魔法戦記リリカルなのはForce~世戦の軌跡~   作:岸辺 翔

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影・第2章 闇に生きる者たち

「…………おや、彼はとんでもないことをしたようだね」

 

「予想の範囲内でしょ?」

 

「……ふふっ、まあ、そうかもしれないな」

 

 

海鳴市・展望台。その頂上に2人の影があった。

1人は死の神。1人は神の使い。

 

 

「行くんでしょう? 彼のところに」

 

「ああ。海鳴市にいた彼は、もうあの世界に戻ったようだ」

 

「……速いね。普通なら2時間はかかるのに」

 

「流石は銃騎士、といったところだろうか。……では、私はもう向かおう」

 

 

コートの中に仕込まれている武器を確かめながら、神父は姿を消した。

それに伴って死神も姿を消し、新たな戦場へと移動する。

 

 

「私は銃騎士をやる。君は他者の保護を」

 

「やりすぎないでおくれよ。被害が広範囲に及ぶと面倒だ」

 

「大丈夫だ。彼一人をあぶりだす」

 

 

冷酷に、されど感情的に神父は獲物を取り出した。

袖から振り出されたのは2つの剣。ロクな装飾もされておらず、まるで十字架にも見える不思議な剣。

細く鋭く、まるで鎧貫剣(エストック)のごとくだ。

 

 

「……そうかい。僕はもう向かうよ」

 

「ではな」

 

 

神父の姿は瞬時に消え、死神はやれやれとつぶやいた。

あまりに好戦的すぎる性格は彼と変わらない。銃騎士である彼と……。

 

 

「さて、と。僕は管理局の相手でもしてくるかな。彼らが暴れているとすぐに気づかれそうだ」

 

 

巨大な鎌を出した死神は深い溜息をつき、静かに崖を飛び降りた。

目下にそびえる広大な森。どこまでも人を誘い込み、そして死へと誘う魔境。

なぜ彼は世界を渡り歩くのか、なぜかれは地球とこの世界を往復し続けるのか。なぜ、和解の道を進もうとはしないのか。

 

 

「……銃騎士・銀狼。戦争とは戦うことだけじゃない。話し合いも戦争の1つなんだ……それを教えてあげる必要があるね。待っててよ」

 

 

悲しき心を背負った死神。

人を愛する痛みを知り、あまつさえそれを失わざるを得なかった死神。彼は戦いを恨んでいる。己を恨み続けている。

だからこそ……彼は和解を望む。

 

 

「ま、当面は管理局の相手かなぁ」

 

 

 

 

 

†★†★†★†★†★†★†★†★†★†★

 

 

「……魔力反応……? そこか」

 

 

そびえ立つ木々の上から彼を探し、異常な魔力反応を観測した地点へ飛び込む。

異常な魔力反応が1つと、何かに汚された変異的な魔力反応が2つ。恐らくは銃騎士の連れか、それとも捕虜か……。

 

 

「飛び入り失礼、貴殿の名を伺いたい」

 

「…………誰だ」

 

「私の名はゴードン、管理局で君の担当をさせてもらっているよ」

 

「……ゴードン……? 性はなんだ」

 

「これは失敬、グレゴリーとでも呼んでくれ」

 

「…………ではゴードン神父、貴様はなぜ……殺気を持ちながら俺の下へ来た」

 

「述べたはずだ。私は管理局で君の担当をさせてもらっていると」

 

 

着地した目の前に、私の目的はいた。

銃騎士、私の対となるべくして生まれた者。破壊者である私と……!

…………おかしいな、連れが2人ほどいると思ったのだが、見当たらん。

 

 

「ほう……つまりは俺を殺しに来た、そう言えばよかろう」

 

「味気がないのは性に合わないのでね。しかし、君も戦いたいのでは?」

 

「…………ああ。ここ最近、反吐の出る戦いしかやっていなくてな。不意打ちはあまり好かん」

 

「なら尚更だ。さあ戦おう、今ここで!」

 

 

両手に十字剣を持って駆け寄り、両肩を削ぎ落とすようにして振りかぶり―――

 

 

「そう慌てるな。それでは殺してくれと言っているようなものだ」

 

「ッ……! これを、止めるのか」

 

 

予備動作はほとんど見せなかった筈だ。

だというのに、なぜ……なぜ受け止められてしまった……!?

 

 

「恐ろしいな。これでも私は、暗殺術は獲得しているだが」

 

「ではその流派はよほど粗末なもののようだ」

 

「……君からすると、そうなってしまうようだ!」

 

 

左右を別機動で振りかぶるが、見えない何かで受け止められてしまう。

彼の腕はさして動いていない。ましてや片腕だ。何かを握っているようにも見えなければ、ただ開いているだけにも見えない……。

なんだ……何を操っている……?

 

 

「乱雑な攻撃だな」

 

「君はそれで満足か、攻めもせずにただ守りに徹するだけで!」

 

「……いや、なに。お前からは俺と同じ匂いがしたような気がしてな。しかし勘違いだったようだ」

 

「けなされるとは心外だ!!」

 

 

不規則に、されど全ての方向からの攻撃を順に試みるが、ことごとく何かに遮られてしまう。

弾かれた感触ではない。かといって流された感覚もない。これは……動きそのものが止められている?

 

 

「なぜ……動けない……!」

 

「俺とお前が相いれない存在だからだろう。言わずともわかっている、お前が銃騎士と類似した存在であることなど」

 

「……!? 知るはずが無い、私は誰にも伝えた覚えが……」

 

「世界からの情報だ。信憑性は持ち合わせていなかったので、鎌をかけてみただけだったのだがな……」

 

「っ……! 貴様ぁっ!!」

 

「……さて、どうする、愚者よ。このまま退くか、このまま死ぬか。自身で選ぶといい」

 

 

腕だけではなく、いつの間にか体全体が動かなくなっていた。

凄まじい力だ。私も解放さえしていないものの、まさかここまで歯が立たないとは……。

しかし、ならばこれで―――

 

 

『グレゴリー神父! 聞こえてます!? 大至急CDCに集まってください!!』

 

 

私の顔横に通信モニタが現れ、そこには八神司令官の顔が映っていた。

なにやら慌てている様子だ。

 

 

「……司令官、今私は暇ではない」

 

「行くといい、逃がしてやる」

 

『その声……? もしかして、いるんですか!? 総帥が!』

 

「ここには私一人だ。誰もいやしない。……急行しよう」

 

 

突然動きが自由になると、彼は口を鋭くし……ニヤリと笑みを浮かべていた。

私はなにも言わずに飛び去り、CDCへ向かっていた。

 

 

 

 

 

†★†★†★†★†★†★†★†★†★†★

 

 

「あーあぁ……なんでこうなったんだろ」

 

 

ミッドチルダにある大型ショッピングモール。俺はそこで、一人考え込んでいた。

崩れ落ちかけた足場や、倒壊寸前の柱。なんとも災害現場に似合いそうな光景だ。

……ってか、事実そうなんだけど。

 

 

「逃げ遅れてる人いませんかー? いたら返事してくださーい」

 

 

俺は自発的に救助活動をしちゃいるが、そういった職業じゃあない。職業は高校生だ。

ただ、家柄……というより、俺の親父がそういうことをしててさ、自然と体が動くだけ。

適当に瓦礫を避けて歩いていると、着地した場所が崩れ落ちた。うへぇ、空中に放り出されちったよ。

慌てず落ち着いて左腕を振り上げ、崩れていない手摺りにワイヤーアンカーを巻き付ける。

―――ビギンッ!

っつあ! いってえ! 

 

 

「そりゃそうだよなぁ……落下してる物体をクッションも無しに止めたら反動がすごいよなぁ……。…………チッ、いい加減魔法でも―――」

 

『いやぁぁぁぁあああ!!』

 

「……あークソッ。待ってろ今行く!!」

 

 

ぶら下がっていたワイヤーアンカーを解除し、落下を続ける瓦礫を蹴って最大速度で最下層へ落ちゆく。

俺がいたのは最上階の展望台。さっきまでぶら下がってたのは20階くらいか? ……なんにせよ、人は助けるさ。

俺が目にしたのは、1階で恐怖のせいか縮こまってしまっている少女。あのままじゃあ瓦礫に潰されて、はいサヨナラだ。ふざけるなよ。俺が今目の前にいるのにそんなことさせるか。

 

 

「ヴェルダンディ、鎖渦巻く二重の瞳(ツインアンカース)だ」

 

 

左腕のワイヤーアンカーで少女を掴み、着地と同時に抱き上げる。まだ小学生くらいの子じゃないか。まったく……どうしてこんな小さいうちから、トラウマを作らなきゃいけないんだよ……。

右腕のワイヤーバンカーを落ちてくる瓦礫に打ち込み、魔力を注ぎ込む。

 

 

「邪魔だ!」

 

 

ゴボッ……!

俺の動きと連動して瓦礫は粉砕し、なんとか……直撃だけは免れた。ま、砂塵は凄いことになってるけど。

それくらいは許してくれよ?

 

 

「大丈夫。もう怖い思いはしなくていい、そろそろ局員が来ると思うから、この中にいてくれな」

 

 

簡易的なバリアを貼り、俺はワイヤーアンカーを使って次の要救助者を探しに行った。

なんだかな。魔法はもう使わないって決めたのに……どうして、使ってんだろ。

 

 

「逃げ遅れた方いませんかー! いたら返事ないし反応くださーい! みつけられませーん」

 

 

さっきまで俺がいた最上階へと戻り、各ブロックを覗いていく。

もういないのかなぁ……まだいるのかなぁ……。あ、屋上だ。見ていこ。

重苦しい重圧な鉄のドアを開き、開放感溢れ…………ない屋上に出てしまった。うっわぁ、瓦礫だらけじゃん。どーすんだよこれ。

航空魔導師が救助活動してくれてるけど、意味ないしなぁ…………ん?

 

 

「…………誰か、いる……?」

 

 

消火活動をしてる魔導師の更に上……雲まで届くんじゃないかというくらい高い場所だ。

誰か……見覚えのある影……?

 

 

「……ヴェルダンディ、我が目は千里の加護(コーネリアス)」

 

 

2つのワイヤーで円を作り、単眼鏡のように並べて覗き見る。

倍率は適当。自動で制御してくれるからだ。さて、あいつは……。

うーん、男か? 髪は真っ白で長いし、なんかやたらと……あいつの周りだけがぼやけて見えるな。なんでだ。

 

 

『…………助、完……! 建物……壊……ので、局員は…………さい!』

 

「ん? ……無線か。しかも管理局の……。なにかあっ―――」

 

 

人はあまりにも予想外の自体に陥った時、非常なまでに冷静になるらしい。

それを俺は実感した。突然足元が崩れたかと思うと、気づけばこの施設全体が崩落を始めていた。あーあ、こりゃ死んだな。うん。

俺の持ってる装備―――もといデバイスは、いわば限定空間でのみの使用を前提・特化させた得意な物だ。つまりなにが言いたいかというと…………俺は、飛べないってことさ。だからこんな風に空へ放り出されれば、あとは重力が仕事をしてはい終了、ってオチだな。

俺の人生波乱だったなぁ。色々やらかしてこうなって、これから人生長いと思ってたのに。

 

 

「……ごめんなぁ……ベル。なんか、俺のせいで巻き込んじゃって」

 

【……いい。わかってて、私はここにいる】

 

「ははっ、そっか。んじゃ……最後に眠ろう」

 

 

終わりを悟った俺は目を閉じ、永遠の眠りにつこうとしていると―――

…………なにか、瞼の向こうで光り輝いている。それになにかに抑えられてるような、空を飛んでるみたいな風の感触もある。

早いな。もう死んだのか?

ゆっくりと目を開けると、そこには信じられない光景が広がってた。

 

 

「きみ、大丈夫? もう避難完了って報告だったけど……」

 

「…………金色の、ツインテール……? え、なんぞこれ。お迎え? 夢の国へのお迎え?」

 

「幻覚でも見てるのかな……?」

 

【……現実。生きてる、私達】

 

「うっは……マジかよ」

 

 

気づけば、俺は金髪ツンテールの美女に抱きかかえられて空を飛んでいた。オウフ……ヤバいぜ。意識した途端に心臓がバクバクしはじめやがった。チキンだなぁ俺。

―――待て。金髪ツインテの美女だと? それって確か、俺の親父の妹じゃ……?

 

 

【…………】

 

「怪我とかない? 名前は?」

 

「怪我は無いっす。名前は……すいません。俺、管理局の世話にはなれないんです」

 

「……もしかして、無許可異次元渡航者(ノーパス)?」

 

「あっはっは…………はぁ。まあそんなとこで」

 

「…………事情を説明してくれれば、許可は下りるはずだよ」

 

「言えませんよ、そんなこと。例えそれが貴方を―――フェイト叔母さんを探すってことでもね。ベル、エアロポート!」

 

【……ん】

 

 

金髪の人の腕から抜け出し、俺のデバイス―――ヴェルダンディ(ベル)が空中に出現させた超小型戦闘機(JCB)にワイヤーアンカーを打ち込み、空中にぶら下がる。これは気流が安定してたり、一定以上の時間がかかるからさっきは使えなかった。

 

 

「おばっ……!? 私はまだ26歳だよ」

 

「俺の親父は永遠に27なんで。それに知ってるはずですよ? あの狼のこと……総帥のこと」

 

「………………まさか、銀狼総帥のことじゃ……」

 

「そのまかさだ。俺は銀狼の―――親父の息子だけど血縁はない。いわゆる拾い子だ。でも俺は恩を感じてるし親子だと思ってる。だから叔母さん。間違いでも?」

 

「ない……けど、叔母さんはやめて。傷つく」

 

「ならハラオウン執務官、もし親父に会いたいのなら……こっちに来てください。俺は案内役を頼まれてきたので」

 

「待って。あの人は罪を犯した。私は……捕まえなきゃならない。それにあの人はもう……」

 

「……それは安心して下さい。今から行くのは表じゃない。裏の場所。公にはならないし、公務でもない。貴方は私用(・・)で、自分の兄に会うだけ……。では、さよなら」

 

 

ワイヤーアンカーの制御を切り替え、セレクターを停止から減速―――ブレーキを掛けながらの降下―――で地上まで一気に降りる。さすがに自由落下の速度で落ちたら死ぬ。

フェイト叔母さんが俺を追ってこようが追ってこまいが関係ない。俺の行動は変わらない。

…………にしても、あのふくよかなおっぱいは柔らかかったなぁ……。

 

 

【…………】

 

「嘘だよ嘘。そう怒らないでよ……」

 

 

ベルが無言の殺気を醸し出していたので、必死になだめる。

……ああ、ベル―――ヴェルダンディ―――というのは、俺が今融合しているユニゾンデバイスのこと。俺が両腕に装着してるワイヤー装備もベルの一部で、頑張ればもう少し増やせるけど使わない。……ってか使えない。

 

 

「来ると思う? あの人」

 

【…………もうk】

 

『待って! 事情を聞かせて!』

 

「……ははっ、来ちゃったか」

 

 

後ろから追いかけてきたフェイト叔母さんを無視し、野次馬のいない通りを選んで駆け抜ける。

えっと、確かHー8ブロックだっけか……あれかな?

待ち合わせと思われるビルの窓にワイヤーアンカーを打ち込み、セレクターを加速に合わせる。同時にワイヤーは高速で巻き取られ、俺は何もすることなく空へと舞い上がり―――頭から窓に突っ込んだ。くっそいてぇ。入る方法考えるの忘れてたわ。

 

 

「俺だ、約束通り連れてきた。親父に会わせてもらおうか」

 

『ご苦労。ではすぐに会わせてやる』

 

 

暗い室内から響く声に違和感を感じていると、俺を囲む用にして武装した兵士が一斉に現れた。

……なんでだ。どうして俺が狙われてる!?

 

 

「どういうことだ!」

 

「君は我々の存在を知りすぎた。それは万死に値することだ」

 

 

兵の隙間から現れた、飄々とした男。

暗くて顔はわからない。だが……てだれなのはわかる。

 

 

「では―――さよならだ」

 

 

男が水平に上げた手を振り下ろした瞬間、当たりは銃声に包まれた。

俺は銃弾を防ぐような術は持ってない。あれか、死の間際だけ冷静になるっていう、あれだな。

ガガガガガガガガガガガガィンッ!!

……なんだ、最後の音は。なんで俺はまだ、音が聞けるんだ? 死んだはずじゃ……。

 

 

「大丈夫? 脅迫されてるって言ってくれれば、もっと早く助けられたのに……」

 

「…………ハラオウン執務官……!? ……クソッ……まさか、俺を助けたんじゃ……!?」

 

「そうだよ。今君は私にとって保護対象なの。だから怪我なんてさせない」

 

「……はっ、ハハッ……マジかよ」

 

【……エイ、また……】

 

「ごめんな……ベル。もう抑えられそうもないわ」

 

 

気づけば、俺は金色のバリアに守られていた。

俺は、この人に守られたんだ。本来戦うべきじゃ無い、女の人に……。

俺は、また守られちまったんだ!!

 

 

「……ハラオウン執務官、下がっていてください。貴方の戦法は室内戦(CQB)向きじゃない。俺がやります」

 

「でも、向こうは実弾兵器を!」

 

「そうですね……当たれば死にます。でもそれは貴方も同じです。誰だって弾が当たれば死ぬ、男も女も関係なく」

 

 

両手を目一杯に広げ、両手首のウィンチからワイヤーをとめどなく吐き出させ続ける。

5メートル……12メートル…………36メートル……

無尽蔵に出てくるワイヤーは俺とフェイと叔母さんを囲むように象っていき、遂にはバリアと同じような半球状になった。

球の中は完全な闇で、光は一切入ってこない。故に、いかなる攻撃も通らない。

俺が使える技の中で最も硬度が高く、最も時間のかかる防御だ。

俺は暗闇の中、今置かれている自分の状況を整理するの我精一杯だった。

 

 

「ハラオウン執務官、俺はこれを解除したと同時に反撃します。だからすこしの間だけ目をつむっていてください」

 

「どうして、私は貴方を守らないといけない」

 

「……それは、できません!」

 

 

言い終えると同時にワイヤーを解放し、両腕を正面に向けて両手のトリガーを交互に引き続けた。

瞬時に抜いたP99からは、9ミリパラベラム弾特有の乾いた音。軽々しくも確かな信頼性が込められた銃声だ。

それが響いたのは、俺達を囲んでいた人数分のみ。

 

 

「……ベル、敵性反応は」

 

【…………残存反応、無し。完全制圧】

 

「ん。…………あー! 死ぬかと思ったぁ……」

 

「っ…………」

 

「……どうしたんすか」

 

「…………今の、総帥と同じ撃ち方だった」

 

「……そりゃそうすよ。俺は親父に銃を教わったんで」

 

 

俺は、あの人に戦い方を―――人を守る術を教えてもらった。

ろくな魔力もなく、ろくにスポーツもできない俺は、あの人から今ある全てを貰った。ベルも、銃も、技術も、技も。俺が自身で作り上げた物なんて無い。それが悔しくて、旅に出ていた。

 

 

「……巻き込んで、すいません。こうなるとは思っていなくて」

 

「いいよ、私の仕事だから」

 

「…………本当に、何を言えば――」

 

『やっと終わったか、テメェら』

 

 

驚いた。

なんの気配も前触れもなく、その声は響いたから。

声のした方―――俺の入ってきた窓に、その人はいた。

俺の師範で、今の家族が……

 

 

「久しぶりだな、フェイト」

 

「……っ!? そんな……本当に……!?」

 

「親父!」

 

「お前も成長したな。……しかし、2人も消えてもらう」

 

 

一瞬で俺の視覚はなにかに封じられ、床に叩き伏せられた。

痛い。痛い、けど……フェイト叔母さんが心配だ、今まで訓練以外ではこんなことされたことがない。

今はたぶん……実戦。俺は、殺されるのか? フェイト叔母さんは……どうなるんだろう。

 

 

「嘘だ……いるわけない! だって……だって! 7年前に、あそこで……私の目の前で!!」

 

「るせェな。今アイツに変わってやっから騒ぐな。…………フェイト、俺は任務に忠を尽くす。しかしそれはお前ら管理局との対峙を意味する。フェイト、この戦から身を引け。エクリプスには関わるな。でなければ……俺は、お前も……はやても、周りにいる局員全てを殺さねばならない」

 

「なんで! 隼人は……お兄ちゃんはなにをしようとしているの!?」

 

「……知る必要はない。またいつか、会おう」

 

 

一発の小さな銃声が聞こえると、俺の意識は消えた。

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