ラブライブ! ─ 背中合わせの2人。─   作:またたね

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お久しぶりです。
リアルが落ち着いて書ける時間が出来てきたのでゆっくりと更新していきたいと思います!
後書きにお知らせがあるのでそちらもよろしくお願いします!


ツナグキズナ

70話 ツナグキズナ

 

 

 次の日。

 俺はとある公園である人物を待っていた。

 

 ──俺の隣で佇む、屈強な偉丈夫と共に。

 

 

「……サトシ」

「……なんだ?」

 

 サトシは俺の呼びかけに返事をしたものの、いつもの快活な明るさは何処へ、俺の方を向くことはない。

 

「……来てくれてありがとな」

「なんだ、そんなことか。全然構わないぜ」

「それと」

「『黙っててごめんな』、か?」

「……!」

 

 図星を当てられ言い淀んだ俺を見てサトシはフッ、と笑いながら言う。

 

「なーに気にすんな!人間1つや2つ言いたくないことなんてあるに決まってる!全然気にしてなんかないぜ!」

「サトシ……」

「……ただ」

「ん……?」

 

 

「───()()()()()()()()()っていうのが、俺のワガママだ」

 

 

「……」

「俺はお前を親友だと思ってる。だからこそお前が悩んでるなら、力になりたかった」

「サトシ…」

「信用してる、してないの問題なんかじゃないって心ではわかってるつもりなんだ。でも俺は……知ってたから。お前になにがあったかを」

 

 ……こんな顔を、させるなんて。

 サトシは…俺の大切な親友は、今俺のためを思い、その表情を苦しそうな笑顔へと変えている。

 

「……俺は1年の冬からずっと見てきた。過去に囚われたお前が、自分自身を変えるために誰かと触れ合い、ボロボロに傷ついた心を癒していく様を。お前なりの優しさで、誰かを救っていくその姿を。お前は、少しずつ変わっていってるって。そう思ってた。

でもそれは……間違い、だったんだな。変わっていたのは“お前(1人目)”じゃなくて、“3人目”。それじゃあ本当にお前自身が変わったなんて言えない」

「……」

 

 

「でも、それで1番苦しんでたのはお前だろ?」

 

 

「…!」

「自分が抱えてる矛盾に、お前が気づかないはずがない。それなのに俺は何も気づいてやれなかった……お前はきっと、心の中でずっと悩んでいたはずなのにっ……!」

 

 苦悶の表情を浮かべて拳を強く握りしめるサトシ。

 ……そんなに俺のことを、大切に思ってくれてたなんて。

 

「……サトシ」

「ん…」

 

 

「───俺を殴れ」

 

 

「え?」

「いいから、俺を殴れ。お前の俺への不満乗せて。本気で」

「……でも、お前」

「俺に思うことが色々あるんだろ?もうこの際、全部ぶつけてくれ。そしてお前と───もう一回、“始めたい”」

「……いいんだな?本気で行くぜ?」

「おう。ぶつけてこい」

「……うし」

 

 サトシは俺から少し距離を取り、思い切り深呼吸をして───

 

 

 

 

「───テメェ女の子とイチャイチャしすぎなんだよゴルァァァァァ!!!」

 

 

 

 

「そこかよおおおおおォォォォォ!?」

 

 

 

 

 サトシの全体重を乗せた一撃は俺の頬に触れたと思うと猛烈な痛みを炸裂させ、俺の身体を遥か後方へと殴り飛ばした。

 頭がガンガンと痛む。その頭痛に耐えながら砂まみれになった身体を無理矢理起こすと、怒りに震える巨人の姿が目に入った。

 

「いっつもそう!いーっつもそう!!お前ばっかり女の子にチヤホヤされて、俺の事なんか誰も見てなくて!!

私のどこが悪いっていうのよッ!!」

「何キャラだお前!!」

「言ってみろよ!!そこそこのルックスで筋肉もある!なのに俺の何が悪いんだよ!!あぁん!?」

「強いて言うなら、入学して次の日にボディビル披露したところじゃね?」

「そこから!?もうすでに手遅れじゃねぇか!」

 

 カァーッ!という謎の雄叫びを上げながらサトシは頭を抱えている。

 俺はそれに苦笑いを浮かべていたが、サトシは途中で雄叫びを止め、真面目な顔をして俺と向き合う。

 

 

「────さ、次はユーマが俺を殴れ」

 

 

「は?」

「1発には1発、だろ?そーじゃねぇと俺が納得いかないぜ」

「……わかったよ…いくぜ」

 

 俺も先ほどのサトシ同様深呼吸をして──

 

 

 

 

「──なぁに本気で殴って来てんだこのハゲェェェェェ!!!」

 

 

 

 

「それはお前が言ったことだろおおおおぉぉおぉ!?」

 

 俺はサトシじゃないから吹っ飛ばすことは出来なかったけど、俺の会心の一撃はサトシに尻餅をつかせることに成功した。

 

「お前から殴られると頬が腫れるんだっつーの!!」

「殴ってこいっていったのはユーマだろ!」

「限度があるだろ!?」

「本気って言っただろーが!!」

「じゃあお前は本気でやれっていったら本気でやんのかよ!?」

「やるわ!!馬鹿かお前は!!ってか俺に突っ込まさせてんじゃねーよ!!」

「んぐぐぐ……!」

「ぐぬぬぬ……!」

 

 無言の睨み合いが暫く続く。そしてそれはふと途切れ……

 

 

「─────ふふっ」

 

「─────っはは」

 

「はは、あはははははは!」

「っはははははははははは!!」

 

 

 笑い声へと、変わった。

 何に対して笑ってるのか、それは俺たちにもわからない。ただこの時間が楽しくて、面白くて……嬉しくて。

 

 

「あははは、っはははははは!!」

「んふふ、んほほほ、んっほほほほほほ!!」

「サトシ、その笑い方はヤバイ」

「んほほほほほほほ♂」

「はいOUT!!」

 

 ……こんな馬鹿な会話が、どうしてこんなにもたのしいんだろう。

 やっぱりこいつは、最高の親友だ。

 

 

 そんな思いに浸っていた時。

 “もう1人の待ち人”が姿を現した。

 

 

「───何してんだよ、テメェら」

 

 

 そこに現れた姿を見て、サトシが驚きに目を見開く。

 

 

「荒川……翔太…!!」

 

 

 俺はソイツを一瞥すると、ゆっくりと歩を進め歩み寄った。

 

 

「久しぶりだな───()()

 

「っ…!!」

 

 久々に名前で呼ばれたことに驚いたのか、“翔太”は俺を鋭く睨みつける。

 

「来てくれてありがとな」

「思ってもないこと言うんじゃねぇ気持ち悪ぃ。で?何の用だ。さっさと済ませろ」

 

 翔太は心底面倒くさそうに俺を見ている。

 

 そんな翔太に俺は─────

 

 

 

「───本当にごめん」

 

 

「……え」

「……あァ?」

 

 翔太に向かって頭を下げた俺を、サトシは驚いたように、翔太は訝しむ様な目で見ている。

 

「お前に鋏を向けたこと……そしてお前の前から逃げたこと。本当に、申し訳なく思ってる」

「……ふざけてんのか、お前」

「大真面目だ」

「……おちょくってんだろ、俺のことを」

「違う、これは俺の本心だ」

 

 

 俺の言葉に、翔太が“キレた”。

 

 

「っざけんじゃねぇっつってんだろ!!!」

 

 

 怒りの咆哮を上げるなり俺の首元に掴みかかり、俺を地面へと押し倒した。背中に強い痛みを覚えたが俺はそれを意にも介さずに翔太の目を見つめ続ける。

 

「ユーマッ!!」

「来るな!サトシ!!」

「っ!?」

 

 翔太の様子を見て俺の方へ駆け出してきたサトシを、俺は言葉で制した。翔太は俺の襟を握りしめ、俺の上半身を己の方へと引き寄せ、叫ぶ。

 

 

 

「ふざけるんじゃねぇ!!

 

 

 

謝るのは、どう考えても俺の方だろうが!!!

 

 

 

お前は……!何もしてねぇだろうが……っ!!!」

 

 

「……っ!」

 

 この言葉で、気づいた。

 翔太がキレてるのは、俺にじゃない。

 こいつは、“自分自身に”─────

 

 

「何でお前はいっつもいっつも……!誰かのために動いて、人のことばっか考えて…!それで自分が傷つくことも厭わねぇ…!!

そんなことを、いとも簡単に───“()()()()()()()()()()()()()()()()()()()”お前が、俺は気にくわねぇんだよ、大っ嫌いだったんだよ!!」

 

 今初めて聞いた。こいつは、そんなことを…

 

「どうしてお前は……そこまで人のことを思えるんだよ…!!

 

どうしてお前は!!!

 

……そんなに、優しいんだよ……っ!!

 

俺なんかに、お前が謝ることっ、ねぇだろう、が……っ」

 

 

 俺の頬を濡らす、冷たい雫。

 それは昂ぶる感情を抑え切れなかった翔太か見せた、怒りの涙だった。

 襟を握りしめていた手はガクガクと震え、俺を睨みつけるその目からは、ボロボロと涙が伝っている。

 

 そして不意にその手は離れ、翔太は俯きながら苦しそうにその言葉を吐き出した。

 

 

「───ごめん、優真……あの日のこと、本当にっ……」

「翔太……」

「ずっと……謝りたかったっ……!!けど勇気が出なくて…お前に会わせる顔がないって……怖くて、ずっと、逃げてて……」

 

 ───これが。この姿が。

 

 1人震え、涙を流す翔太の姿を見て俺は思う。

 虚勢を張って人をせせら嗤うあの姿ではなく、俺への申し訳なさで涙を流すこの姿こそ、翔太の真の姿なんだな、と。

 

 

 

 泣きながら翔太は俺に心中を吐露する。

 

 

 

▼▽▼

 

 

 

 朝日優真によって頬を傷つけられた荒川翔太は気を失い、病院へと搬送された。

 幸い命に別状はなかったが、12針も縫う大怪我だったことに変わりはない。

 

 目覚めた瞬間、彼は頬に走る痛みとともに思い出した。

 

 己が優真に、何をされたか。

 

 そして───()()()()()

 

 

「──目覚めたようね」

 

 聞こえた声に振り向くと、そこには赤髪の女医が佇んでいた。

 

「──私は西木野。あなたの担当医を務めさせてもらうわ」

 

 その女性の声は優しいようで、どこか冷たい。

 翔太を見つめるその瞳は、全てを見透かすようだった。

 

「……その鋏による切傷は、朝日君から受けたもので間違いないのかしら?」

「……」

「……貴方に、朝日君に、何があったの?」

 

 彼は、罪悪感でゆっくりと口を開く。

 

「俺が、あいつを傷つけてっ────」

 それ以上は、彼の口から西木野瑞姫に伝えられることはなかった。

 

 

 

 

 荒川翔太という人間は、最初から歪んでいたわけではない。彼はただ単に、人より“怖がり”だっただけなのだ。

 

 親からの過度な期待。

 持ってしまった権力。

 故の周りからの僻み。

 

 孤立してしまいがちになっていた彼は、誰よりも孤独を恐れていた。

 

 だから、友情を“買った”。

 だから、気に入らない奴を言いなりに変えた。

 

 高圧的な態度も話し方も、全て己を誇示するため。

 

『自分こそが偉い』と、『強い』と。

 

 

 

 ───『荒川くんって凄いよね!』───

 

 ───『君には期待しているよ』───

 

 

 

 周囲は自分を認め、褒めてくれる。

 

 そんな喜びは快感へと変わり、いつしか彼は、その快感に“依存した”。

 依存心は孤独を嫌う心をますます加速させ、“粛清”をどんどんエスカレートさせていく。そうして彼は孤独から遠い存在へとなっていった。

 

 ───はずだった

 

 しかし彼は気づかない。

 

 “一人”を嫌うが故に、“独り”になってしまっていた自分の過ちに。

 

 

 そんな彼の目を覚ましたのは、“傷み”。

 

 今尚頬に走るその痛み、優真から受けたこの痛みが、彼に全てを悟らせた。

 

 “人を傷つけることは、痛いんだ”と。

 

 奇しくも彼は、朝日優真と同じことを思っていた。そして彼は、自らの過ちを途轍もないほど後悔した。

 

 彼は強く願う──自らの目を覚まさせてくれた優真に、謝りたい、と。

 しかしその願いは叶わない。優真は、己の前から姿を消した。

 

 そんな優真に会いに行く勇気も出せないまま。

 

 月日は流れ───今、2人は再び“向き合う”。

 

 

 

▼▽▼

 

 

 

「翔太……」

「こんなに遅くなって……本当にごめん…っ」

 

 俺は今初めて語られた翔太の思いを、しっかりと胸に受け止めていた。

 そして思うのは────

 

「……なぁ、翔太。

 

───()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

「……」

「答えてくれ」

「…………俺だ。俺がやった。これは事実だ」

「……そっか」

 

 ……何となく、“アイツ”に似た雰囲気を感じた。

 “事実を言っているが、真実を言っていない”話し方をするアイツに。

 コイツは何かを、隠しているんじゃないか。

 

 ─────でも

 

 

「翔太」

「……なんだ」

 

 

「───俺はお前を許すよ」

 

 

「…!」

「ユーマ……」

 

「……俺の大切な人が教えてくれたんだ。“ごめんなさいは、魔法の言葉”だって。

翔太の謝罪は、嘘じゃない。お前は、本気で俺に謝ってる。だから俺は、お前を許す」

 

「優、真……!」

「だからさ、翔太」

 

 そこで言葉を切り、俺は翔太を手でそっとどかして立ち上がった。俺に倣って翔太もゆっくりと立ち上がる。

 

 そして俺は、手を差し出して

 

 

 

「───もっかい、友達になろーぜ」

 

 

 

「っ!!」

「俺はお前と、友達で居たいんだ。この思いは、4年前のあの日から少しも変わっちゃいない」

「……やっぱりお前は、大バカ野郎だ」

 

 そう言いながらも、翔太は泣きながら笑い顔を浮かべている。

 そして翔太は俺の手を──取った。

 

「もう一回、俺と友達になってくれるか?優真」

「当たり前だ。改めてよろしくな」

 

 互いに手を取り、笑いあう。

 “あの日”を経験して、まさかこんな日が来るなんて思ってもいなかった。

 

 

 どれだけ傷つけても、どれだけ傷つけられても

 

 勇気を出して“向き合えば”、人は“変われる”

 

 

 そんなことを感じていた俺の耳元に聞こえたのは…

 

 

「んばぁぁああああああああ!!」

 

「「!?」」

 

「お前ら、最高だぜぇぇえぇえええ!!!」

 

 世にも奇妙な嗚咽を上げながら号泣するサトシの声だった。

 

「お前らの友情見てたら思わず泣いちまったぜ!!あ、ショータ、俺は剛力悟志!よろしくだぜ!!」

「お、おう……俺は荒川翔太…よろしく」

「よろしくな!ユーマの友達は俺の友達!これから仲良くしてくれよな!」

 

 なんやこれ。なんかもう一個友情芽生えたわ。

 こいつの社交性の高さは異常だな。

 ……いや、一方的に突進してるだけ、か。

 

「……まぁそんな感じだから仲良くしてやってくれ、翔太」

「おう」

「ウチらの仲ゎ永遠、ズっ友。。。」

「「黙れハゲ」」

「ハモった!?しかもショータ初対面で当たり強くね!?」

 

 そんなサトシの反応が可笑しくて、俺も翔太も笑う。サトシは最初不機嫌そうにしていたものの、楽しそうに笑う俺たちの姿を見てしょうがないといった様子で笑っていた。

 

 

 ──なぁ、ユウガ。

 

 俺、少しは変われたかな?

 

 

 その言葉に返事はなかったけど、不思議と心が温かくなった気がした。

 

 今はこの温かさが、答えだと信じて。

 

 俺は一人この幸せなひと時を噛み締めた。

 

 

 

 

「……じゃあ俺行くよ」

「おう、呼び出して悪かったな翔太」

「気にすんな。こうしてお前とまた話せてよかった」

 

 別れ際、最後に挨拶を交わしていた俺たち。

 そして翔太は思い出したかのように口を開いた。

 

「……優真」

「ん?」

「……子犬のことでまだ言ってないことが──」

 

 

──────────♬

 

 

「っと悪ぃ」

 

 突如鳴り響いた着信の音に遮られ、翔太の声は聞こえなかった。

 その着信の主は……

 

「もしもし」

『優真さんっ!?今何処!?』

「どうしたんだよ……真姫」

『大変っ……大変なの……!!』

 

 電話越しに聞こえる真姫の声は、不信感を覚える焦燥に満ちていた。

 

 

 そして彼女が告げた事実は

 

 

『───ことりが今から、日本を発つって』

 

 

「な……!?」

『理事長から連絡があって……!もう時間がないの!だから優真さん───っ!!」

「わかった、“俺に任せろ”!!」

 

 そこまで言い切ると、俺は電話を切った。

 

「どうした?ユーマ」

「ことりちゃんがもう日本を発つって……!」

「なんだと!?」

 

 サトシの質問に答えながらも、俺は必死にケータイを操作し続けていた。そして狙いの番号を見つけると、それへと発信する。

 幸いにも3コール目で彼女は電話に気づいてくれた。

 

『もしもし?優真先輩?』

「穂乃果、いま何処だ!?」

『今?海未ちゃんと一緒に講堂で話をしてたけど……どうしたの?』

「海未もそこ居るんだな!?聞いてくれ、ことりちゃんがもうすぐ日本を発つらしい!!

『うえぇっ!?今から!?』

「俺は今から空港に行く!!お前も絶対に来い!!いいか!?」

『わかった!急いで向かうよ!』

「穂乃果───()()()()()()()()

『うんっ!!』

 

 そこで電話は切れた。そして俺は改めて2人に向かい合う。

 

「ってなわけで俺は今から空港に向かう!翔太、さっきの話だけどまた今度でもいいか!?」

「わかった…!行ってこい、優真」

「済まねぇ、助かる!じゃーな、翔太!」

 

 一分一秒が惜しい俺はサトシと共に公園の外へと駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 残された翔太は、ただ一言呟く。

 

 

「……優真、あの時子犬を傷つけた、本当の黒幕は───」

 

 

 その呟きは、俺に届くことはないまま。

 

 

 

 

▼▽▼

 

 

 

「……そろそろ、かな」

 

 私…南ことりは空港のロビーで1人座っていました。

 お母さんに挨拶した時思わず泣きそうになっちゃったけど、その涙ももう引っ込んだ。

 私はもう直ぐ───日本を離れて遠い場所へと飛び立ちます。

 

 頭の中を巡るのはこれからの生活への不安と

 

 ──みんなと過ごした、かけがえのない思い出

 

 楽しかったこと、嬉しかったこと、笑ったこと

 

 その全てが今、頭の中をグルグルと回っている。

 

 

「っ……─────」

 

 

 再び溢れそうになった涙を無理矢理袖で拭う。

 ……今更ダメだよ。私はもう、あの場所へは戻らない。

 今の居場所と、将来の夢を秤にかけて、私は今のこの道を選びました。

 後悔なんてしていません。

 未練なんてありません。

 

 

 ────後悔なんて。

 

 

 ────未練なんて……

 

 

「──────っぅ……」

 

 

 痛い。胸が───心が。

 出発の時が近づけば近づくほど、私の胸は何かに縛られたようにズキズキと痛む。

 

 ───みんなに会えば、よかったのかな?

 

 ううん、そんなことをしたら決心が鈍るだけ。

 

 迷いはもう、捨てよう。

 こんな気持ちじゃ、向こうに行っても何にもできない。

 

 気分を落ち着かせようとお手洗いに行くため、椅子から立ち上がったその時。

 

 

 

「─────()()()ッ!!!」

 

 

 

 聞こえた

 

 誰よりも愛しくて、誰よりも聞きたかった声が

 

 それは幻聴なんかじゃなくて

 

 普段と違う呼び方で、確かに私の名を呼んだ

 

 

 

「はぁ……ぁ…間に、あった……っ!」

 

 

 

 ────もう。何で来ちゃったの?

 

 今君にあったら私は───

 

 決心が、鈍っちゃうよ。

 

 

 

 

 

 

「───優真くん」

 

 

 

 

 

 




真姫の母が優真のトラウマが鋏だと知っていた理由は、こういう事でした。
「背中合わせの2人。」、いよいよ大詰めです。
最後まで応援よろしくお願いします。

さて、ここからは宣伝になりますが、私またたねは再び開催される鍵のすけさん主催のラブライブ!サンシャイン!!の合同企画にもう一度参加させていただく事になりました!
詳しい事はまだ決まっていませんが、決まり次第活動報告や後書きで報告していこうと思います。
そちらの方も楽しみにしていただけると幸いです!

新たに評価していただいた、

カゲショウさん、炒飯大盛りさん、ありがとうございました!

それでは今回もありがとうございました!
感想評価アドバイスお気に入り等お待ちしております!
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