ラブライブ! ─ 背中合わせの2人。─   作:またたね

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今回重大なお知らせがあります。
後書きまで目を通していただけると幸いです。


【UA100000突破記念】夢を叶えるのは

 

 

 

 

ex8話 夢を叶えるのは

 

 

「……お前を、生徒会長に?」

「うん……ダメ、かな?」

 

 突然告げられた、穂乃果の“お願い”。

 表情や様子を見る限り、嘘や冗談の類ではないらしい。

 恐る恐るという言葉が一番当てはまるだろう、穂乃果は勇気を出してこの話を俺に打ち明けたに違いない。

 

「いや、駄目とかそういうわけじゃないけど、一応理由を聞いていいか?」

「理由……」

「無いのか?」

「ある、よ」

「……言いにくい?」

「うん……こんな理由で、やってもいいのかなぁって」

 

 そう言って、気まずそうに俺から目を話す穂乃果。そんな穂乃果と対照的に、俺は彼女に笑いかけた。

 

「それを決めるのは俺じゃないよ」

「え……?」

「俺でもない。他の誰でもない。それを決めるのは──お前(自分)だ、穂乃果」

「わ、私っ?」

 

 予想外の言葉だったのか、穂乃果が大きく戸惑う。

 

「大切なのは、お前がその理由で最後までやり遂げられるか、だろ?それは他人が決めることじゃなくて、お前自身で決めることだ。俺は参考までに聞いてみたかっただけだから萎縮しないで言ってみ?」

「優真先輩……うん、わかった」

 

 笑みを浮かべ、力強く頷く穂乃果。

 はぁ、っと深く息を吐いて、彼女はその“理由(ワケ)”を語り始めた。

 

 

 

▼▽▼

 

 

「穂乃果を……?」

「うん。優真くんにもそう言ったよ?」

 

 奇しくも穂乃果の話と同じ頃。

 絵里もまた希の穂乃果を推すという意見に疑問を抱いていた。

 

「理由を、聞いてもいいかしら?」

「先に質問してもええ?どうして2人の中じゃ海未ちゃんになったん?」

「……海未なら指示力もあるし、性格もしっかりしてるじゃない?知名度もμ'sのメンバーだから問題ないし」

「……ふーん」

 

 希はやや意味深に呟くと、しばらく黙り込んでしまった。少し考え込むような素振りを見せた後、やがて希は絵里に笑いかけながら、問いかける。

 

「ねぇ。えりちは、生徒会長には何が必要やと思う?」

「必要なもの……?」

「必要って言い方は良くないね、何が大切やと思う?」

「何が……大切か」

 

 絵里は考える。

 指示力。仕事をこなす力。

 ……否、希がわざわざ問いかけてきたということは、答えはこんなものじゃない。

 希には、きっと見えているソレが、穂乃果には備わっているということ?

 そもそもソレは、私が本当に持っているものなの……?

 

 そんな絵里の思考を見透かしたように、希は言う。

 

「もちろん、えりちにもあるよ。海未ちゃんにも、私にもあるもの……でも、ソレを一番、誰よりも持っているのは、穂乃果ちゃんなんよ」

 

 そこまで聞いて初めて、私は気づく。

 

「……そういうことなの?」

「わかった?」

 

 

 穂乃果が誰よりも持っているモノ。

 

 穂乃果を、穂乃果たらしめるソレが。

 

 

「なるほど……確かに、そう考えると、あの子が一番相応しいのかもしれないわね」

「やろ?穂乃果ちゃんなら、きっとやり遂げられる。そのために必要なモノが、穂乃果ちゃんの中にしっかりと備わってるんやから」

「そうね、その通りだわ。私たちは、あの子のそんな所に救われたんだもの」

「ふふっ」

 

 我が意を得たりとばかりに笑う希。

 そして彼女はふと呟く──

 

 

「だって穂乃果ちゃんは──」

 

 

 

▼▽▼

 

 

「私は、学校のためにアイドルを始めた」

 

 そんな言葉から始まった、穂乃果の思い。

 

「“やりたい”って気持ちを、“スクールアイドル”ってカタチに乗せて、精一杯歌って、踊った」

 

 思えば初めてかもしれない。こんな風に穂乃果の思いを聞くのは。

 

「その思いはみんなの心に届いて、『ラブライブ!』出場直前まで辿り着いて、本当に廃校を阻止することができた……不思議だよね。私はただ、やりたいことをやりたいようにやってきただけなのに。気づけば周りにはことりちゃんがいて、海未ちゃんがいて、優真先輩がいて……μ'sのみんながいた。私は1人じゃなくなって……学校を守ることができた」

 

 ……そんなことはない。

 お前だったからだよ、穂乃果。

 他の誰でもない、やりたいことを、本当に心から楽しそうにやるお前のその後ろ姿が、俺たちを引っ張っていってくれたから。

 俺たちは、廃校阻止を成し遂げることができたんだ。

 最も穂乃果は、そんな風には思っていないらしい。

 

「そして“それまで”この学校があったのは、優真先輩や絵里ちゃんに希ちゃん、生徒会が頑張ってくれたから。私がスクールアイドルを始められたのは、にこちゃんが“あの日(入学式)”、私に本当のアイドルを“魅せて”くれたから。そこで私は思ったの。『“私は”この学校の為に、何ができるんだろう』って」

「……スクールアイドルだけじゃ、駄目なのか?」

「……ダメじゃない。スクールアイドルはこれからも続けてく。それが学校のためになると思うから。でも……それだけじゃ……ダメ、なの」

 

 急に穂乃果の語気が弱々しくなった。

 

 

 そして次に放たれた言葉は

 

 俺を驚愕させるには、十分だった

 

 

「だって、μ'sはあと半年で───っ」

 

 

 その言葉は、最後までは続けられなかった。

 穂乃果は苦悶の表情を浮かべ、唇を噛み締めて瞳を伏せる。

 まさか、そんなことまで考えていたとは。

 

 

 あの穂乃果が──μ'sの終わりまで見据えていたなんて。

 

 

 そう、俺達3年生は──3月には音ノ木坂(ココ)から居なくなる。

 その事実だけは、揺らぎようがない。

 続けるにしろ、続けないにしろ、俺たちのあり方は大きく変わっていく。

 それは今考えることではないが、穂乃果は着実に、来たるべき時が来た時に、自分に何ができるのか。

 それを考えた上で、俺に告げたのだ……自らが見つけた、その答えを──

 

「だから私は、生徒会長になりたい。みんなからしたらまた軽い思いつきに見えるかもしれない。たくさん迷惑をかけるかもしれない……!

でも!私は“やりたい”。絵里ちゃんたちが守り続けて来たこの学校を、μ'sのみんなで守ったこの学校を!絶対に終わらせたりしない!今度は私が生徒会長になって、やり遂げたい!!だって──」

 

 

 

 

 

 

 

「だって私は!」「だって穂乃果ちゃんは」

 

「この学校が──」「この学校の事が──」

 

 

 

 

 

 

 

「──大好きだから!!」「──大好きやから」

 

 

 

 

 

 

「……ふふっ、あはは……」

「なっ!?なんで笑うの!?本気なんだよ!?」

「いや、ごめんごめん……」

 

 

 ───そっか

 

 

 そうだよな。

 

「お前はこの学校のことが、大好きだもんな」

「な、なんで繰り返すの」

「そう、そうだよ、それでこそお前らしい」

「え……」

 

 いつだってそうだった。

 

 

 “大好きなこと”に全てを捧げるその背中が

 

 “やりたいこと”を全力で楽しむその笑顔が

 

 

 俺達の未来を、切り拓いてきたんだもんな。

 君が俺達に見せてきた姿が、君が俺達と残した軌跡(奇跡)が。

 俺達を、救ってくれたんだもんな。

 

 

「──最高の理由だ、穂乃果」

「えっ」

「それがお前の“やりたいこと”なら、俺は全力でお前を応援する。アイドルだって、そうだっただろ?だからお前はその気持ちのまま、全力で突っ走れ。躓く時は、俺たちで支えてやる。

 

お前は、お前の“やりたいこと”を、“やりたいよう”にやれ。

 

それが俺の、“やりたいこと”だ」

 

「!!」

 

 

 

 “やりたいこと”を、“やりたいよう”にやる。

 

 それが穂乃果の、俺の──俺達(μ's)のやり方。

 

 

 きっと希は、これを俺に気づかせたかったのだろう。

 生徒会長を任せるなら、俺達のバトンを受け取ってもらうなら。

 誰よりも学校のことが大好きな、彼女に渡すべきだろうと。

 そんな彼女が、自ら進んでそのバトンを受け取ろうとしてくれるのであれば。

 こんなに嬉しいことはない。

 絵里も、俺と希の話を聞けばきっと納得してくれるだろう。

 

 

「……楽じゃねぇぞ?生徒会は」

「わかってるよ!一番近くで見てきたんだもん、覚悟はできてるよ」

「本当か?」

「……………た、ぶん」

「自信なさそうだけど?」

「もう!やるったらやるのーーー!!」

 

 からかい口調の俺に、穂乃果は頬を真っ赤にして怒る。その様子を見て一頻り笑った俺は、改めて彼女の目を見据えた。

 

 

「──やり遂げろよ、穂乃果」

 

 

 少しだけ変わった声色に気が付いたのだろう、穂乃果はそんな俺の言葉を受けて不敵に笑った。

 

 

「──うん。やり遂げるよ、最後まで」

 

 

 2人でニヤリと笑った後、穂乃果は『やるぞー!!』と声を張り上げる。

 そんな彼女の姿に、彼女が創り上げていく、まるで想像もつかない未来に、期待が止まらない。

 

 

 だからこれからも、俺たちの前を走り続けてくれよ?

 

 

 ───“未来の生徒会長(俺達の奇跡)”。

 

 

 

 

 

 

 

 

 東京、某所。

 野外に設けられたステージに立つのは、9人の少女達。

 久々の外部ステージに、若干の緊張を感じさせる面持ちで……それでいて、どこか凛とした表情で客席を見つめている。

 

『皆さんこんにちは!音ノ木坂学院スクールアイドル、μ'sです!』

 

 センターの少女が口を開いた瞬間、期待に満ちた歓声が上がる。

 

『私達は、『ラブライブ!』を目指して歌い、一度活動休止を経て再び立ち上がりました。今日は久々のステージで、少し緊張しています』

 

 口ではそういうものの、俺には喋り出す前の緊張は全く感じられない。本当は、うずうずしてたまらないんだろ?

 

 早く歌いたい。踊りたい。

 

 そんな思いを、全身から感じる。

 

『この歌はそんな私達の、“新しいステージ”の始まりの曲です!μ'sの物語の新たなる幕開け、聞いてください!』

 

 

 ──さあ聞け。俺達の名を、胸に刻みつけろ。

 

 再び始まる俺たちの夢。

 

 俺たちの、()()()()()()()()

 

 

 

 

 そう、それは──

 

 

 

 

 

 

『──“それは僕たちの奇跡”!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ラブライブ!─背中合わせの2人─』

 

【背中合わせの2人が向き合ってから】編

 

 

        fin

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 Next.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『ラブライブ!─背中合わせの2人─』

 

 

【2nd season 隣り合わせの2人】編

 

 

 

          start!!!

 

 

 

 

 

 

 




というわけで【1.5期 背中合わせの2人が向き合ってから】編、完結です!ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました!

さて、本編でも書きましたが、次回から【2nd season 隣り合わせの2人】編、スタートです!!
2期編を期待いただいた方々、本当にお待たせいたしました!
充電期間を経て、心機一転誠意を込めて執筆いたしますので応援よろしくお願いします!
以前の告知とは異なり、『背中合わせの2人』にそのまま2期を投稿いたしますので、よろしくお願い致します。

さて、今回もありがとうございました!
感想評価お気に入りアドバイス投稿お待ちしております!
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