離れてしまうことが鬱になってきていた。
たとえば尸魂界に行って学校に通ったとしよう、記憶が正しければあの学校に通うのは殆どがプライドの高い貴族である。
そんな中、副隊長に目をかけられた奴が編入してきたらどう思うことだろうか...想像することは容易い。私が何かしらの目をかけられた切っ掛けのようなモノを呈示しなければ貴族は目の敵にするだろうし、そんな私を少量の流魂界出の者には腫れ物を扱うように私を避けるだろう...今、杏の腑の中に渦巻いているのは負の感情であった。が、しかしソレを一周させて
「(そうだ、必要最低限の接触、最低限の発言、限りない努力を積めばいいんだ。
私が声を発したときには丁度ピッタリと柄尻が額に押し付けられていて、流石副隊長と言ったところか全くの痛み無く呆気なくもさらさらと私は送られた。