∽移り行く風のように∽   作:アクア=イスタロス

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第4話

―――――【第4話 勉強】―――――

 

【side レイナ】

 

本、本、本、本、本……。

私の目の前には紙の束である本の城が築かれていた。

隣に座るハイエルフ――名はシエラ。名付け親は私だ――の前にも私よりかは少ないが本の山が出来ていた。

そんな私たちの前に立つのは世界や私を生みだした張本人であるリュラン――ではなくさっきまで話すのもゆっくりであったフェイトであった。

 

「えーっと…これは何?」

 

「見て分かりませんか。本です」

 

「うん。本なのはわかるけど…何するの?」

 

「本を目の前にすることといえば1つでしょう」

 

「…まさか」

 

ニコリと可愛い笑顔で微笑むフェイト。

しかし何故だろう。

私には悪魔の笑みにしか見えない。

 

「ええ。お勉強です」

 

残酷にも、フェイトが告げたのは地獄への招待状であった。

 

 

 

 

――――――――――

――――――――――

――――――――――

 

 

 

 

リュランに連れて行かれた先で木が化けた魔獣を救い、ハイエルフのお供を仲間にした私は最初の頃よりかは元気よく歩いていた。

何故か。

それは私の後ろを見てくれればわかるだろう。

 

「調子はどうですか、リュラン」

 

「……」

 

「まさか、ここまで増えるとは思ってもいませんでした」

 

「そうね。私も考えてなかったわ」

 

私の後ろにはリュランがたくさんの動物に囲まれて歩いていた。

実は、帰り道に魔獣とは言わないにしても危険な状態になりつつある動物たちを片っ端から練習としてリュラン曰く『命を吹きこんでみた』のだ。

結果はご覧の通り、心やさしい動物たちがたくさん増えたのであった。

そして、何故かはわからないがみんなリュランの方へと近づくのである。

少しばかり悔しい気がしないでもないが、あれはあれで大変そうだからフィフティーフィフティーである。

 

「それにしても。レイナ様のお力は使われる度に精錬されていくように思われますね」

 

「そ、そうなのかな…?」

 

「それはそうだろう。ただでさえ使ってないのだからな」

 

ビクッと後ろを振り返る。

呆れたような表情でリュランがいた。

 

「今までレイナが使っていたのは創造魔法。今回使ったのは光魔法。似てるとはいえど分野が違うからな、それだけ得られる経験値も違うだろう」

 

「え、えっと…?」

 

「?」

 

「……ああ、まだ教えてなかったか。…いや、レイナには創造した際に詰め込んだはずなんだが……」

 

ジッと見つめられる。

居心地が悪くなり、顔を逸らす。

ため息をつかれた。

 

「帰ったらこの子と一緒に勉強だな。…そういえば、このハイエルフに名前は付けたのか?」

 

「もちろん!この子の名前は『シエラ』よ!」

 

「…由来は?」

 

「…こう、ビビッと来たから?」

 

「……まぁいい。良かったな、シエラ」

 

「はい!良い名です!」

 

素直に喜びシエラにほんわか癒される。

さらに近づいてきた小動物たちにも癒される。

し、幸せ~。

 

「おい、置いて行くぞ」

 

「――って、ええ!?酷くないですか!?」

 

「酷くない。勝手にトリップしたお前が悪い」

 

それからは家に着くまでリュランに弄られ続けた。

うぅ、何もあそこまで弄らなくても……。

 

そして、家に着いた私たちを待っていたのは休息ではなくキリッとした表情に進化したフェイトと本の山であった。

そして、冒頭に戻る……。

 

 

 

 

「で、結局何でフェイトはそこまでキリッとしたのよ?」

 

「レイナ様がリュラン様に連れて行かれた後、リュラン様に個人授業をして頂きました故、ここまで成長致しました」

 

「…ん?私がリュランに連れてかれた後、どうやってリュランに個人授業をしてもらったの?」

 

「さあ?出て行かれるお二人を見送った後、十数分してからリュラン様だけがお戻りになられました。そして、その間に読んだ本の種類と数を確認された後、「教えてやろう」とおっしゃられたので教えて頂きました。とても有意義な一時を過ごせました」

 

「……」

 

あうあう?

私はリュランに引っ張られてシエラを救った場所まで行ったよね。

でも、その間にリュランはフェイトの勉強を教えてたってことは……。

えっ~と……つまり、リュランは二人居たってこと…?

 

「単純に分身していただけだ。それほど難しい話ではない」

 

「な、なるほど…」

 

「ぶ、分身って…あなたは忍者か!」

 

「忍者でなくともこれぐらいは使える。というか、無駄な知識だけはしっかりと覚えているんだな…」

 

奥の部屋から出てきたリュランに思わず突っ込む。

突っ込まれたリュランは頭を抱えてため息をつくとともにドサッと本の山を追加した。

お、鬼だ…。

 

「とりあえず、レイナとシエラにはここにある量を全て覚えてもらう。レイナは主に、忘れているであろう重要な分野…魔法の分類や種類、使い方に用途、そして生態系の成り立ちやどこにどのような生物が住むのか、そして読み書きの3点を重点的に。シエラは精霊魔法の成り立ちと使い方の復習。それとレイナのサポートができるよう読み書きだな。暇があればその他の事をフェイトに聞いて勉強しろ」

 

「はい!わかりましたリュラン様!」

 

「うえ~鬼~悪魔~獣~」

 

「……」

 

ドサッ

私の目の前に新たなる城が築かれた。

 

「しっかりと勉強しろ。俺が居なくとも問題ない程度には、な。フェイト、後は頼んだ」

 

「はい。お気をつけて」

 

「……居なくても問題ない…?」

 

この言葉に込められた意味について、この時の私は気がつくことはなかった。

フェイトの指摘で目の前の強大な敵に集中する必要があったから。

この言葉は頭の片隅に追いやっていた。

 

 

 

 

∽to be continue∽

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