謎だらけの妹と送る学園生活   作:二重世界

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第1話

「起きて、シュウくん! 早くしないと朝食が冷めるよ!」

 

 ある日の朝、風上秀二こと俺はベッドで気持ちよく寝ているところを何者かに体を揺すられて起こされていた。

 ……誰だ? 昨日は深夜アニメをリアルタイムで見ていたからほとんど寝ていないのに。

 

「……何だ、綾音か……」

 

「『何だ、綾音か』じゃないよ! 早く起きて!」

 

 え~、面倒臭い。

 今、何時だ? 俺は時計を見る。

 

「……まだ七時じゃないか。休日ぐらいゆっくり寝させてくれ」

 

「いや、今日は月曜日だから学校があるよ!」

 

「じゃあ、創立記念日?」

 

「それは先週!」

 

 そうだっけ?

 何で今日が月曜日なんだよ。もう月曜日も休日ってことにしろ。

 

「じゃあ、おはようのキスをしてくれ。それで目覚めるから」

 

「え!?……そんな、キスだなんて」

 

 綾音が急に口ごもる。

 どうしたんだ? 不審に思って体を起こして綾音の方を見る。

 すると顔を真っ赤にしながら体をモジモジさせていた。本当にどうした?病気なのか?

 にしても体をモジモジさせているせいで、揺れている綾音の大きなおっぱいが気になる。

 昔は小さかったのに、本当に大きくなった。お兄さんは嬉しいぞ。……俺の方が生まれたのは後だけど。

 ただ、そのおかげで目が覚めてしまった。

 俺はベッドから出る。

 

「さっきのは嘘だから気にするな。まぁ、綾音がしたいならしても良いけどな」

 

 俺は言いながらドアに向かって歩く。

 

「もう! 朝から変な嘘を言わないでよ!」

 

 綾音が文句を言いながらついてくる。

 朝じゃなかったら良いのだろうか?

 

 

 

 

 

 

 起きると俺は自分の部屋の二階から一階のリビングに降りてきた。

 机にはすでに綾音が作った朝食が置かれているので、俺は椅子に座って食べ始める。

 メニューは白ご飯に納豆と味噌汁、焼き魚と朝食の定番と言ったところだな。

 

「ちょっと私が作った朝食なのに先に一人で食べないでよね」

 

 綾音が文句を言いながら俺の真正面の椅子に座って一緒に朝食を食べ始める。

 

 綾音のフルネームは篠宮綾音。俺の両親は何をしているのかは知らないが仕事が忙しくほとんど家に帰ってこないので、昔から俺は隣の綾音の家にお世話になることが多かった。

 その関係で綾音は今でも俺の世話を焼いてくれている。綾音は物凄く世話焼きなので毎朝、隣の俺の家に来て朝食を作って起こしてくれるほどだ。ほとんどお母さんだな。

 

 ただ俺は一方的に助けられる関係というのが嫌なので勉強を教えたりしている。綾音は優等生みたいな性格をしているが意外と勉強が出来ないのだ。

 クラスメイトには「幼馴染みに毎朝起こしてもらって朝食まで作ってもらっているとは、どこのギャルゲーの主人公だ!?」とツッコまれたことがあるが、そんなことはないだろう。数は少ないだろうが幼馴染みに世話になっている奴だっているはずだ。

 

「そう言えば今日だったね、転校生が来るのって。どんな人が来ると思う?」

 

 綾音が不意にそんなことを言った。

 ああ、そんな話もあったな。まだ二年に上がったばかりの時期に珍しい話だ。

 妙にクラスメイトが騒いでいた記憶がある。小学生じゃないんだから転校生程度で騒ぐなよ。

 まぁ、男か女かどっちか予想する賭けには参加しているけど。負けた方がジュースを奢ることになっている。

 ちなみに俺は女の方に賭けた。

 

「そんなのは会ってみないと分からないだろ」

 

「シュウくんは相変わらず面白みがないね。そんなじゃあ友達が出来ないよ」

 

 余計なお世話だ。て言うか、俺にも友達ぐらい普通にいる。

 だが、ここまで言われて何も面白いことが言えなかったら男がすたる。

 俺は納豆をかき混ぜながら綾音が満足するような答えを考える。

 ちなみにシュウくんとは綾音の考えた俺のあだ名だ。俺の名前が秀二だからシュウくん。安直なネーミングセンスだ。

 

「あれだ。俺の生き別れの妹」

 

「ハハ。何それ。シュウくんに妹がいるなんて聞いたことがないよ」

 

 俺が必死に考えたネタが笑われてしまった。何か悔しい。

 

「いやいや、分からないぞ。俺に生き別れの妹がいる可能性はゼロじゃない」

 

「だったら転校生が本当にシュウくんの生き別れの妹だったら何でも言うことを聞いてあげるよ」

 

「ほぉ、何でもねぇ……」

 

 俺はニヤリと笑いながら綾音の大きなおっぱいを見る。すると俺の視線に気付いた綾音が即座に手で胸を隠しながら顔を赤くする。

 

「エ、エッチなのは駄目だからね……」

 

「いやいや、先に何でもするって言ったのは綾音だろ? そんな後からルールを追加するのは認めない」

 

「うぅ……。シュウくんが参考書のカバーで隠しているような本に書かれているようなことをする気なんだね」

 

 綾音が若干、涙目になりながらとんでもない爆弾発言した。

 

「はぁ? 何でそのことを知ってんだよ!?」

 

 俺の言葉に綾音が「しまった!」という表情をする。

 え? もしかして結構前から知っていて黙ってくれていたの?

 

「……前に葵ちゃんが男の子はそういうところにエッチな本を隠したりするって言うから確認してみたの……」

 

 あのエロ女、余計なことを言いやがって。

 でも、この調子ならベッドの下や机の二重底に隠しているヤツも見付かるかもしれないな。早く対処策を考えないと。

 

「……後、ベッドの下や机の二重底に隠しているヤツも見付けているよ」

 

 クソ! もう詰んでるじゃないか! そんな報告はいらねぇよ!

 ここからの逆転方法を考えていると綾音は更に俺を追い詰める発言をした。

 

「いや、大丈夫だから! 安心して! 年頃の男の子だしそういうのに興味をもつのは当たり前だから!私はこんなことでシュウくんのことを嫌いになったりしないから!」

 

 気遣いが逆にツラい。むしろ怒って本を捨てたりしてくれた方が気が楽だ。いや、それはそれで困るけど。

 朝からなんて展開だ。もう学校どころじゃねぇよ。

 

 そして重い空気のまま朝食を食べ終わった。

 

「じゃあ、俺は制服に着替えてくるから」

 

「うん、分かった。私はその間にお皿を洗っておくね」

 

 食事が終わると、ある程度落ち着いた調子で話す。次の動作に移ったので気持ちも切り替えたのだ。

 俺も綾音も基本的に能天気な性格をしているので、いつまでも引きずったりしない。綾音がこういう性格だから、幼い頃からずっと付き合っていられるのだろう。

 

 俺は二階の自室に戻ると早速、制服に着替え始める。

 ふと机の上にあるノートを見てとんでもない事実に気付いた。

 しまった! 数学の宿題をやってなかった!

 昨日、夜にやっている途中でアニメが始まったから後回しにしていたらそのまま忘れてしまっていた。

 どうしよう……。数学の吉田先生は宿題を忘れると怖いんだよな。

 ……いや、大丈夫だ。数学の授業があるのは午後。午前中の休み時間に終わらせれば問題ない。

 

 俺は制服に着替え終わるとノートを鞄に入れて一階に降りる。すると皿洗いを終えて準備万端の綾音がリビングから出てきた。

 

「あ、シュウくん。着替え終わったの? じゃあ、行こっか」

 

「ああ、そうだな」

 

 まだいつもより少し早いけど良いだろ。家にいてもすることないし。

 俺達は玄関に向かう。

 

 靴を履いたところで急に『ピーンポーン!』とインターホンが鳴った。

 こんな朝っぱらから誰だよ。新聞の勧誘か?

 

「どちら様ですか?」

 

 俺が玄関を開けると、そこには俺達と同じ白崎高校の制服を着た綺麗な黒髪の美少女がいた。おっぱいは残念だが、スラッと伸びた良い足をしている。

 

「初めまして、お兄ちゃん。貴方の妹の風上奈央です」

 

 ……は? え~と、どういうこと?




一話終了です。
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