―――――【第29話 欠片】―――――
【side ラカン】
おぅ?
なんだ、俺様の番か?
仕方ねぇな、いっちょ俺様があれからのことをガンガン説明してやろうじゃねーか!
ナギと姫さんが誓いを交わした後、俺達は反撃を開始した!
しかし、誰が敵で誰が味方かさっぱりわからねぇ。
ホントに世界全部が敵なら全員ぶっ飛ばしゃいいから楽なんだがな!
で、どうしたかっつーと…ん―――――…あ―…。
その辺はめんどくせぇから省く!!!
敵味方の判別やら難しいことは頭脳労働担当任せだ!
主に姫さんとかアルとかだな。
どうやって判別したのか知らねーが、手際は良かったぜ?
姫さん達の努力の甲斐あって、味方も徐々に増えた。
で、肉体労働担当の俺達は「敵」だと判明した奴らをブッ潰す!!!
味方を増やし、敵を倒して外堀を埋めてく。
ま、単純な話だな。
敵のほとんどは戦で儲けを狙ってた武装マフィアに武装商人、私腹を肥やしてたお役人とかだ。
けどまあ、そーゆーのは『完全なる世界』の中でも雑魚も雑魚。
真の敵はあのスカしたキザ野郎どもだ!!
でもってよ。
現在俺達がいるのは桃源という都市の近くにあるロンシャーレノン山脈の麓だ。
下から見ても山脈のいたるところに完全なる世界のシンパの砦が配置されている。
ちまちまいやがるからドカンと派手に行きたい俺には不向きな戦いだ。
最も、山脈ごとなくしていいんだったら話は別だけどな!
「あっちにもこっちにも砦がワラワラ…はっ、笑っちまうな!」
「気を抜くなよ。いくら地方の残党勢力とはいえ、俺達4人に対しては十分すぎるほどの兵力があるんだ。慎重に行くぞ」
「止めとけガトウ。ジャックは赴くままに動いた方がいいだろう。フォローは俺達ですればいい」
「……はぁ…わかったよ、リュラン。ジャック、最初は思いっきり行って良いぞ。お前は目の前を、周りは俺達がきっちり締めよう」
「おっし!派手にいけばいいんだな!」
「…話を聞いてくれ…」
「…諦めた方が精神的に楽だ。バカに言い聞かせる方が重労働だ」
「はは…違いない」
「あ、あの~…大丈夫なんですか?」
「…あぁ、タカミチか。問題あるまい。ジャックの力は疑う必要はない。俺とガトウも強引に攻めなければ怪我1つ負うことも無い。俺としてはお前が一番不安だ」
「あ、う、はい…がんばります…」
「おいおい、最初から落ち込まなくてもいいぞ。要は慣れの問題だ。タカミチも経験していけば大丈夫さ」
「は、はい!がんばります!師匠!」
「じゃ、そろそろ行くとするか。俺は右。ガトウとタカミチは左な」
「あぁ。(はい!)」
「話は終わったのか?じゃ、戦闘開始だ!!トゥッ!」
そのあとは想像通り、俺がボコボコにしてガトウやリュランがいつの間にか倒してて、タカミチが頑張ってた。
いや~楽しかった、久々に暴れられてよかったよかった。
…ジャックに先頭を任せたのは失敗だったかもしれん。
思いっきりとは言っていたが、目の前の光景は酷い。
砦は跡形もなく消し飛んでおり、それに付随する形で地形が削り取られている。
…ま、嘆いても変わらんし、俺は俺の成すべきことをしよう。
中央と左は仲間に任せたんだ、右は確実に仕留めよう。
「おらぁぁぁ!死ねぇ!!!」
「ふっ」
「ごふっ…」
「でぇぇぇい!」
「はっ」
「ぐふっ…」
とは言え、先ほどから同じ動作の繰り返ししかしていない。
剣や槍といった近接線しかやっていない。
もっと、砦から雨あられのような矢とか、魔法弾幕とかを期待した俺がバカみたいだ。
ジャックではないが、いい加減飽きてきた。
……あいつに言っておいてなんだが、さっさとケリをつけるとしようか。
「百式観音。『慈愛の閃光』」
キュィィィィン
ピチューン
ゴォォォオオッ
「…ふむ。こんなものか。…まさか、あの言葉も詠唱扱いになるのだろうか」
俺の背後に千手観音が現れ、手に溜めた力を左から右に薙ぎ払うように振り抜く。
振り抜きざまに閃光を放ち、直線に放たれた力の奔流は目の前に存在した物体全てを吹き飛ばした。
しかし、予想以上に閃光の威力が小さい。
前回の時のように「我が魔力~」といった言葉は言うべきなのだろうか。
あの時は周りの雰囲気に流されて言ってしまったが、後から考えるとアレほど恥ずかしいこともない。
――うむ…さて、話を戻して……。
今回の閃光は狭い範囲にしか放っていないため、横の効果範囲はそれほどでもないが、見た目はやはり派手だ。
何しろ、ジャックに言ったはずの地形を壊すなって忠告を俺が破ってしまったぐらいだからな。
お陰で相手の士気は一気に下がったが……なんだかなぁ…。
ともかく敵を倒すのと同時に地面を元通りにしていく。
そうだな、元通りになれば大丈夫だろう、うん。
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その後も紅き翼の面々は多方面に渡って活躍を重ねる。
東に西に、北へ南へ。
時に人を助けるために殿を務め、時に悪を働く高官どもを吹き飛ばし、はたまた時には戦争を素早く終えるべく、武器庫や闇会場を粉砕した。
もちろん、指名手配は消えていないため、賞金首として連合や帝国に襲われる場合もあったが、大抵は『完全なる世界』の影響下であったため、問題なく返り討ちにしていった。
この活躍はそう簡単には語り尽くせるものではなく、映画にして3部作、単行本であれば14巻分にもなろう6カ月の死闘の後……彼らは遂に『完全なる世界』の本拠地を突き止めることに成功する。
その本拠地こそ……世界最古の都、ウェスペルタティア王国が懐である王都オスティアの中でもほとんどの人物が立ち入りを禁止されている空中王宮最奥部――
名を『墓守り人の宮殿』という。
紅き翼は戦争を止めるべく、最後の戦いへと身を投じるのであった。
∽to be continue∽