04、避けて通れぬ道なのか
_正称、真央霊術院_通称、統学院。
青い瓦に白塗りの壁が院と外界を隔てる中、季節は平等に移り始めている。
夏が過ぎて、秋の兆しが空にあらわれ空気の重みが変わる頃、少女は布団の誘惑と戦っていた。睡眠欲VS理性、現代でも長きにわたる人類の戦いである。しかし杏は理性を奮い立たせた、気持ちのよいまどろみを
杏は夜も明けていない薄暗がりの中、ぼやける輪郭を手繰り真央霊術院の制服を身につける、袴の紐は動きやすいように適当に結び、外の冷たい空気を入れるため障子を開けて、冷気にさらされて目を覚ました。
統学院の寄宿舎の一角、おおよそ
今日必要な教材をまとめ、手慣れた調子で教材を紐で括り朝の支度をテキパキとこなす、そして床に置かれた桶の前に膝をついて入った水で顔を洗う。小さな手では余り掬えないので何度かに分けて濡らして手ぬぐいで拭った。
しかし、院の寄宿舎というと勿論
青ざめた顔をふいに上げると、この部屋唯一の机の座卓にまとめられた紙類の上に【果し状】とでかでかと書かれた三つ折りの和紙が目に入った。
「(そういえば、試合申し込まれてたな...)」
おぼろげに申し込んだ男の顔を思い出すがいまいちはっきりとした特徴は出ず、然程重要な人物でもなかろうと、さっさと調子を取り戻し、和紙を掴んで教室に向かうべく部屋を出た。字のようすから見ると書いた男の性格はおおよそ勝気で大雑把なことが予測された。
◆◆◆◆
十三隊への入隊には基本的に、院に通う。
真奥霊術院を経由せず入隊する例は数見られるが、私のような者が死神になるために通らねばならぬ、第一の関門と言える。
いかに副隊長直々の推薦状があったとしても、やはり編入前に簡素な試験が行われた、実技少々と筆記の実力勝負。
急な試験、そのことに何も触れなかった記憶に新しいノースリーブ檜佐木 修兵に向かい、試験と付くモノに対して私は嫌悪を抱いているので、ここぞとばかりに渾身の恨みを飛ばした「(__赦すまじ__、まじ赦すまじ檜佐木 修兵)」届くか届かないかの現実的な問題はこの場に持ち出さないということを了承していただきたい。そうこれは、心のせまーい私の許容範囲の問題であるのだ。
そして、どういうことか特進学科に入れられた私は着々と飛び級し七年間の課程を経ることはなく、3年後に卒業が迫っていた。
なにも学べていない現実にほとほとヒヤリとしたものが肝を冷やした。
◆◆◆◆
座学を終えた杏は、長い木製の廊下をスタスタと道場の方に向かった。その手には手ぬぐいと件の果し状。
一方的に交わされた約束ではあるが、それを破るほど薄情でもない。それに特に用事があるわけでもないし暇潰しの
少女が歩き出すと同様に昼餉もそこそこに周囲の学生も道場に足を運ぶ、別にこの学生たちが道場へ向かう目的が"少女と果し状の男の試合"というわけでもない。今日の午後の授業には護廷十三隊三番隊副隊長、八番隊、十三番隊は隊長が卒業生として院の現状を視察に来るというらしい。まあ、【視察とは名ばかりの入隊前の生徒に目星をつけるためではないか】と推測が飛び交う程に院内は浮ついている。
そればかりか、現在こうして道場に早く来て日々精進しているように...見せようとしているのだ。
貸与されて間もない長さの合わない浅打、引っかかって転ぶような無様な真似をせぬように少女の浅打は、鞘の端と端を帯で結びテニスラケットのようにして斜めがけにして持ち歩くのが常になっている。護廷十三隊の現・十番隊隊長のサル真似だとからかわれることも多々あったがそういう輩は大抵軽口を叩いた相手の体格の差など毛ほどの意味もない圧倒的に長けた能力に苦渋の顔を見せるのだ。
...さて、と気を取り直し壁に立てかけた木刀を手に取り、人だかりの中ポツリと捌けられた場所に見当をつけて向かった、
「うぉおおおおおおッい!!遅い遅いではないか!く!ろ!さ!きッ!!貴様せっかく俺が目をかけ実力を認めてやってこうして試合を申し出てやったというーーのによぉ‼︎」
____、瞬間にこの雄叫びとは...「うわっ」見覚えのある三つ編み頭、体躯。
「エェエー!!わしは八番隊三席
この人、見覚えが多少ある。兄の方にだが、かなり似ている。
兄とは違い三本の三つ編みが自身の声に煽られ揺らいでいることにまず引いた...。次に引いたのは胸筋がぴくぴくと動いたこと...いかん悪寒がする。
本音を漏らせば凄く帰りたい...しかし、円状に向き合う私たちを囲う生徒がそれを阻む。
「(ほんと無理です。なんなのこのキングオブ苦手漢。むっちり脂身…どーしよお)」
久々の投稿となってしまいました...。
なんども次こそは早めに投稿します!次こそは早めに!と毎度毎度書くのもせわしないかと思い、タグに亀更新を付け加えました。
※入力ミスがあり、直しました…すいません。
※十二番隊→十三番隊