ガンダムビルドファイターズ アテナ   作:狐草つきみ

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EPISODE-19:次の相手……いや、俺の杞憂だと良いんだが。

 本戦の第一回戦が開幕してから数分後、私達は辺りを散策していた。

 

「うー、私もアストレアのセンサーマスク着ければ良かった~」

「今さら駄々を捏ねても無駄よ。ほら、目の前から敵さんが来たわ、マサキちゃん前衛お願い!」

「りょ、了解です!」

 

 バトルロイヤルと言うのは結構予測がし難い。相手がどんなタイミングで、何を狙ってくるか。

 見知った相手ならば手の打ちようはいくらでもある。だけど相手は初対面、開けてびっくり玉手箱では遅いのだ。

 トーナメントもまた同じことと言えるが、こちらは事前に相手の情報を入手することは可能だ。だからバトルロイヤルと違ってまだ検討のしようはある。

 何が言いたいのか、なんて言われれば「バトルロイヤルは予測の着かない手探りなゲーム」と言いたいだけだったりする。

 

「そんながら空きの構え方でぇっ!!」

 

 相手のガンプラがビームサーベルを、バックパックからの抜刀ざまに大振りで振ってくる。だけどそんな構え方、アクションゲームをやりまくった私の目の前では、皆無!

 

「GNソード!」

 

 地面を刃先でガリガリと削りつつ、真下から敵機体を真っ二つに両断する。ただしそれだけでは終わらない。拳を構えたノーベルガンダムが私の硬直時間を利用して殴りかかってくる。それでも私は焦ることはない。

 

「先輩!」

「任せられました、っと!」

 

 GNスナイパーライフルの一撃がノーベルガンダムをあっさりと貫き、一組目を倒した。

 私はGNソードⅢをライフルモードに戻してからツクモ先輩のアストレアに近付く。

 

「んー、何か拍子抜けしちゃうわね」

「分かりませんよ? 偶々当たってきた相手が弱かっただけってこともありますし」

「アハハ、そうだと良いんだけどね~」

 

 ケラケラと明るく笑うツクモ先輩に、私も思わず釣られ笑いしてしまう。

 するとアラートが鳴り、敵に捕捉されていることを知らせた。

 

「捕捉されてる……何処から?」

「マサキちゃん! 下っ!」

「へっ?」

 

 先輩に言われてハッとした私は、自分の、アテナの真下が盛り上がったのを見て空中へジャンプする。

 

「地中からって、そんなの有り!?」

「って言うかアレ、アッガイじゃないの!」

 

 地面から突き上げて出てきたのは、両手がドリルと化したアッガイだった。その姿は眩しく、腕のドリルがギュインギュインと唸り、膝の回転刃がキュィィィィンとけたましく鳴っていた。

 

「あっ! また地中に!?」

 

 両手を突き出して地面へと潜ったアッガイは、瞬く間に地面に消え去り、その場に穴を残すだけだった。

 私のアテナのセンサーは流石にとりわけ優秀と言うわけでもなく、地中まで検知できない。

 

「こうなったら、勘でやるしかない!」

 

 私は耳を澄まして僅かに聴こえるドリルの回転音を確かめる。どんどんと音が近付いてくる。……そこだっ!

 

「GNハンマー!」

 

 左手で掴み取ったハンマーが弧を描いて狙った場所に当たる。すると大爆発を起こし、地面からアッガイが露わになった。

 

「ったく、見た目とは裏腹に厄介なのよね!」

 

 ツクモ先輩がGNスナイパーライフルを放つと、アッガイの頭部を貫く。揺らいだ機体へ目掛けて、GNハンマーをお見舞いしてやろうと思った――次の瞬間、

 

 ガッシャァァァァン!!

 

 謎の爆発音(?)と共に、地面から腕組み&仁王立ちをした機体が出てきた。水色の機体色に包まれた一つ目玉のガンプラ。それは――

 

「なにあれ!?」

「そ、そりゃあポピュラーでもないし、どちらかと言えばマイナーな方だけど……あれはガッシャよ。右腕に装備されたハンマー、通称「山越えハンマー」が脅威の機体かしら」

 

 ガッシャ、と言う機体らしい。因みに私は詳しくは知りません。……でもなんか擬音みたいな名前だよね、ガッシャって。

 すると、バックから聞きなれないBGMが流れ始めた。

 

誰だ、誰だ、誰だ~♪山に聳える黒い影~♪

ペズン戦隊、ガッシャマ~ン♪

 

「な、に……? この変な歌は……」

「と、取り敢えずGNハンマー!!」

 

 私は若干慌てつつもGNハンマーをガッシャへとお見舞いするも、ガッシャもハンマーで対抗し、空中でハンマー同士がぶつかり合った。しかし威力的に押されてしまっていた。

 

「くっ! こちらが押されているの!?」

「そうはさせないわよ! 行きなさい、ビット!」

 

 ハンマーが鍔迫り合いを起こしている中、ツクモ先輩はその隙にビットを放って、アッガイと共にビームの雨でガッシャを撃ち貫いた。

 そして、爆発して散っていった。

 

「所詮はモブなのよ!」

「先輩! メタいです!」

 

 私は何故か意味の分からないことを口走るも、気を緩めない。本当に何が起こってもおかしくない、特にこのガンプラバトルは。

 すると遠くからそれはそれは巨大な竜巻が見え、ガンプラが数機纏めて吹き飛ばされているのが見えた。

 

「ひえぇ、あんな人もいるんですか……」

「全国ともなれば、そんな強い人もいるでしょう。当たり前だけど」

「ですよねー」

 

 私は溜め息を吐きつつ面倒事にならないことを祈った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あれからしばらくしてだろうか。私は一体何をしているのだろうと思う。廃墟と化した街中にて、身を潜めている。真っ白な機体でそれは無茶だと言いたいけど、ツクモ先輩の案なんだから、流石に逆らうわけにもいかない。

 私が溜め息を着いていると、目標の機体が迫ってくる。

 

「先輩、目標確認しました」

「了解よ、それじゃそのまま突っ込んじゃいなさい!」

 

 言われた通りに私は身を翻しつつ突っ込んで、両手にGNブレードを構え相手を切り刻む。そして案の定味方がやられたことに反応して出てきた機体を、ツクモ先輩が撃ち貫いた。

 「ナイス!」とツクモ先輩が自画自賛してる最中に、機械音声が鳴り響いた。

 

 

 

《BATTLE END》

 

 

 

 ホログラムが解除されて、会場に照明が戻る。どうやら、私達は無事に勝ち残れたみたい。

 

『はーいそこまででーす! 第一回戦終了! 皆さんお疲れ様でした~!』

 

 司会のお姉さんの声が会場に響き、歓声が沸く。バトルシステムの前からは敗退する少女達の残念そうな声が聴こえた。その中で残れたのは十二組のみ。

 

『残れたチームは、東東京、西東京、静岡、埼玉、青森、神奈川、愛媛、鳥取、大阪、京都、熊本、沖縄の計十二組! 残る三十六組は残念でしたね、ですがここで終わりと言う訳ではありません! まだチャンスは幾らでもあります。その中できっと輝ける場所がある筈です!』

 

 お姉さんのその台詞に皆が「おお!」と再び沸き始める。ツクモ先輩も隣でうんうんと頷いていて、私も思わず目を輝かせていた。こんな人、滅多にいないよ。

 そんな第1回戦もそこそこに、二人戦も十二組を残して終わった。

 

 

 

 駿府アリーナからホテルへ戻ってきた私達は、部屋でぐったりとベッドに寝そべっていた。

 

「お疲れ様、二人とも」

 ミナツ先輩の労いの言葉に二人ともベッドに顔を埋めながら頷く。

「もー、本当に疲れちゃいました。ミナツ先輩膝枕してください」

「あらあら、仕方ないわね~」

 

 私のベッドまで来ては座って、私の頭を膝の上に置いて撫でてくれる。私は気持ち良さそうに目を閉じる。

 

「あーあ、ミナツ先輩みたいなお姉ちゃんが欲しいです」

「それはちょっと……難しいわよ?」

「そりゃあねー、ミナツってマイペースだから、ペースに合わせるの大変なのよね」

 

 ツクモ先輩が枕に顔を埋めながら言うと、ミナツ先輩の方から殺気らしきものを感じたけど、気のせいにしておこう。

 するとドアが開いてヤヤが入ってくる。ヤヤはその手にお菓子を抱えていて、机の上にぶちまけた。

 

「むぅ、だらしないのう。そんなんで明日から大丈夫なのか?」

「ん、大丈夫だから心配しなくて良いわよヤヤちゃん。少し休めば疲れだって落ちるもの」

「……じゃが、マサキはそうもいかん様子じゃな」

 

 ヤヤがマサキの方を見ると、マサキはミナツに膝枕されたまま眠ってしまっていた。そんな寝顔が子供っぽくて、皆微笑ましく見守っていた。

 

 

 

 その頃、ユウキと言えば――

 

「エクストリームの調整はこれぐらいにすっか。……にしても、あの竜巻とバイク……いや、まさか、な」

 

 新しいエクストリームガンダム/ナハトの調整を進めながらさっきのバトルを思い返していた。

 バトル中に巻き起こったあの巨大な竜巻。あれは――。

 そこまで考えた途端、ドアが三回ほど叩かれてアイカが入ってくる。

 

「ユー! 夕飯だから一緒に食べましょう?」

「ん、あ、おう。分かった、今行くよ」

「早くしなさいよね」

 

 そう言ってアイカがドアを閉めると、ユウキはエクストリームをポーチに仕舞い、工具を片付けてから夕飯に向かった。

 

 

 自分の心配が杞憂だと言うことを願いながら。




一回戦は特にこれと言って次回からのキャラを書くと面倒なので、結構簡略化して描きました。伏線は張っておいたけどね。

因みにガッシャのアレはただやりたかっただけなんだ、無論後悔はしていない。反省はしているが。

ではまた次回、ノシ
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