ガンダムビルドファイターズ アテナ   作:狐草つきみ

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EPISODE29:喋るのも大概にね――?

 ユー君が実家に帰って早数日。私達は静岡市内を歩き回るに至っていた。元々田舎だと呼ばれてる割りには中々にお店が充実していたりしているのを見て、女子としての本能に勝てず、様々な所を巡っていた。……因みに私こと七種 真幸はカフェ巡りを楽しんでます!

 

「ここのブルーマウンテンは一飲の価値あり、かな」

 

 今も呉服町と呼ばれる市街のカフェにて、コーヒーを満喫していました。どうやら街の至る所にバトルシステムが置かれているのを見ると、やっぱりガンプラの聖地だと言われる一因も分かる気がする。

 私もカフェの中から、外に置かれた一台のバトルシステムでバトルしている小学生達を見ていた。

 

「楽しそうだなぁ~」

 

 呑気に微笑んでいると、少し周りの視線が気になった。……多分、中学一年生とでも見られてるのだろうか。小学生達は偶々今日は早く終わってきているみたいだけど、この視線から察するに市内の中学生はまだ学校の中らしい。

 しかし注意する気も無いのか、それとも起きないのか、それは人それぞれだけれど、誰も注意などしてこなかった。

 ――でもやっぱりこの視線は私の気には召さず、私は手の中のカップに入ったコーヒーを飲み干す。中々に美味しいし、じっくり味わっていたいけど、そんな気分になれる様子じゃない。……テイクアウトで買おうかな?

 私はレジでお金を払いつつ、さっき飲んでいたコーヒーと同じ物をテイクアウトで頼んだ。店員さんが持ってきてくれて、私に手渡すと同時に親切心でか、周囲の人が思っていたことを言ってくれた。

 

「義務教育だからって、授業のボイコットはいけないですよ?」

 しかし私は敢然としながら言い返した。

「人は見た目で判断してはいけない。人は見掛けによらぬもの、ですから」

 

 そのまま懐から生徒手帳を見せて、店員さんを驚愕させる。その後、店員さんは直ぐに謝ってくれて、普通にそれを許してあげた。

 カフェを後にして、若干人集りになりかかってたさっきのバトルを観察することにした。

 

「いけぇ! タイタス!」

 

 少年の意気揚々とした声と同時に、赤い中々に大柄なガンプラが、その大きい拳を振り翳していた。するとその相手、白く塗装された細身の可変機は軽々とその攻撃を躱した。機体の特性を活かしての上手い挙動だと思う。

 しかし負けじと赤いガンプラが拳を突き出すも、やはりまた外してしまう。そのまま突き出された拳を掴まれ、そのままの勢いで白いガンプラは赤いガンプラを軽々と投げ飛ばした。

 見事弧を描いて飛んだ赤いガンプラは、プラフスキー粒子の散布された範囲外に落ち、力無く動かなくなってしまう。それと同時にバトルシステムも終了を告げた。

 

「ちぇっ、フラッグのくせに投げ飛ばすってなんなんだよー」

「アハハ、偶々出来ただけよ」

 

 そう言っては小学生達に囲まれる女性は、微笑ましく思えた。どうやら小学生達に慕われてるようで、誰も彼女を嫌がることはしていない。

 バトルが終わったことで、周りのオーディエンスも散り散りになっていく最中、別の子供に頼まれ、女性は再びバトルシステムを起動させようとした。その直後だった。

 

「オイお嬢さん、ちっとそこを退けよ」

「だ、誰ですか貴方」

 

 如何にも不良ですと主張するその格好は、今時流行りそうもない格好だった。ハッキリ言えばダサいだろう。そんな不良はあからさまに誰でも知ってるって言いたげな顔で名乗り始めた。

 

「俺かァ? 俺の名を知らないとはとんだお嬢さんだぜ。……俺は泣く子も黙る観山一の不良! 大哲(ダイテツ)サマだァ!」

 

 その言葉に周りは固まる。小学生達も恐る恐るな感じで怖がってはいるけれど、どの子もそんな人知らないといった様子で見ていた。女性もまた然りだ。

 

「いきなり退けと言われて引き下がるファイターは居ません。もう少し丁寧であったなら考えてはあげましたが……」

 女性がそう言った途端、不良は鼻で笑って後ろへ向かって()()()()()()

「オイテメーらァ、このアマ俺を嘗めてるようだからちっと甚振(いたぶ)ってやろうぜ!」

「「「「オウ!」」」」

 

 不良の後ろからぞろぞろと出てきたのは四人程の仲間らしき不良達だった。多勢に無勢って訳らしい。

 

「なっ、大勢で掛かってくるなど卑怯です!」

「アァ? 聞こえねェなァ。多勢に無勢で何が悪いってんだ。んなもん勝ちゃ良いんだよォ!」

 

 そこまで言った時、ふと私の何かがプツリと切れた。所謂「堪忍袋の緒」とやらだろう。私は眼鏡を外して、不良達のと女性達の間に立つ。

 内心何をやってるのだろうと自分を殴りたいものの、それを抑え込んで不良達に言った。

 

「多勢に無勢なんて、男の名が(すた)るわよ。男なら清々堂々一人で掛かってきなさいよ」

「いきなり割り込んできて何かと思えば説教かァ? 巫山戯(ふざけ)んじゃねェぞチビィ!」

 最後の一言で私のこめかみ辺りに血管が浮かぶ。

「へぇ~、女の子を侮辱するの? ……まぁ良いわ、多勢に無勢で攻める貴方に侮辱されても気にも止めないし。貴方達程度なら私一人でも十分ね」

「んだとオラァ!」

 

 見事挑発に乗ってくれた。何て易い男なのかしら。ここまで安直だと逆に笑えてくる。それを必至に堪えて、私は後ろの女性に目配せをする。

 しかし女性は首を横に振り、不良達に向かって言った。

 

「それなら、貴方達は五人で掛かってきてください。私はそこの子と組みます。それで貴方達が勝てたのなら私達は退きましょう」

「ちょっ! 待っ――!」

「良いぜェ、その条件乗った。後悔しても知らねェぞォ?」

 

 私は制止しようとするも、既に不良が条件をのんでしまった。私は奥歯を噛み締めるも、渋々彼女の隣に立つ。すると、女性が小声で私に謝ってきた。

 

「……ごめんなさい、貴女の行為を無下にしてしまって。でもあの子達、ここでバトルしたいと言い張るでしょうから……」

「別に気にしなくて良いですよ。私は私の意思でこうしたんです。正直謝るべきはこっちです。ごめんなさい」

 

 そう交わしてからバトルシステムが起動し、各自GPベースをセットした。更にガンプラもセットして、準備が完了する。

 

 

 

《BATTLE START》

 

 

 

「ガンダムアストレア、七種真幸! 勝利を切り拓く!」

夜天嬢雅七々(ヤテンジョウガ ナナ)、アマテラス! 出るわっ!」

 

 出撃すれば目の前には地球が丸々見える宇宙だった。背後には遠めに月が見える。

 そして隣には全身を様々な金色で塗り分けられたスサノオが立っていた。背中からは緑ではない金色の粒子を放出している。

 

「夜天嬢雅って、もしかして……」

「今その話は後よ。先にあの不良達をぼっこぼこにしましょう?」

「は、はい……」

 

 子供っぽい言い回しに少し驚くものの、私はコントロールスフィアを握り直す。今回のアストレアは急遽予備機として作った機体で、装備はアテナに乗せてあった装備を丸々持ってきている。GNソードⅢ二本とGNブレード二本、GNカタール二本だ。

 しばらく彼女の機体と並走していると、前方から五機のガンダムが迫ってきていた。見たところSEED辺りに出てきた五機みたいだ。

 

「ハッハァ! お前達を粉微塵にしてやるぜェ!!」

「私なんかに勝てると思って?」

 

 私は真正面から端のデュエルに突っ込む。一瞬だった為か不良も目を丸くしていることだろう。右手のGNソードⅢの銃口を顔面に叩き付けて一発。そして左手のGNソードⅢで袈裟斬りにする。

 ものの一瞬でデュエルは爆発し、お次は隣にいたバスターに襲い掛かる。

 彼女も端のイージスとブリッツを手玉に取りつつ、その手に持つ薙刀を振るい、一太刀で確実に仕留めていた。私もその実力に舌を巻くものの、まだ気は抜けない。

 他が呆気なく落ちた為に、即行で残ったストライクを狙おうとするも、中の不良――確か大哲だったか――が喚き散らしながら全身の火器を乱射した。

 

「巫山戯るなァ! この大哲サマがたかがアマ二人如きに負けるわけがねェだろうがよォ!」

 しかしその程度、私達には通用しない。

「喋るのも大概にね、不良さん」

「減らず口って言葉、知ってる?」

 

 薙刀が左肩を貫き、ミサイルポッドを爆発させると同時に切り落とす。反対の右肩にはGNソードⅢが突き刺さり、同じ様に切り落とされた。

 両腕を失って何もすることが出来ずにいたストライクに、私と彼女は同時に袈裟斬りにしてやった。

 

 

 

 

 

《BATTLE END》

 

 

 

 

 

「お、俺の、ストライクアサルトシュラウドがッ! ……ぐッ、覚えてやがれよ!」

 

 バトルシステムがプラフスキー粒子の散布を止めると同時に、機体をバラバラにされた不良達は一斉に逃げていった。

 女性と私は同時に一息吐き、互いに見合ってからクスリと笑った。

 

「ありがとう、えっと……」

「七種真幸です。東京から来ました」

 私が名乗ると、周りの小学生達が驚いた。

「あー! この前の大会で優勝してたお姉ちゃんだ!」

「本当だ!」

「スゲー!」

 

 小学生が次々に囃し立てるもので、私の顔は思わず真っ赤になってしまう。

 女性も若干驚いていた様だけど、直ぐに笑顔に戻る。

 

「そう、貴女が先日の大会の優勝者さんね。会えて光栄よ」

「えっと、夜天嬢雅七々さんでしたよね?」

 私が聞くと、彼女――ナナさんはええと頷いた。

「私のこと知ってるの?」

「いえ、夜天嬢雅なんて珍しい苗字を聞いてつい。……友達にヤヤって名前の子が居て、その子も夜天嬢雅って苗字なんです」

 

 それを聞いた途端、ナナさんの顔色が変わった。微笑んでいた優しそうな女性から一変、焦るような慌てるような顔になった。

 

「ヤヤのこと、知ってるの……?」

「ええ、私の友達ですから」

 それを聞いて少し安堵した顔に変わる。

「良かった、ヤヤにも友達が出来たのね……」

「お姉さん、なんですか?」

「うん、ヤヤは私の四つ下の妹でね。いつも私にくっ付いてばかりだったから、家出した時には心配で……行方も知れなかったから」

 

 妹を心配する目で、ナナさんは空を見た。その顔はやはり安堵していて、それでも大事な妹を心配して堪らない様子だった。……お姉ちゃんも、こんな気持ちなのかな。

 私は自分の姉に姿を重ねつつも、それを頭から振り払った。

 

「でも、ヤヤちゃんのことは誰にも言わないでください」

「……ええ、分かってるわ。それがあの子にとって、一番幸せだろうから。もう家には縛られたくないもの」

 

 そう言ってふと思い浮かべる。そう言えば、夜天嬢雅って何で有名なのだろう。この前の大会のスポンサーの中には夜天嬢雅の名もあった。

 

「あの、夜天嬢雅ってそんなに有名なんですか?」

「そうね……確かに有名だけど、有名なのはその技術ね。お父様が何でも作っちゃうから、それで有名なのかも」

「へ、へぇ……」

 

 何でもって、ある意味すごい。……って言うかそれで良いのか、それで。

 でもそんな良家のお嬢様が何でこんなところに居るんだろう?

 すると私の考えを見透かすように、ナナさんが喋り出した。

 

「ふふっ、私ね、ガンプラバトルが好きなの。幼い頃、同い年ぐらいの女の子が世界大会を優勝するのを見て、きっと女の子でもガンプラバトルが出来るんだって」

「……?」

 それとこれと何が関係あるのだろう。それでもナナさんは話を続ける。

「だから、こうして子供達とガンプラバトルをするのは楽しいの。……実を言うと、ここのバトルシステムは全て私のものなのよ。それで皆遊んでいるのを見て、私もなんだかやりたくなっちゃって」

 

 ああ、成る程。言葉は拙いけれど、言いたいことは何となく伝わってきた。

 つまりはここにあるバトルシステム全てがナナさんの物で、そのバトルシステムで子供達が遊んでいるのを見ていたらいてもたってもいられなくて、遂には自分もやりだしちゃった。……という感じかな?

 気持ちは分からなくもないかも。私だって、皆が楽しそうにゲームをしていたら、それは混じりたくなる。誰だってそうだ。

 

「大人気ないわよね、二十歳のお姉さんが子供達とこんなことしてるんだから」

 私は首を横に振って、そんなことはないと言った。

「今の世の中、ガンプラバトルをしている大人が大人気ないなんてことはないです。年甲斐もなくなんて言いますけど、昨今そんなのは関係ないんです。……これが平等で平和なんじゃないかって、私は思うんです」

「……平等で平和……?」

 

 少し強引過ぎたかな。大人も子供も皆子供心を忘れてはいない、だから平等だと。小さな喧嘩はあれど戦争は起きていない、だから平和だと。どれもこれも強引過ぎる理由だけど、それでも「平等で平和」と、ある意味言えるんじゃないだろうか。

 すると途端にナナさんが吹き出してしまった。

 

「マサキちゃん、だったかしら。貴女面白い子ね、見た目によらずとはこのことかしら。――そうね、メールアドレスと電話番号でも交換しましょう? 何かあれば連絡くれれば良いし」

「えっ、あっ、はい」

 

 そして流されるままに、気付けばメアドと電話番号を交換してしまっていた。こんなところに来てまで何をしているんだろう、私。

 交換してナナさんは颯爽と立ち去ってしまって、私は呆然としたままスマホを仕舞った。……何だったんだろう。

 

「……他のカフェでも行こうかな」

 

 一回頭をリセットして私は本来の目的に戻るのであった。




新年明けましておめでとうございます(二回目)。

どうもカミツです。
ごちうさを全巻買って読み耽ってたら、投稿遅れちゃいました、すいません。
では不良が使っていたストライクと、何気に登場したヤヤのお姉ちゃんが使ってた機体の説明をば。


ストライクアサルトシュラウド
武装:イーゲルシュテルン×2、アーマーシュナイダー×2、320mm超高インパルス砲「アグニ」、コンボウェポンポッド、ミサイルポッド、手持ち式リニアレールガン「シヴァ」、対ビームコーティングシールド×2
特殊装備:アサルトシュラウド
「HGCE ストライク」をベースにデュエルのアサルトシュラウドを組み込んだ改造機。
武装はランチャーストライクにアサルトシュラウドのミサイルポッド、手持ち式に改造したリニアレールガン「シヴァ」を、両腕に対ビームコーティングシールドを装備させている。
似た形状のストライクに無理矢理アサルトシュラウドを合わせているようなもので、機体の重心の偏りや、重量の増加により扱いづらさが目立つ機体となっている。ただアサルトシュラウドのお陰で、ある程度の機動は確保できているも、ランチャーストライクとしては致命的である。


アマテラス
武装:GNナギナタ×2、トライパニッシャー、???
特殊装備:???
特殊機能:???
夜天嬢雅七々が使用する「HG スサノオ」の改造機。その金色に輝く機体色と粒子が特徴。
今のところ判明している武装は両手に持ったGNナギナタと本家と同じトライパニッシャーのみ。その他にも武器は見受けられるが、未だ不明。
スサノオに様々なパーツを組み込んでおり、然程変わっていないように見えても様々な変更点を持つが、それらは不明。またGNドライヴ周辺が大幅に変化しており、特殊な機構が施されている。
名前の元ネタは言わずもがな、日本神話に於いて八百万の神々の中の最高神「天照大神(あまてらすおおみかみ)大日孁貴神(おおひるめのむちのかみ))」。余談だが、元となった素盞鳴尊(すさのおのみこと)は天照大神の弟である。……月夜見尊はどこへいったのやら。


以上になります。ストライクアサルトシュラウドは亀川ダイブさんの、アマテラスは孤高のスナイパーさんの案となります。お二人共ありがとうございます。機体案は随時活動報告にて受け付けています故、ご自由にお書きくださいませ。

今回は以上です。ではまた、ノシ。




追記
駆逐艦が育たない→3-2攻略できない→チクショウメェ!!→1-5回すしかない←今ココ
……正直言って、漢検の勉強も相まって死にそうっぽい(尚、小説の投稿は止めない模様
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