謎だらけの妹と送る学園生活   作:二重世界

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第11話

「やっぱり女子が走っている姿は良いよな……」

 

 一時間目の体育の時間、俺の隣に立っている久世が走っている女子の揺れている胸を観察しながらそう漏らした。

 その視線は分かりやすいぐらい胸の大きな女子に集中している。誰がどう見ても立派な変態だ。

 

 白崎高校の体育は基本的に男女別だが身体能力測定の時だけ何故か合同でやることになっている。別にバラバラでも良いんじゃないか、とは思うがそれほど気にすることでもない。

 今日の種目は百メートル走。長距離走とかと比べると遥かに楽なので俺は好きだ。二人ずつで走るので休憩時間も多いし。

 というか走る順番は五十音順で俺の出番はすでに終わっているので、もうすることはない。

 ちなみに俺のタイムは流したので大体、クラスの平均ぐらいだ。本気を出せば陸上部と同じか、それ以上のタイムで走れる。

 

 それにしても何でこいつは俺にあれだけのことをされて一緒に行動しているのだろうか? 俺なら絶対に近付かないぞ。

 ……まさかそういう趣味でもあるのか? そう考えると気持ち悪いな。

 

「……何で今、俺から距離を取ったんだ?」

 

 久世に言われて初めて気付いたが無意識のうちに後ずさっていたようだ。

 

「お前が気持ち悪い変態発言をするからだ」

 

「何だと!? じゃあ、お前はあの揺れるおっぱいを見ても興奮しないのか!?」

 

 久世が今走っている女子を指差しながら言う。

 確かに女子が二人走っているけど両方貧乳だから全く揺れていないな。可哀想なことだ。綾音なんて少し動いただけでもエロい感じに揺れるのに。

 

「ああ、しないな。俺はズボンから出ている健康的な太股とヒップラインの方が興味深い」

 

「お前の方が変態じゃねぇか!?」

 

 失礼なことを言う奴だな。

 女性の下半身が好きなぐらい普通だろ。……いや、別に女性のおっぱいに興味がないわけではないけどな。

 でも、綾音のおっぱいをいつも見ているからクラスメイトのおっぱいでは満足できないんだよな……。

 この理屈だと奈央がいるから、そのうち下半身でも満足できなくなるのだろうか?

 

「……そういえば奈央ちゃんがいなイテッ!」

 

 思い出したように久世が周りを見渡したところで、俺は久世の足を思いっきり踏む。

 確かに奈央は体育に参加していないようだな。朝、確認したから体操服を忘れたとかじゃないだろうし。どういうことだ?

 

「い、いきなり何しやがる……」

 

「お前が俺の可愛い妹を馴れ馴れしく名前で呼ぶからだ」

 

「……別に名前で呼ぶぐらい良いじゃねぇか?」

 

 久世がうずくまって俺が踏んだ足を押さえながら睨み付けてくる。

 いや、初対面の女性をいきなり名前で呼ぶのは馴れ馴れしすぎるだろ。しかも奈央はお前のことをちゃんと認識していいし。

 

「じゃあ、何て呼べば良いんだよ……? 名字だったらお前と呼び方が被るぞ」

 

 確かにそれもそうだな。呼び方が同じというのは分かりづらい。とはいえ、こいつに名前で呼ばれるは嫌だし……。

 どうしたものか。……う~ん。

 ……よし、これしかないな。

 

「俺のことは『風上さま』で奈央のことは『風上さん』と呼べ」

 

「何でお前のことを様付けしないといけないんだよ!?」

 

「俺の方が偉いからだ」

 

 勉強、運動、容姿、その他もろもろ俺が負けている要素が見付からない。変態度は負けているけど、そんなもので勝つ方が嫌だ。

 

「いや、エロゲーのプレイ時間は俺の方が上だ!」

 

「……そんなことで威張るなよ」

 

 俺は呆れたようにツッコむ。

 ていうか、俺は前にプレイしていたところを綾音に見付かって怒られて以来、プレイしてないんだよ。勝てるわけないだろ。

 

「他にはないのか?」

 

「……他? う~ん……」

 

 腕を組んで本格的に悩み始める久世。

 うん、この馬鹿は無視して奈央のことを探しにいくか。体育に参加していない理由が気になるし。

 

 少し歩いたところで木陰で休憩している奈央を見付けたので話かける。

 

「サボりか?」

 

「そうじゃないよ、お兄ちゃん。ちゃんと先生から許可をもらって見学してるの」

 

「体調不良か? そうは見えないが」

 

 顔色は悪くないし、むしろ表情だけを見るなら調子は良さそうだ。まぁ昨日、会ったばかりだからよく分からないけど。

 

「お兄ちゃんには言ってなかったけ? 私、体が弱いんだよ?」

 

「そんな話は聞いていないが」

 

 言いながら俺は奈央の隣に座る。

 病気か何かか? そういや昨日の荷物を運ぶ時にも思ったが奈央は力が異常に弱い。

 それと関係しているのか? ここら辺に俺が昨日まで奈央の存在を知らなかった理由がある気がする。

 

「病気ってほどじゃないけど昔から体が弱くてね。日常生活には影響が出ないけど、激しい運動は無理なんだ」

 

 奈央が軽く笑みを浮かべる。

 特に悩んでいる様子はなく、さっきまでと雰囲気は変わらない。でも、だからこそ違和感みたいなものを感じる。何でかは分からないけど。

 

「ふぅーん」

 

「……ふぅーん、って。お兄ちゃん、可愛い妹のことに興味ないの?」

 

 ……そんなジト目で見られてもどうしたらいいか分からないんだが。

 必要以上に聞いたら困るだろう、と思って軽く流したのに。

 

「興味はあるぞ。ズボンから出ている健康的な太股とか」

 

「そこには興味持たなくていいよ!」

 

 奈央が手で足を隠すようにしながらツッコんできた。

 あ、少し前屈みになったおかげで制服の間からブラが見える。別につける必要はないと思うけど、つけていたのか。

 

「……今、何か失礼なことを考えなかった?」

 

「何も考えていないが?」

 

 真顔で誤魔化す。

 胸の話をすると奈央は不機嫌になるからな。

 

「……ふぅーん」

 

 さっきの仕返しのつもりか?

 でも、そんなことで俺は怯んだりしないぞ。

 その後、授業が終わるまで奈央と雑談して過ごした。




11話終了です。

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