マブラヴ~熱き漢達~   作:OFA様《疲労》

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mission2.翼の戦乙女

現地に、精鋭部隊<ウィングダイバー>が向かっています。
ウィングダイバー部隊が到着すれば、戦いは一方的なモノとなるでしょう、今は耐えてください。
各員の健闘を祈ります


mission2,空の戦乙女

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クソッ!!弾切れだ!」

 

「此方もです!!」

 

 

数千というBETAを、数十人の隊員達はフォーマンセルという少数に分けながらも必死に対応していた。

そしてこの第一陣のBETAを退けても、この後ろには再び現れた数千のBETA達が押し寄せている。

 

明らかな劣勢。

しかし、EDFの隊員達は弾の切れた武器を素早く地面に投げ捨てると、背中に担ぐ二つ目の武器へと手を伸ばし再びトリガーを引く。

隊員達は互いに背中を向けあいながら、小隊長は各々の隊員のカバーをしつつも迅速に指示を出し、自身も弾をばら撒いている。

 

「お前等、デカブツの陰から飛びかかって来る小物に気を付けろッ!!」

 

「「「「了解ッ!!」」」」

 

当初は五十はいた隊員達も気づけば、既に二十人程に減っていた。

戦場を見渡せば、EDF隊員達のものであろう腕や、脚、ヘルメットが血塗られた大地に無造作に転がっている。

それを踏みつぶしながらも進軍するBETAの群れを見て、EDF隊員達は悔しさに唇を噛んだ。

出撃前までは軽口を言い合っていた仲間達は既に半分以上息絶え、生き残る者達も既に弾は尽きかけ、BETAは益々勢いを増したように感じる。

 

「ぐッ!た、隊長これを受け取ってください!!ご武運を——」

 

「ッ!!確かに、受け取ったぞッッ!!」

 

今もまた、小隊長の目の前で紅い体をした怪物に部下の隊員は下半身を齧り付かれ、自らの最期を悟り、弾薬とリロードの完了したアサルトライフルを隊長へと投げつけた。

小隊長は足元にガシャンと落ちた血まみれのAF型アサルトライフルを手に取り、紅い怪物に呑み込まれる部下を見て一人唇を強く噛んだ。

 

「この化け物め!喰らえッ!!!」

 

残されたアサルトライフルを、巨大な口でもって部下を咀嚼する紅い怪物へと数発打ち込み息の根を止めると、小隊長は再び戦場を見渡した。

見渡す、と言ってもほぼ全角度にBETAが入り込んでいる為見えないのも同義なのだが、それでも隊員達の声は聞こえる。

今なお諦めていない部下の声を聞き、静かに小隊長は笑った。

 

 

「隊長ッ!!ご無事でしたか」

 

「馬鹿者、戦場の真っただ中に居るというのに無事もクソも無いッ!!」

 

小隊長の口調は一見鋭く感じるが、口元にはわずかに笑みが浮かんでいて決して本気で怒っている訳では無い事は直ぐに分かる。

 

「お前以外、誰が残っているか分かるかッ?」

 

「生憎と、俺、隊長、あとは数人残っていればいい方なんじゃないですかねっ!」

 

確かに、気づけば小隊長の方向へ向かってくるBETAの数が先ほどの倍ほどに増えている。

最早視界は紅、白、岩の様なもので一杯だ。

唯一、弾丸以外で聞こえてくるのは背中を預ける部下の軽い口調のみ。腕は銃を撃ちすぎて最早焦点は合わないし、歯を噛みしめすぎて奥歯は割れて口元からも血を垂れ流している。

 

「隊長、良い知らせが、ありますぜ!まだあの野郎、ストームが生きてやがる!」

 

「流石だな奴は!!成程、通りでBETAの量がこれほどで済んでるわけだな!!」

 

ストームとは、EDFのレンジャー部隊に所属している古参、年齢は若いのだがその戦歴は凄まじいものがある隊員の二つ名である。

過去のフォーリナーとの戦いでは、ストームは単身で巨大生物の巣に入り込み、無事に帰還するというある種の伝説を残した人物なのだ。

 

そして現在の戦いにもこのストームは配属されており、数千もいるBETAのうち、小隊長達の方へ向かってきているBETAの数は数百程度。

 

残りの数千匹は全てストームが相手取っているという事になる。

そして今なお、耳を澄ませばBETAの群れの奥の奥からストームのモノと思われる銃弾の音や、BETA達の悲鳴のようなものが断続的に聞こえてくるのだ。

 

「実の所、マザーシップを落とした伝説のストーム1は、そこで暴れてるストームの事なんじゃないかと、おっと!考えてるんですがね」

 

 

「そんな事はどうだっていい!頼りになる味方がいるという事実だけで幾分か救われ——ッ!!」

 

 

「た、隊長ッ!!!」

 

 

 

——すまない……背中を護れなかったな

 

そしてストーム、ウィングダイバーが来るまでの間だ。耐えろよ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

**** **** **** **** **** **** **** ****

 

 

 

戦場の様子をモニターで見ていた伊隅ヴァルキリーズは、その余りの悲惨な光景に思わず目を背けた。

善戦していたEDFの歩兵隊員達は、少数でありながらも各々が奮戦しBETAを次々と屠っていったのだが、如何せん弾も数も足りず、後半では数はいよいよ一桁となっている。

 

そして、今しがた小隊長と思われし初老の男性が突撃級(デストロイヤー)に跳ねられ、遂に立ち上がれずに群がる戦車級の下に消えた。

小隊長と共に戦っていた隊員も、護るモノのいない背部を狙われ、勇猛に散っていった所だ。

 

「ウィングダイバーとやらは一体何をしているんだ?」

 

伊隅はヴァルキリーズの心の内を代弁するようにして呟いた。

こんなにも仲間が死んでいるというのに、一向に増援に現れず、この有様だ。

恐らくレンジャー部隊は、増援が来るまでの辛抱だと必死に戦っていたに違いない、否絶対にそう思っていただろう。

そして気が付けば——

 

「全滅か、笑えない」

 

「いいえ、よく御覧なさい。まだ一人残っているわよ?」

 

確かに、生き残ってはいる。

しかし、もはや風前の灯であろう。後は一人孤独と共に死を待つのみだ。

伊隅には分からない。何故あの隊員は一人になっても戦い続けるのか、そして夕呼は何故笑っていられるのか。

横浜の魔女、という渾名は伊達じゃないのかもしれない。

 

「彼、本当に人間?」

 

不意に夕呼は、急に神妙な顔になったかと思えば呟くようにそう言った。

確かに、この数のBETAを相手にして生き残っている時点で、化け物であることに違いは無い。

 

いまだ戦いを続けるストームという男を見ていると、腰のポーチから何故か持っていた無線機を取り出すと、何処かに連絡を取り始めた。

片手でアサルトライフルを撃ち、もう片方の手で無線機を抑える……この状況でよくそんな事が出来るものだ。

 

prrrr!! prrrr!!

 

 

どうやら無線の先はこのモニター室らしい。

いつの間にか現れたEDF総司令官が無線を取り、答えた。

 

「ストーム……いや、レンジャー1どうした?撤退は許可出来ないぞ」

 

この男ッ!!

伊隅は腸が煮えくり返る思いであった。

戦場で数千のBETAを相手に一人で戦う戦士に向かって、その物言い。

確かに掛ける言葉は見つからないが、死にゆく戦士に少しは労いの言葉を掛けてやってもいいのではないのか?少なくとも、撤退は許可できない等と言う発言は伊隅には到底出来ない。

しかし、総司令官の言葉にストームはこう返答したのだ。

 

『了解、食い止める』

 

それだけ言うと無線を切り、ストームは今しがた弾の切れたアサルトライフルを地面に投げ捨てると、背中から大型のショットガンを取り出し再び戦闘を開始した。

360°全てを敵に囲まれているというのに、一切の無駄のない動きでストームは立ち回る。

 

しかし、突撃級に跳ね飛ばされてしまう。

が、跳ね飛ばされた勢いをそのままに大きく跳んだかと思えば、BETA達を飛び越えた。

着地し横浜基地の方向へ背を向けると、再びストームへ進軍するBETAの群れを正面に置く形にして体制を直す。

弾を撃ちきったショットガンを力いっぱい地面に叩きつけ、まるで仲間達への弔いのように垂直に地へと突き刺した。

 

 

「まだ、彼は戦う気なのですか……?」

 

呟くように洩らした速瀬水月は拳を血が滲む程に握りしめる。

精鋭だと呼ばれる伊隅ヴァルキリーズは、果たしてこの(ストーム)のように戦えるのだろうか?

 

「あら、漸く……って、この兵器は何!?コンパクトなのに馬鹿みたいな火力じゃない!?」

 

 

戦場の変化に、夕呼は声を荒げたが水月には聞こえなかった——。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

**** **** **** **** **** **** **** ****

 

 

「レンジャー無事か!?」

 

「いや、遅かったようだ」

 

BETAの群れが見える距離にまで近づいたウィングダイバーが見たのは、紅く染まった大地。

異形の一部や、見慣れた人類の腕、一部が欠けたヘルメット、血に濡れたAF型アサルトライフル。

 

「この死を無駄にはしない——ウィングダイバー全隊、奴等を狩り尽くせ!!」

 

『『『了解!!』』』

 

仲間たちは勇敢に戦ったのだろう。

僅か数十人の歩兵で、数千のBETAを足止めしていたのだ。

巨大生物との戦いの時でも、レンジャー部隊は常に前線に立ち、時に敵を蹴散らし、時にリバーサでサポートをしてくれた。

EDFで最も勇敢な部隊である事は間違いない。

 

 

「イズナー撃て——いや待て!!まだ誰か戦っている」

 

「ストームッ!?」

 

ウィングダイバーチームの隊長が見たものは、BETAに囲まれながらも奮戦する一人のレンジャー隊員。

最早、ヘルメットは意味を成さない程にボロボロで、額からは多量の血が流れ出ている様だ。それに左腕は歪に曲がり、腹部には何かの破片が突き刺さっている。

そんな状態であるのに、フラフラとしながらもレンジャーチームのエース、ストームはBETAを押し返す勢いで戦っているのだ。

 

「フォーマンセルを組み、ストームを救出しろっ!!残った部隊はエナジーに気を配りつつ撃ちまくれ!!」

 

「「「了解!!!」」」

 

 

ストームは既にぼやける意識の中、周りのBETAが見慣れた光線で(ただ)れていく

様を見た。

如何やら、ウィングダイバーチームが来たようだとストームは悟る。

恐らく、この光線は『レイピアGスラスト2』と『4WAYランス』だ。

瞬く間にBETAの群れは消えていき、遠くからは爆発音も断続的に聞こえる。

不意に、ストームは体の力がフッと消え地面に倒れ伏す——直前に柔らかい何かに抱き留められた。

 

 

「ストーム……全く、無茶をするなお前は」

 

 

優しくもキレのある美しい声……ウィングダイバーチームの隊長、か。

 

 

そこでストームの意識は途切れた――。

 

 




急ピッチで書きすぎた……。

文章について何かあれば、お願いいたします。
こうすれば読み易いよ、等
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