デート・ア・ライブ~ご注文は精霊ですか?~   作:ハセ

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第二羽 違う世界

チノが入ってきた三人のお客を見てまず感じたのは、なんというか、驚きだった。

というのも少年のほうはいたって普通だったのだが、ほか二人の女性が現実離れした美しさを持っていたからだ。

まず黒髪のほうの少女、モデルをやっているといわれても違和感がない体系だ。

街を歩いていたら間違いなくみんなが振り返ることだろう。

そしてもう一人の青髪の少女、とてもきれいな瞳と幼さゆえの愛くるしさを持ち合わせている。

そして何より……。

 

(ウサギのパペット……!可愛い!)

 

そう、その左手につけられたウサギのパペットも彼女の可愛さを引き立てていた。

ウサギ好きなチノにとってはそれが気になって仕方がなかった。

ちらりとチノがリゼのほうを見ると同じように驚いていた。

しかしそんな中ココアは……。

 

「よし!早速名誉挽回のチャンスだよ!」

 

……そんなに驚いていないようだ。

名誉を挽回することで頭がいっぱいらしい。

そんなことを考えていると。

 

「すいませーん、注文いいですかー?」

 

「あっ!はい、ただいま!」

 

席に座ってメニューを考えていた三人のうちの青髪の少年が声をかけてきた。

その言葉で我に返ったリゼが急いで注文を取りに向かおうとする。

しかしそこで。

 

「リゼちゃん、ここは私に行かせてくれないかな?」

 

「……大丈夫なのか?」

 

リゼが半眼で聞くがココアは自信満々に答える。

 

「大丈夫だよ!というか私、来た初日に注文取れてるよ!?」

 

「あ~それもそうだな……じゃあ、任せた」

 

「そうこなくっちゃ!」

 

そう言ってココアは三人のお客のもとへと小走りで走って行った。

そして笑顔で注文を取る。

 

「お待たせいたしました!ご注文は何になさいますか?」

 

それに青髪の少年が応える。

 

「えーと、オリジナルブレンドを三つで、そのうち二つにミルクと砂糖をお願いします。パンの盛り合わせを」

 

「はい、ありがとうございます!ご注文は以上ですか?」

 

「はい……あ、あと少し聞きたいことがあるんですが」

 

「え、あ、はい。何でしょうか?」

 

注文をしっかり取れて内心ガッツポーズをしていたココアは少し困惑してしまう。

ぎこちないながらもココアが言うと少年はこんなことを聞いてきた。

 

「……天宮市、というところを知っていますか」

 

「テングウシ?」

 

「はい。天に宮って書いて天宮市なんですけど……」

 

その質問にココアはうーん、と考えるが自分が知っている限りではそんな名前のところは聞いたことがなかった。

 

「ねえ、チノちゃん、リゼちゃん。二人は天宮市って知ってる?」

 

ココアの質問に二人は顔を見合わせた後、同時に首を振ってきた。

どうやら二人も知らないようだ。

その反応を見て少年は肩を落とす。

 

「そうですか……すいません、わざわざ呼びとめたりして」

 

「いえ、大丈夫です。では、注文の品が来るまでしばらくお待ちくださいっ」

 

そう言ってココアはチノたちのもとに戻る。

 

「……うーん、注文はとれたけど質問に答えられなかったのは心残りだね」

 

ココアのそんな言葉にリゼは苦笑する。

 

「誰もわからなかったんだし、仕方ないさ。よし、早めに作って持っていこう」

 

ココアがそうだね、と言って準備を始める。

しかしチノは。

 

「……もしかしたら道に迷っているのかもしれないですし、困っているんだったら力になってあげたいです。私、もう少し詳しく 話を聞いてきます。準備、お二人にお願いしてもいいですか?」

 

チノの言葉に二人は顔を見合わせた後、チノに向かって笑顔で言う。

 

「ああ、行って来いよ」

 

「まっかせといてよ!」

 

そしてチノは二人にありがとうございます、と言ってから三人のもとに向かった。

 

 

 

****

 

 

 

 

「はあ……」

 

注文を終えた士道は頭を抱えながらため息をついた。

天宮市、自分たちのもといた場所のことを聞いてみたのだが、誰も知らないというのだ。

天宮市は世界的にも有名な、精霊の被害になった場所。

日本に住んでいれば知らないはずがなかった。

これで精霊の力で日本のどこかに移動した、という可能性はほぼ無くなってしまった。

というかこの状況、士道が中学生のころに見ていた漫画やら小説やらのものにとてもよく似ていた。

そう、これはまるで……。

 

(異世界に飛ばされたみたいじゃないか……)

 

そう、漫画などの主人公が自分とは違う世界、つまり異世界に飛ばされたような状況にそっくりなのだ。

その話を見ているときは特に何とも思わなかった、むしろ自分の身に起きてほしいとまで思ったが……実際に起きると笑えない。

……今回のこの状況、精霊が絡んできたとなると士道だけではどうにもならないだろう。

ラタトスク機関のバックアップがあったからこそ、士道は今までの精霊に対処ができたのだ。

そして新たな精霊の力で異世界に飛ばされたとなると、その精霊の力が今までの精霊たちのそれを大きく上回ることは想像に難くない。

そんなやつがもし敵意をもって襲ってきたら、自分を、そしてみんなを、守ることができるのか?

そしてみんなを守り抜き、無事に元の世界に帰ることができるのか?

 

「……士道さん、大丈夫ですか?」

 

「え?」

 

「顔色……悪いですけど……」

 

四糸乃に言われて士道がハッとなる。

どうやら顔に出てしまっていたようだ。

 

「む、シドー。何やら見知らぬところに飛ばされて不安なのはわかるがあまり思いつめるのはよくないぞ?きっと何とかなるはずだ。なあ四糸乃、よしのん、二人もそう思うだろう?」

 

「は、はい。このことは、ゆっくり……考えてみましょう。きっと、大丈夫だと思います……!」

 

『だね~。まあ気楽にいこうよ、士道君』

 

士道が守るべき存在である十香、四糸乃、よしのんに励まされてしまった。

 

(俺が励まされてるようじゃダメだな……はは、琴里に怒られそうだ……)

 

士道は今はここにいない妹の顔を思い浮かべながら苦笑する。

そして士道は頰をパンッ!と叩いて気合を入れた。

 

「ああ、そうだな。このことはゆっくり考えよう。励ましてくれてありがとな」

 

その言葉を聞いた十香も笑顔で頷く。

 

「うむ、それでいいのだ!腹ごしらえをしている間に何かひらめくかもしれんしな!ああ….…早く来ないものか……」

 

「あ、あはは……」

 

『んも~、十香ちゃんったら食いしん坊なんだから』

 

「はは、十香らしいな」

 

そうして士道も深く考えることをやめ、いつものような会話をしていた時だった。

 

「すみません、ちょっといいですか?」

 

「えっ、あ、店員さん?」

 

士道は後ろから声をかけられて振り向いた。

そこには青髪の少女が立っていた。

先ほど奥のほうにいた店員だった。

 

「急にすみません、少し困っているようでしたので……ご迷惑でなければ、少し事情を聞かせてもらえませんか?何か力になれすことがあるかもしれません」

 

「あ、えっと……」

 

店員の申し出に士道は少しくぐもってしまう。

かなりうれしい申し出なのだが、事情と言われても少し説明がしずらい……。

まさか違う世界から来ましたなんて言うわけには……。

と、そんなことを考えていると。

 

「シドー、一度、話してみたらどうだろうか?何かわかることがあるかもしれん」

 

「十香……」

 

そう言う十香の隣を見ると四糸乃もコクコクとうなずいている。

(確かに……このままでは何も進まないしな……」

そう思い店員に向き直る。

 

「あの……変な奴だと思われるかもしれないんですが、全て本当のことなので信じてもらえると嬉しいです……」

 

「な、何があったんですか……」

 

そうして士道は自分たちに何が起こったのかを店員に話した。

精霊のことだけを隠して……。

 

 

 

****

 

 

 

「ちょっと話が……凄すぎるというか……。ほ、本当のことなんですよね?からかってるわけではないんですよね?」

 

「本当なんです……信じてください……」

 

やはりというか反応は予想通りのものだった。

店員はいまだに信じられないといったような感じだったが三人と一匹の真剣な顔を見て、少し考えた後、こう言ってくれた。

 

「……わかりました、信じます。うそを言うような人には見えませんから」

 

その言葉に士道、そして十香と四糸乃の顔がパァっと明るくなる。

 

「! あ、ありがとうございます!」

 

「おお!信じてくれてありがとうなのだ!」

 

「あ、ありがとう……ございます……!」

 

「い、いえ、そんな……。というか本当に別の世界から来られたというのなら私ができることも限られますし……」

 

と、そんなことを話していると。

 

「お待たせしました、こちら、オリジナルブレンドと……」

 

「パンの盛り合わせになります!」

 

黒髪の店員と先ほど注文を取りに来た店員が食事を持ってきてくれた。

それを見て十香が目を輝かせる。

 

「おおおお……!どれもうまそうだな!いただきますなのだ!」

 

「いただき……ます」

 

『やっは~!おいしそうだねえ。ねえ四糸乃、あのパンとコーヒー、すごく合いそうだと思わない?』

 

そうして二人と一匹は運ばれてきたパンとコーヒーを食べ始めた。

 

「ここまでおいしそうに食べてもらえるとすごくうれしいね、リゼちゃん!」

 

「ああ、そうだな。……ところでチノ、何か私たちで役立てそうなことはあったのか?」

 

「あ、えっと……」

 

先ほど説明をした店員がくぐもっているのを見て士道は声をかける。

 

「あ…….やっぱり言いにくいと思うので、俺が説明します……」

 

「言いにくい?……よくわからないけど、よ、よろしく……」

 

そうして士道は先ほどの説明をもう一度行った。

途中、ピンク髪の少女は目を輝かせ、黒髪の少女は終始顔をしかめていたのが印象的だった・・・。

 

 

 




なかなか話が進まなくて申し訳ありません・・・。
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