CINDERELLA GIRLS×GRP TOKYO Highway XTREME RACER's M@STER 作:アマネモ
「美波、みなみ~?」
「えっ、あ、はい?」
後ろから声を掛けられている事に、美波は気付く事が出来なかった。
「どしたの~らしくないじゃん?」
「な、何でもないよ。
ちょっとぼーっとしていただけだから」
「ふーん・・・だといいんだけど」
「大丈夫よ、大丈夫だから・・・」
美波の学友は校舎の出入り口の方へ足を向けた。美波とは別の進路だった。
「じゃあ私は授業ここまでだからね」
「うん、じゃあまた明日ね」
「美波も疲れているんだったら授業抜けても良いんだからね~」
「だから、大丈夫だってばー」
@
「~そして・・・~11年に・・・~ヘンリー・T・~・・・」
「(なんか今日の新田ちゃんさ、なんかアンニュイくねぇか?)」
「(なんだよアンニュイくって・・・でもなんか違うな・・・)」
「(何時もよりオトナって感じだよな・・・ヤバイぜ・・・?)」
講義の中身が頭に入ってこないのは、その姿に魅せられる男子達だけではなかった。
「~その・・・~38年・・・」
(はぁ・・・)
同じ教室で受講中の、男子連中の視線を黒板から奪い去っていた美波も、この講義が頭に入って行く感じがしていなかった。だが他と違うのは、彼女は初めからこの授業の内容が一通り頭の中に入っている上で”アンニュイく”しているのだ。
(どうしよう・・・退屈で仕方がないなんて・・・何時以来・・・?)
「・・・~が・・・~に・・・」
(思い出す・・・あの日の走りを・・・。
あれ以来、欠かさず首都高へ行く様になってしまった・・・けれど)
キーン
コーン
カーン
コーン
「えー、では本日の講義は~ここまで~」
(あの人達とは会えていない。
それに・・・)
講義が終わっても、美波は少しの間、物思いに耽っていた。
教室はたった今、今日の使用日程を終えた為しばらくは誰も来ない。
彼女が参加しているラクロスのサークルも、今日は活動日では無かった。
(私は・・・あれを楽しんで良いのだろうか・・・)
@
教室を去り、帰宅しようと校舎を出た美波の耳に入ってきたのはエンジンの音だった。
(この音は・・・リーダーさんのクルマね)
美波の通う大学には”首都高サークル”なるものが存在していた。敷地内にあるガレージでマシンを弄り、首都高ではチーム「GALAXY RACERS」名義で活動している。
ある程度のメンバーが在籍し、学校側から活動費が出ている正式なサークルである。因みにだがサークルとしての歴史は意外に古く、設立はまだ首都高が公道として利用されていた時まで遡る。
(・・・ちょっと寄っちゃおうかな)
美波はこのサークルには参加していないが、時々顔を出して居た事もありサークル内では知られた存在だった。首都高を走る”速い”SA22C乗りとして。
「やぁ美波ちゃん!何かあったかな?」
「あ、言う程の用事はありませんよ」
「あそう・・・。
まぁ顔見れただけ良いかな!」
美波の前に現れたのはサークルのリーダー、「堅実な4代目」波島貞治が駆るZ31ZRだった。V6モデルが有名となった今では珍しささえある、Z31の2L直列6気筒ターボエンジンモデルだ。
「―――少し、音がバラついています?」
「・・・見事、流石美波ちゃんだヨ。
この間オーバーレブさせちゃってね、それ以来なんだ」
このリーダー、通り名こそ「堅実な4代目」だが、意外とそこまで堅実では無いことをチームのメンバーと美波は知っていた。
「・・・そう言えば!
美波ちゃんって、ここ2週間でAW11、ZZT231、HCR32の3台とバトルしていたりする?」
「えぇっ!?」
思い出した様に、波島は美波に問い掛けた。
その勢いに美波は一瞬驚いたものの、すぐに”あのバトル”が脳内に蘇った。確かにあの3台は、リーダーの言う車種と合致する。そしてこの2種間で彼女はそれしかバトルをしていない。
「えっと・・・していますね、その3台と。
それが、どうかしたんですか?」
「やっぱり美波ちゃんだったのか!
いやね、後輩がこんな写真送ってきたんだ」
その写真に写っていたのは、紛れもなくこの間のバトルでの1シーンだった。美波のSA22Cだけピントがずれており判別が難しいが、他の3台はしっかりと収められていた。
「間違いないですね、これが私です」
「いやー、そうかー、そうなんだなー・・・。
やっぱり美波ちゃん”持っている人”だと思っていたけど・・・」
「あの・・・話が見えてきませんが・・・。
この間私と相手した人達が何かあったんですか?」
波島は携帯端末を弄り、何かを探しつつ訊いた。
「・・・「トライアドプリムス」って、知っているかな?」
「たしか、アイドルユニット、でしたっけ?」
「そう」
「この間までアニメをやっていた・・・」
「そうそう」
「・・・もしかして?」
「この3台に乗っていた人達こそ、トライアドプリムスの3人なんだよ!」
携帯端末に映されていたのは、PAに停めたクルマの前で談笑しているあの3人の姿だった。
@
「・・・む!?」
時をほぼ同じくして、346プロダクション第13部署事務所兼黄間邸のリビングでくつろいでいた(本当はレッスンをしているハズの)一ノ瀬志希は、その異常な嗅覚で何か新しいモノが近付いて来た事を感じ取り仰向けの姿勢で飛び上がったが、近くにいた宮本フレデリカは眉ひとつ動かさず受け流した。
「もしかして来たかのかナ?」
「CFP(クローバーフォースペトロリアム)なんてウチでは使っていないからね~しかも新品」
「志希ちゃんのおかげでオイル交換しなくてよくなったからね~」
「してよ」
「オ~フレちゃんでも大発見の距離まで来ましたぞ~」
「キターーーー」
事務所兼邸宅の窓越しに二人が見たのは、メタリックグレーの低く構えたマシンだった。
「たっだいまー!」
「おかえりミヨちゃぁん!」
「んんんん~~~嗅ぎがいのあるフレグランス~新品のCFPと私謹製のハイブリッドにゃ~」
グレーのクルマがガレージに入っていくタイミングで、美世が帰還して二人に逢った。
「シューコちゃんは下だね!」
「急げ急げーハリーハリーハリー!」
「ゆっくり行っても周子ちゃんは逃げないよー」
階段を駆け下り、ガレージ前の喫茶コーナーに着くとそこには周子と先程のマシン、メタリックグレーとダークグレーによるツートンのZ31が横付けされていた。
「お、来たん~?」
丁度ポットでコーヒーを淹れていた周子が3人の到来に気が付き、近くにあったカップを3つ取り出してコーヒーを注いだ。
「さぁ座っちゃってよ、ほれ、ブラック」
「気前イイねシューコちゃん」
「何時もと違う!?」
「大して変わらんよ~?
まぁコイツを遂に私のモノに出来たってのはあるかもだけど~」
周子のZ31は、V型6気筒エンジンを搭載する方のモデルであるZXだった。
「早速今夜出ちゃうからね!
皆は付いて来るん?」
「私はトナリだね。まだ周子ちゃん危なっかしいからサ」
「そっちは?」
「えびだも~ん!(Evidemment!、フランス語で”当たり前だよ”)」
「にゃ~~~~~~」
フレデリカと志希はヤル気満々の返事。美世は周子の助手席をリクエスト。
残るは今この場に居ない奏と黄間Pだが、今夜は仕事が入っていてとても参加出来ないだろう。
「奏にはもうちょいウマくなってから見せたいん・・・。
決まり!
今夜はこのメンバーで繰り出すよ!」
Main EPISODE story movie
「ストーリームービー」が記録されました
NEXT…
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「ストーリーモード」第1章最後のメインエピソード
「Do you know venus ?」
美波の通う大学には首都高チーム「GALAXY RACERS」が存在しており、部長の「堅実な4代目」他所属メンバーは全員が今作品からの登場である。
かつてのメンバーは一部が「新環状の大御所」が立ち上げた「A.S.F」に移っている。
周子がついにクルマを購入する事となった。車種はZ31ZX。
11/07:挿絵追加しました