―――――【第30話 決着】―――――
目の前には不気味なまでに沈黙する天空都市――『墓守り人の宮殿』が存在する。
最近忘れがちな原作の通りに進めば、この戦いにおいて造物主が一時的に表舞台から退場する。
――はずだ。
これまでは原作通りに物事が進んできたが……流石に最終戦だ、思いもよらぬ事態が待ち受けているかもしれん。
今までの戦闘で『俺』の力を知っていた者はいなかった。
無論、『百式観音』や大魔法はかなりの確率で使っているから知られていても不思議じゃないが……レイナは『創造』を、フェイトは『百式阿修羅』を知っている。
今まで考えずにいたが……これほど不思議なことはない。
もし、完全に敵としているのであれば相手の情報は喉から手が出るほど欲しいはずだ。
……信じよう。
レイナを、フェイトを、シエルを……。
故に、俺は今まで通り蹂躙しよう。
そして、何かあれば即座に反応しよう。
何があろうと、必ず止めて見せよう。
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「不気味なくらい静かだな、奴ら」
「なめてんだろ。悪の組織なんてそんなもんだ」
「だからといって俺らまで油断していては元も子もない。気を引き締めろ」
「おうよ」
目の前に聳える宮殿に挑むのは彼ら紅き翼。
ガトウ、タカミチを除く6名だ。
そして、ともに戦場を駆け、背を護るのは各国から集いし精鋭たち。
「ナギ殿!帝国・連合・アリアドネー混成部隊、準備完了しました」
「おう。あんたらが外の自動人形や召喚魔を抑えてくれりゃ、俺たちが本丸に集中できる。頼んだぜ」
「……ま、いいか」
「あん?なんだよ、リュラン」
「別に。気にするな」
「おいおい、何か思うことがあるんだろ?気になるから言えって」
珍しいといえば珍しい光景。
いつものナギであれば、1度濁された時には諦めて前を見る筈が、今日は何度も聞き返している。
「フフ…ナギはただ目の前の敵に集中すればいいのでは?」
「おや、リュランが私の真似をするとは…珍しい」
そして、リュランもまた彼らしくない発言が目立つ。
アルの真似など、今まで見たこともない。
「ナギではないが、何かあったのか?」
「いや……これで戦争は終わる。そう思っただけだ」
「……ま、俺たちはいつも通りいけば問題ねーだろ」
いい加減ナギも諦めたらしい。
再び前を向き、最終決戦に備える。
「……で、セラス。まだ用か?」
「ハッ。それで、あの…ナギ殿」
「ん?」
「ササ、サインをお願いできないでしょうか?」
「おあ?ああ、いいぜ、それくらい」
「そ、尊敬してました!い、一生の宝物です!」
顔を真っ赤にしてナギのサインを抱きしめる姿はどこにでもいる女の子のようだ。
しかし、彼女はアリアドネーの戦乙女だ。
すぐさま部隊を整えに、持ち場へと戻っていった。
セラスが帰った後、ガトウから連絡が入る。
どうやら現状報告のようだ。
「ガトウですか。首尾の方は…?」
「連合の正規軍の説得は間に合わん。帝国のタカミチ君と皇女も同じだろう。…決戦を遅らせることは出来ないか?」
「無理ですね、私達でやるしかないでしょう」
「既にタイムリミットだ」
「ええ。彼らはもう始めています…『世界を無に帰す儀式』を。世界の鍵『黄昏の姫御子』は彼らの手にあるのです」
「急がねばな。この世界は消えちまうわけだ」
「あぁ……。よし!行くぜ野郎ぐふっ」
「待て、慌てるなナギ」
「いや、だからって首絞めるなよ…」
突然出撃の激を飛ばそうとしたナギをリュランが止めた。
何の用だと聞けば指で示された。
「半径5キロといったところか…範囲内に敵が侵入すると召喚魔法が倍増される罠が見える。今はまだ同等だろうが、一瞬にして増えることが予測される。まずは味方がやられぬよう俺が一気に潰す。だから少し待ってろ」
「早くしろよ~、俺は今にも行こうとしてたんだから暇なんだぜ?」
「ふっ…顕著せよ、『百式観音』」
リュランの背後に金色に輝く千手観音が現れる。
紅き翼の面々は見慣れた光景ではあるが、後ろに控える各国の兵は見たことがないのか、一同興奮気味であった。
「な、なんだ!?」
「おぉ!!あれが『千の腕を持つ男』の力か!」
「なんと神々しい…」
「お、おい!リュラン!まさか…」
「まずは掃討する。我が魔力を喰らい、眼前に迫る敵を薙ぎ払え!『慈愛の閃光』!」
何をやるのか気が付いたナギは慌ててリュランの前から下がる。
リュランの詠唱に従い、千手観音の目がさらに細まり、数多の腕を前へと突き出す。
大気が軋み、唸りを挙げて全ての力が千手観音の手へと集まる。
異変に気が付いた敵の召喚魔がこちらへと攻め寄るが遅い。
放たれた閃光は空気を巻き込み、真空波を伴って敵へと迫る。
ガードしようと構えた敵召喚魔は成す術もなく消し飛ぶ。
……閃光が止み、混合部隊の視界が復活した時には宮殿前に陣取っていた敵の姿はほとんどなく、粗方消し飛んでいた。
これこそ、英雄の持つ力。
「よぉしっ!野郎ども、行くぜっ!!」
唖然とする混合部隊を余所に、ナギ達は決戦の場所へと突撃して行った。
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宮殿へと真正面から進撃する。
そして、それを待っていたかのように数人の男達が現れた。
「やあ、『千の呪文の男』。また会ったね。全く、これで何度目だい?僕達もこの半年で君にずいぶん数を減らされてしまったよ。このあたりでケリにしよう」
「はっ、てめぇこそ諦めやがれ!」
悠然と構えるフェイト(男)に突っ込むナギ。
それに合わせ、フェイト(男)の近くにいた男達が散開する。
拳に炎を纏う男は似たような気質を持つラカンの前に。
斬り込む詠春に対し、速度で拮抗する雷を全身に巡らす男が狙い撃つ。
水を己の手足の如く使役する男には柔軟かつ大胆に戦えるゼクトが。
色は違えど、見た目同じのローブを纏う黒い男には同じく後衛のアルが。
そして、かなり大きなローブで全身を包み、顔すらも見えぬ者に対して、リュランは刀を構え、すぐさま魔法での先制攻撃へと移った。
奇しくも、似たような戦法対決となった。
ゼクト達はある程度の距離を取って互いに魔法を放つ。
属性は違うが、手数、威力、ともに互角。
同様にアル達も距離を保ちつつ、アルは重力魔法を、相手は影魔法でじわじわと攻め、防ぎ、反撃する。
詠春はすぐさま神鳴流奥義、雷光剣を放つも、相手の男は自身を雷へと変換して堂々対峙する。
ラカン達に至っては何の小細工もせずに真っ向勝負のインファイト。
激しい拳の応酬が大地を、空気を震わせた。
そんな激しい戦闘が繰り広げられる一方、リュランは自分が向かった相手に違和感を覚える。
他の相手は憎悪こそほとんどないが、それでも殺気や戦闘への高揚感で溢れているにもかかわらず、自分の前の敵にはそれが全くない。
不気味だ。
しかし、どこかで同じような雰囲気を見た記憶も――
「…お静かに。私です」
「……まさか、堂々と接触しに来るとは」
少しだけ捲ったフードの奥には見慣れた女の顔。
信頼する仲間、フェイト・アーウェルンクス(女)の顔があった。
少しだけその大胆さに呆れた。
だが、そんな時間も惜しいとばかりに現状を問う。
「…現状は」
「レイナ様が不意を突かれて囚われて居ります。場所はこの先を抜けた封印の間。他の『完全なる世界』の主要な者もそこに」
「……いつから喰われた」
「お察しかとは思いますが」
「ふむ。……首領に見覚えは?」
「全く。ですが、かなりレアな力を身につけていましたので、もしかしたら…」
「……やれやれ。また一からやり直しだな」
「申し訳ありません」
「いいさ。お前らが無事でよかった。保護した子供は?」
「何とか口を割らずに済みました。ですのでオスティアの孤児院にそのまま居ります」
「わかった。あとで向かうとしよう」
省かれているが、この会話中にも戦闘は続いている。
リュランの刀とフェイト(女)が作り出す魔力剣の高速戦闘での応酬。
最も、フェイト(女)の魔力剣はリュランの剣とぶつかる度に壊れてしまっているので見た目で押しているのはリュランだ。
しかし、彼らにとってこれは準備運動。
普段はこれ以上に激しい模擬戦を繰り返していたが、会話を成り立たせ、また他の者に聞かれないようにするために敢えてこのような状況を作りだしたのだ。
彼らの剣撃の応酬は続く。
「我々はこの後どうしますか?」
「俺たちは主格を迎え撃つ。この戦闘後、静かに封印を解いて脱出しろ。場所は孤児院だ」
「ですが、私に封印を解く力は……」
「ほれ。簡易製だが俺特製の封印解除君だ」
「ありがとうございます」
「……即答か。突っ込んでも良かったのに」
「……私には突っ込まれる物しか「それ以上は言うな!」――むぅ」
「……お前、見てない間によく分からん成長を果たしたな」
「ふふ、お褒めの言葉として受け取ります」
「ちっ。…すまんが、一度気絶してもらうぞ。起こす魔法も掛けといてやる」
「はい。お願いします」
トン
腹を殴られたにしては軽い音が響く。
しかし、受けたフェイト(女)は何が起きたのか分からずに意識を失う。
意識が落ちたフェイト(女)を受けとめ、他から見えない位置に寝かせる。
これでよし、と頷いたリュランは他の状況を見る。
そして、問題がないことを確認したリュランはナギの方へと向かう。
おそらく来るであろう、奇襲に備えて。
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「見事…理不尽なまでの強さだ…」
宮殿の外部。
激しい雷と岩の応酬が続いたが、ついに決着はついた。
ナギがフェイト(男)の首を掴み、フェイト(男)は抵抗もできず宙に浮く。
互いに血まみれ……フェイト(男)から流れているのは透明な水のように見えるが、ナギの血がかかっているため、どちらも血まみれ。
そして、互いに言えることはどちらも疲労困憊状態であった。
「黄昏の姫御子はどこだ?消える前に吐け」
「フ、フフフ…まさか君は、未だに僕が全ての黒幕だと思っているのかい?」
「なん…だと…?」
「危ない、ナギッ!!」
「な、ぐぅ!?」
突然のリュランの声で反応したナギは辛うじて身体を左にずらす。
リュランが備えていた防護魔法によって致命傷こそ受けていないが、それでも重傷だ。
「!?」
「ナ…ナギィッ!!!」
突然の襲撃を受けたナギの元へ詠春とアルが走り出す。
そして、ラカンとゼクトは攻撃が放たれた方角へと目を向ける。
「誰だ!?」
ゆらり……。
かなりの距離があったためはっきりとは見えなかったが――そこに、何かがいた。
「!?」
「いかんッ『最強防護』!!」
「保てるかッ『王宮の風』!!」
一瞬の判断で危険と察知したゼクトは無詠唱ながらも自身の持つ最高の防御を、リュランは予期していたからこそ、完全な状態でのオリジナル魔法を使う。
しかし――
パキャァン
「ぬぅうっ!!」
ゼクトの放った防護魔法は一瞬にして破られ、残されたのはラカンの気合防御とリュランの放ったオリジナル魔法。
だが、甘くはなかった。
ボキュ
ゴオォオォオオ……
ラカンの腕が吹き飛び、それを見たリュランはすぐさま防護から受け流しへと風の向きを変更。
しかし、それでもほとんど受け流すことはできず、紅き翼は壊滅状態に陥る。
前述通り、ラカンは両の腕が吹き飛び、詠春はナギを護り重傷。
他のメンバーもそれぞれ何らかのダメージを受けて動けずにいた。
「ぐっ…バカな…」
「まさか…アレは…」
後にラカンはこう語る…「俺が「勝てねぇ」と思ったのは、それが最初であった」と。
そして「力の差じゃねぇ「俺には絶対に勝てない」。見た瞬間、それがわかった。」とも話した。
完全なる世界からは「造物主」或いは「始まりの魔法使い」と呼ばれる、真の黒幕に相応しい力を示しての登場であった。
壊滅した紅き翼を眺めた敵首領は何もせずに姿を消す。
情けを掛けられたと思ったのだろう。
ラカンが吠えた。
「待てコラ、てめぇ!!!」
だが、そのラカンの前に立つ者がいる。
――ナギだ。
「任せなジャック」
「い、いけません、ナギ!その身体では!」
「アル。お前の残りの魔力全部で俺の傷を治せ。安心しろ。リュランのお陰で致命傷は外せた」
「し、しかし!そんな無茶な治癒ではッ!」
「30分持てば十分だ」
「ですがッ…」
「ふふ、よかろう。ワシもいくぞ、ナギ。…ふぅ、ワシも傷も浅い」
そこでさらに立ち上がる姿が映る。
小さな賢者、ゼクトだ。
頭と左腕、そしてわき腹から血を流しているが、まだまだ戦えそうだ。
「お師匠…」
「ゼクト!たった二人では…無理です!」
「ここで奴を止められなければ世界が無に帰すのじゃ。無理でも行くしかなかろう」
「…その通りだ。世界の命運は俺たちに託された。ここでやらず、いつやるんだ」
ゆらりとリュランも立ちあがる。
口から血を流してはいるが、ローブ下からは見たことのない鎧が姿を現している。
どうやらあれが彼を護ったようだ。
「バ、ナギ待て!奴はマズイ!奴は別物だ!死ぬぞッ!まずは体勢を立て直してだな…」
「バーカ、んなことしてたら間にあわねぇよ。らしくねぇなジャック」
ナギが振り返る。
頭や口から血を流し、いくら致命傷を外したとはいえボロボロなはずだ。
それでも彼は笑う。
なぜなら彼は―――
「俺は無敵の『千の呪文の男(サウザンドマスター)』だぜ?俺は勝つ!!任せとけ!!!」
「ナギィッ!」
ナギ、リュラン、ゼクトは駆ける。
必ずや奴を倒すために。
そして、儀式を止め、世界を護るために。
残された者たちに会話はない。
アルは残された包帯で詠春の傷を塞ぎ、ラカンは未だ先ほどの感覚に呆然としていた。
「……」
「…アレは…マズイもんだった。一目見てもわかったぜ。全身の細胞が叫んでた。アレはヤバイ。全力で逃げろってな…」
「さすが最強の剣闘士ラカン…。アレのマズさを肌で感じ取りましたか」
「ぐ…ナ、ナギ…」
会話していると詠春が目を覚ます。
そして、死にかけているにもかかわらず、懸命に体を起こそうとする。
「た、助けにいかねば…!」
「動いてはいけません詠春!死んでいてもおかしくはない傷なのですよ!」
「だが、あいつらだけでは…あの化け物には…」
詠春を落ちつかせ、必死に身体を元に戻すと、ラカンが先ほどの言葉に疑問を覚えたのか、詰め寄ってきた。
「オイッ、どういうことだ、アル」
「…私の推測が正しければ。アレを…あの化け物を倒すことはこの世界の誰にも不可能です」
「じゃあ、オメェ。ナギやリュランの野郎も…ッ」
ラカンは嫌な感覚に包まれる。
まさか、ナギが死ぬのでは――
ズズンッ
その時、どこかで大規模な爆発が起きた。
内部に居た紅き翼達も、そして、外で召喚魔達と戦闘を繰り広げていた混合部隊もその目を見張った。
爆発音は止まらず、墓守り人の宮殿が下から順に音を立てて崩れていくではないか。
そして、驚いたことに――
宮殿の最上階より1つの影が吹き飛ぶ。
吹き飛んだ影はその後、強大な雷の奔流に身を打たれ、最後に大きく宮殿を縦断する爆発とともに消え去った。
ナギは…勝った。
「……て、オイオイオイオイ。倒しちまったぜ、アイツ」
「…の、ようですね」
まさかの展開に、仲間である筈の彼らも呆れていた。
当然だ。
今さっき勝てないと断言した直後に倒される瞬間を目撃したのだから。
「…フッ、かなわねぇな、てめぇにゃよ」
『…ル…ッ!聞こえ…か、アルッ!』
「やあ、ナギ。全く…驚かされますよ、貴方には。貴方はいつも私の予測を…」
『姫子ちゃんが…いや、それよりッ、儀式だ!!!親玉は倒したが、ヤロウ。既に儀式を完成させちまってたみたいだ…!今はリュランが抑えているが…マズイぞッ!』
「何ですって!?儀式を!?では…このままでは…ッ!」
――世界が終わる!
墓守り人の宮殿を中心に光り輝く球体が出現する。
同時に、膨大な魔力が光球へと引き寄せられ、取り込まれていく。
「オイオイ、何だよこの光球は!?ドンドンでかくなってるぞ!!」
「世界の始まりと終わりの魔法…!この力場が全地上を覆った時、世界は無に帰します。……いくら我々が最強を誇ろうと、ナギが自らを無敵と嘯こうと、こうなってしまっては我々に出来ることは何も…っ」
絶望に打ちのめされ、膝をつかんばかりのアル。
しかし、そこに一条の光が差し込んだ。
『あきらめるな、アルビレオ・イマ!!!この愚か者が!!!』
「こ、広域魔力減衰現象を確認!これまでに観測されたものの比ではありません!世界を呑み込む勢いです!」
「速度上昇!今もなお上がり続けています!」
現れたのはメガロメセンブリア国際戦略艦隊旗艦。
彼の国が有する最強の切り札である。
つまり、アリカ姫、ガトウの説得が功を奏し、本国正規部隊が駆け付けたわけだ。
「こちらスヴァンフヴィート艦長、リカード!助太刀するぜ!世界のピンチだ、敵も味方も関係ねぇぜッ!!」
「そのとおりじゃ!」
聞き覚えのある声が響いたと思えば、雲の下より襲来したのは帝国軍北方艦隊。
こちらもまた、今回の戦争で帝国の用意した空軍最強の切り札だ。
テオドラ姫、そしてタカミチの説得が実を結んだ。
「ハハハハッ、見よ!人がゴミのようd――」
「ひ、姫様。一体何を…」
しかし、突然テオドラ姫がよく分からぬ発言をしてタカミチがこける。
慌てて止めに入った侍従に手をかざし、顔を赤くして言った。
「ゴ、ゴホン。い、言ってみたかっただけじゃ。それよりも、皆の者!力を合わせてあの光球を止めるのじゃ!」
「ハハッ、姫様!!」
「全艦艇、光球を取り囲み抑え込め!!王国騎士団、魔力補助武装展開!魔法師団、大規模反転封印術式展開!全魔法世界の興廃、この一戦にあり!各員、全力を尽くせ、後はないぞ!!」
『ハッ』
アリカの声でオスティアから引き連れたウェスペルタティア王国騎士団、及び魔法師団が剣を、杖を構える。
だが、その側ではガトウが冷静に、かつ静かに呟いた。
「よろしいのですね……?女王陛下」
「……よろしいわけが……ある筈が、ない…ッ」
アリカの声は誰にも届かない。
近くの者にも、そして、心に秘めた愛する者にも。
――結果、世界は救われた。
ナギやリュラン、そして紅き翼だけの力だけではなく、戦場に立つ全ての者の力により、大きな代償を支払って――
∽to be continue∽