夜空の武偵   作:トナカイさん

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プロローグ2。星空家の『普通』……

「スーちゃん、スーちゃん」

 

 

(……え? 誰だ?)

 

目を覚ますと見知らぬ女性に抱かれていた。

うん、幻覚じゃないぞ~。

目覚めたら、某少年探偵よりも幼く(というか赤ちゃんに)なっていた……。

 

「バブー、バブー」(夢じゃなかったんだ……)

 

「あらあら、お~~よしよし……」

 

今俺を抱いてるこの人がこの世界での母親か……。

俺を抱いているその女性の容姿は黒髪で、かなりの美人な大和撫子を体現したかのような女性だった。

こんな美人……前世でもなかなかいなかったぞ?

まあ、あの神の言う通りならここは『緋弾のアリア』の世界だが。

確かにあのラノベやアニメでは皆んな美少女、美人さんしか出てこなかったけどさ。

あ、蘭豹や綴は別な。

いくら容姿がよくてもあの性格は勘弁だ!

って、何適応しようとしてるんだ俺は!

ここが『緋弾のアリア』の世界とか、そんなこと認めてたまるかー⁉︎

などと一人で考えていると。

 

 

「ただいま~。お、起きてたか~~!

いい子にしてましたか~~?」

 

そう言って男性が俺の顔を見下ろしてきた。

この人が……父親か。

 

普通のサラリーマンっぽいな。

何だ、ってきり、何処ぞのヤさんとか、警察官とか、武装職に就いている。

そんなイメージを持っていたけど。

思ったより普通の人でよかった。

安心したよ。

これなら原作になるべく関わらない、普通の人。すなわち一般人として生きていけそうだな。

原作になるべく関わらない!

それが長生きするには重要だ!

 

「おかえりなさい。お仕事ご苦労様。

新しい任務はもうなれました?」

 

「ああ、うん。ふー……疲れたな。官邸の警備はやっぱり疲れるね。

前やっていた強襲任務とかの方が僕には向いてるよ」

 

 

うん? 聞き間違いか?

なんだか今、物騒な話題が出たような?

それによく見るとスーツが若干、膨れているような……?

 

ま、まさかな……。

 

「今日は依頼も速く終わったし、パパと遊ぼうな~♪」

 

「あら、ダメですよ。これからおじいちゃんも来ますし。

武偵庁の人達もお祝いに来るんですから」

 

武偵庁?

武偵庁……武装探偵を管理する省庁。

……やっぱり武偵なのかよ!

うわぁ。家族が武装職に就いてるって嫌だなー。

これ、詰んでないか?

……いやいや。まだ諦めるな。まだ原作回避は出来るはずだ。

ところで依頼って何の依頼だ?

 

「あー……そういえば依頼主の大臣からも祝福されたよ。

写真見せたら総理大臣のところのお孫さんも昴と同い年だと解ってね。今度昴を連れて首相のご実家にお邪魔することにしたよ。公私共々よろしく、なんて言われたからね。はははっ!」

 

はははっ! じゃ、ねえよ⁉︎

何勝手に話進めてんの?

馬鹿なの? 死ぬの?

総理大臣とか、政治家とか、そんなもんに関わりたくないんだけどっ⁉︎

俺は普通の生活を送りたいの!

変なコネとかフラグはいらないの!

まぁ、どんな環境だろうとなんとかするけど。

なんとかしてやる、って思ってるけど。

だけど……それは今じゃない!

 

「オギャー、オギャー、オギャー‼︎」(お願い! 誰か止めてー!)

 

「あらら、おしめかしら? はいはい……ちょっと待っててね?」

 

違う。違うよ、マミー!

止めてー!お願いだからそこのお花畑脳な父を止めてー!

そんな風に騒いでいた、その時だった。

______ドカーン! っという扉を蹴破るような音が聞こえ。

ドカドカドカ、っと騒がしい足音が鳴り響き。

 

「ガハハハッ! こらー、光一! わしの孫はどこじゃあ!」

 

全身を鎧でガチガチに固めた武者姿のご老人が部屋に入ってきた。

え? 誰、この暑苦しい人?

鎧武者なご老人は両親と一言二言交わすと、その顔を俺の方に向けてきた。

目が合った!

と思ったら。

 

「足らんな!」

 

開口一番にそう呟いた。

WHAT?

何がでしょう?

 

「何が足りないのですか、お義父さん?」

 

恐る恐るマミーが聞くと。

祖父は神妙な顔つきをして。

 

「この子には……『筋肉』が足らん!

こんなぷにぷにな身体では銃弾を生身で弾き返せないではないかー⁉︎

困ったのう。わしの秘技『筋肉(マッスル)返し(バスター)』の継承がこの子の今の筋肉では出来ないのぅ」

 

と言った。

 

ちょっと待て______⁉︎

『筋肉返し(バスター)』って何?

赤子の肌がぷにぷになのは『普通』だろうが!

生身で銃弾を弾き返す、ってどこの筋肉ダルマですか⁉︎

心の中で叫ぶ俺を他所に。

祖父はニカッ! っと笑い。

 

「この『一騎当千』の継承者が筋肉なしなしではいかん!

決めた! わしはこの子を世界最強の筋肉剣士にしてやろう」

 

満面の笑みを浮かべてそう宣言した。

 

NO______筋肉! YES______普通!

 

俺は普通の生活が送りたいの!

そう思った俺は、両親に助けを求めたが……。

 

「困りますよ、父さん。昴はごくごく『普通の』Rランク武偵になるんですから……」

 

「あら、貴方。何言ってるの? スーちゃんは立派な陰陽師になるのよ?

この子は『土御門家』の血を引いているのだから、陰陽師になるのが『普通』でしょう?」

 

……駄目だ、コイツラ。早くなんとかしないと。

 

「ガハハハッ! 何を言っとるんじゃ! この子は『鬼』の血を引きし者。即ち『剛』の者になるのじゃ!

その為には『筋肉』がなければいかん! 筋肉さえあれば敵なし!

これ、この世の真理じゃ!」

 

……誰か、『普通』の定義をこの人達に教えてやってください!

早急に!

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