読み飛ばしてもらって全然かまいませんw
やっとのことで落ち着いた美九に金髪の店員が呆れたように言う。
「もう・・・なんなんですかいったい・・・・」
「ふふ、私のマイコレクションに天使追加ですね!」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!今すぐ黙らせますから命だけはぁ!」
落ち着きはしたが何も悪びれる様子がない美九を見て七罪は大げさに謝る。
その様子を見て店員は頭を抱える。
このままじゃ本当に店長から出禁を喰らってしまう。
そして今度は何とか七罪を落ち着かせようとしたその時、先ほどまでとは違う真面目な顔で美九があることを聞いてきた。
「あのー、散々いろいろなことをした後でなんなんですが一つ聞きたいことが。ここは日本ですよね?ならば天宮市というところをご存じで?」
その質問に七罪はハッとなり、店員は首をかしげる。
「・・・やはり、ですね。少しお話を聞いていただけませんか?」
「い、いいけど・・・・」
そして美九は今までの経緯をすべて話した。
自分たちがどうやら別の世界から来たこと、そして今行く当てがなく困っていることなどを簡潔に説明した。
話し終えると金髪の店員は信じられないといった顔をする。
それを見て美九は言う。
「・・・信じてもらえるとは思っていません。でも無理を承知で頼みます。ほんの少し、私たちに力を貸していただけませんか?」
「私からも・・・お願い」
横で座りながら美九の話を黙って聞いていた七罪も真剣な眼差しで見つめてくる。
そこで店員は少し考えて彼二人に言った。
「・・・・ごめんなさい、今はちょっと無理」
その言葉に美九と七罪が肩を落とす。
しかし・・・。
「・・・ん?」
「・・・今は、ですかぁ?」
何かを気が付いたような二人の言葉に店員が微笑む。
「そ。人があまりいないとはいえ今は仕事中だからそろそろ怒られちゃう。もう少しで終わるから外で待ってて。とりあえずさっきの話、信じるから」
その言葉に二人の顔がぱぁっと明るくなる。
「キャー!ありがとうございますぅ!」
「・・・見ず知らずで迷惑までかけた私たちの話を信じてくれるなんて・・・ありがとう・・・!あ、えっと・・・」
「
そう言ってシャロは二人のいるテーブルを離れ、店の奥に駆けていった。
****
それからしばらくして、二人は店を出てシャロを待っていた。
ふとそのシャロを思い浮かべながら七罪がつぶやく。
「・・・どんな世界にも神はいるのね・・・私が目を合わせていい人物じゃないわ」
「な、七罪さーん。大げさすぎますよー」
何ともネガティブ思考な七罪に美九は苦笑いで返す。
と、そこに。
「お待たせ、バイト終わったから約束通り・・・なんであなたは頭を下げるの?」
「・・・目を合わせるのも恐れ多いから」
「普通にしていいからね!?」
「シャロ様がそう言うなら」
「様もつけなくていいからっ!」
「わ、わかったわよ。シャ、シャロ」
「そうそう、それでいいから・・・。ああ、そういえば二人の名前・・・」
「そういえばまだ言ってませんでしたね~。私は美九です。アイドルやってまーす!」
「え、ええ!?アイドルなの!?確かに声がきれいだと思ったけど・・・」
美九の発言にシャロは驚く。
美九はその反応が嬉しかったのかふふふ~、と笑った。
そして七罪は暗い顔で自己紹介する。
「私は七罪・・・声がきれいなわけじゃないし可愛いアイドルなわけでも無いけどよろしく・・・」
「な、なんでそんなにネガティブなのよ・・・」
「彼女にもいろいろあるみたいですよー。で、早速なんですがシャロさん」
美九の言葉にシャロが頷く。
「ええ。だけどあなたたちの話を聞く限り、私にできそうなことは少ないわ。別の世界への行き方なんて知らないし・・・」
「ですよねぇ・・・」
「でもみたところお金はあるみたいだしぼろ屋でいいなら仲間が見つかるまで泊めてあげるわよ?」
「「ええっ!?」」
「・・・そんなに驚くことかしら。でも本当にぼろ屋だからね・・・・と、着いたわ」
そう言ってシャロは足を止めた。
そこに建っていたのは風情のある喫茶店だった。
美九と七罪は首をかしげる。
「全然ぼろ屋じゃないですよねー?」
「そうよね、むしろ立派というか」
「・・・・そっちは友達の家。私はこっちだから・・・」
そう言ってシャロは一つため息をついてからその店の物置に・・・いや、そうにしか見えなかったがおそらくシャロの家と思われるものの扉を開いた。
その時、美九は図らずもシャロのことを傷つけてしまったのでは、と思い固まった。
その隣で七罪は・・・。
「・・・ねえ美九。こんなのあんまりじゃないかな?真面目に働いて見ず知らずの私たちを助けてくれるような人がこんな・・・こんな・・・」
「な、七罪さん〜?」
七罪の謎の気迫に押されて美九は思わずたじろいでしまう。
そして七罪は何かを決心したようで美九にこう言ってきた。
「・・・美九、これから天使使うわ」
「!?・・・七罪さんそれは」
「どうせいつかは明かさないといけないことだと思うし。私たちが精霊だってこと」
「・・・そう、ですね」
「二人ともどうしたの?」
扉を開けて待っていたシャロが何やら話し込んでいる二人に向かって聞いてくる。
「・・・これから少し、驚かせてしまうかもしれません」
「?」
美九の言葉にシャロは首をかしげる。
そして真剣な表情をしている美九の隣では七罪が目を閉じ無言で立ち尽くしていた。
と、その数秒後、何やら表情が苦しげなものに変わっていたかと思うと、急に目をカッと見開いて叫んだ。
「うるせえーこんちくしょぉぉぉぉぉッ!!」
「ええええ!?」
突然そんなことを叫んだ七罪にさすがにシャロも驚く。
しかしそれだけではなかった。
七罪の体が淡く輝いたかと思うとその頭に魔女のようなつば折れ帽子が現れ、手には一本の箒が出現した。
「・・・い、いったい」
シャロが呆然と呟くと七罪が申し訳なさそうに言った。
「え、えっと・・・実は黙ってたことがあって・・・私たち、実は人間じゃないの・・・」
「に、人間じゃない!?」
「お、落ち着いてください―。今からちゃんと説明しますからー」
状況が全く読み込めないシャロに美九と七罪が精霊だということをゆっくり丁寧に説明した。
(空間震の下りでシャロが涙目になってきたので急いで力が封印されていることも伝えた)
「・・・まだ微妙に信じられないけど帽子や箒が突然出てきたりしてるし信じるしかないわよね・・・。というか力は封印されてるって言ってたじゃない!」
「それはそうなんだけど・・・なんか嫌なことを考えると力が戻ってくるのよね・・・」
「嫌なこと?」
シャロが効いてくるので七罪はうなずく。
「・・・ええ。ちなみに今のは学校の体育の授業、一人だけ間違えて他校の兄妹の体操着を着てきちゃったシーンをイメージしたわ」
「うわ・・・それは恥ずかしい」
「・・・それで周りの子がこういってる気がするの。なんであの子だけ体操着が違うの?おい、他校の生徒がいるぞw」
「やめてえええ!」
何とも悲しいシーンにシャロは思わず耳をふさいでうずくまってしまう。
「・・・まあそういうわけで力の一部を戻したわけなのよ。で、これがその力。私からのちょっとしたプレゼントよ」
「あ、シャロさーん、お家から離れたほうがいいですよー!」
「わ、わかったわ」
美九に言われてシャロは家から離れる。
そして七罪が天使の名を叫ぶ。
「〈
天使。
精霊一人に一つずつある最強の武装である。
精霊一人一人で形と能力が違い、七罪の〈
そしてその力は・・・。
「いくわよ」
そう言って七罪は箒をシャロの家に向かって振りかざす。
その瞬間、シャロの家が直視できないほど輝く。
しばらくして光が収まった後には先ほどとは違う、きれいな家が建っていた。
そう、七罪の天使〈
「・・・な、ななななにこれえ!」
「これが精霊の力なの。なんだかんだ私たちのこと信じて助けてくれたしちょっとしたお礼というかなんというか・・・本当は二階建てくらいにしてあげたかったけど霊力が足りなくて・・・」
「ふふ、さすが七罪さんですねー」
「せ、精霊凄すぎでしょ・・・」
突然生まれ変わった我が家をしばらく呆然と見上げていたシャロだったがしばらくしてあることに気が付く。
「・・・でも突然家がきれいになったりしたら近所の人から不思議がられないかしら」
シャロの言葉を聞いた七罪は徐々に顔を青くし、顔を俯かせて言う。
「・・・考えなしに勝手なことしてごめん・・・もう私はいるだけで百害あって一利なし、ね・・・・・しにます」
「は、はやまらないでええええ!」
そんなやり取りを見ていた美九は、いろいろな不都合は自分の能力でできるだけフォローしようと決め、この先の苦労のことを想像しながらもつぶやく。
「まぁ、シャロさんや七罪さんと毎日過ごせるだけでどんな苦労も取るに足りないことなんですがね~ 」
そんな美九の笑顔は誰よりも輝いていて、少しアブナイ匂いを漂わせるのであった。
タカヒロ「・・・親父、今回からまさかの後書き担当だぞ」
ティッピー「なぜワシらなんじゃ・・・そして何をするんじゃ」
タカヒロ「それは予告やメタ発言だろう」
ティッピー「それはまた凄いの・・・」
タカヒロ「あとここは出番が少ないキャラやそもそも出ないキャラがゲストで出るらしい。そもそも俺はまだ本編に出ていないしな。今回は俺たちだけだが次回から騒がしくなると思うぞ、親父」
ティッピー「そうか・・・ワシはもっと隠れ家的な喫茶店を目指していたんじゃがの・・・」
タカヒロ「その結果、経営難になって俺がジャズをして店を救うことになったんじゃないのか?」
ティッピー「う、うるさいわい!」
タカヒロ「・・・まあ今回は初回だしこのくらいでいいだろ。次回第六羽、一日の終わり。お楽しみに」