打つだけでも練習になるもんですねー
呑気に進めてます。
あれからどれだけ歩いただろう…相も変わらず映る景色は木、草、枯れた花、etc...
代り映えのしない景色が続く、人間変化の無い状況というのに弱い物であるからして
「ぜ、ぜひぃ…はひぃ…」
疲労困憊の極みである。
この場所に落ちてから今に至るまでの簡単な経緯及び高坂佐奈の行動は以下の通りである。
⏎
【1】先ず人を探します
(主に「おーい!」や「誰かー!」と呼びかける行為、誰もいませんでした。)
【2】もしかしたら夢なんじゃないかと疑ってみます
(無難に頬を抓ります、痛かったです。)
【3】携帯電話の存在に気付いたので確認してみます
(電波=入ってません。パ〇ドラはタイトル画面まで動きました。)
【4】天を仰ぎます
(嗚呼神よ)
【5】落ち着いて素数を数えます
(素数が途中で分からなくなりました。)
【6】数字が分からなくなった結果、パニックになり必死で人を探します
(これはヤバいと思い「ぷりーず、へるぷみー!」と英語も行使、返答はありませんでした。)
【7】心が折れそうになったので一人しりとりをします
(続けば続く程、死にたくなって来る不思議)
【8】あ、一定方角を歩き続ければ此処を抜け、人気のある場所の辿り着けるのでは?と思いつきます。
そして歩き続け今に至る。
無意味…!何と言う無意味…!
「あ、あぁ…せめて何か食べられれば気分も楽になるのに…」
いつもなら常備している筈の菓子類も今日に限って持ってきておらず、空っぽになったお腹からは悲痛な叫びが響いている。
空腹と疲労のダブルパンチの衝撃が心に響く、まさか平凡な日常を送っていた筈の私が、こんな非常事態に陥るとは思わなんだ…。
トボトボと弱弱しい足取りで歩く私、そんな私に天の助けにも思える【物】が目に飛び込んできた。
「あ、あれはまさか…!」
赤々とし特徴的な形を成す果実、私にも見覚えのある甘くて美味しい大好物
「あぷ、リンゴ!」
英語名が出そうになったのは興奮からか、疲労で頭がおかしかったのか、初めから頭がおかしかったからなのか…
兎に角、この場所に来てから初めてみる【食べられる物】へと一直線に走り駆けよってゆく私
もう全力である
何故ベストを尽くしたのか、息も絶え絶えに一瞬で目標に辿り着いた私は赤々としたリンゴを捥ぎ取ろうと手を伸ばし…
何か【堅いもの】に触れた、それは白く尖っていてまるで生物の爪の様
「あ、すいません」
電車で同じ吊り革を手にしようとしてしまった時の様に自然に出た言葉
「ボォフオウ(いえいえ此方こそ)」
…クマーン?ベア?クマ?熊?ツキノワ?ホッキョク?ホラアナ?
視線を交わした相手は紛れも無い【獣】、モッサリとした毛皮を纏い、眼光鋭く、覗き見える歯々は鈍く輝いている。
【リンゴ⇒私⇒熊】
と簡単な食物連鎖の図解図が頭に浮かんだところで私は駆け出した。
「ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ、やぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
火事場の馬鹿力とは正に今の私を指す言葉だろうか、リンゴを発見し駆け寄った時よりも速く、疾く、私は風になる。
「フボォ、フボォ(お嬢さんお待ちなさい)」
スタコラサッサッサーノサーとか悠長な事はしていられない、あの歌は間違っている、クマに追われた人間があんな呑気で居られるものか!
泣き叫びながらクマさんとのデッド・オア・アライブ感満載の追いかけっこ繰り広げていた私の身体に突如として異変が起こる
そう、言うならばそれは【浮遊感】(既視感)全身が浮き上がる感覚が奔った。
思わず足元に目を向ければ、其処には見るにそのまま【大きく裂けた亀裂】がスパッと大地を切り裂いていて
嗚呼、またか
と自分でも冷静に状況を理解し、この世の全てを飲み込むかの様に大きく開いた漆黒の闇へと私は落ちて行く
「ボゥフゥ(あっぶね)」
「お前は落ちねぇのかよ!」
渾身のツッコミは虚しく反響しコダマの様に暗闇に鳴り響き渡った。
あかん、楽しい(恍惚)
自由にのんびり打てるって素敵な事ですね。