今回、私の不注意で26話が未完成のまま投稿されてしまいました。
字数確認のために一度メモ帳から貼り付けたものをそのまま誤って投稿してしまい、削除の処理を行ったのですが、正常に処理が行われておらず、午後5時20分から5時51分の間、未完成の話が投稿されたままになっておりました。
全て自分の不手際でございます。
未完成の話を閲覧された方、楽しみを奪う形になってしまい、誠に申し訳ございませんでした。
校正前のものだったので、内容は正しく投稿された今回のものとは若干異なっております。
今後このような事態が再発しないように、細心の注意を払って活動を続けて参ります。
さて、では改めて!
今回で第2章が終了でございます!
今回のμ'sメンバーのカラオケですが、
実は全て現実にある曲でございます!
誰が何の曲を歌っているのか、想像しながら読んでみてください!
次回の話掲載後に、作者の活動報告にて答え合わせをしたいと思います!
前書きが長くなりましたが、今回もよろしくお願いします!
26話 楽しみはまだまだこれから!
「ってなわけで最初は歌唱力!カラオケ対決よ!」
わー。
「なんでにこに対しては一々反応薄いのよ!アンタたち!」
ってなけで、センター総選挙とやらが始まった。
参加メンバーはμ's7人と、俺。そして……
「─────何回も聞くけど、本当に私達も来て良かったの?」
「大丈夫ですよ!絵里先輩、希先輩!」
「誘ってくれてありがとな、穂乃果ちゃん♪」
穂乃果と矢澤の発想には本当に舌を巻く。
総選挙をすることになった後、穂乃果と矢澤が、
『どうせなら、絵里(先輩)と希(先輩)も誘おう!』
と提案した時は、耳を疑った。
曰く、あの2人は普段生徒会を頑張って疲れているだろうから、たまには一緒に息抜きしよう、との事だ。
確かに、俺たちは面識があるからいいけれど、真姫はどうなるのかと思っていたら、本人が気にしないと言ったので、2人を誘う事になった。
…というより、真姫は確実にこの総選挙自体に乗り気じゃない。全身からメンドくさい オーラが溢れている。
そして案の定、穂乃果の提案に絢瀬は反対した。
しかし、東條の猛烈な参加アピールに根負けし、結局2人も同行する事になった。
「にしても、えりちともゆーまっちともカラオケには行ったことないやんな?」
「私はカラオケ自体が数えるほどしかいったことないわね……」
「えぇ!そうなんですか!?」
「……まぁ、行く機会もあまりなかったしね。せっかく来たんだから、今日は楽しませてもらうわ」
穂乃果の言葉に、笑顔で答える絢瀬。
最近ますます悩みこんでるみたいだから、これでリフレッシュになれば…。
「勝負はオーソドックスに得点勝負よ。好きな曲を歌って、得点が高い人が勝ち。それでいいわね?…じゃあ穂乃果からよ!」
「はーい!では1番高坂穂乃果、いっきまーす!」
穂乃果が歌った曲は、ある有名女性シンガーの恋愛ソングだ。片思いしている女の子を応援する明るい曲で、穂乃果の元気な歌声とマッチして、とても元気になれる。
「ぷはー!緊張したぁ〜」
「上手だったよ、穂乃果ちゃん♪」
穂乃果の得点は、92点。出だしから高得点だ。
「やっぱり歌上手だな、穂乃果」
「いやいや、毎日の練習の成果ですよ!」
「じゃあ次は私が行きますね♪」
ことりちゃんが歌った曲は、人気青春映画の挿入歌だった。
「時を行き来できる」。
それが題材の映画で、この曲は主人公が好きな人を救うために覚悟を決めた時に流れる曲だ。
ことりちゃんの優しい声質が、この歌に込められたイメージを表現し、曲調とマッチしてリラックスを誘う。
結果は91点。穂乃果には届かなかったが十分高得点と言える。
「やっぱりみんなに見られてると緊張する〜!」
「いや、充分上手だったよ、ことりちゃん」
「本当に!?ありがとう、優真くん♪」
「私の番ですか……頑張ります」
海未が歌ったのは和ロックという言葉が相応しい和風テイストの海未らしい曲だ。
しかも俺が驚いたのは、それが元々ボーカロイドの曲だったということだ。馬鹿にしているわけではないが、海未がその手の曲を聞くのは少々意外だった。
しかし、海未の凛とした歌声と絶妙にマッチしてとてもカッコ良い。
結果は94点。現在最高得点をたたき出した。
「ふう……なんとか結果が出ました…」
「お疲れ様、海未。…でも、意外だったな。海未ってああいう曲も歌うんだな」
「はい。いろいろなジャンルの曲に触れることで、作詞のヒントになるのではないかと思ったので」
なるほど、さすが海未。根っからの努力家だ。
「次は凛の番!いっくにゃー!」
凛の曲は、凛が昔から大好きだったアイドルの曲。
俺と花陽の前以外で今までアイドルの曲は歌わなかったことを考えると、凛の成長がうかがえる。
この曲は大人気サッカーゲームが原作のアニメのエンディングにもなった曲で、凛の元気で明るい声とマッチしてみんなを自然と笑顔に変える。
結果は90点。周りの得点に埋もれがちだが、充分高得点と言える。
「にゃあ〜だめだったにゃ…」
「そんなことないぞ、凛…十分高得点だ」
「優兄ィ…うん、ありがとにゃ!」
「つ、次は私……頑張りますっ…!」
花陽が歌ったのは、幼い頃の友情を歌ったバラード。「10年後の8月」という言葉が何回も曲のなかに使われていて、友人との別れの切なさを歌った歌詞が、花陽のゆったりとした歌声と合わさってリラックスさせてくれる。
結果は91点。花陽の勝負曲だったが、いまひとつ得点は伸びなかった。
「花陽ちゃん、意外〜!アイドルの曲歌うかと思ってたー!」
「あ、はい…アイドルの曲だったら、得点は出しにくいかなって思ったから…」
「ちょっと!それじゃ凛が馬鹿みたいじゃん!」
「あわわっ、そういう意味で行ったんじゃないよぉ……」
凛にそう言われて、あたふたする花陽。
凛も本気で言ってるわけじゃないから通じる、軽い冗談だ。
「……次は私ですか。まぁやるからには本気でやります」
真姫が歌う曲は、ある女性シンガーの遠距離恋愛をテーマにしたバラードだった。途中のサビの高音も難なく歌い上げ、圧巻の歌唱力を俺たちに見せつける。
ビブラートなどの加点もどんどん増え、結果発表前から高得点が期待できそうだ。
結果は97点、予想通り、文句無しの高得点だ。
「すごーい!真姫ちゃんぶっちぎりの1位だにゃ!」
「これくらい、誰だって出せるわよ」
「ええぇぇぇ!?わ、私には無理だよぉ……」
「はぁ……イミワカンナイ」
…とか言いながら顔赤くしちゃって。
素直じゃないやつめ。
「次はにこの番ね……やってやるわ!」
矢澤がチョイスした曲は、意外や意外、誰もが知っている有名ロボットアニメのオープニングだった。
少年の思春期の葛藤を描いた国民的アニメで、アニメを見たことがなくてもタイトルとサビは知っているというくらい有名な曲。
さすが矢澤というべきか、安定の歌唱力でどんどん加点を重ねていく。
結果は95点。真姫には届かなかったが、高得点なのは間違いない。
「ちっ、真姫には届かなかったわね……」
「十分うまかったぞ、矢澤」
「あったりまえでしょ!にこを誰だと思ってるのよ!」
「しかし……意外にもアイドルソングじゃなかったな」
「これは勝負なのよ?点が取れる曲歌うに決まってるじゃない」
「勝負だけに“逃げちゃダメだ”ってか?」
「別に面白くないから黙りなさい」
む……割と自信あったのに。
「次は希先輩ですか?」
「いやいや、ウチ、ちょっと風邪ひいてて声が出ないんよ。だから次はえりちで!」
「ちょっと、希!?貴女歌わないのにあれだけカラオケに行きたがってたの!?」
「いーやんいーやん♪ほら、えりちの番よ?」
「……貴女ねぇ…はぁ、じゃあ歌うわよ…?あんまり歌なんて歌わないから、笑わないでね…?」
絢瀬が入れた曲は、現在ボーカルが二代目となったユニットの有名な曲だった。
その曲が主題歌となったアニメもまた有名で、そういうのには疎い俺でも知っているようなものだった。
絢瀬がその曲を歌うと、何故か本人が歌っているように感じた。
結果は96点。一気に2位へと躍り出た。
「すごーい!絵里先輩、歌上手ですね!」
「や、やめてよ穂乃果…たまたまよ…」
穂乃果の純粋な褒め言葉に顔を赤くしながら答える絢瀬。
さて、結果は出揃った。
一位は真「ちょっと待ちなさいよ」
「ん、どうした?真姫」
「朝日さんも歌ってよ」
「え、俺が歌う意味なくない?」
「絵里にも歌わせたんだから、アンタも歌うのが道理ってもんでしょ」
「絢瀬に歌わせたのは東條だろ!?」
「ゆーまっち人のせい?ひどいなぁ〜」
「人に押し付けるな!東條!」
「優真くん……」
あ。
「おねがぁい!!」
ピッ。
「曲入れるの早すぎよ!」
「選曲に全く迷いがなかったわね……」
「そういえば、優真先輩って歌上手なの?」
「優兄ィは……
─────めちゃくちゃ上手ですにゃ」
「では、優真お兄ちゃんは歌っているので、私花陽が解説しますねっ。
お兄ちゃんが歌っているのは、とある恋愛映画の主題歌にもなったラブソングです♪
曲名と同じタイトルの映画で、知っていらっしゃる人も多いと思います!
お兄ちゃんは昔から歌が上手で、その上手さは真姫ちゃんにも負けてません!」
ふぅ、結局歌ってしまったな……
ことりちゃんのあの魔法には一生叶いそうにない。
俺の得点は……98点。
まさかの最高得点をたたき出してしまった。
「優真くん……貴方そんなに歌上手だったのね」
「優真くん、すごいですっ♪」
「アンタ……本当になんなのよ」
「いや、矢澤お前褒めてないだろ」
かくして一位俺、二位が真姫、三位が絢瀬というμ'sメンバーが一人しかトップ3には入らないという微妙な結果でカラオケ対決は幕を閉じた。
いや、みんな90点以上だからすごいんだけどね!
▼
「次はダンスよ!このゲームで勝者を決めるわ!」
そう言って俺たちが連れてこられたのは、ゲームセンター。
そして目の前には、あのゲーム。
……正直、やる前から結果は見える。
「これ、どうやってやるんですかー?」
「えぇー!穂乃果先輩、やったことないのかにゃ!?」
「うん、やったことないよ!」
「私も…」
「私もです……」
「私もやったことないわ」
どうやら穂乃果、ことりちゃん、海未、真姫の4人は未経験者のようだ。
「ふぅ……。仕方ないわね。ルールは簡単よ。画面から流れてくる矢印に合わせて、足元のパネルを踏むだけよ」
「よくわからないけど……面白そう!やりましょうやりましょう!」
「少し、難しそうですね……」
「大丈夫だよ、海未。……矢澤、4人は初心者だから難易度を易しくして、得点じゃなくてクリアランクで勝負を決めるってのはどうだ?」
「ん……。そうね、そうしましょ」
こうして、μ'sメンバーのダンス対決が始まった。
俺、東條、綾瀬の3人は近くのベンチで観戦している。
難易度は穂乃果達4人が一回normalでプレイした後hardで勝負、花陽がexpert、そして矢澤と凛がultimateだ。
「凛、アンタexpertじゃなくて大丈夫なの?失敗してランク無しじゃ笑い話にならないわよ?」
「大丈夫ですにゃ!ご心配なく〜!」
矢澤の挑発を物ともせず、笑顔で返す凛。
「……さぁ、難易度が低い方から始めるわ!」
ダンス対決は順調に進んでいき、expertの花陽の番になった。
穂乃果達4人は慣れないながらも健闘し、穂乃果と海未がAランク、ことりちゃんと真姫がBランクだった。
「次は花陽ちゃんだね!」
「は、はいっ!頑張りますっ……!」
「……正直、花陽がこのゲームが得意だとは思えないわね…」
「───それは違うぞ、矢澤」
「え…?どういうこと?」
「ま、見ればわかるよ」
そして曲が始まった。
「─────わぁ!花陽ちゃん、すごいっ!」
「ステップが軽い…無駄を感じられませんね」
「これは……!」
「な?言っただろ?」
花陽は確かに運動神経が良い方ではない。
しかし、ダンス関しては違う。
怪物じみた体力を誇る凛の練習に付き合い、積み重ねによって磨かれた花陽のダンスの技術は一級品だ。
何年もかけて足の動きを自分の意思とシンクロさせ、思ったままに動かせるようにしてきた花陽の努力は、並の物差しでは計れない。
そんな花陽の踊る姿は、健気で可愛らしく、愛おしい。
そしてついた通り名は、『
花陽のランクはS。文句無しの好スコアだ。
「やったねかよちん!Sランクだよ!」
「うん!ありがとう、凛ちゃんっ」
「…ってことは朝日。もしかして、凛も……?」
「──────ああ。
あいつは文字通り、“天才”だ」
「よーし!凛だって頑張っちゃうもんねー!」
凛がマシンへと上がる。
曲が始まると、そこからは凛の独壇場だった。
「─────すごい……!」
あの穂乃果でさえ、凛のダンスに見惚れて騒ぐことを忘れている。
元からあった運動神経を才能に溺れて腐らせることなく努力によって磨き上げ、凛はどんな難しい曲であっても、その天性の反射神経で踊りあげてしまう。
そして最も印象的なのが──────
「凛ちゃん、すごく楽しそう……!」
そう、踊っている時の笑顔だ。
凛は例えどんな難易度でも心から楽しそうに踊る。
───その笑顔の眩しさに、ついた通り名は…
────『
凛のスコアはもちろんS。プラスフルコンボのおまけ付き。
「すごーーい!凛ちゃん!ほんと上手だったよ!!」
「……なによ、あれ……」
矢澤は完全に戦意を喪失している。
そりゃそうだ。あんなレベルの物を直前に見せられて、やる気なんて起きるどころか根こそぎ奪われる。
矢澤、南無ー。
まぁ案の定矢澤は結果は出せなかったので省略させてもらうが、矢澤のランクはAだった。
ultimateでAランクを出せること自体、相当な実力者なのだが、如何せん相手が悪かった。
「─────私もやってみてもいいかしら」
そこで参戦の名乗りを上げたのは、意外にも絢瀬だった。
「お!えりちやるきやなぁ〜」
「ん。やってみなよ。これやるのは初めてか?」
「ありがとう。……えぇ、初めてよ」
絢瀬が選んだ難易度は、expert。
「! いきなりそれで大丈夫なのか?」
「─────多分、これくらいなら」
そう言って踊り出した絢瀬は、花陽と同レベル…いや、下手したらそれ以上のレベルだった。足ではなく体全体で刻まれるステップ、軽やかな足運び。まるで一つの演技のように美しかった。
結果はSランク。初めてとは思えない破格のスコアだ。
「絵里ちゃんすごいっ! そしてとても綺麗でした…!」
「ありがとう、ことり。……私、昔バレエをやってたのよ。それで踊るのは結構好きなの」
それは初耳だった。今まで知らなかった事実に少し戸惑ったが、まあ今は無事に全員のダンスが終わ「ちょっと待ちなさい」…うん、知ってた。
「朝日、アンタも…」
「はいはいやりますよ……」
まぁテキトーにやってみんなに花をもたせてやりますかね……
と思っていた時だった。
「お兄ちゃん…久しぶりに、“アレ”みたいなぁ」
「……へ、マジ?」
「あ!いいと思うにゃ!みんなも気になるでしょ?」
「何かするの?」
「優兄ィの特技だにゃ!」
「ちょ、凛、花陽!勝手に…」
「お兄ちゃん……」
くっ……!俺はことりちゃんの魔法以外に……
────花陽のこの顔でされるお願いに逆らえないっ…!
「───わかったよ…。ただ久々だからできるかわかんないよ?」
「やったやった!」
「ったく……」
2人のせいで、久々に“アレ”をやることになった。
───俺が『
難易度はexpertに設定。
曲が始まるまで集中力を高める。
─────さぁ、始めよう。
「優真先輩、確かに上手だけど……特技って?」
「……そんな馬鹿な…!」
「⁇ 海未ちゃん、どうしたの⁇」
「2人とも気づかないんですか?
───朝日さん、“目を瞑ったまま”踊ってるわよ」
「えぇ!?うっそぉ!」
「驚いたでしょ!?これが優兄ィの特技だよ!
─────優兄ィはexpertの幾つかの曲を、完全に憶えてるんだにゃ」
「完全に…!?なんでまたそんなことを」
「…お兄ちゃん、凛ちゃんに勝てないのが悔しくて、 どうすれば勝てるか必死に考えたらしくて……
その時の過程が、」
勝つためにはミスをしなければいい。
↓
ミスをしないためには曲を完全に覚えればいい。
「ってなったらしいんですにゃ」
「……頭がいいのか馬鹿なのかわからないわ…」
「でも、絵里先輩。実際優兄ィはそれをやり遂げたんです。……凄いでしょ?」
「……朝日、本当に負けず嫌いなのね…」
ふう、久々だったけど、上手くいったかな?
俺は目を瞑っていたから、自分の途中のスコアもコンボも、生きているか死んでいるかもわからない。
目を開けると、無事Sランクフルコンボだった。
「やっぱり凄いよ優兄ィ!」
「久々だったからどうなるかと思ったけどな。上手くいってよかった」
「……この幼なじみ3人組…」
「……本当に化け物ね…」
そう呟いた真姫と矢澤の声は、俺たちには届かなかった。
▼
そして日も暮れて、総選挙からの帰り道。
「……今日の結果だと…」
「センターに相応しいのは……」
「優真くんか絵里ちゃんってことになりますね……」
「待てコラ。なんでそうなる!」
まぁ確かに俺たちはカラオケも1位と3位でダンスも同率1位だったから普通に考えたらそうな……らんわ!
「そうよ。気にすることないわ。私たちは元から対象外だったんだから」
「気にするなって言われても……」
「さすがにこの結果はヘコむにゃあ……」
うう、なんか通夜帰りみたいな空気になってるぞ……?
そんな暗い雰囲気を払拭したのは、穂乃果だった。
「ねぇ───────
───センターって決めなきゃいけないのかな?」
「え……⁇どういうこと⁇穂乃果ちゃん」
「だってみんなこんなに魅力的で、いいところがたくさんあるんだよ?センターを1人にしちゃうなんて、勿体無いと思わない?」
「……でも、センターがいないって言うのは、不味いんじゃ……」
「違うよ!花陽ちゃん!
──────μ'sは“みんながセンター”!
それが一番いい形だと思うんだ!」
「みんなが……センター…」
「うん!1人1人が活躍して、1人1人が輝ける…そんな曲をみんなで歌いたいの!
……海未ちゃん、優真先輩、真姫ちゃん。
そんな曲、作れないかな?」
穂乃果。
─────やっぱりお前は、最高だよ。
「─────あぁ、作れるよ。って言うか、そんな曲を作りたい…!」
「私もそう思います。穂乃果の考え…凄くいいと思います!」
「私も賛成。曲のイメージが見えてきたわ…!」
「ありがとう!3人とも!よーし、じゃあ明日からも練習、頑張ろー!」
そう言って走り出す穂乃果。
それを追うように走っていくμ'sメンバー。
そして東條が絢瀬を引っ張って走っていく。
みんなが笑顔を浮かべて、とても輝いている。
今だけは、互いの立場を忘れて、ただこの瞬間を楽しんでいる。
俺の周りには、走り出さずにその場に残っていた矢澤だけになった。
矢澤も俺と同じことを考えているのか、彼女達を見ながら、その表情は優しい笑みを浮かべている。
……あぁ、やっとわかった。
今日の矢澤の行動の意図が。
「矢澤」
「何?」
「─────ありがとうな」
「だから、何がよ?」
「────────“1年生のため”だろ?」
「……」
「まだ入って日が浅い1年生がμ'sに馴染めるように、みんなで遊んで打ち解けられるようにしようとしたんだろ?」
「……アンタ達のその察しの良さはどこからくるのよ…隠し事ひとつ出来やしないじゃないっ」
「総選挙なんて、名目だったんだろ?そうでも言わないと、真姫は参加しないかもしれなかったから。元から、今日のお前はえらく強引だなぁとは思ってたんだ。……本当に気が効くよな、お前は」
「勘違いしないで。にこは本気でセンター狙ってたわよ?……結局、穂乃果の案になっちゃったけどね。……でも、あの案には大賛成よ」
本当に、素直じゃない。
矢澤も絢瀬も、東條も。
───────俺もか。
「絢瀬と東條を誘ったのは、絢瀬を気分転換させるためか?」
「それもあるけど、少し違うわ。
─────あの2人なんでしょ?“あと2人”は」
「……!」
……察しがいいのは、どっちだよ。
「あの全然素直じゃない2人が、μ'sとつながるきっかけになればいいなと思って。
そしたら少しはアンタも動きやすいでしょ?迷惑だった?」
「……いや、最高だよ、お前。ありがとな、矢澤」
「礼なんて要らないわよ。にこだって、あの2人がμ'sに入ってくれたら嬉しいし。
……頼んだわよ?
あの2人の心を動かせるのなんて
アンタ以外にいないんだから」
「……任せとけよ」
俺の返事に、矢澤は微笑みを浮かべた。
「─────なぁ、矢澤。
曲名、思いついたよ」
「ん?聞かせてくれるの?」
今はバラバラなμ'sと絢瀬たち。
“いつか”その2つの道が交わりますように。
“いつか”手を取って、今日みたいに笑い合える日が訪れますように。
“いつか”そんな素直じゃない女神達が、心から楽しい日々を送れますように。
そんな“いつか”に、願いを込めて。
「──────“これからのSomeday”────」
今回の件については、作者の活躍報告にも掲載しております。
改めて申し訳ありませんでした。
さて!第2章が終わりました!
次回から遂に、物語は大きく動き出します!
そしてお気に入りが140人、UAが14000を超えました!
投稿して今日でひと月になり、こんなにもたくさんの方から読まれていること、本当に嬉しくおもいます!
今後もどうぞこの作品と作者をよろしくお願いします!
では、今回のありがとうございました!