二話 再会
「優真くん……?」
「優真くん」。今目の前の少女は確実にこう言った。
じゃあやっぱり……
「希、東條希、だよな?」
「うん。朝日優真くんだよね?」
「ああ……」
沈黙が流れる。
やばい、気まずい…。何か喋らないと……
しかし俺の口から出たのは、
「じ、じゃあ、俺帰るから。また明日」
というあまりにも情けない言葉。
「えっ……あ、うんっ」
希も困惑してるようだ。
そして俺は逃げるように下駄箱へと向かった。
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や っ て し ま っ た。
いや、あの反応はマズいだろ……
どう考えても避けているようにしか取れない。
避けたかったわけじゃない。
ただ、あの目を見た瞬間にいろいろなことを思い出した。
あれから2年経ってなお俺を苦しめる、あの記憶。
「あいつが悪いわけじゃないんだけどな……」
そう呟き、俺は凛たちが待つ家へと帰った。
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「優兄ィ遅いにゃー!はやくはやくー!」
家に帰るなり俺に抱きつきそのままリビングに引っ張っていく凛。
まずなんで俺の家の中にいる。
「合鍵使ったんだよ!庭の植木鉢のしたでしょ?」
あぁ、そうですか……
ってか俺何も言ってないし……
「優真お兄ちゃん!おかえりなさいっ」
テーブルで満面の笑みを俺に向ける花陽。あぁ天使。
「さぁ!パーティーはじめるにゃ!」
「あぁ〜悪いな、凛。今日はちょっとそんな気分じゃないかな…」
そうだ。
あんなことがあってとてもお祝いという気分じゃない。
……っていうか、この歳で入学パーティーはなかなか恥ずかしいぞ。
「えぇ〜せっかく準備したのに〜」
「駄目だよ凛ちゃん、優真お兄ちゃんも疲れてるんだから」
でも……2人の悲しそうな顔見てたら、なんか申し訳なくなってきたな…
「やっ……あー、腹減ったな…とりあえず飯食べようか。
二人とも待っててくれたみたいだし、さ」
「本当!?やったぁ!じゃあ今準備するね!」
そう言いながらキッチンへ向かう凛。
そこでハッと気づく。
「凛、料理できなかったよな……?」
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「はぁ、疲れた…」
あれから俺たちは凛が作った料理(カップ麺)を食べ、しばらくいつもみたいな他愛のない話をした後解散した。
時刻は午後四時。
しかし今日は本当に驚いたな…
「希……」
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俺と希は中学1年に知り合った。
中1の5月、希が引っ越してきたのだ。
出会った頃の希は無口で大人しくて、周りとは少し距離を置いていた。
そんな希を見て、俺はいてもたってもいられず、声をかけた。
それが始まりだった。
「ねぇ」
「…!」
声かけただけでこの反応ですか……
「…どうしたの…?」
「えっ、いや、いつも一人だなーって」
俺がそう言うと、希は少し悲しそうな顔をした。
「…別に気にしてないから…」
「本当に?まぁそれならそれでもいいんだけど、友達作るなら早めにしたほうがいいと思うよ?」
「え?」
「いやいや、俺も親が転勤族でさ。転校してきた後、友達作るのが大変なのわかるから。それに時間が経てば経つほど周りは君から関心を失っていく。そこまで一人だったら、本当に友達作れなくなっちゃうぜ?」
「…君には、関係ないでしょ」
「あぁそうさ。関係なんてない。今は、ね」
「えっ…?」
今まで目も合わせてくれなかった希が、初めてこちらを向いた。
「君を見てると、昔の俺を思い出すんだ。一人は嫌なのに一人でいようとしてた頃の俺を。もう嫌なんだよ、そんな人を見るのは」
希は何も言わない。
「だから、さ。俺と友達になろーぜ?東條さん」
「……」
「あっ!俺の名前言ってなかったね!
俺の名前は朝日優真!
よろしくねっ」
そう言って、彼女に手を伸ばす。
彼女は躊躇いながら、その手を取った。
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「ん…」
気がついたら眠っていたようだ。
時刻は午後7時。
「結構寝ちまったな、っと」
昔を、思い出していた。
東條希。俺の大切な人で……忘れたい人。
そんな彼女が、同じ学校にいる。
会って、話をしなければ。
聞きたいこと、話したいことがたくさんある。
「明日探すか…」
そう呟きながら、俺はリビングへと向かった。
読んでくださりありがとうございます!
とりあえずアニメのストーリーにたどり着くまでは少し駆け足で投稿していくつもりです。
次回もよろしくお願いします!