___「修兵さん」
あの子供の声が耳に染み付いて、
まだ頭の中で、反芻している。
...出会ってからの数時間、少しばかりの自己紹介を交わしておきながら、到底自分の名前なんざ呼ぶ気のない少女が最後の最後で名前を呼び、魂葬されたことに檜佐木 修兵は多少驚いていた、腰辺りで上がったままの腕を戻すのに数秒を要した。
正直なところ面倒事を押し付けられたと億劫になっていた、
幾度も異常に発生する虚を斬りつけたせいか精神からくる疲労のせいなのか重く痺れた腕が気にかからないほどには、気が晴れた。
__虚の異常発生した空座町、本来であれば空座町は十三番隊の管轄地帯であったが、
急激な虚被害の増加に山本総隊長は早急な対処を求め、三席以上の出動、早急の収拾・討伐が命ぜられた。しかし、十三番隊の隊長
三席は看病で出歩けるはずも無く、
そこで、その時丁度現世に出向いていた檜佐木 修兵に白羽の矢が立ったのだった。
そしてふと、少女を初めて見たときを思い出す。丁度十何体目かの虚を切り払ったときだった、興奮冷めやらぬ_といったところの虚達の攻撃は愚かにも荒々しく雑であり単純な攻撃の為、然程一体にかかる時間は短い。しかし、数が数なだけもあり斬魄刀を握りしめている拳の感覚は鈍く、なにより恐れていた戦いに先陣をきって参加していることに酷く疲れたのだ。
そんなとき恐らく今回の撒き餌役であろう少女を見かけた、
肩に届かないほどの、黒髪に細身の遠目からだと儚げに見える身体、開きかけの因果の鎖の根元を見るに早急の魂葬が窺われた。
しかし、その心配など要らぬとばかりに、あの雨に濡れて儚げな少女はどこへ行ったのだ、寂しげに中州で小石を積んでいた少女は一体何処に行ったのだ...そうも思いたくなる、口をだらしなく半分開き。木の上で眠りこけた間抜けな顔をみたときの腹立たしさよ..,。
そこそこ虚の数が半減してきた頃、さすがに我慢ならないと俺はさっさと霊圧を振りまいて呼び寄せている元凶の少女を魂葬しに瞬歩を使った。
実際に会うと少女は青い服をさらりと着こなす儚い少女、というよりは実に活発な少女であった。
殴る蹴るに一瞬の躊躇もなく繰りだす少女を見る限り、だいぶ
一体少女はどのようにしてここで生活していたのだろうか、先ほどの枝からぶら下がった姿でも分かったが身軽すぎるようにも見え、いま立っている姿からも分かるが少女の重心の取り方は妙だった。
一見芯のある立ち姿に思えるが、重心は片足にかけることもなく綺麗に分散してあらゆる敵意に対応できるように、常に何かを気にかけているように少女は立っていた。
その姿に昔の自分を思い返す、しかし少女のような異常なほどの警戒心を身につけたのはこの頬に刻まれたモノと同じ”69”を目にしたときではなかっただろうか。
もっと早くに来てやればよかっと後悔するもすでに遅く少女は必要のなかったはずのモノを身につけてしまったのではなかろうか...そう考えると眉が歪んだ。
託されたダンボール箱の中うごめく小さな猫。これは子供らしくない少女が見せた少女らしさの一つであった。
予想よりも早くに警戒を解いた少女はその理解力の早さゆえか、よほど自身の腕に自信があったのか、いずれにせよ頼られたことには違いなく。
ナーナーとまだ猫らしく鳴けないか細い手足の子猫を落ち着かせるように、鼻の頭を撫でた。
少女がいなくなったことに気づいたのか騒ぎ出した猫たちの察しの良さに感心する。
さて、と俺は少女との約束を守るために空中に飛んだ。
死神の移動手段としては、一般的な自身の霊圧を固めて足場にする。そして上空から紫の屋根の家に向かった。
つい最近任務の途中通りかかった家なのだが、この家には最近子を亡くした母猫がいたと記憶している、そこでこの子猫たちを...というわけだ。
家の前に降り立った、俺家主に不審がられぬようダンボールを猫の通り道であろう玄関の扉に開いた小さな戸の近くに置いて、早々に立ち去ることにした。
子猫たちの
あの少女も、子猫のように瀞霊廷で心を本に許せる相手ができればと、修兵は考え、出会ったばかりの少女に対してそこまでしてやる義理はないと頭を振るうが、しかし少女に対してのナニかが真に修兵の中から消えることはなかったのだった。
◆◆◆◆
その日、
その半紙には、しっかりと三席以上の者に支給される隊花の押された紙であったため、少女は特例ではあるが真央霊術院に通された。
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修兵さんサイドどうだったでしょうか...原作入りを早くしようか、主人公の面倒くさい感情の表記を大切にするかで大変迷っているます。
しかし、ガンガンいきます。黒崎杏はガンガンいきます。