ガンダムビルドファイターズ アテナ   作:狐草つきみ

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EPISODE-5:何で煽られたんでしょうね?

 休日、聖蘭学園 模型部部室

 

 休日とて私達三人は今日も部室に居た。……暇だったとかじゃないからね?

 

「そういや、明日に大会が控えてるってのに、のんびりしてて良いのか?」

「大丈夫よ、練習はバッチリだもの。まあ、実のところマサキちゃんが上手く合わせてくれるから助かってるんだけどね〜」

「いや自分から合わせろよ!?」

「ユー君、別に私は気にしてないから大丈夫だよ?」

 

 このままだとユー君が暴走(?)しかねないので止めておく。最近共に行動する機会が増えたからか、ユー君の性格が何となくだけど分かってきた。その分、女子達の視線は苛烈を極めていく一方だけど。

 ハッキリ言えばツッコミ体質と言える。多分それは他人を思う優しさの裏返しなんだなぁ、と私は思っている。……まぁ、時々普通にツッコミを入れてるけど。

 

「まー、ここで暇潰ししてても仕方ないし、ちょいと遠出になるけど遠征行くわよ!」

「いきなりかよ!? ……まぁ、先輩はいつもノリで決めるしな、行くしかないか」

「と、遠出って、何処まで行くんですか?」

「然程遠くは無いわよ? 一時間は流石に掛かるかもしれないけど」

 

 そう言いつつ、私に地図を見せながらツクモ先輩は場所を指し示す。そこは私もバスでよく行くゲームセンターだった。

 

「成る程、ここならありそうですね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 中心街(セントラル)主街区(メインストリート) 中規模ゲームセンター「コンペイトウ」

 

 ――と言うわけで聖蘭学園模型部の三人は、このゲーセンの前に立っていた。

 

「……ツクモ先輩、その格好はなんですか?」

「え? 変装よ、へ・ん・そ・う。私、こう見えても有名人ですから」

「そう言えばツクモ先輩って歌手でしたね、ついこの前知りましたけど」

「あら心外かも。私の歌を知らない人が居たとは。よーっし、お姉さんがこれ上げるから聴きなさい!」

「え? ……あ、えっ!?」

 

 マサキは唐突に渡されたウォークマンとツクモを交互に見ながら驚く。偶に聴く分には良いだろうかと思って、マサキはポケットに仕舞う。

 ずっと立ってるのもあれだと思ったので、三人は早速中へ入っていく。

 喧騒が絶えないゲーセンの中は、マサキにとって非常に落ち着く空間で、非常に恐怖心に駆られやすい場所でもある。

 

「……ひぇぇ、やっぱり怖いよぉ」

 

 泣き言のようにユウキに引っ付くマサキを見て、ツクモは苦笑気味に答える。

 

「心配しなくとも、痴漢がいればユーが倒してくれるわよ」

「ち、違いますっ! 痴漢も確かに怖いですけど、人混みが嫌なんですっ!」

 

 依然怯えた態度でユウキの後ろでそう言うマサキ。――そう、何を隠そうにもマサキは人混み苦手……と言うよりも恐怖症に近いものを持っている。マサキ曰く「対軍恐怖症」。何故「軍」と名付けたかは本人のみぞ知る。

 取り敢えず、そんなマサキを押してでも何とかバトルシステムがあるエリアまでやって来れた。

 

「まさかマサキを人混みに連れ出すと三十分も掛かるのかよ」

「……そんなこと言ってる場合じゃないのよ! ほら早く!」

 

 ツクモが何とか場所だけを取って、二人を連れてくる。このコンペイトウには平均的な中規模バトルシステムが四台程置いてあり、日夜賑わう為に常に空きは少ない。となると出番を強引に取れるのは奇跡である。

 

「さ、それじゃ行くわよ!」

「……は、はい!」

「どーなっても知らねーぞー」

 

 ツクモとマサキが前に立ち、その後ろでユウキが腕を組みつつ見守った。途端周囲が暗くなる。バトルシステムが起動した。

 

《Press set your GP-Base》

 

 機械的な男声が流れ、その台詞に促されて四人はGPベースをセットする。

 

《Beginning [Plavsky Particle] dispersal. field6, desert》

 

 プラフスキー粒子がバトルシステムから放出され、青い粒子が舞い散る。そして各ファイターをホログラムが包み込んだ。

 今回の戦場は「砂漠」。フィールドには何らかの残骸が散っていることからタクラマカンだと判る。

 

《Press set your GUNPLA》

 

 それぞれが持つ自分の機体を手に、それを台座に置く。

 

《BATTLE START》

 

「七種真幸、ガンダムアテナ! 勝利を切り拓く!」

「鷹野月母、ガンダムアストレア Type-F! 出るわよ!」

 

 ようやくフィールドへ飛び出した二機が、砂漠へと降り立つ。――しかし慣れない者が立てば、

 

「う、動けない!?」

 砂に脚を取られ、動けなくなってしまうのだ。

「落ち着いてマサキちゃん! ゆっくり立てば良いのよ?」

 

 ツクモに言われて頷いたマサキは、慎重に立ち上がる。そんな時、目の前から敵の攻撃が通った。

 

《CAUTION》

「攻撃っ!」

 

 マサキは咄嗟に横へ転がり、ツクモもマサキとは逆方向に避ける。すると目の前からやって来たのは、MGサイズのFAZZ(ファッツ)だった。

 

「大きい! 何アレ!?」

 思わず驚きの声を上げるマサキに対して、ツクモが冷静に答える。

「フルアーマーZZ、通称ファッツよ。長射程攻撃に特化した機体と言っても過言じゃないけど、その一撃の大火力には気を付けた方がいいわね」

「フルアーマーってことは硬いって訳ですよね?」

「まぁそう言うことね」

 

 再び放たれたビームにまたしても避けるマサキとツクモ。しかしファッツは何故かこちらへ向かってくる。ツクモはそれを不思議に思いつつもGNスナイパーライフルを構えて撃った。しかしビームが掠めるのみ。

 

「ったく! 近接が最も苦手な筈なのに、何で近づいてくるのかしら!」

「もしかして煽られてる?」

「んなぁっ!? この私を煽ろうなんて一億と二千年早いのよ!」

 

 ファッツの懐へと飛び込んだツクモは何も危惧せずに突っ込む。しかしマサキはそれを止めようとするも、既に遅かった。

 ファッツの胸部装甲が一部排除され、中からミサイルポッドが露出する。そして一斉に赤い弾頭はツクモのアストレアを襲った。

 

「きゃぁぁぁぁぁぁっ!」

「ツクモ先輩! ……こうなったら、敢えて近距離で沈めてみせる!」

 

 爆煙に呑まれたツクモを心配するマサキだったが、今は目の前のファッツを意識した。アテナの両腕に付いたGNソードⅢが展開し、ソードモードになる。

 マサキは両腕のそれを振るい、一足でファッツへ切迫する。右腕でファッツの胸に肘鉄を打ち込み、そのまま左足の踵で回りながら蹴り上げる。よろけたファッツに対して、今度はGNソードⅢを2本共ファッツの胸部へと突き立てる。そして――

 

「トランザムッ!」

 純白の機体色が深紅へと変わり、一気にGNソードⅢを押し込む。

「二本纏めて――ライザーソォォォォォドッ!!!」

 

 突如ファッツの胸を二本もの巨大な粒子刃が貫き、ファッツは沈黙する。マサキはそんなファッツを足蹴にしてGNソードⅢを引き抜き、距離を取る。その直後、ファッツは爆発四散した。

 

 

 

 

《BATTLE END》

 

 

 

 

 ホログラムが解け、ツクモがマサキを見るなりテヘッと頭に手を打った。戦犯と言うのかはさておき、マサキは若干慣れた感じに呆れる。

 すると後ろから見てたユウキが歩いてきた。

 

「先輩、感情任せになるなってあれ程言いましたよね?」

「な、なんのことかしら……?」

「ツクモ先輩、先落ちしないでくださいよ。一人は大変なんですからね? 今回は相手が大型で、しかも一機だったのが幸いでしたけど」

「あ、アハハ〜」

 

 先輩として情けない所を見せてしまったツクモはガックリと項垂れる。後輩は先輩をしっかり見ているものだ。

 後々自棄にでもなったのか、ツクモはそのまま二人を引っ張って別の喫茶店へと向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 喫茶店にて、一番四隅の席に座った三人は先程のガンプラバトルの反省会をしていた。

 

「――結論、結局は先輩が感情任せに先落ちしたのが悪い」

「異議なし」

「ちょ、ちょっと待ってよ! 私が先落ちしたのは悪くないでしょ〜!」

「いや先輩が悪いことには変わりないんだから」

「えっ、ないの!?」

 

 色々と自分の所為にされることに嘆くツクモを余所に、マサキはカプチーノを、ユウキはオリジナルブレンドを飲んでいた。

 

「兎に角、明日の大会のルールについてお復習(さらい)しとくぞ。……まず基本的に二対二のタッグバトルだ。だが、ガンプラのレギュレーション自体は結構緩い。だからMAサイズ二機でも構わない。逆に一機でも良いってことだ。ただしそれは片方がセコンドに回った際にも二人とカウントされちまう。

 次に勝利判定。これは敵を完全に沈黙、又は撃破したら勝ちだ。でも時間切れ(タイムアップ)や両チーム共に沈黙した場合は引き分けになる。……逆に引き分けに持ち越せれば、延長戦で勝てる。

 最後に、ステージはその試合毎にランダムで決まる。だから対策もその場その場で変更しなきゃなんないし、もしかしたら敵が有利になる可能性もある。そうなったらもう運任せになる。これも逆に、こちらが有利になる可能性もあるってことだな。要するにプラマイゼロの五分五分(フィフティフィフティ)ってわけだ。

 ……ルールについてはこんぐらいだろ」

 

 ユウキの簡単なお復習に、二人共頷く。明日から模型部にとって大事な大会である以上、細心の注意を払わねばならない。そうなれば容易く気を抜けないのだ。

 三人して質問は無く、一応の確認も含めて復唱する。無事確認が取れたところで、後は機体の不備を確認するだけだ。

 

「アテナも一度、俺に預けることになるけど、それでも良いか?」

「う~ん、どうしよう……」

「なら、家に来てもらって、一緒に夕飯食べてから整備して、それでその場で返せば良いじゃない」

 ツクモの唐突な提案にユウキも納得する。

「そうだな、俺っちに来たらマサキも一石二鳥か」

「……俺っち?」

 マサキの疑問に、ツクモが苦笑した。

「ふふっ、そりゃ都民のマサキちゃんは解らないわよね。実はユウキの生まれは静岡県で、小学校までは静岡に住んでたのよ」

「えっ、静岡に?」

 

 驚いた様子でユウキを見るマサキは、へぇーと頷いていた。ユウキは若干微妙な顔で苦笑いする。

 

「まぁこっちにも慣れつつあるんだけどな。でも時々出ちまうんだよ、静岡弁が」

「静岡弁なんてものあったんだ……まぁ良いや。お邪魔する事にするよ」

「そうと決まれば行きましょう!」

 

 そのまま会計を済ませて店を出る。

 お世話になったマサキは、ユウキとツクモの口論に巻き込まれたり、一緒にツクモと料理をしたり、普段は無かったことを経験することができた。

 

 

 こうして大会前日は何事も無く終了したのだった。

 

 

 




十二月に「機動戦士ガンダムvsガンダム エクストリームバーサスフォース」が発売される事にwktkが止まらないカミツです。再びヘビアで弾幕大サーカス出来るのが楽しみだよ。大喝采を聞かせてやる。

思ったけど、バルバトスってどんな武器使うんだろうね。

ではまた、ノシ
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