ラブライブ! ─ 背中合わせの2人。─   作:またたね

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ここからしばらくシリアス気味な話が続きます、申し訳ありません…
出来るだけ早く終わらせて、アニメのストーリーの方へ向かいたいと思います!



進む二人

4話 進む二人

 

 よろしくね、朝日くん」

 

 

 そういうのは目の前の金髪の少女、改めクラスメイト(らしい)の絢瀬絵里。

 正直、今日の自己紹介は希が同じクラスにいた衝撃でほとんど覚えてない。

 そういえば、上裸で特技はボディビルですって言っていた男子がいたな……

 誰だっけ、剛田?怪力??…腕力???

 

 

 

「あぁ、よろしくな絢瀬。で、どうしたんだ?」

「ええ、ちょっと……この子がね」

 

 そう言った絢瀬が俺に見せたのは─────子犬。

 

 

 その瞬間

 

 

 俺のトラウマが嫌でも思い出される

 

 

 

 

 

『君がやったんだろう?』

 

『残念だったねぇ〜朝日クン』

 

 

『……殺して…やる…』

 

『ごめんね……優真くん…』

 

 

 

 

 

 

「ちょっと、大丈夫?朝日くん。もしかして犬、苦手だった?」

 

 不思議に思った絢瀬に声をかけられ、意識が現実へと戻る。

 

 相当怯えた顔をしていたのだろう、絢瀬は怪訝に思いながら、申し訳なさそうな目でこちらを見ている。

 

「あ、いや……大丈夫だ。その犬、怪我してるのか?」

「えぇ…でも治療する道具も何もなくて。だからと言ってここに置いていくのも…」

「わかった。ここで少しこいつを見ていてくれないか?俺の家が近くだから、すぐ取ってくる」

「えっ、いいの?」

「あぁ。すぐ戻ってくるよ」

 

 

 ────大丈夫だ。俺はもうあの頃の俺じゃない。

 上手くやってみせる。

 

 

 

 

「すごい、上手なのね」

「……昔、やったことがあってな」

 

 傷口を手当てし、包帯を巻いてやる。

 そこまで終わると子犬の顔は幾分か元気になっているように見えた。

 

 

「ありがとう。貴方のおかげで助かったわ」

「気にするな。出来ることをしたまでさ」

「貴方って、意外と優しいのね」

「意外ってなんだよ意外って」

「ほら、自己紹介の時、貴方だけ他の男子と違って無愛想だったから。

なんだか、周りと距離を取ろうとしてるっていうか、そんな風に見えたの。

そしてここからは私の勘なんだけど、

 

 

貴方自身は、そんな自分に苛立ちを感じてる」

 

 

……。これは驚いたな。あの自己紹介だけでそこまで読み切るとは。

こいつの観察眼は尋常じゃない。

 

 

「へぇ、凄いね。そこまで分かったんだ。

 

そうだよ。俺は極力人との関わりを避けたい。

昔いろいろあってね。人と関わるのが怖いんだ。

 

でも俺はそんな自分を変えたい、変えなきゃならない。

 

そのために、俺はここにきた」

 

 

俺は絢瀬にそう告げた。すると絢瀬は、

 

「なるほど…だったら、貴方へのお礼を思いついたわ」

「ん?お礼?」

「さっきのお礼よ。犬の手当て」

「あぁ、別にいいのに。で?お礼とは?」

 

 

 

「私と、友達になりましょう?」

 

 

 

……ん?今、こいつ何て?

 

()()()()()()()()()”?

 

 

「ふふっ…ははは…っ」

「なっ!何笑ってるのよ!」

「や、すまんすまん。今ので一つわかったことがあってな…

 

 

────お前も、友達あんまりいないんだろ?」

 

「なっ…!」

 

 あっ、言った後思った。

 俺相当失礼なこと言ったわ。

 でも、当たっている確信があった。

 

 

「なんで……そう思うのよ」

「お、図星か?……んや、“友達になりましょう”って言って友達作るなんて、めちゃくちゃ律儀だなって思ってね。

友達作るのに手続き踏むなんて小学生、良くて中学生だ。

 

最初は冗談かと思ったけど今の状況で絢瀬が冗談言うとは思えない。

だったら考えられるのは、“絢瀬は友達を作り慣れてない”ってことだよ」

 

 

▼▽▼

 

 

「っ……」

 

 

 私は彼の言葉に舌を巻いた。

 

 そう、彼の言うことは当たっている。

 

 

 私、絢瀬絵里には友達と呼べる友達がいない。

 私自身、真面目すぎて不器用なのはわかってる。

 でも、それを曲げることはできない。

 故に自然と周りとも衝突しがちで、それを避けるために独りでいることが多くなった。

 クラスの中には私の真面目さにつけこんで利用しようとしたり、そもそも私から距離を取ろうとする女子や、私を欲望の対象としてしか見ていない視線を向ける男子───小学校の頃は私の髪や目の色に対して好奇の目をむけることの方が多かったけど今では色目の方が多い───ばかり。

 

 だから私は、自ら進んで“独り”を選んだ。

 

 それでいいと思っていた。

 先生たちには気に入られていたし、やろうと思えば自分一人で何でもできる。

 そう思っていたし、実際一人でやれた。

 

 

 でも、卒業間近になって気づいた。

 

 

 ─────自分は、“空っぽ”だと。

 

 

 自分の中には、何も入っていない。

 

 

 友人との思い出はもちろん、共同社会の中で必要なモノが、抜け落ちている。

 

 

 人との関わり方、友人の作り方、自分の気持ちを素直に伝える方法───────

 

 

 いつの間にか、失くしていた。

 

 

 それに気づいた時、私は怖くなった。

 

 

 “自分はこのまま永遠に独りなのか”と。

 

 

 だから、そんな私を“変えたい”。

 

 

 そう思って高校からはそんな自分を少しでも変えていこうと思った。

 

 

 そして今、目の前に私と同じように不器用な人がいる。

 

 

 私は勇気を出して第一歩を踏み出した。

 

 それなのに……それなのに……!

 

 

「────うるさいわよ!バカ!」

 

 

▼▽▼

 

 

 うぉ。怒鳴られた。

 絢瀬は何か考え込んでいると思ったら、いきなり大きな声で俺に向かって叫んだ。

 なんだなんだ?

 

「そうよ!貴方の言う通りよ!私は友達なんていないし、生真面目すぎて不器用よ!!

友達の作り方なんてわからないし自分の気持ちの伝え方もわからない!!でもっ!私は!そんな自分を…」

 

 

 

「───出来てるじゃないか」

 

 

「えっ……?」

 

 涙声になりながらも話す絢瀬を遮り、俺は続けた。

 

「自分の思い、気持ち、願い。

俺にぶつけられたじゃないか。

 

大丈夫、お前は“変われる”。

 

“変わりたい”って意思があれば、絶対に。

 

そのために俺にできることならなんだってしてやるよ───

 

 

───────友達、だからな」

 

 

 

俺は笑顔でそう言った。

 

 

 

「……うっ…………ありが……とぅ……」

「だからもう泣くな。友達が泣くところなんて、見たくない」

「……うんっ……わかったっ……」

 

 

 そう言いながら泣き続ける絢瀬を、俺は泣き止むまで見守っていた。

 

 

 

 

 絢瀬が泣き止んだ後の帰り道。

 

 

「……本当にありがとう。私、頑張ってみる。だから、貴方も…」

「……あぁ。絢瀬に負けないようにしないとな」

「ふふっ。それじゃ、“またね”。朝日くん」

「おう、“またな”絢瀬」

 

 そう言って俺たちは別れた。

 

 

「……これでよかったんだよな…」

 

 

 お前は、“変われる”。変わりたいって意思があれば絶対に。

 

 

「すごいブーメランだな…」

 

 あれは、俺自身に言い聞かせてたのかもしれないな…。

 

 

 さて、明日こそは希と話をしないとな…

 

 

 自分を、“変える”ために。

 

 

 

 

 




絵里と優真、理由は違えど似た者同士なんです。

今回もありがとうございました!

次回もよろしくお願いします!
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