PSAO=Phantasy Star/Sword Art Online   作:Noah/Deal

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Cry,for“IDOLA”the holy

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

 

「……爆発が起こった……」

 

「……深淵から生まれたもの……」

 

「……パイオニア1のクルーたち……」

 

「……取り込まれていくのが見えた……」

 

「……ここから全てが見え……」

 

 

「……私も既に支配され……」

 

「……意思は常に覗かれてい……」

 

 

「……探していた……」

 

「……寄り代となるものを……」

 

「……進化を欲していた……」

 

 

「……?……」

 

 

「……何故……」

 

「……あれだけ残して……」

 

 

「……違う……」

 

 

「……あの娘は……」

 

「……あの娘だけは……」 

 

「……お願いだ……」

 

「……止め……」

 

 

「……!……」

 

 

「……否……」

 

 

「……止められナカッたノダ……」

 

「……全てのもノに……」

 

「……ルため……」

 

 

「……彼女ハ……」

 

「……彼女ヲ……」

 

 

「……選ンダノダ……」

 

 

――"パイオニア1"管理用自立型AI「オル・ガ」のメッセージログより――

 

 

 

 

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

 

 

 

「――ッアァ―――!」

 

 

 

大いなる闇を前に、赤き青年が咆哮する。

 

ただ無心のままに得物を振るう――その姿はまさしく暴風雨。

 

ダークファルスが生み出す独楽状のエネミーは、その剣戟を以てして掃討されていく。

 

 

だが――彼の進撃に対し、エネミーはその障壁となるように広がり、ダークファルス本体への攻撃を許さない。

 

彼の現在の状況は、まさしくジリ貧と言うほか言い表せなかった。

 

 

それは歴戦の猛者である青年でさえ、足を進める所かただひたすら数を捌く事しか出来ない程の攻勢。

 

 

 

「……俺にだって、出来ることがある……加勢しますッ!」

 

 

 

だが、()()ではどうだろうか。

 

赤き青年の後ろより現れた少年は、群がるエネミーをその大剣で一斉に薙ぎ払う。

 

周囲を囲っていたエネミーが、まさしく一網打尽にされた事を見るや――

 

 

 

「……助かったッ! これで――」

 

 

 

烈火の如き気勢と共に、赤き青年は闇に向かって吶喊した。

 

正面を覆っていたエネミーはもはや存在せず、彼の剣は真っ直ぐにダークファルスの表面を切り裂く。

 

それだけでは無い。好機と見るや、彼は怒涛の連撃をダークファルスに叩き込む。

遅れて辿り着いた少年もまた、手にした大剣を大きく振るい――抜く。

 

 

――その連撃に、ダークファルスは悲鳴のような叫びを響かせる。

 

 

 

「……今だ、やれっ!」

 

 

「分かったわ――!」

 

 

 

大剣により大きく抉り取られた傷口。

 

ダークファルスの因子の為か、少しづつ塞がり始めているそれに対して少女が放つ猛火が襲い掛かる。

その一撃を受け、大きく仰け反ったダークファルス。その胸部に――

 

 

 

「本をただせば俺の責任さぁ、しっかりと尻は拭かせて貰いますぜ」

 

 

 

青き青年が、無数の弾丸を撃ち込んだ。

 

一発一発は微小な力しか持たないが、それが集まれば自然と致死に至る威力までに達する。

そして――響く、轟音。

 

 

 

「……やった、のか?」

 

 

 

それが、ダークファルスの体力を削り取ったのか。

一際大きな叫びと共に、闇の具現はその動きを止める。

 

 

……だが、これで終わるわけもない。その身は闇の具現故に――

 

 

 

「見て、あいつ…… 体を切り離したわっ!」

 

 

 

――再び全身に幾何学光を灯したダークファルスは、傷ついた下半身部を分離する。

 

それと同時に、太陽で照らされた油に浮かぶような光学模様が、ダークファルスが展開した翼が如き光翼に浮かび上がった。

 

そして闇は飛び上がり、彼ら四人の立つ円形の足場の外周に移動すると、周囲を周回しながら次の目標を定める。

 

 

 

「やはり、まだ息があったか……! 仕掛けるぞ、奴の放つテクニックに気を付けろよ!」

 

 

 

そう言い、他の仲間を鼓舞した赤き青年は再びダークファルスに向け疾走する。

 

不思議なことに、ダークファルスはその間これといった抵抗を見せず、青年はすんなりと攻撃に移ることが出来た。

 

 

 

「――ッせぁ、ハァァァア―――!!」

 

 

 

気合の一閃。

 

彼の一撃は、新たに露出したダークファルス腹部の球状の物体――弱点であろうそこを確実に傷つけた。

 

だが。

 

 

 

「……クッ、足が……!」

 

 

 

接敵と同時に、ダークファルスが巨体を生かして発生させた地響き。

それに足を取られた青年は、その場から碌に動けなくなってしまった。

 

彼は、ハンドガン"ヴァリスタ"を構え懸命に射撃を行うも、ダークファルスは怯みすらせずにその両の腕に光を集める。

 

その光景に、どこか既視感を覚えたのだろうか。

 

 

 

「――駄目、早く逃げてっ!!」

 

 

 

悲痛な叫びをあげる少女。

 

思わず目を覆う青き青年。

 

目を見開いたまま動けない少年。

 

 

そして……

 

 

 

 

「――――ぁ、」

 

 

 

 

彼の元に、

 

極光が、

 

降り注いだ。

 

 

 

「……嫌、いやぁぁぁぁあぁぁ!!」

 

 

 

少女の絶叫。降り注いだ光は青年の体を、焼き、貫き、刻み、裂く。

 

幾ら蘇生用アイテム"ムーンアトマイザー"が有るとはいえ、その光景を目に入れるのは相当の苦行であろう。

 

四肢の全てを焼き尽くされ、無残にも倒れ伏す青年。その体の上には、行動不能を示す白い光球が漂っている。

 

 

次は、こちらか――

 

 

残された三人は、ダークファルスの挙動を見逃す事無い様、臨戦態勢を取り身構える。

 

……()()、ダークファルスは倒れた青年に対して攻撃の手を止めなかった。

 

 

"ラフォイエ"に限りなく酷似した火球で焼き尽くし、

同じく"ラバータ"に酷似した氷撃で凍りつかせる。

 

 

そして、再び降り注ぐ極光。青年の体は、見るも無惨に破壊されていく。

 

 

――それこそ、生命維持を担う防具"フレーム"が機能を失う程に。

 

 

 

「……ッ! ダメ、彼は殺させないっ!」

 

 

「――姉御ぉ! 一人で突っ込んじゃあ……!」

 

 

 

その光景に、思わず少女はダークファルスへ向かって走り出す。

それを目にした青き青年も、少女の後を追いまた、走り出した。

 

 

――少女もそうだが、"フォース"という職は総じて防御力に劣る。

 

故に、通常ならば単独行動は推奨されず、チームでの援護要員となる事が多い。

青き青年は、ダークファルスの放つ攻撃の威力が、少女を容易く屠る程の威力であると推測していた。

 

防御に長けた"ハンター"である赤き青年が耐えられなかった攻撃を、少女がどうやって耐えられようか。

 

 

故に、これから先の光景はきっと必然。

 

 

 

「今助けるからね、"リバーサー"で……、ッ、きゃあっ!!」

 

 

「っチィ、誤射したらスミマセンよ姉御ッ――」

 

 

 

不用意に近づいた少女は、ダークファルスの引き起こした地響きをマトモに受けてしまう。

蘇生用テクニック"リバーサー"を使う間も無く、少女は足を取られ躓いてしまった。

 

それを見た青き青年は、手にした双銃のトリガーを目一杯に引き絞り、ダークファルスの動きを僅かでも止めるべく全力を以て撃ち放つ。

 

青年の後ろから走り寄ってきた少年もまた、己の得物を手に"ダークファルス"へと肉薄していた。

 

それらによって生まれた僅かな隙。それを逃さず少女は状態回復用テクニック"アンティ"にて地響きによる鈍足から抜け出し、ダークファルスの攻撃範囲から抜け出した。

 

 

 

「奴さん……、俺たちの動きをまんまと読んでいる気すらしますぜ……」

 

 

「でも、このままじゃあ一向に――」

 

 

「そいつぁ分かってる。アンタと彼女と、そしてアイツと。俺の欲のせいだってのに……!」

 

 

「そんなに気を張らないで下さい、それくらいあの人だって許してくれますよ――」

 

 

「それはありがたいお話だぁね――、マズイ…来るぞ、逃げろッ!」

 

 

 

少女の離脱を確認した二人は、継続してダークファルスへの攻撃を行っていた。

 

先程の赤き青年が近付いた時と同じく、不気味な程行動を起こさないダークファルス。

 

だが、その両腕に次第に光が収束していく光景に、青年が警告を発し――

それを聞いた少年は全速でダークファルスから離脱する。

 

 

先程、赤き青年が貫かれた極光――、その予兆であろう行動だと、青き青年が判断した為である。

 

――そして、予想通り極光が放たれた。

 

 

少年は辛うじて範囲外に逃れたが、青き青年はその体を極光に貫かれていた。

 

間際に、少年と少女に対して侘びの言葉を呟いていたように見えたが――

 

 

その言葉も、轟音と共に掻き消された。

 

 

 

「……はぁ、――は、ぁ。 無理よ……、こんなの。みんな死んじゃってるじゃない……」

 

 

 

涙を流しながら、杖を構える事すら出来ずに倒れこむ少女。

 

その眼前では、二人の青年の体が極光に焼かれ、やがて意味を無くした"フレーム"と共に、その存在は完全に焼き尽くされた。

 

 

"ダークファルス"は、深淵なる闇の憎悪によって誕生したモノ。

 

 

その出自が故に、他の存在が発する負の感情は、全てエネルギー源とすることが出来る。

死した二人の、負に満ちた生体フォトンを喰らったダークファルスは――次なる目標へ向けてその腕を伸ばす。

 

眼前には、新鮮な"負"に満ちた存在が二つ。

 

 

 

「……ぁ、ょ…、よ、くも……よくも、アイツ……」

 

 

 

行き過ぎた"負"は反転し、死をも厭わぬ無謀へと誘う。

 

少女もまた負に呑まれ、生まれ出ずる衝動を抑えきれずにいた。

 

 

 

「――アイツを、殺したなァッァァッッッ!!」

 

 

「駄目です、それじゃあ貴女も――!!」

 

 

 

少年の制止も聞かず、少女はただ内より湧き上がる衝動のままに身を投げ出す。

 

走り出した彼女はすぐにダークファルスを射程に捉え、その勢いのまま上級テクニックを乱発する。

 

もちろん、そのような行動は術者にも負担を掛ける。少女の精神力はその証拠に、普段では考えられないほどの速度で底を尽いた。

 

 

 

「――こ、んなの……、アイツを殺したヤツを殺すまでワタシは死ねないのにッッ!!」

 

 

 

――それは、追い詰められた人間の底力か。

 

ダークファルスの攻撃をフォースとは思えぬ身のこなしで避けると、精神力回復用のアイテム"トリフルイド"を一気に飲み干す。

 

 

無論それとて有限の手段だ。だが、少なくとも彼女の交戦可能時間は引き延ばされた……、戦術的には。

 

 

精神力回復用の、"フルイド"系統のアイテムは決して無害ではない。

 

それこそ過度の使用は、本人の精神に問題をきたす可能性すらある、一種の麻薬に近い性質すら持つものなのだ。

 

当然であろう。そうでなければ、消耗した精神を一飲みで戦闘可能まで回復させる事は出来はしない。

 

通常ならば、その副作用が発生しない程度の頻度でしか使用することは無い為、問題は無いのだが……。

 

現在の少女はそれすらも無視し、所有する"フルイド"系統の薬を浴びるように飲みながら戦闘を継続していた。

 

少年は乱舞する無数のテクニックに、近付くことすら出来ず――その身のもどかしさを隠せずに居る。

 

 

やがて。

 

 

 

「――ァ、-ぁああ、く、ァあ……倒、しタ、の……?」

 

 

 

その乱戦の中、少女が放った極大の火球がダークファルスを焼き尽くし――

 

ついに、ダークファルスのその巨体を地に落とした。

 

 

激戦の、跡――

 

 

そうとしか言えない光景。少年は、その中心で横たわる少女の姿に。

 

 

 

《ドウシテ? オレハ ナニモ デキナカッタ》

 

――悲嘆を感じた。

 

 

 

《ドウシテ? オレヲマモッテ フタリシテ シンデイッタ》

 

――絶望を感じた。

 

 

 

《ドウシテ? カノジョハ ミヲケズッテマデ ヤツヲ タオシタノニ――》

 

――俺は、何も出来ていない。

 

 

混濁する思考をよそに、体は自然と少女へと近付いていた。

傷つき、横たわるその姿。

 

何も出来なかった自分に対して、後悔と懺悔の感情が溢れてくる。

 

 

 

「……でも、これで、終わった筈ですよね……」

 

 

 

――そう、これで終わった筈。

 

ダークファルスとの因縁も、此処で決着だ――

 

 

そう、思ったことがいけなかったのだろうか。

ふと視線をやると、倒れ伏していた筈のダークファルスが消え去っていた。

 

 

馬鹿な、有り得ない―― そんな感情ばかりが溢れ出す。

そして、我が身に感じる不思議な浮遊感。

 

信じられるだろうか――

 

再び蘇ったダークファルスを中心に展開された魔方陣。

 

 

彼は知る由も無いが、それは古代においてダークファルスを封印した"アルゴル太陽系"の封印術式。

 

 

気付けば彼の身はそれを足場代わりに、ダークファルスと共に上空に在ったのだ。

左に目をやると、もはや満身創痍――体を動かすことすら難しいだろう、少女の姿も見える。

 

 

 

「……ははっ、俺の英雄願望を見抜いてたって訳ですか……」

 

 

 

――この展開に、彼は思わず呟かざるを得ない。

両手で強く握り締めた"フロウウェンの大剣"。

 

 

彼の英雄の重みを強く感じながら、彼は今、再び闇と相対した……




あと2話でラグオル編が終わると言ったな……?あれは嘘だ(マテ

予想外に長くなってしまい、2話に分けることに致しました。申し訳無いです…(汗)

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