プロローグ
――白――
目の前が白いのか、それとも目が見えていないのか。
どちらにせよ、良い状況ではなさそうだ。
――首を動かす。
どこを見ても白以外に色はない。
いや、そもそも色とはなんだ。
俺が生きてきた世界では太陽光のうち、人間の目に映る可視光線と呼ばれる電磁波の波長範囲の色のことだ。
つまり、太陽らしき存在が見えないこの空間においては白という色自体異質なのかもしれない。
ということは、この色は俺の目の内側にのみ展開されている色であり、実際には目を閉じている状態であるのと同じわけだ。
というわけで――
「これはどういう状況なのか、説明してもらおうか」
「ふぉっふぉっふぉっ。お主、なかなか面白いのう」
再び首を動かす。
俺の右側に現れた白いローブを身に纏った老人を見据える。
白に白であるため体の輪郭はぼやけているが俺よりか多少小さいぐらいか。
髪も白く、髭も白い。
唯一判別できるのは剥き出しとなっている顔や手などの皮膚の色だけである。
「喜べ、青年よ。そなたは選ばれたのだ。我々が選別せし新たなる神として!」
新たなる神、ね。
どれほどの神たちがいるのか知らないが、新たな神を造るなど面倒な事をするものだ。
それに……神なんて存在、くだらないの一言に尽きる。
「……くだらないな」
「……なんじゃと?神に選ばれることが、くだらんとな?」
「ああ、くだらない。例え初期生物が神に創造されたのだとしても、今を生きてきた生物たちは関係のない話だ。にもかかわらず、『選別』だと?貴様らはいつまで自らを上位の存在だと考えている気だ?」
「……くくくっ。面白い考えだな。だが、そなたの言葉には1つ盲点がある。そなたはいつ、『生物の進化が神の手を離れた』と考えた?」
「……何が言いたい」
「生物の運命が我々神の掌から毀れ落ちたことなど一度もないということだ。数多の生物が生き、蠢くほどに活動し、多少なりの力を持つ生物が世を制する。それらが死に、再び生物の生まれ、そして死ぬ。何時如何なる時においても輪廻の連鎖を起きる。これらは全て我々の予定調和の内よ」
「……」
「そなたは神の手から逃げたと感じておるかも知れぬが、それはそなたの錯覚じゃ。……さて、再び問おう。我が宣告に応じ、神へと昇華するか。宣告を蹴り、下等生物として再び輪廻を生きるか」
「……ならばやってみろよ」
「何?」
「俺が神の掌で踊っていたかどうか…貴様自身の手で試してみろって言ってんだよ」
「…………愚かなり、青年よ」
老人の雰囲気が変わった。
穏やかな空気は消え、渦巻くなんらかの力が辺りを埋め尽くす。
これが、神のプレッシャーか…ッ。
「残念なものよ。人から神へと昇華するチャンスを不意にするとはな。所詮、下等生物にすぎぬというわけか。…我が前から消えよ!!」
老人が手にした杖より光が溢れる。
白よりも白い、輝く稲妻が杖に集まる。
そして、老人が杖を振りぬき、稲妻が俺向かって奔る!
だが、俺はこの時を待っていた!!
「ぐっ、ぅぉおおおおおおおおお!」
「なっ、バカな!?我が裁きを受けとめただと!?」
「言ったはずだ!人は既に神の定めた道を外れたとな!喰らえッ!!」
「なっ!?グオッ!?」
稲妻を封じ、自らの拳にのせて老人目がけて放つ。
自身の攻撃を止められたばかりか、反撃してきたことに対応できず、老人は攻撃を受けて膝から崩れ落ちる。
「ば、ばかな…。我が閃光の稲妻を受け止めただけでなく、反しただと…ッ」
「いつまで自分たちを上位の存在だと考え、驕り高ぶった結果だ」
「……そなたは危険だ。まさか、神を超える可能性を秘める生物が生まれているとはな……」
「生きるもの全てには無限の可能性が秘められている。俺にはそれが神以上のものだったってだけだ」
「……ふっ、ふふふ、ふふふふふ……」
「…何が可笑しい」
「確かに認めようではないか。神を超える可能性を。だが、それをそのまま野放しにはさせてやらぬ!喰らえ、神の呪を!!!」
「!?くっ、なんだこの黒い瘴気は!?」
「くははははは!堕ちろ、神の可能性を保ちし若造よ!!神に成れず、永遠人の世を彷徨い続けるがよい!くははははははh――――――」
「ぐ、ぐあああああああっ――――――――――」
∽to be continue∽
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