ラブライブ! ─ 背中合わせの2人。─   作:またたね

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今回で第4章は終わりです。
それと最後に重大なお知らせがあるので是非あとがきまでよろしくお願いします!



【Days.after】オモイデ 〜合宿編another side.

47話【Days.after】オモイデ 〜合宿編another side.

 

ナツライブを終えて、今私たちμ'sは学校から貸し出されたバスに乗って会場から音ノ木坂へと戻っている。

みんなは疲れてるみたいで眠っちゃってるけど、私…東條希はなんだか寝付けなくて窓の外の流れる景色を眺めていた。

 

今私が考えているのは、あの夏合宿の事。

穂乃果ちゃんの唐突な提案で生まれたあの夏合宿は私達μ'sにとって大きな転機になった。

みんなの絆が深まるきっかけにもなったし、私達の懸念材料だった真姫ちゃんもいい方向に心が動いた。

 

それと同時に────────

“優真くん”を取り巻く皆の思いも大きく動いたと思う。私が知っているのは、ことりちゃん、凛ちゃん、えりち。にこっちはまだわからない。

 

 

 

 

そして────────自分自身。

 

 

 

 

 

 

認めざるを得ない。

はっきりと自覚してしまったから。

 

 

 

 

 

 

 

私は─────やっぱり“優真くん”が好きで

 

 

 

─────────“ウチ”も、“ゆーまっち”が好き

 

 

 

 

 

 

 

それは合宿でのあの出来事を思い出せば火を見るよりも明らか。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

合宿の時私は、楽しみながらもμ's皆の様子を観察していた。別に意識していたわけでもなくいつものように……癖のようなもの。人の顔色を伺い続けた私の、反射的にしてしまう習性。

真姫ちゃんも穂乃果ちゃんのおかげで笑えてたし、他のみんなも楽しそうに笑ってた。

後は真姫ちゃんに……きっかけを与えてあげるのが私の役目。私じゃ真姫ちゃんを助けてあげられない。

 

それができるのは……優真くんだけだから。

私は優真くんを信じて、思いを託すだけ。

 

だから私は3人で買い物に行った時も、枕投げをした時も、ちょっとしたおせっかいを真姫ちゃんに焼いた。

私が信じた通りに優真くんは真姫ちゃんの心の悩みを晴らしてあげられたみたい。ナツライブが終わったあとの記念撮影の時に見た真姫ちゃんの笑顔は、今まで見たどの笑顔よりも優しくて、美しくて……まるで憑き物が落ちたみたいに晴れ晴れしかった。

 

やっぱり優真くんは凄い。

これからも私は“東條”として彼を……μ'sを支えていこう。

 

 

 

─────それでよかったはずなのに

 

 

 

合宿中、私の胸の中にはモヤモヤが渦巻いていた。

きっかけは分かっている。

───えりちと優真くんの一幕を聞いていたから。

 

 

 

(────絵里)

 

彼がえりちの名前を呼ぶ。

 

(────握ってろ。多少はマシになるだろ)

 

彼がえりちと触れ合う。

 

 

聞きたくなかったのに、一度聞こえると鮮明に聞こえてしまう2人の会話。

応援していくはずだった。

彼の隣は自分の場所じゃないから。

そのために2人を引っ付けるような手伝いもしてきたつもりだった。

 

なのに

 

─────この胸のモヤモヤはなんだろう

 

 

……否。なんだろうなんて問いかける必要もない。

わかってる、ずっと知ってる。

でもそれを認めることはどうしてもできない。

それはあの日の誓いを破ることになるから。

 

 

でも私がえりちに抱いたこの感情は

 

“嫉妬”以外の何物でもなくて

 

それを自覚することはすなわち

 

私は彼に──────────

 

 

そこまで考えた時。

 

──────バリッ!!ボリッ!!

 

あの音が広間に響いて───────

 

そこから先は、皆で枕投げを楽しんで……その中で真姫ちゃんの“お手伝い”をしてあげた。

そして生き残った私達は眠りについた……私はさっきの気持ちを思い出して眠れなかったけど。

 

 

しばらくすると真姫ちゃんが布団から出て廊下へと歩いて行った。

僅かに聞こえる水音。寝付けずに風呂に入ったのだろうか。

すると驚いたことに、優真くんも風呂へと向かい始めた。止めるべきか否か迷って──────

真姫ちゃんのために行かせることを決めた。

優真くんなら間違いは起こさないだろうし、何より真姫ちゃんと2人きりになるいい機会だと自分に言い聞かせて……でも……

 

モヤモヤする……さっきよりもすごく…………

うぅ……なんなんだろうコレ……

 

胸のモヤモヤは膨らんでいくばかりだった。

 

 

 

結局あまり眠れなかった私は、誰よりも早く目覚めて外へと出た。

昇りかけの朝日は綺麗で、吹き付ける浜風もスッキリとしていて気持ちよかった。

一晩中モヤモヤを抱き続けて、もう自分でも自分の気持ちがよくわからなくなっていた。

認めたくない。認めたくないけど……

 

そんなことを考えていたら、後ろから声をかけられた。

 

「────────東條」

 

呼びかけられた声に、ゆっくりと振り向く。

その声の主は見なくてもわかるけど。

 

「ん……ゆーまっち。おはよっ、早かったね」

 

「お前の方こそ早いな、眠れたか?」

 

「うん、ぐっすりやったよ」

 

優真くんの口調は硬い。

何かあったのかな、と思うけど心当たりはない。

 

「……隣どうぞ」

 

「……おう、ありがとう」

 

私の促しに従って優真くんは横に座った。

───────少しだけ距離を開けて。

無言がつづくと気まずいから私から口を開く。

 

「……綺麗な朝日やね」

 

「あぁ、本当に綺麗だ。昨日見た夕日も綺麗だったけどな」

 

「……楽しいね、ゆーまっち」

 

「ん?」

 

「─────合宿。楽しいね」

 

「……うん、楽しい」

 

「ふふっ♪」

 

何気ない短い会話が続く。

なんとなく会話が弾まない。

何とも言えない空気が2人の間に流れている。

私の方はこのモヤモヤがあって気まずさを感じてるんだけど……優真くんの方はどうなんだろう。

とりあえず、空気を和ませるために一つ優真くんを弄ってみようかな…

悪戯心が働いて、私は“東條”の笑みで優真くんに言う。

 

「─────えりちとイチャイチャした感想は?」

 

「なっ……!!お、お前聞いてたのかよ!?」

 

「ウチの地獄耳を舐めん方がいいよー?ねぇ、どうだった?えりちのて、の、ひ、ら♡」

 

ニヤニヤと笑う私に口撃をされて、優真くんは明らかに顔をしかめる。

──────少しだけ頬を赤くして。

 

「あ、あれは絵里が寝れないって言うから……」

 

──────私の前で、彼女を“絵里”と呼んだ。

それは彼の私に対しての信頼の表れのはずなのに、何故かそれが心にチクリと刺さる。

 

「お、“絵里”??」

 

「どうせ全部聞いてたんだろ!なら今更隠す必要ねぇよっ」

 

優真くんは不貞てそっぽを向いてしまった。

しかし私はまだ口撃をやめない。

 

「ふふふ、おもしろーい♪じゃあ……

 

──────真姫ちゃんと混浴した感想も、聞きたいなぁ〜」

 

「それも見てたのかよ!!」

 

「真姫ちゃんがお風呂に行ったのは知ってたんやけど、しばらくしたらゆーまっちが起きてお風呂に行きだした時は笑いそうになったよー!

ま、面白そうやから止めんやったけど♪」

 

「……ん?てことはお前……」

 

 

 

「え?起きてたよ?」

 

 

 

「お前えぇぇぇ!!」

 

「だって、面白そうやったし、何より……

 

────聞いてくれたんやろ?真姫ちゃんの悩み」

 

「…………!」

 

「────────ウチに出来るのはあそこまでってわかってたから。最後に真姫ちゃんを助けてあげられるのはゆーまっち。そう思ったから託したん」

 

私は優真くんに笑いかけた。

優真くんは驚いたような表情をして私を見ている。

 

「……買い物の時のあれも、枕投げも…俺が真姫と話し合う時の下準備のために……?」

 

「さー、どーやろね」

 

言葉を濁したが、彼の言う通り。

 

全部キミの為。

私ができるのはその手助けだけだから。

 

すると優真くんはどこか遠いところを見てしばらく考え込んでいるような様子を浮かべた。

 

「……ゆーまっち?」

 

「……あぁごめん、考え事してた。

……真姫と話したよ。あいつの悩み、思ってること…全部打ち明けてくれた。その上であいつの思いも聞けた。……きっと大丈夫。何かあったらその時は……」

 

「ウチらが支えんと、やね」

 

「あぁ」

 

私が優真くんに笑顔を向けると、彼も笑顔で返してくれた。

その笑顔に、昔の優真くんの面影を感じた。

 

だからかもしれない。

 

私があんなことをしてしまったのは。

 

「にしても、ゆーまっちもモテモテやなぁ……」

 

「何がだよ」

 

「両手に花でも足りんのやない?あんなにたくさんの女の子から囲まれて」

 

「……ありがたいことですよーだ」

 

テキトーに返事をした優真くんに、なんだかムッとした。

 

「あー、そんな言い方するんやー。みんなに言っちゃおうかなー、えりちと真姫ちゃんのコト」

 

「待て、それはマジでやばい!いろんな意味で殺される……!」

 

「へへへっ♪じゃあお願い事ひとつ聞いてくれるなら見逃してあげてもええよ?」

 

「……わかったよ、聞くよ」

 

「おー?言ったね?ならじっとしててね」

 

覚悟を決めて。

これで全てを───────確かめる。

 

 

 

そして私は少し座る場所を優真くんの方に寄せて

 

互いの腕が触れ合う距離まで近づいた後

 

自分の頭を彼の肩へとそっと乗せた。

 

 

「…………何してんの?」

 

彼も驚いているようだ。

でも1番驚いているのは……私自身。

自分がこんな大胆なことをやるなんてさっきまで考えもしなかった。でもここまで来たなら…やってしまえ。

 

「……いいやろ?たまにはウチも誰かに甘えたいのっ」

 

そして私は地面に着いていた彼の手の上に、自分の掌を重ねて優しく握った。

触れ合った手と手……腕と腕から、彼の温もりを感じて先ほどから胸がドキドキとして止まらない。

優真くんは今どんなことを考えているのだろう。こんな状態になって……ドキドキしてるのは……

 

 

─────落ち着くのは、私だけかな?

 

 

 

優真くんは私の手を振り払うこともなく、目の前の海をただ見つめていた。何を考えているのかはわからなかったけど、彼の緊張が握った手から伝わってきた。

再び訪れた静寂。

その静寂は私にとっては心地いいものだったけど、彼にとってはきっとそうじゃない。

だからその静寂を自分で壊すことにした。

そして自分の思いを──────伝える。

 

 

「……ゆーまっち。ウチ嬉しいん」

 

「……なにが?」

 

 

 

 

「─────キミが笑ってるから」

 

 

 

 

「……俺?」

 

「最近ずっと楽しそう。えりちが入ってからよく笑うようになった。それまでは……私のお願いでたくさん無理をさせちゃってたからね。

だからそんな風にしてるキミを見ると、やっぱり安心するんだ」

 

そして“仮面”を──────外した。

 

「……こっちでもいい?」

 

「……好きにしなよ─────“希”」

 

「ありがと──────“優真くん”」

 

オープンキャンパスの時は拒否されてしまったけど、自分の思いを伝えるならやっぱり“仮面”はつけたくない。

優真くんが“私”を受け入れてくれて少し嬉しかった。

そこで安心したからだろうか。

────言うはずもなかった言葉が口から漏れた。

 

 

 

 

「……落ち着くなぁ、キミの隣は」

 

 

 

 

「え?」

 

彼が疑問の声を浮かべて初めて、自分の心の声が漏れていたことに気づいた。

 

「あ……!な、なんでもない!!忘れて!!」

 

「いや、聞こえなかった、すまん」

 

「……そっ、か…良かった」

 

彼はそれ以上私に問いかけることはしなかった。

何かを察してくれたのだろう、そんなところに彼の優しさを感じる。

 

彼の勘は鋭い。にこっちやえりちはウチのことも鋭いなんて言うけど、優真くんには及ばないと自分では思っている。

でも私達が1番鋭いのは────────

 

お互いの思い。

 

お互いの考えてるコトなんて、痛い程わかるのに

どうして私達はこうなってしまったんだろう

どこで間違えてしまったのだろうか

 

───どうしてこんなにも素直になれないのだろう

 

 

「……なぁ、希」

 

優真くんが口を開いた。

 

「ん?どうしたの?」

 

「……昨日の君の言葉の事だけど」

 

「?」

 

「真姫と3人で買い物行った時」

 

 

 

『─────放っとけないの。よく知ってるから。あなたによく似たタイプ』

 

 

 

「……あれ、絵里の事だと思ってたけど……違った。

 

──────『俺と“希”』のことだったんだな」

 

彼は確信を持って私に問いかけた。

ご明察、彼の言う通りだった。……気づくと思ってたけどね。

 

自分の思いに素直じゃなくて

常に誰かのためが行動指針で

 

そんな真姫ちゃんはまるで“私達”のようで

 

「あ、わかっちゃった?」

 

「元々俺に気付かせるつもりだったんじゃないのか?」

 

「さぁ、どーだろうね」

 

私は彼をはぐらかす。

……きっと彼にはバレているだろうけど。

 

「……ねぇ、ふと思い出したんだけど」

 

「……何?」

 

「───────あの子、元気にしてるかな」

 

 

今までなんで思い出さなかったんだろう。

あんなに大切な存在だったのに。

 

 

「──────“紬”ちゃん、今どうしてるんだろ」

 

(つむぎ)”ちゃん。

文字通り私たちの絆を紡いでくれた存在。

しかしその言葉を聞いた瞬間、優真くんの表情に一瞬だけ影が差した。

本人は隠したつもりだろうけど、私にはバレバレだった。

 

「──────元気にしてるんじゃないか?」

 

それは明らかな嘘だった。

私を悲しませないための。

だから私は────────

 

「──────そっか」

 

何も触れなかった。

彼がさっきそうしてくれたように。

私達は互いに嘘がつけないから互いの距離感だけで雰囲気を察し合い、触れられたくないところには触れない。それが私達の暗黙の了解。

そして私は自分の思いと感謝を優真くんに告げた。

 

「優真くん。私μ'sのことが大好き。

───君が創ってくれたあの場所が大好きなんだ」

 

「……俺が作ったわけじゃないよ」

 

「ううん、違うよ。確かにμ'sを作ったのは穂乃果ちゃんたちだけど、それを利用した私のワガママのために色々頑張ってくれたのはキミだよ。

────だからμ'sは、キミが私にくれた居場所」

 

「……やっぱ違うだろ」

 

「え?」

 

「……そのために頑張ったのは俺だけじゃない。希はもちろん、穂乃果たちも色々頑張ってくれたじゃないか。だからμ'sは、“みんなで作ったみんなの居場所”だ。でも──────」

 

そして優真くんは、私の手が乗っていた方の手で、私の頭に優しく手を乗せ、撫でる。

 

 

 

 

「─────君がいなかったら俺は絶対やり遂げられなかった。今のμ'sがあるのは君のおかげだよ。……ありがとな、希」

 

 

 

 

その言葉が私の心の奥深くに届いて

 

己の心に“答え”を出した

 

 

 

やっぱりダメだなぁ

 

でも、納得しかないや

 

ずるいよ優真くん

 

私の努力も、“ウチ”の努力も認めてくれて

 

そんな優しい君にドキドキしてるこの心は

 

 

 

 

─────“恋心”以外ありえないよ

 

 

 

 

「……ふふふ♪本当にズルいなぁ、優真くんは」

 

「……口調混じってるぞ?」

 

「いーのいーの!……優真くん」

 

「ん?」

 

そして私は彼の肩から頭を離して、笑う。

 

心からの“私”の笑顔で。“私達(“東條” “希”)”の気持ちが届くように。

 

 

 

 

「───────ありがとね♪」

 

 

 

 

─────もう逃げないよ、優真くん

 

 

私はあなたが好き

 

 

えりちにもことりちゃんにも……他の誰にもキミを譲りたくない

 

 

キミが幸せになるその隣は

 

 

私じゃなきゃ、嫌なんだ

 

 

 

 

 

 

「さて、そろそろ戻ろうか。優真くん付き合わせちゃってごめんね」

 

私はそう言って立ち上がろうとした。

すると優真くんは────────

 

「──────希」

 

私を呼び止めた。

 

私は彼の顔を覗き込んだ。

優真くんは何やらあちらこちらを見ながら考えを巡らせているようで、ややあって口を開いた。

 

「……もう少し一緒に居てくれたりしないですか?」

 

そのいつもの彼らしくない物言いと、意味不明な口調に思わず吹き出してしまった。

 

「ふ、ふふふ……あはははは!」

 

「わ、笑うなよっ!」

 

「だ、だって…その言い方……あはは…」

 

「うるせぇ!悪かったな!」

 

「ごめんごめん。…いいよ。

 

私ももう少しキミと一緒に居たい」

 

「……おう、そっか…」

 

そして私は優真くんの隣に座りなおした。

……少し距離を開けて。

自分の思いを自覚したとたん急に気まずくなっちゃったから。

そして改めて、彼への思いを告げた。

 

「優真くん。私はキミを信じてる。私はずっとキミの味方だからね?」

 

「ありがとな。俺もお前のこと信じてるから。

たくさん迷惑かけるかもだけど───────

これからもよろしくな」

 

優真くんの言葉に、私は笑みで返した。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

今思えば、あれはキッカケにすぎなかったんだ。

2年前のあの日に捨てたはずの優真くんへの想いは、捨て切れてなんかなかった。

自分の心はあの頃から何一つ変わってなんかない。

 

私は5年前からずっと、優真くんが好きだった

 

今ではそう思った方がしっくりとくる。

その想いは私の心に温もりを与えてくれて。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

バーベキューが終わって、みんなでやった肝試し。

あれに挙手したのも自分の心を自覚したからだった。本当は怖かったけど、彼の隣になれる機会があるなら。

 

興味がないフリしてたけど、実は私もえりち達みたいに、彼の隣を狙っていた。

そして本当に彼の隣になれた時は、自分の幸運に感謝した。

 

「ウチのスピリチュアルパワーの力やね♪」

 

……なんでいつもの自分なら言えてたかもしれないけど、そんな余裕すらなくて。

いざ本番になっても緊張と恐怖で全く会話をすることができなかった。

そんな私の腕を、彼は優しく握ってくれた。

優真くんは私の腕を離すのを忘れてみんなの前まで行っちゃったけど、本当は嬉しかったり。

でも優真くんは海未ちゃんとことりちゃんが帰ってきてないことがわかると血相を変えて飛び出していった。その優真くんの後を凛ちゃんも追いかけて行って残った私達は本当にどうしたらいいかわからなくて、ただ2人が帰ってくるのを待っていた。

 

しばらくすると2人揃って無事に帰ってきたけど、私は凛ちゃんの表情が暗いのが気になった。優真くんの方は別に普通だったから、どういうことだろう…?

次の日の朝には元気になってたから気にするのはやめたけど、それが強く私の印象に残っている。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

今回の合宿は、良くも悪くもみんなの関係を少しずつ変えた。

それはμ's団体としてもだし、個人個人としても。

少なからずμ'sの絆は合宿前よりも確実に深まった。

それが今回のナツライブの優勝をもたらしたと言っても過言ではない。

 

ただμ'sは──────動き始めるはず。

この危うい均衡が続くとは思えない。

“優真くん”というピースがμ'sに及ぼす影響を、

彼自身は理解しているのだろうか。

そして私は─────自分と同じ想いを持つ“仲間”に、どう振る舞えばいいのだろう。

 

みんなはまだ気づいてないのかもしれないけど、μ'sが変わる時が近づいている。

私にはそんな気がしてならない。

 

ふと横を見ると、えりちが安らかな表情で眠りに落ちていた。その様子を見て微笑ましく思いつつ、私はえりちの方に頭を乗せ、瞳を閉じた。

 

 

 

 

 




これにて合宿編終了でございます!
実に1ヶ月以上この話が続きましたが、満足いただけたなら幸いです。
合宿中、優真やμ'sメンバーの心情に大きな変化が起きました。
今後の話でそれがどのように動いていくのか是非ご注目を!
……希にはどうやら先が少し見えているみたいですが。

さて、ここからはお知らせです。
私情で申し訳ないのですが、しばらくの間更新を停止させていただきます。
理由は簡単、人生の大勝負です笑
1月に全国で行われるアレ……アレを乗り越えるために私も1作者から学生へとしばらくの間戻ろうと思います。
本当はこれまで通り更新を続けていきたいのですが、下手に両立して両方の質が落ちてしまうことは避けたいので……学業の方へ専念させていただきます。
一刻も早く皆様に続きをお伝えしたい!という思いは投稿を始めてから一度も変わったことはありません。それどころか、大きくなり続けています。
投稿から約3ヶ月、総合50話とここまでかけたのは紛れもなく、いつもこの作品を読んでくださっている皆様のおかげです。
なので一度自ら戦うべきところと戦い、勝利してからここへと戻ってきたいと思います!是非この作品と作者の応援をよろしくお願いします!
それと私と同じ境遇の皆さん!当日は僕も一緒に戦っています!頑張りましょうね!
後、この間にひっそりゆっくりと前に告知した0章の修正も行いたいなと考えています。そちらの方は活動報告の方でみなさまにお伝えしていくつもりです。

それでは長くなりましたが、今回もありがとうございます!
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