PSAO=Phantasy Star/Sword Art Online 作:Noah/Deal
Revolution to the origin
長距離惑星間飛行用移民船――"パイオニア"。
それは、母なる大地――、惑星『コーラル』の衰えに実行を余儀なくされた大規模移民計画『パイオニア計画』の産物であり、また同時に人々の希望を示す、一筋の光明でもあった。
無人探査機により偶然発見されたとされる惑星――名付けられた名は『ラグオル』。
その存在を確認した本星は、先遣隊として、計画の産物ともいえる移民船"パイオニア1”を派遣した。
周辺調査を行った移民団は、同時にこの星での生活拠点となる、"セントラルドーム"の建設を開始する。
……その七年後、現地調査の任を終えた"パイオニア1"からの招聘を受け、本格的な設備を搭載した第二移民団"パイオニア2"が惑星『ラグオル』に訪れる事となった。
衛星軌道上に到着した"パイオニア2"は、『ラグオル』での拠点として機能していた"セントラルドーム"と物質転送を可能とする通信回線を開こうとするが――
突如、惑星表面上に原因不明の爆発が発生し、その爆発を最後に"セントラルドーム"との通信回線は途絶えた。
十分な軍備を整えていた筈の"パイオニア1"との通信が不可能という事態、
並びに、"パイオニア1"から送られたデータによると、惑星『ラグオル』には敵となる存在は確認されていなかった、という事実。
これらの事からこの事態を重く見た"パイオニア2"移民団は、軍部の調査のみではなく、移民船に搭乗していた――大まかに言えば傭兵と言うべき職業の人々、"ハンターズ"に調査を依頼。
その後、総督府最高責任者のコリン・タイレルより依頼を受けたハンターズは、惑星『ラグオル』の調査を開始する。
本来温厚であった筈の原生生物の凶暴化。そして、"セントラルドーム"地下に隠されていた広大な実験施設。
混乱するハンターズであったが、『ラグオル』に残されていた"パイオニア1"の生き残り――
通称"
その後、暴走した実験施設の防衛機構を排除したハンターズは施設の封鎖区画を解除し、その先の――
――古代文明の遺産、遥か数千年以前に落着したであろう宇宙船の遺跡を発見する。
遺跡に残されていたリコのメッセージ。
それに記されていた、遺跡の最深部に眠る存在"ダークファルス"。
数千年に一度蘇る闇の存在であり、実体を持たないが故に復活に有機体を必要とする、とも――。
"パイオニア1"の人員の全滅は、この存在の為なのだろうか?
メッセージを確認したハンターズの中には、その事実に尻込みする輩も少なくは無かった。
だが、それでも真実を求めるべく遺跡へと向かった人間達もまた、少なくは無かった。
"彼"もその一人であり、"ダークファルス"を再び封印し、闇の呪縛からパイオニアを解き放つべく――
今、まさにこの遺跡を駆け抜けていた。
「おい、大丈夫か? 息が切れてるぞ」
そう軽い口調で話すのは、"彼"と長年付き添って来た相棒であり、また最高の親友とも言える青年。
それと同時に、主に近接武器を扱う職――"ハンター"でありながら、遠距離専門職――"レンジャー"にすら引けを取らない射撃精度を誇る一流のハンターズである。
青年は背後に迫る脅威を確認すると、すぐさま手に持った得物――ハンドガン"ヴァリスタ"を撃ち放つ。
正確な射撃で弾丸を急所に叩き込み、そこにあったエネミーの姿を無残な残骸へと変貌させる。
それだけでは無い。次の瞬間には、彼は得物を片手剣"
「大丈夫? そんなのじゃあこの先危ないんじゃない?」
それに追従するのは、群がるエネミーを豪炎で焼き尽くす少女。
彼女は、このチーム唯一の"フォース"であり、"ダークファルス"封印に召集された彼女もまた一流の実力を持つ。
"フォース"とは、パイオニア文明におけるエネルギー源"フォトン"を行使し、超常現象を引き起こす術式――
言わば、科学によって再現された魔法である『テクニック』を主に使用する者を表す。
その名に恥じない猛攻を受け、周囲に残存していたエネミーはその存在を塵へと還していく。
「おいおい、俺の分も残してくだせえよぉ…… こんなに簡単じゃあ面白くねぇですぜ!」
殿を務める青年は、そう言いながらも腰だめに得物を構え、背後のエネミーを掃討していく。
ハンターズ支給の青い服装に身を包んだその青年も同じく一流の"レンジャー"であり、また同時に情報収集に長けているというハンターズの中でも一風変わった特徴を持つ人物でもある。
経験という面では他の二人に劣るが、その情報収集能力を見込まれ今回のチームに加わった経歴を持つ。
だが、青年は戦闘面でも十分にこのチームに貢献していた。
背後の掃討を終えるとすぐ様、両手に一丁ずつ"H&S25 ジャスティス"と呼ばれるサブマシンガン状の武器を手に取り、確実に前線の援護を行っている事からもそれが伺える。
「ッはぁ……、ぁ……、だ、大丈夫ですよ。俺はまだ戦えますッ!」
最後の一人は、まるで少年といっておかしくない風貌の人物。
仲間の激励を受け立ち上がる"彼"もまた、まだあどけなさが残るような顔立ちでありながらも歴戦を潜り抜けてきた猛者であり、一流と言って過言ではない実力も併せ持つ。
だが如何せん、チームで最も小さい体格の為か、あるいは緊張の為か……
遺跡の最深部に辿り着くころには、体力の限界も確かに近づいて来ていた。
それでも他のメンバーを心配させないよう、可能な限り誤魔化してきたが――
「っはぁ、はぁ…… くっ……」
周辺のエネミーを掃討し終えると、ついに彼は限界を感じ、耐え切れずその場に倒れ込んでしまう。
そもそも彼がこのチームに参加できた理由の内訳としては、"パイオニア2"トップクラスの実力を持つ彼の親友の存在が過半数を占める。
彼自身の実力は、本来であれば遺跡の上層部を攻略出来る程度であるため、お世辞にも最深部に似合った能力を持つとは思えない。
故にこの結果は必然であろう。倒れ込むに従い、彼の手にしていた武器"フロウウェンの大剣"が自重に従い地面に落下する。
この大剣は、彼が敬愛する人物が使用していた大剣のレプリカ品であるが、軍製の量産品であるためお世辞にも性能が良いとは言えない。
それでも愛用する理由は、彼が心底から憧れている為であろう。
"パイオニア1"の英雄、陸軍副司令官――ヒースクリフ=フロウウェンに。
「お、おい! 大丈夫かよ…! 早く"レスタ"を!」
「分かってるわ――」
彼は、親友の慌てた声と、自らを包む回復用テクニック"レスタ"の暖かい感触を感じつつも、返答を返すことが出来なかった。
――結局、その日は最深部一歩手前での帰還となった。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「――ハァ、やっぱり俺は……」
"パイオニア2"内の療養施設――"メディカルセンター"のとある一室。
そこに"彼"の姿は有った。
先日の戦いにて負ったダメージは存外に大きく、復帰には時間が掛かると診断を受けたためである。
他のメンバーは復帰まで待っていてくれるそうでが、その事実が余計に彼の罪悪感を煽る。
《自分が居なければ……》
《自分の責任で……》
自問自答を繰り返すも、思考は次第に深みにはまっていく。
この脳内のモヤは取り除いておかなくては、と考えはしたものの、結局彼が復帰するまでそのモヤは残ったままであった。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「ついに……、ここまで来たな」
「そうね……」
「こいつぁー特ダネだ。――俺たちゃ英雄になれますぜ」
「――そうです、ね。ここまで来れたなんて……」
四者四様、この光景はまさにその言葉に尽きた。
何故ならば、彼らが辿り着いたのはこの遺跡の真の意味での最深部であるからだ――
眼前に広がるのは、赤く輝く四角形状の転送ゲート。
勇気ある者を"ダークファルス"の元へと誘うであろう、そのゲートを前に彼らは感慨の表情を浮かべていた。
「――だが、まだだ。"ダークファルス"を封印するには俺たちだけでは力が不足している……」
「……そうね。幾ら私たちでも、個人に出来ることなんて限度があるわ。私が"リューカー"で"パイオニア2"とのゲートを開く。軍部の力も使えるときには使っちゃいましょう」
「……あちゃあ、そりゃあ駄目でしょう。せっかくここまで来たんですから、ちゃっちゃと倒して英雄になりましょうよ」
「軍部の援護を受けたほうがいい気がしますが……」
またしても、分裂。
青い服装の青年は、功名を得るためならば命をも惜しまないタチだったのであろう。
他の三人の同意が得られないと悟ると、一人でゲートに向かい歩き始めた。
「ありゃりゃ、そいつぁー残念ですぜ。こうなりゃ俺一人で英雄になってきますわ」
青年はその言葉と共に、ゲートを起動させる。
眩いばかりの輝きが周囲を覆い、青年の体を包み込んでいく――
「――チィ、あいつッ! ……いくぞ、付いて来い……!」
「分かったわ、最後の最後にとんでもないことしてくれたわね…!」
「了解です――!」
青い青年の姿が掻き消える直前、他のメンバーも同様にゲートに身を投げる。
独断行動に走ったとはいえ、長期間苦節を共にした仲間である以上、それを無視することは出来なかったのであろう。
彼らがゲートに飛び込んだ、次の瞬間――
空間に赤い軌跡が奔ったかと思うと、4人の姿は影も無く掻き消えていたのであった。
ラグオル編はあと2話続きます。
(1/27修正 あと3話続きます)
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