∽移り行く風のように∽   作:アクア=イスタロス

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第1章 青年は天を知り、地を知り、人を成す
第1話


―――――【第1話 始まり】―――――

 

【side ???】

 

……グ――

………グオ―――

…………グオォォォオオオオオオ!!!

 

ピシッ

ピシピシッ

ピキーンッ

 

この時、とある場所に罅が入った。

その罅は徐々に大きさを増し、遂には人一人が通れる大きさまでに拡大した。

そこから、のそりと人型の何かが現れる。

――否、人が現れた。

 

「…はっ、はっ、はっ……ここは…ぐっ」

 

その人は胸辺りを抑え、苦しみだす。

当然だろう。

ここはとある銀河のとある場所。

つまり、宇宙空間なのだ。

人である以上、呼吸が不可欠なのだが、宇宙空間では酸素の補給は行うことはできない。

……そもそもその前に圧力で押し潰される気がするが、それは置いておこう。

 

「ぐ、あっ。ぜっ、ぜっ、ぐぅ……『■■』――」

 

苦しむ人が息絶え絶えの中、1つの言葉を発した。

その言葉はこの空間に多大な変化を引き起こし、それと同時に自身を救う切っ掛けとなった。

その人は結果を見る間もなく意識を失う。

落ちて、落ちて、落ちて、落ち続ける。

落ち続けるその人に待つ結末は――

 

 

 

 

――――――――――

――――――――――

――――――――――

 

 

 

 

「――――ッ」

 

痛みによって目が覚める。

気絶しそうなほどの痛みが全身を襲い、再び気絶しそうになるところを必死に繋ぎ止める。

目を開け、周りを見渡す。

そこに広がるのは紅い大地。

何もなく、ただ、紅い荒野だけが広がっていた。

 

「ぐっ…ここは…どこだ」

 

痛む体に鞭を入れ、強引に体を起こす。

風が吹き、紅い砂ぼこりが人の姿を隠す。

起き上がってみたものの、ここがどこか手掛かりが見つかるわけでもなく、ただ、力を浪費しただけであった。

だが、彼にとっては無駄ではなかった。

 

「…重力を感じる。体がギシギシ言っているが、ここには間違いなく地球に近い程度の重力があるわけだ」

 

つまり、それだけの引力を持つ惑星が存在すること。

それが地球と同じ太陽であれば、少なくとも生物が生きるだけの最低条件は満たせる可能性が残される。

 

「今の俺に残された力は少ない。この力だけでどこまでやれるか…」

 

吹き続けていた風が止み、人の姿が明らかとなる。

銀色の髪に、蒼色の目。

黒いローブに身を包んでいるが、高めの背に長いであろう手足。

間違いなく、神へと喰らいつき、呪いを与えられた青年その人である。

 

「……まずは水だ。そして、次に自然。下地が整った後に生物が現れてくれればいいが…それは賭けだな」

 

青年は手を掲げ、目を瞑る。

ふと脳裏に浮かぶのはとある漫画のとある一コマ。

イメージは鮮明なほどやりやすい。

ほとんど試したことのない力の筈なのに何故か己の手足のように理解できる。

ならば構わない。

自らの内側に意識を向け、自身の持てる全ての力を一瞬に放つ準備を行う。

そして――

 

「『創造』」

 

手を振り下ろし、呟いた言葉は風に乗って世界を巡り、一瞬でその変化を表した。

 

「は、はは。上出来すぎるぜ……」

 

青年は崩れ落ち、大地に身を落とす。

しかし、倒れ込むその先を掴み、拳の中にへと招く。

倒れ込んだ青年は意識を闇に落とすその前に自身の拳を開く。

その中には、確かに青々と茂る草の存在があった。

青年は笑い、笑顔のまま闇へと委ねる。

 

風だけが、青年の行いを祝福していた。

 

 

 

 

∽to be continue∽

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