では、最後までお付き合いよろしくお願いします!
“夢”の始まり
12話 “夢”の始まり
「優兄ィ!おはよ!学校いくにゃ!」
俺、朝日優真が家から出ると、幼なじみの凛と花陽が外で待っていた。
「おはよう、優真お兄ちゃん!」
「ああ、花陽、凛、おはよう。待たせたな」
「大丈夫にゃ!早くいこ!」
俺たち3人は凛と花陽が音ノ木坂に入学してからは3人で通学するようにしていた。
「そういえば、今日は朝から全校集会だったな」
「うん……何の話があるんだろうね」
「朝から集会なんて眠っちゃいそうだにゃー」
「お前の場合何時に集会があっても一緒だろ」
「失礼だにゃ!…そういえば、優兄ィは生徒会でしょ?何も聞いてないの?」
「あぁ……。俺たち生徒会にも、何も知らされてない」
そうなのだ。今回の集会の内容は生徒会役員である俺たちにも何も伝えられていない。それだけ重大な内容なのだろうか。
「まぁ、行けばわかるさ」
そう言って俺たちは学校への道のりを歩く。
▼
「皆さんに、重大なお知らせがあります。
音ノ木坂学院は
今年度で生徒の募集を取りやめ
──────廃校となります」
▼
「そんな……いきなり廃校だなんて……」
「落ち着け絢瀬。動揺しても何も変わったりしない。俺たちにできることを考えないと……」
「ゆーまっちの言う通りや。ウチらにできること、考えんと」
昼休み、俺と東條と絢瀬の3人は生徒会室に集まり、今後についての話し合いをしていた。
「でも、一体どうすれば……」
「それを考えるために集まったんだろう?大丈夫だ、俺たち3人で力を合わせれば、絶対うまくいくさ」
「そやね。さ、考えよ♪」
「生徒会として、学校のために活動の許可をもらう必要があるな。まずはそこをなんとかしないと、勝手に活動するわけにはいかない
からな」
この状況下、学校のために動けるのは俺たち生徒会だけだ。
まずは自由に活動するための許可が欲しい。
俺たち生徒会が、なんとかして学校を存続させなければ。
「理事長に許可をもらいに行こう」
そして俺たち3人は理事長室に向かったのだが…
「なんで許可してもらえないんだよっ……」
結果、許可をもらうことができなかった。
「『学校のために学校生活を犠牲にするようなことをすべきではない』……理事長は、そう言っていたわね」
「まぁまぁ、今はとりあえずやれることをやっていこ!ことりちゃんやったら、何か知ってるんやないかな?」
「……そうだな、とりあえず今は、できることをやっていかないと…」
そしてことりちゃんを探すことにした俺たち3人。
▼
「やー、今日もパンが美味いっ!」
「太りますよ」
おっ、いたいた。穂乃果と海未と一緒だ。
「おーい、3人とも」
「あ!優真先輩!絵里先輩!希先輩!こんにちは!」
「元気そうだな穂乃果。……朝倒れたって聞いたときはびっくりしたけど、大丈夫そうだな」
「えっ!?ど、どこでそれを!?」
「……あれだけ廊下で騒ぎになってたら、さすがに気づくわよ。……それよりことり、少し聞きたいことがあるのだけど」
絢瀬は時間が惜しいようで、ことりちゃんに本題を切り出す。
「────貴女、廃校のことについて理事長から何も聞いてない?」
ことりちゃんは少し目を伏せ、申し訳なさそうに言葉を返す。
「────はい。私も集会で初めて聞いたんです……ごめんなさい」
「……そう…。ことりが悪いわけじゃないわ。気にしないで。いきなりごめんなさい」
そう言ってその場から去ろうとする絢瀬に穂乃果が声をかける。
「あのっ!」
「どうしたの?」
振り返り返事をする絢瀬。
「……学校、なくなっちゃうんですか…?」
「……大丈夫。私たちがなんとかしてみせる。貴女たちが心配することはないわ。……安心して」
絢瀬はそう言って優しく穂乃果に微笑み、今度こそその場を去っていく。
その言葉には、彼女の優しさと決意がこもっていた。
「……それじゃ、またね」
「ほなな〜」
俺と東條も絢瀬の後を追った。
▼
「結局成果は無しか…」
時刻は夜10時。
あれから放課後も生徒会に残って様々な提案をしたが、現状を改善するような案は出てこなかった。
「俺たちがなんとかするしかないのに…」
生徒として行動ができるのは、生徒会だけ。
俺たちには、学校を守る義務がある。
「しかし、今日の東條……俺らと違っていたな……」
俺と絢瀬が行動の不自由さに痺れを切らしている中、あいつだけは俺たちと違っていた。
終始どうすればいいかと焦る俺たちを、笑顔で落ち着かせる。そんな行動ばかりだった。
あいつがそんな行動をとるようになったのは理事長室に行ってからか…
ということは東條は、理事長の言葉の真意がわかった、ってことか……?
だとしたら、何故それを俺たちに言わない?あいつは意味もなくそんなことはしない。
つまり……
「……自分で気づけ、ってことだろうな…」
『学校のために学校生活を犠牲にするようなことをすべきではない』。
……駄目だ、わからない。
この言葉の意味がわかれば、道標が見えるのだろうか。
ピロリン♪
そんなことを考えていたら、メッセージアプリから通知が届いた。
《優兄ィ、今大丈夫?》
凛からだった。
《ん、どうしたんだ?》
《ちょっと電話してもいい?》
《いいよ、大丈夫》
しばらくすると、凛から電話がかかってきた。
「もしもし」
『もしもし、優兄ィ…ごめんね、こんな時間にかけちゃって』
「あぁ、気にするな。…で、どうしたんだ?」
『うん……
───学校、なくなっちゃうの…?』
今にも消えそうな声で俺に問いかける凛。
それはそうだろう。入学してから数日で突然のように廃校を告げられ、平然とできるはずがない。
『凛、音ノ木坂に来るの、楽しみだったんだにゃ……希ちゃんや穂乃果先輩たちと一緒の学校に通えるようになって、嬉しかった……そこで過ごした思い出の場所が、卒業したら無くなっちゃうのは…やっぱり嫌だな……』
凛の言葉を聞いて思う。
俺にとって、音ノ木坂は、最初は別に特別な場所ではなかった。
それが、これまで過ごしてきて、大切な場所に変わった。
東條と再会して、絢瀬や矢澤と出会えて、たくさんの思い出が出来た。
俺にかけがえのない居場所をくれた、俺に自分を“変えて”ゆくきっかけをくれた場所。
そんな場所を────守りたい。
凛のためにも、俺自身のためにも。
「大丈夫だ、凛。俺が……俺たちがなんとかしてみせる。絶対に音ノ木坂を廃校になんかさせない」
『優兄ィ…』
「だから───安心してくれ」
『うん…うん!わかったにゃ!』
凛との電話を終え、俺は改めて決意する。
絶対に音ノ木坂を廃校にはさせない。
俺は自分自身と、大切な人たちの大切な場所を、絶対に守る。
今は方法なんて全くわからないけど、絶対になんとかしてみせる。
俺は、そう決意した。
そんな彼に、衝撃の提案が飛び込んでくるまで、あと15時間後───
凛のおかげで、優真は自分の中の思いを改めて自覚することができました。
さぁ、後は“あの人”がきっかけをくれるだけですね!笑
現在での優真の考え方は、アニメでの絵里とほぼ同じです。
理事長の言葉の意味にも気づいていません。
ここから彼がどういう風に変わっていくのか、お楽しみに〜!
では今回もありがとうございました!
次回もよろしくお願いします!
感想評価アドバイスなどおまちしております!