ガンプラバトルにおける支援機の位置付けは何だろうか。それ自体、ゲームによって左右されるが、ガンプラバトルではある意味脅威ともなりかねない存在だと、この俺、安藤宗助はそう思った。
何故なら、今も相手の支援機に武器も封じられ、共に戦うキョウヤを援護すらできないのだから。
「クソッ! 粒子攻撃自体を使用不能にする弾種かよ!」
先程キョウヤから聞いた「粒子攪乱幕」とか言うのを復唱して、歯をギリギリと噛み締める。だからと言って肉弾戦ができないわけではない。……ただ単にやりたくないだけ。キョウヤが必死こいて近付こうとしても、その正確な射撃を避ける、もしくは掠めさせるので手一杯なんだ。そんな中で俺が出来ることなんて―――あるじゃんか!
「キョウヤ! 俺が引き付けるから、その間に近付いてぶん殴れ!」
「え? ……ああ、分かった! また当たるんじゃねーぞ!」
「あったりまえだろ!」
キョウヤは一旦下がって、バトンタッチするように彼女の方へとストライダー形態で突っ込む……と見せかけてのバレルロール。
「あらあら、そんな芸当も見せられるなんて」
「ヤッホゥ! シンカさんに誉められたぜ! ……でもバトルには勝ってやりますよ!」
有頂天な態度を抑え込みつつ、俺は滑空や上昇、旋回を駆使して陸ガンの砲撃を躱す。その間にもキョウヤが陸ガンの背後に回ってくれ、その拳を叩き付けようとした……のだが、
「後ろががら空きだぜ!」
「だと思った?」
「何? うわっ!?」
エクストリームの強力な右ストレートが入ったと思いきや、それを振り向きざまにしゃがみながら回避し、お返しにとばかりに180mmキャノン砲の砲身をぶつけていた。
当然、攻撃を躱せないキョウヤは見事な反撃を食らって、機体を山の斜面にぶつけていた。
「私が近距離に弱いと思ったら、大間違いよ?」
「マジか、近付いたと思ったらこ――」
「ふっ!」
台詞の途中でビームサーベルを振られ、キョウヤは驚くまもなく避けるに避けられなくなってしまう。
「ったく、やるならここかっ!」
エクストリームが眩く輝いたと同時に、山の斜面を蹴り上げてから無重力ダッシュを繰り出す。そうすることで、ぎりぎりビームサーベルの一撃を躱すことができた。
「覚醒が使えるって事はまさか! ソースケ!」
「おうよ、待ってました! 食らえぇッ!!」
キョウヤに言われて、俺は迷わず両肩のドッズキャノンをぶっ放す。直線を描いて陸ガンへと迫るビームが、このまま直撃してやられてくれれば――御の字だった筈だ。直撃してくれれば。
「いっけぇぇぇぇぇぇぇ!!」
「撹乱弾は弾切れ、ね。なら今度はこっちかしら?」
ビームが迫るというのに呑気に装備変更をしていた陸ガンは、右肩のキャノン砲から反動を伴って弾頭を射出した。それはビームに直撃する直前に拡散する。
「粒子撹乱弾が切れたのなら、ビーム撹乱弾があるのよ。効果時間はたったの五秒だけだけど、どうかしら?」
「オイオイ……嘘だろ」
「ソースケのドッズキャノンを…………ドッズキャノン四門って、MSのIフィールドですら直ぐに溶けるぞ」
その間に、陸ガンはバックパックであるウェポンコンテナを降ろして、中から折り畳み式に改造されたロングレンジビームライフルを取り出していた。
「これでよし、と。まずは誰から私に挑む?」
余裕を持ったその声音に、俺らは戦慄せずにいられなかった。
■
その頃、アテナとイザナギの二機はキョウヤ達とは違って、今も尚激しい攻防戦を続けていた。それは周りの地形にも影響し、山の斜面や鉄橋にまでその痕跡を残しつつあった。
「このイザナギで勝てるって確信してたんだがなぁ。……頭の中で引いた線のようにはいかないってか」
「前より格段に強くなってる。突きの精度、踏み込み方、その出力……どれを取っても私のアテナじゃあ力不足な点が多い。けれど最も厄介なのはその操縦技術かな?」
ナギサは自信満々だった自分へ呆れ、マサキは探る風に呟く。
どちらも満身創痍とまではいかないが、それ相応に傷付いていた。イザナギは既に左腕を失っており、右膝関節にもガタがきている。対するアテナはどこも失ってはいないが、その代わりにGNカタールのみを残して装備は壊れ、ほぼ全身の関節に極度の負担がかかっていた。どちらとも粒子量も心許ない。残るは短期決戦のみ。
「ここいらで一つ、一騎討ちしてみないか?」
「それは楽しそうね。乗ってあげるわ」
互いに口角を上げ、イザナギは右手でフェダーインライフル改を、アテナはGNカタールを構え、じりじりと一定の間隔を保つ。
やがて互いに止まり、深く構え始めた。
「いざ尋常に……」
「勝負ッ!!」
マサキの叫び声と同時に動きだす。イザナギがフェダーインライフル改を勢いよく突き出しては、反対にアテナもGNカタールを突き出す。
リーチは圧倒的にイザナギが有利だが、パワーは僅かにもアテナが勝っていた。しかし、突き出した衝撃で、アテナの右腕が外れてしまう。それを待ちわびたとばかりにイザナギが更に深く突くものの、アテナはそれを暗に受けつつ同時にイザナギの右腕を断った。
「こんな状況で嘘だろ?!」
「こんな状況だからこそよ!」
「こなくそぉっ!」
「ぐぅっ!」
アテナは左手で僅かに突き刺さったフェダーインライフルを抜き捨てるが、イザナギが即座にハイパーバーニアを活かしたタックルでぶつかってくる。
躱す間も無く受けた強タックルは、アテナを山の斜面へと叩き付けた。それを受けてマサキは、仕返しにと残り僅かな粒子量でトランザムを選択していた。
「やられたら……やりかえす………………倍返しだっ!」
深紅に染まるアテナがイザナギを押し返し、使えなくなった左腕の代わりに、右足でローキックを食らわす。勿論、そのローキックによって吹き飛ばされたイザナギは耐えきれずにバランスを崩した挙げ句、ハイパーバーニアまで爆発してしまう。
「……はぁ……はぁ……はぁ、もう私、限界……」
「けっ……リベンジすら叶わず相討ちかよ………」
両機共に満身創痍となり、どちらも機体から光が失われた。―――結果は、ナギサの言った通りの“相討ち”。
残るはキョウヤのエクストリーム:Rfと、ソースケのAGE-2 フォースバレット、そしてミナツの重装型ガンダムのみとなった。
■
「マサキちゃんが……粒子切れ、ね。残るは私だけになっちゃった」
「オイオイ、ナギサが墜ちちまった!」
「俺とキョウヤでシンカさんに勝てってのかよ……」
両陣営にとって一人が戦闘不能になったのは大きい、とミナツは考えていた。マサキは必ず“負ける”ことはない故に、ナギサはその高い実力がある故に、二人の脱落は両方に痛手を負わせる結果を招く。
勿論、ミナツは一人でも二人を相手にすることは容易い。相手がガンプラバトルを始めて間もないのなら尚更。
「幾らなんでも、遅刻の罰がこれって、酷くないかしら?」
口ではそんなことを言いつつ、顔は緩んでいたミナツは即行で相手を倒す方法を考える。手持ちの弾種を確認するも、どれも一癖ある特殊弾ばかり。通常炸薬弾は残弾無しの零を示していた。
何か無いかと探していると、特殊弾の中には、一際異彩を放つものがあった。ミナツもそれを見て、あまり使いたくないと思ったが、早めに終わらせるにはこれしかない、とも思った。
「仕方ない、わね。弾種“
戦術核と言えば、ガンダムシリーズでは
ミナツが機体を固定して発射体勢に入ると、キョウヤ達もその違和感を感じた。
「何か、ぎこちないな。嫌な予感がする」
「そんなこと言うなよ、怖くなるだろ」
ガンプラ越しで感じた違和感に、キョウヤはこのまま突っ込んでみるかと考えていた。何か怪しい、そう直感したからこその判断だ。
そんなキョウヤの思惑とは違い、ソースケはキョウヤの勘に戦々恐々としていた。先程の粒子攪乱弾といい、この機体を相手するにはまだ早かった。そう感じさせる程、ミナツの機体は手強い。
「たかだか支援機だと腹括ってたのが仇になっちまったな……けど、俺にだって引くに引けない場もあるんだっての!」
キョウヤが突っ込もうとする手前、ソースケのAGE-2がストライダー形態で突っ込んだ。その行動にはミナツだけじゃなく、キョウヤ自身も驚いたが、驚くのはそれだけではなかった。
「これで相討ちに……!」
驚いて隙を見せた重装型ガンダムに近付き、ソースケはストライダー形態から即座にMS形態に移る。そして――
「食らえぇぇぇぇッ!」
胸部拡散ビーム砲から光が迸り、次の瞬間にはその光が重装型ガンダムを覆った。
これで勝ったと確信したソースケはAGE-2を地面に接地させると、直ぐにアラートが鳴った。
「オイオイオイ! あれを食らってもまだ――!」
煙の中から緑色のツインアイが、ソースケを睨み付ける。煙を裂いてビームサーベルがAGE-2の胸を貫き、そのまま切り払った。
力無くAGE-2は跪き、重装型ガンダムはその腰にビームサーベルの柄を仕舞う。予想外の攻撃で、ミナツもそっと額の汗を拭う。
目の前で呆気なくやられたソースケのAGE-2を見て、流石のキョウヤも声が出なかった。ビームサーベルを仕舞ったガンダムは次にこちらを見る。
残るは重装型ガンダムとエクストリームガンダム:Rfのみ。戦いの行方は――
どうも、六月中に一話も上げられなかったことを悔やんでるカミツです。血液不足による貧血と、修学旅行で行った沖縄の炎天下にやられて熱中症になってました。鉄分摂取と水分補給は必須だね。
前回の後書き通り、今回も丸々バトルで埋まってしまいましたが、次回はようやく終止符を撃てる……!(←最早何をしたいのか迷走している自分
梅雨も明けて本格的に夏へと突入しつつある日本ですが、くれぐれも熱中症や脱水症状にはお気を付けを。
今回はここまで
ではまた次回、ノシ!